1 Oracle ZFS Storage Appliance の概要
プロジェクトレベルのレプリケーションとシェアレベルのレプリケーションの比較
レプリケーションを逆向きにする - 障害からの回復のシミュレート
Oracle ZFS Storage Appliance では、ソース ZFSSA から任意の数のターゲット ZFSSA に、手動で、スケジュールに従って、あるいは連続して、プロジェクトとシェアをスナップショットベースでレプリケートできます。レプリケーションにはデータとメタデータの両方が含まれます。リモートレプリケーション (または単に「レプリケーション」) は、次のユースケースに最適な汎用機能です。
障害回復。レプリケーションを使用すると、障害回復のために ZFSSA をミラー化できます。プライマリ ZFSSA (またはデータセンター全体)のサービスに影響を与える障害イベント時に、管理者は障害時復元サイトでサービスをアクティブ化し、最新のレプリケートされたデータを使用して引き継ぎます。プライマリサイトが復元されたら、障害回復サイトでのサービス提供中に変更されたデータを、復元されたプライマリサイトと通常のサービスに移行できます。そのようなシナリオは、災害が発生する前に完全にテストできます。
データの分散。レプリケーションを使用してデータ (仮想マシンのイメージやメディアなど) を世界中のリモートシステムに分散させることができます。ターゲット ZFSSA のクライアントがソース ZFSSA に通常は直接到達できない場合や、そのようなセットアップでは非常に長い待機時間が発生する場合などに利用します。たとえば、このスキームをローカルキャッシュに使用して、読み取り専用データ (ドキュメントなど) の待機時間を改善できます。
ディスクからディスクへのバックアップ。テープバックアップを実行できない環境のバックアップソリューションとしてレプリケーションを使用できます。たとえば、使用可能な帯域幅が不十分な場合や、回復の待機時間が長くなりすぎる場合には、テープバックアップを実行できないことがあります。
データの移行。ハードウェアのアップグレードやストレージの負荷調整を行うときに、 ZFSSA 間でレプリケーションを使用してデータと構成を移行できます。この目的には、シャドウ移行も使用できます。
リモートレプリケーション機能には、いくつかの重要な特性があります。
スナップショットベース。レプリケーションサブシステムは、各更新操作の一部としてスナップショットを取得します。完全更新の場合は、スナップショットまでのプロジェクトの内容全体が送信されます。増分更新の場合は、同じアクションで最後にレプリケーションスナップショットを作成した時点以降の変更だけが送信されます。
ブロックレベル。各更新処理は、ファイルシステムをブロックレベルでたどり、適切なファイルシステムデータとメタデータをターゲットに送信します。
非同期。レプリケーションでは、スナップショットを作成してから送信するため、データは送信開始前に安定したストレージに必ず確定されている必要があります。連続レプリケーションでは、ファイルシステムの変更が実質的に連続ストリームで送信されますが、NAS クライアントと SAN クライアントに関しては非同期のままです。
メタデータも含む。基になるレプリケーションストリームでは、ユーザーデータと ZFS メタデータの両方が直列化されます。これには、「シェア」画面で構成されるプロパティーのほとんども含まれます。これらのプロパティーは、最初のレプリケーション更新が完了したあとでターゲット上で変更できます。ただし、レプリケーション接続が切断されるまでは変更が有効にならないものもあります。たとえば、ソースとは異なる一連のホストに対して NFS でシェアすることが可能になります。詳細は、レプリケーションパッケージの管理 を参照してください。
セキュア。ZFS Storage Appliance 間で使用されるレプリケーション制御プロトコルは、SSL でセキュリティー保護されています。オプションで、データも SSL で保護できます。ほかの ZFSSA からのレプリケーション、またはほかの ZFSSA へのレプリケーションを行うには、最初に手動で認証処理を完了する必要があります。ターゲットの作成と編集を参照してください。
レプリケーションには次のような既知の制限事項があります。
ターゲットの IP アドレスを変更するとレプリケーションができなくなる
アクションをプール間で移動できない
プロジェクトレベルのレプリケーションごとに I/O が最大 200 MB/秒に制限される