Oracle® Solaris Cluster ソフトウェアのインストール

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更新: 2014 年 9 月
 
 

Oracle Solaris Cluster の構成可能なコンポーネント

このセクションでは、構成する Oracle Solaris Cluster コンポーネントのガイドラインについて説明します。

グローバルクラスタ名

グローバルクラスタ名は、Oracle Solaris Cluster の構成時に指定します。グローバルクラスタ名は、企業内でグローバルに一意である必要があります。

ゾーンクラスタの命名方法については、ゾーンクラスタを参照してください。

グローバルクラスタノードの名前とノード ID

グローバルクラスタ内のノードの名前は、Oracle Solaris OS でインストールしたときに物理ホストまたは仮想ホストに割り当てた名前と同じです。命名の要件の詳細については、hosts(4) のマニュアルページを参照してください。

単一ホストクラスタのインストールでは、デフォルトのクラスタ名はノードの名前になります。

Oracle Solaris Cluster の構成中に、グローバルクラスタでインストールするすべてのノード名を指定します。ノード名は uname -n コマンドの出力と同じである必要があります。

ノード ID 番号は、イントラクラスタ用の各クラスタノードに番号 1 から割り当てられます。ノード ID 番号は、ノードがクラスタメンバーになる順序で各クラスタノードに割り当てられます。 1 回の操作ですべてのクラスタノードを構成する場合、scinstall ユーティリティーを実行するノードは、最後にノード ID 番号が割り当てられたノードです。 ノード ID 番号は、クラスタノードに割り当てたあとで変更することはできません。

クラスタメンバーになるノードには、使用可能なノード ID 番号のうち、もっとも小さい番号が割り当てられます。 ノードをクラスタから削除すると、そのノード番号は新しいノードに割り当てることができるようになります。 たとえば、4 ノードクラスタで、ノード ID 3 が割り当てられているノードを削除し、新しいノードを追加すると、その新しいノードには、ノード ID 5 ではなくノード ID 3 が割り当てられます。

割り当てるノード ID 番号を特定のクラスタノードに対応させる場合は、一度に 1 ノードずつ、ノード ID 番号を割り当てる順にクラスタノードを構成します。 たとえば、クラスタソフトウェアがノード ID 1phys-schost-1 に割り当てるようにするには、そのノードをクラスタのスポンサーノードとして構成します。 次に phys-schost-1 によって確立されたクラスタに phys-schost-2 を追加する場合、phys-schost-2 はノード ID 2 に割り当てられます。

ゾーンクラスタ内のノード名については、ゾーンクラスタを参照してください。

プライベートネットワークの構成


注 -  単一ホストのグローバルクラスタの場合、プライベートネットワークを構成する必要はありません。scinstall ユーティリティーは、クラスタでプライベートネットワークが使用されていなくても、自動的にデフォルトのプライベートネットワークアドレスとネットマスクを割り当てます。

Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアで管理されるノード間および非大域ゾーン間の内部通信にプライベートネットワークを使用します。Oracle Solaris Cluster 構成では、プライベートネットワーク上のクラスタインターコネクトへの接続が少なくとも 2 つ必要です。クラスタの最初のノードに Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを構成するときに、次のいずれかの方法でプライベートネットワークアドレスとネットマスクを指定します。

  • デフォルトのプライベートネットワークアドレス (172.16.0.0) とデフォルトのネットマスク (255.255.240.0) を使用します。 この IP アドレス範囲は、最大 64 個のノードと非大域ゾーン、最大 12 個のゾーンクラスタ、および最大 10 個のプライベートネットワークをサポートしています。


    注 -  IP アドレス範囲でサポートできる最大ノード数は、ハードウェアまたはソフトウェアの構成で現在サポートできる最大ノード数を反映していません。
  • デフォルト以外の許容可能なプライベートネットワークアドレスを指定して、デフォルトのネットマスクをそのまま使用します。

  • デフォルトのプライベートネットワークアドレスをそのまま使用して、デフォルト以外のネットマスクを指定します。

  • デフォルト以外のプライベートネットワークアドレスとデフォルト以外のネットマスクを指定します。

デフォルト以外のネットマスクを使用することを選択すると、scinstall ユーティリティーから、IP アドレス範囲でサポートするノードの数とプライベートネットワークの数を指定するように求められます。このユーティリティーから、サポートするゾーンクラスタの数を指定するように求められます。 指定するグローバルノードの数には、プライベートネットワークを使用する、クラスタ化されていない非大域ゾーンの予測される数も含めるようにしてください。

このユーティリティーは、指定したノード、ゾーンクラスタおよびプライベートネットワークの数に対応する最小 IP アドレス範囲のネットマスクを計算します。計算されたネットマスクは、指定したノード (非大域ゾーンを含む)、ゾーンクラスタおよびプライベートネットワークの数よりも多くの数をサポートする場合があります。scinstall ユーティリティーはさらに、2 倍の数のノード、ゾーンクラスタおよびプライベートネットワークをサポートするための最低限のネットマスクとなる 2 番目のネットマスクも計算します。この 2 番目のネットマスクにより、クラスタは IP アドレス範囲を再構成する必要なしに、将来のノードとプライベートネットワークの数の増加に対応できます。

ユーティリティーから、どちらのネットマスクを選択するかを聞かれます。計算されたネットマスクのいずれかを選択するか、それ以外のネットマスクを指定することができます。指定するネットマスクは、最低でもユーティリティーに指定したノードとプライベートネットワークの数をサポートする必要があります。


注 -  ノード、非大域ゾーン、ゾーンクラスタ、プライベートネットワークなどの追加に対応するには、クラスタのプライベート IP アドレス範囲の変更が必要になる場合があります。

クラスタの確立後にプライベートネットワークアドレスとネットマスクを変更する方法については、Oracle Solaris Cluster システム管理 の既存のクラスタのプライベートネットワークアドレスまたはアドレス範囲を変更する方法を参照してください。これらの変更を行うには、クラスタを停止させる必要があります。

ただし、cluster set-netprops コマンドを使用してネットマスクのみを変更する場合は、クラスタをクラスタモードのままにすることができます。クラスタですでに構成されているゾーンクラスタの場合は、そのゾーンに割り当てられているプライベート IP サブネットとプライベート IP アドレスも更新されます。


デフォルト以外のプライベートネットワークアドレスを指定する場合は、アドレスは次の条件を満たす必要があります。

  • アドレスおよびネットマスクのサイズ - プライベートネットワークアドレスは、ネットマスクよりも小さくすることはできません。たとえば、ネットマスク255.255.255.0でプライベートネットワークアドレス172.16.10.0を使用できますが、ただし、ネットマスク 255.255.0.0 では、プライベートネットワークアドレス172.16.10.0 を使用できません。

  • 許容アドレス - アドレスは、プライベートネットワークでの使用のために RFC 1918 で予約されているアドレスのブロックに含まれるようにしてください。InterNIC に問い合わせて RFC のコピーを入手するか、http://www.rfcs.org でオンラインで RFC を表示できます。

  • 複数クラスタでの使用 - クラスタが異なるプライベートネットワーク上にある場合は、複数のクラスタで同じプライベートネットワークアドレスを使用できます。プライベート IP ネットワークアドレスは、物理クラスタ外からはアクセスできません。

  • Oracle VM Server for SPARC; - ゲストドメインが同じ物理マシンで作成され、同じ仮想スイッチに接続されている場合、プライベートネットワークがそのようなゲストドメインによって共有され、これらのすべてのドメインで表示されます。ゲストドメインのクラスタで使用する場合は、プライベートネットワーク IP アドレスの範囲を scinstall ユーティリティーに指定する前に注意が必要です。同じ物理ドメイン上に存在し、その仮想ネットワークを共有している別のゲストドメインがそのアドレス範囲を使用していないことを確認してください。

  • 複数のクラスタによって共有される VLAN – Oracle Solaris Cluster 構成では、複数クラスタ間での同一プライベートインターコネクト VLAN の共有をサポートしています。クラスタごとに個別の VLAN を構成する必要はありません。ただし、最高レベルの障害分離やインターコネクト回復のために、VLAN の使用を単一クラスタに限定してください。

  • IPv6 Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、プライベートインターコネクトで IPv6 アドレスをサポートしません。IPv6 アドレスを使用するスケーラブルサービスをサポートするために、システムはプライベートネットワークアダプタ上で IPv6 アドレスを構成します。しかし、これらの IPv6 アドレスは、プライベートネットワークでのノード間通信では使用されません。

プライベートネットワークの詳細は、Oracle Solaris 11.2 でのネットワーク配備の計画 を参照してください。

プライベートホスト名

プライベートホスト名とは、プライベートネットワークインタフェースを介したノード間の通信に使用される名前のことです。プライベートホスト名は、グローバルクラスタまたはゾーンクラスタの Oracle Solaris Cluster の構成中に自動的に作成されます。これらのプライベートホスト名は、clusternodenode-id -priv という命名規則に従います (node-id は内部ノード ID の数値です)。ノード ID 番号は、Oracle Solaris Cluster の構成中に各ノードがクラスタメンバーとなる際に、自動的に各ノードに割り当てられます。グローバルクラスタのノードとゾーンクラスタのノードは、どちらも同じプライベートホスト名を持てますが、ホスト名はそれぞれ異なるプライベートネットワーク IP アドレスに解決されます。

グローバルクラスタの構成後に、clsetup(1CL) ユーティリティーを使用してプライベートホスト名を変更できます。この時点では、ゾーンクラスタノードのプライベートホスト名は変更できません。

非大域ゾーンのプライベートホスト名の作成はオプションです。非大域ゾーンのプライベートホスト名の作成には、命名規則はありません。

クラスタインターコネクト

クラスタインターコネクトは、クラスタノード間のプライベートネットワーク通信にハードウェアパスを提供します。各インターコネクトは、次のいずれかの方法で接続されるケーブルで構成されます。

  • 2 つのトランスポートアダプタの間

  • トランスポートアダプタとトランスポートスイッチの間

クラスタインターコネクトの目的と機能の詳細については、Oracle Solaris Cluster Concepts Guide のCluster Interconnectを参照してください。


注 -  単一ホストのクラスタの場合、クラスタインターコネクトを構成する必要はありません。ただし、単一ホストのクラスタ構成にあとからノードを追加する可能性がある場合は、将来の使用のためにクラスタインターコネクトを構成することもできます。

Oracle Solaris Cluster の構成時に、1 つまたは 2 つのインターコネクトの構成情報を指定します。

  • 使用できるアダプタポートの数が制限されている場合、タグ付きの VLAN を使用して、同じアダプタをプライベートネットワークとパブリックネットワークの両方で共有できます。詳細は、トランスポートアダプタ のタグ付き VLAN アダプタのガイドラインを参照してください。

  • 1 つのクラスタでは、1 つから 6 つまでのクラスタインターコネクトを設定できます。クラスタインターコネクトを 1 つだけ使用すると、プライベートインターコネクトに使用されるアダプタポートの数が減り、同時に冗長性がなくなり、可用性が低くなります。1 度インターコネクトに障害が発生すると、クラスタで自動復旧の実行が必要になるリスクが高まります。できれば 2 つ以上のクラスタインターコネクトをインストールしてください。その結果、冗長性とスケーラビリティーが提供されるので、シングルポイント障害が回避されて可用性も高くなります。

クラスタの確立後に、clsetup ユーティリティーを使用して、追加のインターコネクトを合計 6 つまで構成できます。

クラスタインターコネクトハードウェアのガイドラインについては、Oracle Solaris Cluster 4.2 Hardware Administration Manual のInterconnect Requirements and Restrictionsを参照してください。クラスタインターコネクトの一般情報については、Oracle Solaris Cluster Concepts Guide のCluster Interconnectを参照してください。

トランスポートアダプタ

ネットワークインタフェースのポートなどのトランスポートアダプタの場合は、トランスポートアダプタの名前とトランスポートタイプを指定します。構成が 2 ホストクラスタの場合は、インターコネクトをポイントツーポイント接続 (アダプタからアダプタ) するか、トランスポートスイッチを使用するかも指定します。

次のガイドラインと制限を考慮してください。

  • IPv6 – Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、プライベートインターコネクト経由の IPv6 通信をサポートしません。

  • ローカル MAC アドレスの割り当て - すべてのプライベートネットワークアダプタは、ローカル MAC アドレスの割り当てをサポートするネットワークインタフェースカード (Network Interface Card、NIC) を使用します。リンクローカル IPv6 アドレスは、スケーラブルデータサービス用の IPv6 パブリックネットワークアドレスをサポートするためにプライベートネットワークアダプタに必要なもので、ローカル MAC アドレスから派生します。

  • タグ付き VLAN アダプタ – Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、プライベートクラスタインターコネクトとパブリックネットワーク間で 1 つのアダプタを共有するために、タグ付き VLAN (Virtual Local Area Network) をサポートします。クラスタでアダプタを構成する前に、dladm create-vlan コマンドを使用してアダプタをタグ付き VLAN アダプタとして構成する必要があります。

    タグ付き VLAN アダプタをクラスタインターコネクト向けに構成するには、アダプタをその VLAN 仮想デバイス名で指定します。この名前は、アダプタ名 + VLAN インスタンス番号です。VLAN インスタンス番号は、公式 (1000*V)+N から導き出されます (ここで、V は VID 番号、N は PPA です)。

    たとえば、アダプタ net2 上の VID 73 の場合、VLAN インスタンス番号は (1000*73)+2 として計算されます。したがって、このアダプタ名を net73002 と指定して、共有仮想 LAN の一部であることを示します。

    クラスタでの VLAN の構成については、Oracle Solaris Cluster 4.2 Hardware Administration Manual のConfiguring VLANs as Private Interconnect Networksを参照してください。VLAN の作成と管理については、dladm(1M) のマニュアルページおよびOracle Solaris 11.2 でのネットワークデータリンクの管理 の第 3 章仮想ローカルエリアネットワークを使用した仮想ネットワークの構成を参照してください。

  • SPARC: Oracle VM Server for SPARC ゲストドメイン – アダプタ名をその仮想名 vnetN によって指定します (vnet0vnet1 など)。仮想アダプタ名は、/etc/path_to_inst ファイルに記録されます。

  • 論理ネットワークインタフェース – 論理ネットワークインタフェースは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアで使用するために予約されています。

トランスポートスイッチ

ネットワークスイッチなどのトランスポートスイッチを使用する場合は、インターコネクトごとにトランスポートスイッチの名前を指定します。デフォルト名の switchN (ここで、N は、構成中に自動的に割り当てられた数) を使用するか、別の名前を作成できます。

また、スイッチのポート名を指定するか、デフォルト名をそのまま使用します。デフォルトのポート名は、ケーブルのアダプタ側が接続されている Oracle Solaris ホストの内部ノード ID 番号と同じです。ただし、特定の種類のアダプタではデフォルトのポート名は使用できません。

3 つ以上のノードを持つクラスタでは、必ずトランスポートスイッチを使用してください。クラスタノード間の直接接続は、2 ホストクラスタの場合だけサポートされています。2 ホストクラスタが直接接続されている場合でも、インターコネクトのトランスポートスイッチを指定できます。


ヒント  -  トランスポートスイッチを指定すると、あとでクラスタに別のノードを追加しやすくなります。

グローバルフェンシング

フェンシングは、スプリットブレーン状態のクラスタが共有ディスクのデータ完全性の保護のために使用するメカニズムです。デフォルトでは、標準モードの scinstall ユーティリティーでグローバルフェンシングが有効になっており、構成内の各共有ディスクでデフォルトのグローバルフェンシング設定 prefer3 が使用されます。prefer3 設定の場合は、SCSI-3 プロトコルが使用されます。

SCSI-3 プロトコルを使用できないデバイスでは、代わりに pathcount 設定が使用されるはずです。その場合、ディスクに接続されている DID パスの数に基づいて共有ディスクのフェンシングプロトコルが選択されます。SCSI-3 を使用できないデバイスは、クラスタ内で 2 つの DID デバイスパスに制限されます。SCSI-3、SCSI-2 のどちらのフェンシングもサポートしないデバイスでは、フェンシングをオフにすることができます。ただし、そのようなデバイスのデータの整合性は、スプリットブレインの状況では保証できません。

カスタムモードの場合は、scinstall ユーティリティーからグローバルフェンシングを無効にするかどうかを尋ねられます。通常は、No と入力してグローバルフェンシングを有効にしておきます。ただし、グローバルフェンシングは、特定の場合に無効にすることができます。


Caution

注意  -  説明している場合以外でフェンシングを無効にすると、アプリケーションのフェイルオーバー時にデータが破壊されやすくなる可能性があります。フェンシングの無効化を検討する場合には、データ破損の可能性を十分に調査してください。


グローバルフェンシングを無効にすることができる場合は、次のとおりです。

  • 共有ストレージが SCSI 予約をサポートしていない。

    共有ディスクのフェンシングを無効にして定足数デバイスとして構成すると、デバイスではソフトウェアの定足数プロトコルが使用されます。これは、このディスクが SCSI-2 または SCSI-3 プロトコルをサポートしているかどうかに関係なく行われます。ソフトウェアの定足数は、SCSI Persistent Group Reservations (PGR) のフォームをエミュレートする、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのプロトコルです。

  • クラスタ外のシステムが、クラスタに接続されているストレージへのアクセス権を付与できるようにする。

クラスタ構成時にグローバルフェンシングを無効にすると、クラスタ内のすべての共有ディスクのフェンシングが無効になります。クラスタを構成したあとで、グローバルフェンシングプロトコルを変更したり、個々の共有ディスクのフェンシングプロトコルをオーバーライドしたりできます。ただし、定足数デバイスのフェンシングプロトコルを変更するには、最初に定数数デバイスの構成を解除します。次に、ディスクの新しいフェンシングプロトコルを設定し、それを定足数デバイスとして再構成します。

フェンシングの動作の詳細については、Oracle Solaris Cluster Concepts Guide のFailfast Mechanismを参照してください。個々の共有ディスクのフェンシングプロトコルの設定方法の詳細は、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。グローバルフェンシング設定の詳細は、cluster(1CL) のマニュアルページを参照してください。

定足数デバイス

Oracle Solaris Cluster 構成では、定足数 (quorum) デバイスを使用して、データとリソースの整合性を保持します。クラスタがノードとの接続を一時的に失っても、定足数デバイスによって、クラスタノードがクラスタに再結合しようとしたときのアムネジアやスプリットブレインといった問題を防止できます。定足数デバイスの目的と機能の詳細については、Oracle Solaris Cluster Concepts Guide のQuorum and Quorum Devicesを参照してください。

Oracle Solaris Cluster の 2 ホストクラスタのインストール時に、scinstall ユーティリティーを使用して、構成内で使用可能な共有ディスクを定足数デバイスとして自動的に構成することもできます。scinstall ユーティリティーは、使用可能なすべての共有ディスクが定足数デバイスとして利用できるものと見なします。

定足数サーバーや Oracle ZFS Storage Appliance NAS デバイスを定足数デバイスとして使用する場合は、scinstall 処理の完了後にそれを構成します。

インストール後は、clsetup ユーティリティーを使用して、追加の定足数デバイスを構成することもできます。


注 -  単一ホストのクラスタの場合、定足数デバイスを構成する必要はありません。

クラスタ構成にサードパーティーの共有ストレージデバイスが含まれており、それらの定足数デバイスとしての使用がサポートされていない場合、clsetup ユーティリティーを使用して、定足数を手作業で構成する必要があります。

定足数デバイスを計画する際は、次の点を考慮してください。

  • 最小数 – 2 ホストクラスタは、少なくとも 1 つの定足数デバイスを持つ必要があり、この定足数デバイスは、共有ディスクでも定足数サーバーでも NAS デバイスでもかまいません。その他のトポロジの場合は、定足数デバイスはオプションです。

  • 奇数の規則 – 複数の定足数デバイスが、2 ホストクラスタまたは定足数デバイスに直接接続されているホストペアで構成されている場合、奇数個の定足数デバイスを構成します。このように構成することで、定足数デバイスが完全に独立した障害パスを持つようになります。

  • 定足数投票の割り当て - クラスタの可用性を最高にするために、定足数デバイスで割り当てられる合計投票数は必ずノードで割り当てられる投票数よりも少なくなるようにしてください。それ以外の場合、すべてのノードが機能していても、すべての定足数デバイスを使用できない場合、そのノードはクラスタを形成できません。

  • 接続 – 定足数デバイスは 2 つ以上のノードに接続する必要があります。

  • SCSI フェンシングプロトコル – SCSI 共有ディスク定足数デバイスが構成されている場合、そのフェンシングプロトコルは 2 ホストクラスタでは SCSI-2、3 つ以上のノードを持つクラスタでは SCSI-3 が自動的に設定されます。

  • 定足数デバイスのフェンシングプロトコルの変更 - 定足数デバイスとして構成された SCSI ディスクの場合、SCSI フェンシングプロトコルを有効または無効にするには、定足数デバイスの構成を解除します。

  • ソフトウェア定足数プロトコル – SATA ディスクなど、SCSI プロトコルに対応していないサポート対象の共有ディスクを定足数デバイスとして構成できます。これらのディスクのフェンシングを無効にする必要があります。ディスクでは、SCSI PGR をエミュレートするソフトウェア定足数プロトコルが使用されるようになります。

    このようなディスクのフェンシングが無効になると、SCSI 共有ディスクもソフトウェア定足数プロトコルを使用します。

  • レプリケートされたデバイス – Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、レプリケートされたデバイスを定足数デバイスとしてサポートしていません。

  • ZFS ストレージプール - 構成済みの定足数デバイスを ZFS ストレージプールに追加しないでください。定足数デバイスが ZFS ストレージプールに追加されると、ディスクのラベルが EFI ディスクに変更されて、定足数構成情報が失われます。このディスクは、クラスタに定足数投票を提供できなくなります。

    ディスクがストレージプールにある場合、そのディスクを定足数デバイスとして構成できます。または、定足数デバイスの構成を解除して、ストレージプールに追加し、そのあとでディスクを定足数デバイスとして再構成します。

定足数デバイスの詳細については、Oracle Solaris Cluster Concepts Guide のQuorum and Quorum Devicesを参照してください。