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Oracle® Solaris 11.3 での ZFS ファイルシステムの管理

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更新: 2016 年 11 月
 
 

ZFS ファイルシステムを移行する

ローカルまたはリモート ZFS または UFS ファイルシステムをターゲット ZFS ファイルシステムに移行するには、シャドウ移行を使用します。ターゲットファイルシステムはシャドウファイルシステムとも呼ばれます。

シャドウ移行を管理するには、次のコマンドを使用します。

  • shadowadm コマンドは、シャドウ移行の停止、再開、または取り消しを行います。

  • オプションが指定された shadowstat コマンドは、システム上で実行されている移行をモニターします。移行の進行状況をモニターするには、shadowstat コマンドをオプションなしで使用します。表示された情報は、Ctrl - C キーを入力するまで継続的に更新されます。

    このコマンドの –E および –e オプションは特に役立ちます。

    • 現在実行中のすべての移行を一覧表示し、エラーのために完了できなかった移行を識別するには、–E オプションを使用します。

    • 特定の移行を表示し、その移行がエラーのために失敗したかどうかを確認するには、–e オプションを使用します。

これらのコマンドを使用している例については、使用例 37を参照してください。


Caution

注意  -  ファイルシステムを移行しているときは、次の規則に従ってください。

  • 移行中は、ファイルシステムへのデータの追加または削除を行わないでください。そうしないと、これらの変更が移行から除外されます。
  • 移行が進行中のときは、シャドウファイルシステムの mountpoint プロパティーを変更しないでください。


ファイルシステムを ZFS ファイルシステムに移行する方法

  1. リモート NFS サーバーからデータを移行している場合は、リモートシステムとローカルシステムの両方でネームサービス情報にアクセスできることを確認してください。

    NFS を使用した大規模な移行の場合、データの一部で移行テストを行なって、UID、GUID、および ACL 情報が正しく移行されるか確認してみることもできます。

  2. 必要に応じて、ターゲットシステムにシャドウ移行パッケージをインストールします。
    # pkg install shadow-migration
  3. shadowd サービスを有効にします。
    # svcadm enable shadowd
  4. 移行するローカルまたはリモートのファイルシステムを読み取り専用に設定します。
    • ローカルの ZFS ファイルシステムを移行している場合、これを読み取り専用に設定します。例:

      # zfs set share.nfs=on /export/home/ufsdata
      
    • リモートファイルシステムを移行している場合は、それを読み取り専用として共有します。例:

      # share set share.nfs.ro='*'/export/home/ufsdata
  5. 移行されるファイルシステムへの shadow ファイルの設定中に、ターゲットファイルシステムを作成します。

    注 -  新しいターゲット ZFS ファイルシステムは完全に空である必要があります。そうでない場合は、移行が開始されません。

    移行しているシステムのタイプに応じて、shadow 設定を指定します。

    • ローカルファイルシステムを移行している場合は、ソースパスを指定します。

      例:

      # zfs create -o shadow=file:///west/home/data users/home/shadow
    • NFS ファイルシステムを移行している場合は、ソースホストの名前とパスを指定します。

      例:

      # zfs create -o shadow=nfs://neo/export/home/ufsdata users/home/shadow2
  6. (オプション) 移行の進行状況をチェックするには、shadowstat コマンドを発行します。

    移行をモニターする方法の例については、使用例 37を参照してください。


    注 -  ネットワーク帯域幅によっては、NFS 経由のファイルシステムデータの移行は低速になる場合があります。移行中にシステムがリブートされた場合、その移行は、システムブートが完了したあとに続行されます。
使用例 37  ファイルシステムの移行開始とモニター

この例では、複数の移行が開始されます。shadowadm コマンドが進行中の移行を一覧表示するのに対して、shadowstat コマンドはそれらの進行状況をモニターします。

# zfs create -o shadow=nfs://system2/pool/data/jsmith/archive rpool/data/copyarchive
# shadowadm list
PATH                                        STATE
/rpool/data/copyarchive                     ACTIVE

# zfs create -o shadow=nfs://system2/pool/data/jsmith/datlogs rpool/data/logcopy
# shadowadm list
PATH                                        STATE
/rpool/data/copyarchive                     ACTIVE
/rpool/data/logcopy                         ACTIVE

# shadowstat
                                        EST
                                BYTES   BYTES           ELAPSED
DATASET                         XFRD    LEFT    ERRORS  TIME
rpool/data/copyarchive          34.4M   3.37G   -       00:00:36
rpool/data/logcopy              1.12K   155K    1       (completed)エラーが検出される。
rpool/data/copyarchive          34.5M   3.37G   -       00:00:37
rpool/data/logcopy              1.12K   155K    1       (completed)
rpool/data/copyarchive          35.0M   3.37G   -       00:00:38
rpool/data/logcopy              1.12K   155K    1       (completed)
rpool/data/copyarchive          35.2M   3.37G   -       00:00:39
rpool/data/logcopy              1.12K   155K    1       (completed)
^C

前の shadowstat の出力は、rpool/data/logcopy への移行時のエラーを示しています。

shadowstat–E および –e コマンドオプションの次の出力は、ソケットの移行がサポートされていないために rpool/data/logcopy への移行を完了できなかったことを示しています。この shadowadm コマンドは、移行を取り消します。

# shadowstat -E
rpool/data/copyarchive:
No errors encountered.
rpool/data/logcopy:
PATH                                                   ERROR
errdir/cups-socket                                     Operation not supported

# shadowstat -e /rpool/data/logcopy
rpool/data/logcopy:
PATH                                                   ERROR
errdir/cups-socket                                     Operation not supported

# shadowadm cancel /rpool/data/logcopy

次の出力は、完了に向けて続行されている rpool/data/copyarchive への移行に関する情報を示しています。

# shadowadm list
PATH                                        STATE
/rpool/data/copyarchive                     ACTIVE shadowstat
                                        EST             
                                BYTES   BYTES           ELAPSED
DATASET                         XFRD    LEFT    ERRORS  TIME
rpool/data/copyarchive          251M    3.16G   -       00:01:27
rpool/data/copyarchive          251M    3.16G   -       00:01:28
rpool/data/copyarchive          252M    3.16G   -       00:01:29
^C

# shadowstat
No migrations in progress.
# shadowadm list
# exit