1 Oracle ZFS Storage Appliance の概要
プロジェクトレベルのレプリケーションとシェアレベルのレプリケーションの比較
レプリケーションを逆向きにする - 障害からの回復のシミュレート
レプリケーションの方向を逆にして、典型的な 2 システムによる障害回復計画をサポートできます。この操作は、前述の切断操作に似ていますが、新しいローカルプロジェクトを増分レプリケートしてソースシステムに戻すレプリケーションアクションを追加で構成します。この操作が完了した時点ではソースシステムに変更は加えられませんが、このアクションを使用して最初の更新が試行されると、ソースシステム上の元のプロジェクトがレプリケーションパッケージに変換され、そのシステムからのレプリケーション更新が最後に正常に実行された時点以降の変更がすべてロールバックされます。
この機能は、データのプライマリコピーとセカンダリコピーの読み書きステータスを変更する以外は、本番負荷のリダイレクト、IP アドレスのフェイルオーバー、障害回復フェイルオーバーに関連するその他の処理を自動的に実行するわけではありません。
(現在はターゲットとして動作している) 元のソースシステムで元のソースプロジェクトをレプリケーションパッケージに変換する一環として、現在逆向きになっているアクション/パッケージの一部としてレプリケートされたシェアが、新しいレプリケーションパッケージに移動され、アンエクスポートされます。元のプロジェクトはローカルコレクションに残りますが、アクション/パッケージがそのすべてのシェアを含んでいた場合には、空になることがあります。シェアレベルのレプリケーションを逆向きにした場合、元のプロジェクト内のほかのシェアはどれも変更されません。
ある ZFSSA から別の ZFSSA へのシェアレベルのレプリケーションを確立したあとで、ターゲット ZFSSA 上でそのレプリケーションを逆向きにすると、レプリケーションスケジュールが破棄されます。そのあと、プロジェクトレベルでレプリケーションアクションが作成されます。これには、正しいターゲット ZFSSA が設定され、スケジュールは含まれていません。
前述のとおり、この機能は通常、2 システムによる障害回復構成を実装するために使用されます。この構成では、プライマリシステムが本番データを処理し、それをセカンダリ (DR) システムにレプリケートします。このシステムは、別のデータセンターに置かれている場合が多く、プライマリサイトで障害が発生した場合に本番トラフィックを引き継ぐために待機しています。プライマリサイトで障害が発生した場合は、本番トラフィックをセカンダリサイトにリダイレクトし、セカンダリサイトのコピーを書き込み可能にして「プライマリ」にする必要があります。プライマリサイトが修復されたら、セカンダリサイトに蓄積された変更をレプリケートしてプライマリサイトに戻し、そのサイトで本番負荷の処理を再開できます。
そのような計画では、通常は次のような順序でイベントが発生します。
プライマリシステムが本番負荷を処理し、それをセカンダリシステムにレプリケートしています。
プライマリサイトで完全なシステム障害になるような災害が発生します。管理者がセカンダリサイトでレプリケーションの方向を逆にし、レプリケートされたシェアを新しいプロジェクトにエクスポートします。このプロジェクトは、プライマリサービスが復元されたときにプライマリサイトにレプリケートして戻すように構成されています。その一方で、本番負荷はセカンダリサイトにリダイレクトされます。
プライマリサイトがオンラインに戻ったら、管理者がセカンダリサイトからプライマリサイトへのレプリケーション更新を開始します。これにより、プライマリのコピーがレプリケーションパッケージに変換され、ターゲットへの (障害の前の) 最後の正常な更新のあとに加えられた変更がすべてロールバックされます。プライマリサイトのコピーが最新の状態になったら、管理者はプライマリサイトのコピーを書き込み可能にして、レプリケーションの方向を再度逆にします。本番トラフィックがプライマリサイトにリダイレクトされて戻されます。プライマリサイトからセカンダリサイトへのレプリケーションが再開され、プライマリコピーとセカンダリコピーの間の最初の関係が復元されます。
パッケージのレプリケーションの方向を逆にするときは、その前にソースからそのプロジェクトのレプリケーションを停止することを管理者に強くお勧めします。レプリケーション更新の進行中に管理者がプロジェクトのレプリケーションの方向を逆にした場合、管理者は、以前のターゲット ZFSSA (現在のソース ZFSSA) に作成されたプロジェクトに、どの整合性のあるレプリケーションスナップショットが使用されたのかわからなくなります。
BUI からレプリケーションを逆向きにするには、レプリケーションパッケージに移動し (上記を参照)、「レプリケーション」タブ、続いて
ボタンをクリックします。表示されるダイアログで、管理者は新しいローカルプロジェクトの名前を指定できます。
CLI からレプリケーションを逆向きにするには、レプリケーションパッケージに移動し (上記を参照)、reverse コマンドを使用します。このコマンドは、新しいローカルプロジェクトの名前を指定するオプションの引数を取ります。引数が指定されていない場合は、元の名前が使用されます。
ローカルのシェアはすべてエクスポートされるため、パッケージを逆向きにすると、それまでにエクスポートされたかどうかにかかわらずパッケージ内のすべてのシェアがエクスポートされます (上記を参照)。レプリケートされたファイルシステムとシステム上のほかのファイルシステムの間でマウントポイントが競合している場合、逆向きにする操作は失敗します。切断する前に、関連するシェアのマウントポイントを再構成して、これらの競合を解決する必要があります。通常、この操作は本番用のサービスの復元におけるクリティカルパスの一部なので、このようなマウントポイントの競合は、DR フェイルオーバーの時点ではなく、システムを最初に設定するときに解決することを強くお勧めします。