XML クラスタ構成ファイルを使用して新規グローバルクラスタを構成するには、以下の手順を実行します。新しいクラスタは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを実行する既存のクラスタから複製できます。
この手順では、次のクラスタコンポーネントを構成します。
クラスタ名
クラスタノードのメンバーシップ
クラスタインターコネクト
始める前に
次のタスクを実行します。
Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをサポートするように Oracle Solaris OS がインストールされているか確認します。
Oracle Solaris ソフトウェアがすでにノード上にインストールされている場合は、Oracle Solaris のインストールが Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの必要条件、およびそのクラスタにインストールする予定のほかのソフトウェアの必要条件を満たしていることを確認してください。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの要件を満たすように Oracle Solaris ソフトウェアをインストールする方法の詳細については、Oracle Solaris ソフトウェアをインストールする方法を参照してください。
NWAM が無効になっていることを確認します。手順については、Oracle Solaris Clusterソフトウェアパッケージをインストールする方法を参照してください。
SPARC: Oracle VM Server for SPARC 論理ドメインをクラスタノードとして構成している場合は、各物理マシンに Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアがインストールされていること、およびドメインが Oracle Solaris Cluster の要件を満たしていることを確認してください。Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアをインストールし、ドメインを作成する方法を参照してください。
タグ付き VLAN アダプタとして使用するアダプタがすべて構成済みであることと、それらの VLAN ID があることを確認します。
Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアと更新が構成する各ノードにインストールされていることを確認します。Oracle Solaris Clusterソフトウェアパッケージをインストールする方法を参照してください。
phys-schost# /usr/sbin/clinfo -n
clinfo: node is not configured as part of a cluster: Operation not applicable
このメッセージは、作成するノードで Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがまだ構成されていないことを示します。
ノード ID が返されることは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがすでにノードで構成されていることを示します。
クラスタで旧バージョンの Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを実行していて、Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアをインストールする場合は、代わりにOracle Solaris Cluster 4.3 Upgrade Guideに記載されているアップグレード手順を実行してください。
作成するクラスタノードで Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがまだ構成されていない場合は、手順 2 に進みます。
Oracle Solaris の RPC 用 TCP ラッパー機能は、クラスタの構成に必要なノード間通信を妨げます。
次のコマンド出力例に示すように、config/enable_tcpwrappers が true に設定されている場合、TCP ラッパーが有効になっています。
# svccfg -s rpc/bind listprop config/enable_tcpwrappers config/enable_tcpwrappers boolean true
# svccfg -s rpc/bind setprop config/enable_tcpwrappers = false # svcadm refresh rpc/bind # svcadm restart rpc/bind
スイッチのドキュメントの手順に従って、NDP が有効になっているかどうかを確認し、NDP を無効にします。
クラスタ構成中に、ソフトウェアはプライベートインターコネクトにトラフィックがないことを確認します。プライベートインターコネクトでトラフィックを確認したときに NDP がプライベートアダプタにパッケージを送信する場合、ソフトウェアはインターコネクトがプライベートではないものとみなし、クラスタ構成が中断されます。このため、クラスタ作成中は NDP を無効にしてください。
クラスタが確立されたあと、NDP の機能を使用する場合は、プライベートインターコネクトスイッチ上でもう一度 NDP を有効にすることができます。
phys-schost# cluster export -o clconfigfile
出力先を指定します。
クラスタ構成 XML ファイルの名前。指定するファイル名は、既存のファイルまたはコマンドで作成される新規ファイルになります。
詳細は、cluster(1CL) のマニュアルページを参照してください。
クラスタノードとして構成する他のホストからアクセス可能なディレクトリであれば、任意のディレクトリにファイルを格納できます。
XML 要素の値を、作成するクラスタ構成を反映するように含めるか変更します。
既存のクラスタを複製する場合、cluster export コマンドで作成したファイルを開きます。
既存のクラスタを複製しない場合は、新しいファイルを作成します。
ファイルは clconfiguration(5CL) のマニュアルページに示した要素の階層に基づいてください。クラスタノードとして構成する他のホストからアクセス可能なディレクトリであれば、任意のディレクトリにファイルを格納できます。
クラスタを確立するには、クラスタ構成 XML ファイルで次のコンポーネントが有効な値を持つ必要があります。
クラスタ名
クラスタノード
クラスタトランスポート
既存のクラスタからエクスポートした構成情報を変更する場合、新しいクラスタを反映するために変更の必要な一部の値 (ノード名など) が複数のクラスタオブジェクトに含まれています。
クラスタ構成 XML ファイルの構造と内容の詳細については、clconfiguration(5CL)のマニュアルページを参照してください。
phys-schost# /usr/share/src/xmllint --valid --noout clconfigfile
詳細は、xmllint(1) のマニュアルページを参照してください。
このシステムは制御ノードです。
phys-schost# clauth enable -n control-node
sys (unix) プロトコルではなく des (Diffie-Hellman) 認証プロトコルを使用する場合、コマンドに –p des を含めます。
phys-schost# clauth enable -p des -n control-node
DES 認証の設定については、Oracle Solaris 11.3 での Kerberos およびその他の認証サービスの管理 の Secure RPC による認証の管理を参照してください。
phys-schost# cluster create -i clconfigfile
入力ソースとして使用するクラスタ構成 XML ファイルの名前を指定します。
ノードのサービスがまだオンラインでない場合は、次のステップに進む前に状態がオンラインに変わるまで待ちます。
phys-schost# svcs multi-user-server node STATE STIME FMRI online 17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default
phys-schost# clnode status
出力は次のようになります。
=== Cluster Nodes === --- Node Status --- Node Name Status --------- ------ phys-schost-1 Online phys-schost-2 Online phys-schost-3 Online
詳細は、clnode(1CL) のマニュアルページを参照してください。
ソフトウェアを更新する手順については、Oracle Solaris Cluster 4.3 システム管理 の 第 11 章, ソフトウェアの更新を参照してください。
/etc/hosts.allow ファイルへのこの追加を行わなかった場合、TCP ラッパーは、クラスタ管理ユーティリティーの RPC 経由でのノード間通信を妨げます。
# /usr/sbin/ipadm show-addr ADDROBJ TYPE STATE ADDR clprivnet0/N static ok ip-address/netmask-length …
オートマウンタマップを変更する方法の詳細については、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークファイルシステムの管理 の マップの管理タスクを参照してください。
2 ノードクラスタを作成した場合、定足数デバイスを構成する必要があります。必要な定足数デバイスを作成するためにクラスタ構成 XML ファイルを使用しない場合は、代わりに 定足数デバイスを構成する方法に進みます。
Oracle Solaris Cluster Quorum Server ソフトウェアをインストールおよび構成する方法の手順に従います。
Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manualを参照してください。
phys-schost# xmllint --valid --noout clconfigfile
phys-schost# clquorum add -i clconfigfile device-name
定足数デバイスとして構成するストレージデバイスの名前を指定します。
phys-schost# clquorum reset
phys-schost# claccess deny-all
phys-schost# clnode set -p reboot_on_path_failure=enabled +
設定するプロパティーを指定します。
モニターされる共有ディスクパスすべてに障害が発生する場合、自動ノードリブートを有効化します。
phys-schost# clnode show === Cluster Nodes === Node Name: node … reboot_on_path_failure: enabled …
次の例では、既存の 2 ノードクラスタのクラスタ構成と定足数構成を新しい 2 ノードクラスタに複製します。新しいクラスタは Oracle Solaris OS にインストールされます。クラスタ構成は、既存のクラスタノードである phys-oldhost-1 からクラスタ構成 XML ファイル clusterconf.xml にエクスポートされます。新しいクラスタのノード名は、phys-newhost-1 および phys-newhost-2 です。新しいクラスタで定足数デバイスとして構成されるデバイスは、d3 です。
この例で、プロンプト名 phys-newhost-N は、コマンドが両方のクラスタノードで実行されることを示しています。
phys-newhost-N# /usr/sbin/clinfo -n clinfo: node is not configured as part of a cluster: Operation not applicable phys-oldhost-1# cluster export -o clusterconf.xmlclusterconf.xml を phys-newhost-1 にコピーし、ファイルを有効な値で変更します phys-newhost-1# xmllint --valid --noout clusterconf.xmlエラーは報告されません phys-newhost-1# cluster create -i clusterconf.xml phys-newhost-N# svcs multi-user-server STATE STIME FMRI online 17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default phys-newhost-1# clnode status出力には、両方のノードがオンラインであることが示されています phys-newhost-1# clquorum add -i clusterconf.xml d3 phys-newhost-1# clquorum reset
クラスタが完全に確立されたら、既存のクラスタから他のクラスタコンポーネントの構成を複製できます。まだ複製を実行していない場合は、複製する XML 要素の値をコンポーネントを追加するクラスタ構成を反映するように変更します。たとえば、リソースグループを複製している場合、ノード名が同じでないかぎり、resourcegroupNodeList エントリに複製したクラスタからのノード名ではなく、新しいクラスタの有効なノード名が含まれることを確認してください。
クラスタコンポーネントを複製するには、複製するクラスタコンポーネントのオブジェクト指向コマンドの export サブコマンドを実行します。コマンド構文およびオプションの詳細については、複製するクラスタオブジェクトのマニュアルページを参照してください。
次に、クラスタの確立後にクラスタ構成 XML ファイルから作成可能な一連のクラスタコンポーネントについて説明します。この一覧には、コンポーネントの複製に使用するコマンドのマニュアルページが含まれています。
デバイスグループ: Solaris Volume Manager: cldevicegroup(1CL)
Solaris Volume Manager の場合、最初にクラスタ構成 XML ファイルで指定するディスクセットを作成します。
Resource Group Manager コンポーネント
リソース: clresource(1CL)
共有アドレスリソース: clressharedaddress(1CL)
論理ホスト名リソース: clreslogicalhostname(1CL)
リソースタイプ: clresourcetype(1CL)
リソースグループ: clresourcegroup(1CL)
clresource、clressharedaddress、または clreslogicalhostname コマンドの –a オプションを使用すると、複製するリソースに関連したリソースタイプとリソースグループを複製することもできます。それ以外の場合は、リソースを追加する前に、まずリソースタイプとリソースグループをクラスタに追加する必要があります。
NAS デバイス: clnasdevice(1CL)
デバイスのドキュメントの手順に従って、最初に NAS デバイスを設定する必要があります。
SNMP ホスト: clsnmphost(1CL)
clsnmphost create -i コマンドでは、–f オプションでユーザーのパスワードファイルを指定する必要があります。
SNMP ユーザー: clsnmpuser(1CL)
クラスタオブジェクトのシステムリソースをモニターするためのしきい値: cltelemetryattribute(1CL)
トラブルシューティング
構成の失敗 – 1 つ以上のノードがクラスタに参加できない場合、または間違った構成情報が指定された場合は、まずこの手順の再実行を試みます。それでも問題が修正されない場合は、誤った構成の各ノードで インストールの問題を修正する方法ために Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを構成解除する方法 の手順を実行して、クラスタ構成からそのノードを削除します。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージをアンインストールする必要はありません。次に、この手順を再度実行します。
次のステップ
定足数構成とインストールモードを確認する方法に進みます。