Oracle® Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのインストール

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更新: 2016 年 7 月
 
 

すべてのノードで Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを構成する方法 (XML)

XML クラスタ構成ファイルを使用して新規グローバルクラスタを構成するには、以下の手順を実行します。新しいクラスタは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを実行する既存のクラスタから複製できます。

この手順では、次のクラスタコンポーネントを構成します。

  • クラスタ名

  • クラスタノードのメンバーシップ

  • クラスタインターコネクト

始める前に

次のタスクを実行します。

  • Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをサポートするように Oracle Solaris OS がインストールされているか確認します。

    Oracle Solaris ソフトウェアがすでにノード上にインストールされている場合は、Oracle Solaris のインストールが Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの必要条件、およびそのクラスタにインストールする予定のほかのソフトウェアの必要条件を満たしていることを確認してください。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの要件を満たすように Oracle Solaris ソフトウェアをインストールする方法の詳細については、Oracle Solaris ソフトウェアをインストールする方法を参照してください。

  • NWAM が無効になっていることを確認します。手順については、Oracle Solaris Clusterソフトウェアパッケージをインストールする方法を参照してください。

  • SPARC: Oracle VM Server for SPARC 論理ドメインをクラスタノードとして構成している場合は、各物理マシンに Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアがインストールされていること、およびドメインが Oracle Solaris Cluster の要件を満たしていることを確認してください。Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアをインストールし、ドメインを作成する方法を参照してください。

  • タグ付き VLAN アダプタとして使用するアダプタがすべて構成済みであることと、それらの VLAN ID があることを確認します。

  • Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアと更新が構成する各ノードにインストールされていることを確認します。Oracle Solaris Clusterソフトウェアパッケージをインストールする方法を参照してください。

  1. 作成する各クラスタノードで Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアがまだ構成されていないことを確認します。
    1. 新しいクラスタに構成するノードで root 役割になります。
    2. 作成するノードで Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがすでに構成されているか調べます。
      phys-schost# /usr/sbin/clinfo -n
      • コマンドが次のメッセージを返す場合は、手順 c に進みます。
        clinfo: node is not configured as part of a cluster: Operation not applicable

        このメッセージは、作成するノードで Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがまだ構成されていないことを示します。

      • このコマンドでノード ID 番号が返される場合、この手順を実行しないでください。

        ノード ID が返されることは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがすでにノードで構成されていることを示します。

        クラスタで旧バージョンの Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを実行していて、Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアをインストールする場合は、代わりにOracle Solaris Cluster 4.3 Upgrade Guideに記載されているアップグレード手順を実行してください。

    3. 新しいクラスタで構成する残りの各ノードで手順 a および手順 b を繰り返します。

      作成するクラスタノードで Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがまだ構成されていない場合は、手順 2 に進みます。

  2. RPC 用 TCP ラッパーが、クラスタのすべてのノード上で無効になっていることを確認します。

    Oracle Solaris の RPC 用 TCP ラッパー機能は、クラスタの構成に必要なノード間通信を妨げます。

    1. 各ノード上で、RPC 用 TCP ラッパーのステータスを表示します。

      次のコマンド出力例に示すように、config/enable_tcpwrapperstrue に設定されている場合、TCP ラッパーが有効になっています。

      # svccfg -s rpc/bind listprop config/enable_tcpwrappers
      config/enable_tcpwrappers  boolean true
    2. あるノード上で RPC 用 TCP ラッパーが有効になっている場合は、TCP ラッパーを無効にし、RPC バインドサービスをリフレッシュします。
      # svccfg -s rpc/bind setprop config/enable_tcpwrappers = false
      # svcadm refresh rpc/bind
      # svcadm restart rpc/bind
  3. 新しいクラスタのプライベートインターコネクトでスイッチを使用している場合は、NDP (Neighbor Discovery Protocol) が無効になっていることを確認します。

    スイッチのドキュメントの手順に従って、NDP が有効になっているかどうかを確認し、NDP を無効にします。

    クラスタ構成中に、ソフトウェアはプライベートインターコネクトにトラフィックがないことを確認します。プライベートインターコネクトでトラフィックを確認したときに NDP がプライベートアダプタにパッケージを送信する場合、ソフトウェアはインターコネクトがプライベートではないものとみなし、クラスタ構成が中断されます。このため、クラスタ作成中は NDP を無効にしてください。

    クラスタが確立されたあと、NDP の機能を使用する場合は、プライベートインターコネクトスイッチ上でもう一度 NDP を有効にすることができます。

  4. Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアを実行している既存のクラスタを複製する場合は、そのクラスタ内のノードを使用して、クラスタ構成 XML ファイルを作成します。
    1. 複製するクラスタのアクティブメンバー上で、root 役割になります。
    2. 既存のクラスタの構成情報をファイルにエクスポートします。
      phys-schost# cluster export -o clconfigfile
      –o

      出力先を指定します。

      clconfigfile

      クラスタ構成 XML ファイルの名前。指定するファイル名は、既存のファイルまたはコマンドで作成される新規ファイルになります。

      詳細は、cluster(1CL) のマニュアルページを参照してください。

    3. 新しいクラスタを構成するノードに構成ファイルをコピーします。

      クラスタノードとして構成する他のホストからアクセス可能なディレクトリであれば、任意のディレクトリにファイルを格納できます。

  5. 新しいクラスタを構成するノード上で root 役割になります。
  6. 必要に応じてクラスタ構成 XML ファイルを変更または作成します。

    XML 要素の値を、作成するクラスタ構成を反映するように含めるか変更します。

    • 既存のクラスタを複製する場合、cluster export コマンドで作成したファイルを開きます。

    • 既存のクラスタを複製しない場合は、新しいファイルを作成します。

      ファイルは clconfiguration(5CL) のマニュアルページに示した要素の階層に基づいてください。クラスタノードとして構成する他のホストからアクセス可能なディレクトリであれば、任意のディレクトリにファイルを格納できます。

    • クラスタを確立するには、クラスタ構成 XML ファイルで次のコンポーネントが有効な値を持つ必要があります。

      • クラスタ名

      • クラスタノード

      • クラスタトランスポート

    • 既存のクラスタからエクスポートした構成情報を変更する場合、新しいクラスタを反映するために変更の必要な一部の値 (ノード名など) が複数のクラスタオブジェクトに含まれています。

    クラスタ構成 XML ファイルの構造と内容の詳細については、clconfiguration(5CL)のマニュアルページを参照してください。

  7. クラスタ構成XMLファイルを確認します。
    phys-schost# /usr/share/src/xmllint --valid --noout clconfigfile

    詳細は、xmllint(1) のマニュアルページを参照してください。

  8. 制御ノードによるクラスタ構成コマンドの受け入れを承認します。
    1. クラスタ作成コマンドを発行するために使用するシステムを決定します。

      このシステムは制御ノードです。

    2. クラスタ内で構成する (制御ノード以外の) すべてのシステムで、制御ノードからのコマンドの受け入れを承認します。
      phys-schost# clauth enable -n control-node

      sys (unix) プロトコルではなく des (Diffie-Hellman) 認証プロトコルを使用する場合、コマンドに –p des を含めます。

      phys-schost# clauth enable -p des -n control-node

      DES 認証の設定については、Oracle Solaris 11.3 での Kerberos およびその他の認証サービスの管理 の Secure RPC による認証の管理を参照してください。

  9. クラスタ構成 XML ファイルの潜在ノードから、クラスタを作成します。
    phys-schost# cluster create -i clconfigfile
    –i clconfigfile

    入力ソースとして使用するクラスタ構成 XML ファイルの名前を指定します。

  10. 各ノードで、サービス管理機能 (SMF) のマルチユーザーサービスがオンラインになっていることを確認します。

    ノードのサービスがまだオンラインでない場合は、次のステップに進む前に状態がオンラインに変わるまで待ちます。

    phys-schost# svcs multi-user-server node
    STATE          STIME    FMRI
    online         17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default
  11. 1 つのノードから、すべてのノードがクラスタに参加したことを確認します。
    phys-schost# clnode status

    出力は次のようになります。

    === Cluster Nodes ===
    
    --- Node Status ---
    
    Node Name                                       Status
    ---------                                       ------
    phys-schost-1                                   Online
    phys-schost-2                                   Online
    phys-schost-3                                   Online

    詳細は、clnode(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  12. Oracle Solaris Cluster ソフトウェアに対する必要な更新をすべて実行します。

    ソフトウェアを更新する手順については、Oracle Solaris Cluster 4.3 システム管理 の 第 11 章, ソフトウェアの更新を参照してください。

  13. TCP ラッパーの RPC 使用を有効にする予定がある場合は、各クラスタノード上の /etc/hosts.allow ファイルにすべての clprivnet0 IP アドレスを追加します。

    /etc/hosts.allow ファイルへのこの追加を行わなかった場合、TCP ラッパーは、クラスタ管理ユーティリティーの RPC 経由でのノード間通信を妨げます。

    1. 各ノード上で、そのノードのすべての clprivnet0 デバイスの IP アドレスを表示します。
      # /usr/sbin/ipadm show-addr
      ADDROBJ           TYPE     STATE        ADDR
      clprivnet0/N      static   ok           ip-address/netmask-length
    2. 各クラスタノード上で、クラスタ内のすべての clprivnet0 デバイスの IP アドレスを、/etc/hosts.allow ファイルに追加します。
  14. 高可用性ローカルファイルシステム上で HA for NFS データサービス (HA for NFS) を使用する予定の場合、HA for NFS によってエクスポートされた高可用性ローカルファイルシステムの一部となっている共有のすべてを、オートマウンタマップから除外します。

    オートマウンタマップを変更する方法の詳細については、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークファイルシステムの管理 の マップの管理タスクを参照してください。

  15. 既存のクラスタから定足数情報を複製するには、クラスタ構成 XML ファイルを使用して定足数デバイスを構成します。

    2 ノードクラスタを作成した場合、定足数デバイスを構成する必要があります。必要な定足数デバイスを作成するためにクラスタ構成 XML ファイルを使用しない場合は、代わりに 定足数デバイスを構成する方法に進みます。

    1. 定足数デバイスに定足数サーバーを使用する場合は、定足数サーバーが設定されて動作していることを確認します。

      Oracle Solaris Cluster Quorum Server ソフトウェアをインストールおよび構成する方法の手順に従います。

    2. 定足数デバイスに NAS デバイスを使用している場合は、NAS デバイスが設定されて動作していることを確認します。
      1. NAS デバイスを定足数デバイスとして使用するための要件を守ってください。

        Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manualを参照してください。

      2. デバイスの手順に従って、NAS デバイスを設定してください。
    3. クラスタ構成 XML ファイル内の定足数構成情報が作成したクラスタの有効な値を反映していることを確認します。
    4. クラスタ構成 XML ファイルを変更した場合は、そのファイルを確認します。
      phys-schost# xmllint --valid --noout clconfigfile
    5. 定足数デバイスを構成します。
      phys-schost# clquorum add -i clconfigfile device-name
      device-name

      定足数デバイスとして構成するストレージデバイスの名前を指定します。

  16. クラスタのインストールモードを解除します。
    phys-schost# clquorum reset
  17. 構成されたクラスタメンバーでないマシンによるクラスタ構成へのアクセスを終了します。
    phys-schost# claccess deny-all
  18. (オプション) モニターされる共有ディスクパスがすべて失敗した場合、自動ノードリブートを有効にします。

    注 -  初期構成時に、検出されたすべてのデバイスについてディスクパスモニタリングがデフォルトで有効になります。
    1. 自動リブートを有効にします。
      phys-schost# clnode set -p reboot_on_path_failure=enabled +
      -p

      設定するプロパティーを指定します。

      reboot_on_path_failure=enable

      モニターされる共有ディスクパスすべてに障害が発生する場合、自動ノードリブートを有効化します。

    2. ディスクパスの障害発生時の自動リブートが有効になっていることを確認します。
      phys-schost# clnode show
      === Cluster Nodes ===
      
      Node Name:                                      node
      …
      reboot_on_path_failure:                          enabled
      …
使用例 2  すべてのノードで XML ファイルを使用して、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを構成する

次の例では、既存の 2 ノードクラスタのクラスタ構成と定足数構成を新しい 2 ノードクラスタに複製します。新しいクラスタは Oracle Solaris OS にインストールされます。クラスタ構成は、既存のクラスタノードである phys-oldhost-1 からクラスタ構成 XML ファイル clusterconf.xml にエクスポートされます。新しいクラスタのノード名は、phys-newhost-1 および phys-newhost-2 です。新しいクラスタで定足数デバイスとして構成されるデバイスは、d3 です。

この例で、プロンプト名 phys-newhost-N は、コマンドが両方のクラスタノードで実行されることを示しています。

phys-newhost-N# /usr/sbin/clinfo -n
clinfo: node is not configured as part of a cluster: Operation not applicable
 
phys-oldhost-1# cluster export -o clusterconf.xml
clusterconf.xml を phys-newhost-1 にコピーし、ファイルを有効な値で変更します
 
phys-newhost-1# xmllint --valid --noout clusterconf.xml
エラーは報告されません
 
phys-newhost-1# cluster create -i clusterconf.xml
phys-newhost-N# svcs multi-user-server
STATE          STIME    FMRI
online         17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default
phys-newhost-1# clnode status
出力には、両方のノードがオンラインであることが示されています
 
phys-newhost-1# clquorum add -i clusterconf.xml d3
phys-newhost-1# clquorum reset

追加コンポーネントの構成

クラスタが完全に確立されたら、既存のクラスタから他のクラスタコンポーネントの構成を複製できます。まだ複製を実行していない場合は、複製する XML 要素の値をコンポーネントを追加するクラスタ構成を反映するように変更します。たとえば、リソースグループを複製している場合、ノード名が同じでないかぎり、resourcegroupNodeList エントリに複製したクラスタからのノード名ではなく、新しいクラスタの有効なノード名が含まれることを確認してください。

クラスタコンポーネントを複製するには、複製するクラスタコンポーネントのオブジェクト指向コマンドの export サブコマンドを実行します。コマンド構文およびオプションの詳細については、複製するクラスタオブジェクトのマニュアルページを参照してください。

次に、クラスタの確立後にクラスタ構成 XML ファイルから作成可能な一連のクラスタコンポーネントについて説明します。この一覧には、コンポーネントの複製に使用するコマンドのマニュアルページが含まれています。

  • デバイスグループ: Solaris Volume Manager: cldevicegroup(1CL)

    Solaris Volume Manager の場合、最初にクラスタ構成 XML ファイルで指定するディスクセットを作成します。

  • Resource Group Manager コンポーネント

    clresourceclressharedaddress、または clreslogicalhostname コマンドの –a オプションを使用すると、複製するリソースに関連したリソースタイプとリソースグループを複製することもできます。それ以外の場合は、リソースを追加する前に、まずリソースタイプとリソースグループをクラスタに追加する必要があります。

  • NAS デバイス: clnasdevice(1CL)

    デバイスのドキュメントの手順に従って、最初に NAS デバイスを設定する必要があります。

  • SNMP ホスト: clsnmphost(1CL)

    clsnmphost create -i コマンドでは、–f オプションでユーザーのパスワードファイルを指定する必要があります。

  • SNMP ユーザー: clsnmpuser(1CL)

  • クラスタオブジェクトのシステムリソースをモニターするためのしきい値: cltelemetryattribute(1CL)

トラブルシューティング

構成の失敗 – 1 つ以上のノードがクラスタに参加できない場合、または間違った構成情報が指定された場合は、まずこの手順の再実行を試みます。それでも問題が修正されない場合は、誤った構成の各ノードで インストールの問題を修正する方法ために Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを構成解除する方法 の手順を実行して、クラスタ構成からそのノードを削除します。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージをアンインストールする必要はありません。次に、この手順を再度実行します。

次のステップ

定足数構成とインストールモードを確認する方法に進みます。