InfiniBand (IB) は、スイッチ式ファブリックに基づく入出力テクノロジです。これにより、入出力デバイスとホストとの接続やホスト間の通信で、帯域幅が広く待機時間の短い相互接続が提供されます。IB デバイスは Solaris IB 連結ドライバによって管理されます。
Oracle Solaris は次のデバイスをサポートしています。
IP over IB (IPoIB) デバイス – IB 接続経由での IP パケットの移送を可能にします。この機能は、ibp ドライバによって実装されています。詳細は、ibp(7D) のマニュアルページを参照してください。
Ethernet over IB (EoIB) - IB ファブリックを介して Ethernet フレームを転送できます。
Socket Direct Protocol (SDP) - IB 経由でのソケットをサポートします
RDSv3 (Reliable Datagram Service version 3) および RDS (Reliable Datagram Service)
NFS over Remote Direct Memory Access (NFSoRDMA) - RDMA を使用した IB 経由の NFS サービスを提供します
iSCSI Extension for RDMA (iSER) - iSCSI プロトコルに RDMA データ転送機能を提供します
uDAPL (User Direct Access Programming Language)
Open Fabric User Verb (OFUV)
IB 連結ドライバは、Solaris IB デバイスマネージャー (IBDM) に通信サービスを照会して、IB Port、HCA_SVC、および IB VPPA デバイスを列挙します。ここで、VPPA は仮想物理接続点を意味しています。
IB パーティションリンクは、データリンクの新しい part クラスを表し、dladm サブコマンドを使用して管理します。パーティションリンクは、データ転送に使用されます。IB パーティションリンクは、IB 物理リンクの最上位で、ポート上のパーティションキー (P_Key) ごとに 1 つ作成できます。
Port デバイスは、Host Channel Adapter (HCA) の特定のポートに通信サービスをバインドします。ポートはポート番号で表されます。HCA_SVC デバイスは、特定の HCA に通信サービスをバインドします。VPPA デバイスは、ポートとパーティションキー (P_key) の組み合わせに通信サービスをバインドします。Port デバイスと HCA_SVC デバイスでは、パーティションキーの値として常に 0 が使用されます。Port、HCA_SVC、および VPPA デバイスは、HCA の子であり、ib.conf ファイルから列挙されます。詳細は、ib(7D) のマニュアルページを参照してください。
Input Output Controller (IOC) デバイスは、IB 連結ドライバの子であり、入出力ユニットの一部です。擬似デバイスも IB 連結ドライバの子です。独自の構成ファイルを持つほかのすべてのデバイスを参照して列挙されます。詳細は、ib(4) のマニュアルページを参照してください。
次のリストは、考えられる IB デバイスツリーのパス名を示しています。
IOC デバイス – /ib/ioc@1730000007F510C,173000007F50
IB 疑似デバイス – /ib/driver@unit-address
IB VPPA デバイス – /pci@1f,2000/pci@1/pci15b3,5a44@0/ibport@,port#,P_key,service
IB HCA_SVC デバイス –
IB ポートデバイス – /pci@1f,2000/pci@1/pci15b3,5a44@0/ibport@<port#>,0,service
HCA – /pci@1f,2000/pci@1/pci15b3,5a44@0
次のリストでは、パス名の一部であるいくつかの IB コンポーネントについて説明しています。
通信サービス。たとえば、ipib は、ibd カーネルクライアントドライバで使用される通信サービスです。
使用されるパーティションリンクキーの値。
ポート番号。
IB カーネルクライアントドライバの driver.conf ファイルにこの名前で指定されているプロパティー。詳細は、driver.conf(4) を参照してください。
EoIB は Oracle Solaris の IB フレームワークによって提供されるサービスを使用しています。ただし、EoIB は IB 連結ドライバの子ではありません。Oracle Solaris の EoIB は /pseudo/eib@0 というデバイスツリーパスを持つ単一インスタンスの疑似デバイスドライバです。EoIB データリンクは、仮想リンクの特殊な eoib クラスであり、dladm サブコマンドによって作成および管理されます。EoIB データリンクは既存の IB 物理リンク上に、その IB 物理リンクの IB ファブリックで発見された EoIB ゲートウェイごとに 1 つ作成できます。発見された EoIB ゲートウェイのリストを表示するには、dladm サブコマンドを使用します。
IB 診断コマンドとユーティリティーの使用方法については、IB デバイスのモニタリングとトラブルシューティングを参照してください。