Oracle® Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのインストール

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更新: 2016 年 7 月
 
 

Automated Installer を使用した新しい Oracle Solaris Cluster の確立

対話式 scinstall ユーティリティーは、2 つのインストールモード (通常またはカスタム) で実行します。「通常」を指定した Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストールでは、scinstall が自動的に次のデフォルト構成を指定します。

プライベートネットワークアドレス

172.16.0.0

プライベートネットワークネットマスク

255.255.240.0

クラスタトランスポートアダプタ

正確に 2 つのアダプタ

クラスタトランスポートスイッチ

switch1 および switch2

グローバルフェンシング

有効

IPS リポジトリから、または既存のクラスタに作成された Oracle Solaris 統合アーカイブから Oracle Solaris および Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージをインストールすることによって、新しいクラスタをインストールおよび構成できます。

新しいクラスタを形成するほかに、AI と統合アーカイブを使用して、アーカイブからクラスタをレプリケートし、既存のクラスタノードを復元することもできます。また、clzonecluster コマンドを使用して、統合アーカイブから新しいゾーンクラスタをインストールすることもできます。詳細は、Oracle Solaris および Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをインストールおよび構成する方法 (統合アーカイブ)統合アーカイブからクラスタをレプリケートする方法Oracle Solaris Cluster 4.3 システム管理 の 統合アーカイブからノードを復元する方法、およびOracle Solaris Cluster 4.3 システム管理 の 統合アーカイブからゾーンクラスタをインストールする方法を参照してください。

これらのノードは物理マシンの場合もあれば、サポートされている (SPARC のみ) Oracle VM Server for SPARC 論理ドメイン、またはこれらのいずれかの種類のノードの組み合わせの場合もあります。

AI は、最小限のブートイメージを使用してクライアントをブートします。IPS リポジトリから Oracle Solaris および Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージをインストールする場合は、ブートイメージを取得するためのインストールのソースを提供する必要があります。このブートイメージの内容は、install-image/solaris-auto-install パッケージで公開されています。ダウンロードされたブートイメージ ISO ファイルにもブートイメージが含まれています。そのパッケージの取得元のリポジトリを指定することも、ダウンロードされたブートイメージ ISO ファイルの場所を指定することもできます。

  • リポジトリからブートイメージを取得するには、パブリッシャー、リポジトリ URL、およびクラスタノードのアーキテクチャーを指定する必要があります。リポジトリが HTTPS を使用している場合は、SSL 証明書と非公開鍵も指定し、それらのファイルの場所を指定する必要があります。それらの鍵と証明書は、http://pkg-register.oracle.com のサイトからリクエストおよびダウンロードできます。

  • ダウンロードされたブートイメージ ISO ファイルを使用するには、AI インストールサーバーからアクセスできるディレクトリにそれを保存しておく必要があります。AI ブートイメージは、クラスタノードにインストールする予定の Oracle Solaris ソフトウェアリリースと同じバージョンである必要があります。また、そのブートイメージファイルはクラスタノードと同じアーキテクチャーを備えている必要もあります。

    Oracle 統合アーカイブから新しいクラスタを確立して、新しいクラスタをインストールして構成するか、またはアーカイブからクラスタをレプリケートする場合は、最小のブートイメージを提供する必要はありません。統合アーカイブには、使用できるイメージが格納されています。統合アーカイブにアクセスするためにパスを指定する必要はありません。

IPS リポジトリまたは統合アーカイブから新しいクラスタをインストールして構成する場合、通常モードまたはカスタムモードのインストールの計画を立てるには、次のいずれかのクラスタ構成ワークシートに記入します。

  • 「通常」モードのワークシート - 「通常」モードを使用して、デフォルト値をすべて受け入れる場合は、次のワークシートに必要事項を記入します。

    コンポーネント
    説明/例
    答を記入する
    カスタム Automated Installer のブートイメージソース
    ダウンロードされた AI ISO イメージファイルを使用する予定の場合は、次の情報が必要です。
    Automated Installer のブートイメージ ISO ファイルのフルパス名は何ですか ?
    リポジトリを使用して AI ブートイメージを取得する予定の場合は、次の情報が必要です。
    ブートイメージの install-image/solaris-auto-install パッケージのパブリッシャーは何ですか。
    パブリッシャーのリポジトリは何ですか。
    クラスタノードのアーキテクチャーは何ですか。
    HTTPS を使用するリポジトリの場合:
    そのリポジトリの証明書ファイルのフルパスは何ですか。
    そのリポジトリの非公開鍵ファイルのフルパスは何ですか。
    それらの鍵と証明書は、http://pkg-register.oracle.com のサイトからリクエストおよびダウンロードできます。
    統合されたアーカイブ
    統合されたアーカイブを使用してインストールする予定の場合は、次の情報が必要です。
    統合アーカイブの場所はどこですか?
    カスタム Automated Installer のユーザー root のパスワード
    クラスタノードの root アカウントのパスワードは何ですか ?
    カスタム Automated Installer のリポジトリ (統合アーカイブを使用していない場合)
    パブリッシャー solaris のリポジトリは何ですか ?
    パブリッシャー ha-cluster のリポジトリは何ですか。
    HTTPS を使用するリポジトリの場合:
    そのリポジトリの証明書ファイルのフルパスは何ですか。
    そのリポジトリの非公開鍵ファイルのフルパスは何ですか。
    それらの鍵と証明書は、http://pkg-register.oracle.com のサイトからリクエストおよびダウンロードできます。
    インストールする Oracle Solaris Cluster コンポーネントを選択します。(インストールするグループパッケージを 1 つ以上選択します。)
    これらのグループパッケージに含まれる個々のコンポーネントを選択しますか ?
    Yes   |  No
    クラスタ名
    確立するクラスタの名前は何ですか ?
    クラスタノード
    初期クラスタ構成で構成するクラスタノードの名前(単一ノードクラスタの場合は、Control-D キーだけを押します。)
    ノードごとに自動検出される MAC アドレスが正しいことを確認します。
    クラスタトランスポートアダプタおよびケーブル
    第 1 ノードの名前:
    トランスポートアダプタ名:
    1:
    2:
    VLAN アダプタのみ
    これは専用のクラスタトランスポートアダプタになりますか ?(タグ付き VLAN アダプタを使用する場合は「いいえ (No)」と回答してください)。
    1:  Yes | No
    2:  Yes | No
    • 「いいえ (No)」の場合、このアダプタの VLAN ID はどうなりますか ?

    1:
    2:
    各追加ノードで指定
    ノード名:
    トランスポートアダプタ名:
    1:
    2:
    定足数の構成
    (2 ノードクラスタのみ)
    定足数デバイスの自動選択を無効にしますか ?(どの共有ストレージも定足数デバイスの条件を満たしていない場合や定足数サーバーを定足数デバイスとして構成する場合は、Yes と答えます。)
    1:  Yes | No
    2:  Yes | No
  • 「カスタム」モードのワークシート - 「カスタム」モードを使用して構成データをカスタマイズする場合は、次のワークシートに必要事項を記入します。


    注 -  単一ノードクラスタをインストールしている場合、クラスタでプライベートネットワークを使用していなくても、scinstall ユーティリティーが自動的にデフォルトのプライベートネットワークアドレスとネットマスクを使用します。
    コンポーネント
    説明/例
    答を記入する
    カスタム Automated Installer のブートイメージ ISOソース
    ダウンロードされた AI ISO イメージファイルを使用する予定の場合は、次の情報が必要です。
    Automated Installer のブートイメージ ISO ファイルのフルパス名は何ですか ?
    リポジトリを使用して AI ブートイメージを取得する予定の場合は、次の情報が必要です。
    ブートイメージの install-image/solaris-auto-install パッケージのパブリッシャーは何ですか。
    パブリッシャーのリポジトリは何ですか。
    クラスタノードのアーキテクチャーは何ですか。
    HTTPS を使用するリポジトリの場合:
    そのリポジトリの証明書ファイルのフルパスは何ですか。
    そのリポジトリの非公開鍵ファイルのフルパスは何ですか。
    それらの鍵と証明書は、http://pkg-register.oracle.com のサイトからリクエストおよびダウンロードできます。
    統合されたアーカイブ
    統合されたアーカイブを使用してインストールする予定の場合は、次の情報が必要です。
    統合アーカイブの場所はどこですか?
    カスタム Automated Installer のユーザー root のパスワード
    クラスタノードの root アカウントのパスワードは何ですか ?
    カスタム Automated Installer のリポジトリ (統合アーカイブを使用していない場合)
    パブリッシャー solaris のリポジトリは何ですか ?
    パブリッシャー ha-cluster のリポジトリは何ですか。
    HTTPS を使用するリポジトリの場合:
    そのリポジトリの証明書ファイルのフルパスは何ですか。
    そのリポジトリの非公開鍵ファイルのフルパスは何ですか。
    それらの鍵と証明書は、http://pkg-register.oracle.com のサイトからリクエストおよびダウンロードできます。
    インストールする Oracle Solaris Cluster コンポーネントを選択します。(インストールするグループパッケージを 1 つ以上選択します。)
    これらのグループパッケージに含まれる個々のコンポーネントを選択しますか ?
    Yes   |  No
    クラスタ名
    確立するクラスタの名前は何ですか ?
    クラスタノード
    初期クラスタ構成で構成するクラスタノードの名前(単一ノードクラスタの場合は、Control-D キーだけを押します。)
    ノードごとに自動検出される MAC アドレスが正しいことを確認します。
    クラスタトランスポート用ネットワークアドレス
    (複数ノードクラスタのみ)
    デフォルトのネットワークアドレス (172.16.0.0) を使用しますか ?
    Yes   |  No
    • 使用しない場合、どのプライベートネットワークアドレスを使用しますか ?

    ___.___.___.___
    デフォルトのネットマスクを使用しますか ?
    Yes   |  No
    • 使用しない場合、クラスタで構成する予定のノード、プライベートネットワーク、およびゾーンクラスタの最大数はいくつですか ?(排他的 IP ゾーンクラスタの最大数は 3 です。排他的 IP と共有 IP ゾーンクラスタの合計数は、ゾーンクラスタの最大数以下にする必要があります。)

    _____ ノード
    _____ ネットワーク
    _____ ゾーンクラスタ
    _____ 個の排他的 IP ゾーンクラスタ
    使用するネットマスクはどれですか ?scinstall が計算した値から選択するか、自分で入力します。
    ___.___.___.___
    プライベートネットワークの最小数
    (複数ノードクラスタのみ)
    このクラスタで、少なくとも 2 つのプライベートネットワークを使用する必要がありますか ?
    Yes  |  No
    ポイントツーポイントケーブル
    (2 ノードクラスタのみ)
    このクラスタでスイッチを使用しますか ?
    Yes  |  No
    クラスタスイッチ
    (複数ノードクラスタのみ)
    トランスポートスイッチ名 (使用している場合):
    • デフォルトは次のとおりです。 switch1 および switch2

    1:
    2:
    クラスタトランスポートアダプタおよびケーブル
    (複数ノードクラスタのみ)
    第 1 ノードの名前:
    トランスポートアダプタ名:
    1:
    2:
    (VLAN アダプタのみ)
    これは専用のクラスタトランスポートアダプタになりますか ?(タグ付き VLAN アダプタを使用する場合は「いいえ (No)」と回答してください)。
    1:  Yes | No
    2:  Yes | No
    • 「いいえ (No)」の場合、このアダプタの VLAN ID はどうなりますか ?

    1:
    2:
    各トランスポートアダプタの接続場所 (スイッチまたは別のアダプタ)
    • デフォルトのスイッチ: switch1 および switch2

    1:
    2:
    トランスポートスイッチでデフォルトのポート名を使用しますか ?
    1:  Yes | No
    2:  Yes | No
    • 使用しない場合、使用するポートの名前は何ですか ?

    1:
    2:
    各追加ノードで指定
    (複数ノードクラスタのみ)
    ノード名:
    トランスポートアダプタ名:
    1:
    2:
    各トランスポートアダプタの接続場所 (スイッチまたは別のアダプタ)
    • デフォルトのスイッチ: switch1 および switch2

    1:
    2:
    トランスポートスイッチでデフォルトのポート名を使用しますか ?
    1:  Yes | No
    2:  Yes | No
    • 使用しない場合、使用するポートの名前は何ですか ?

    1:
    2:
    グローバルフェンシング
    グローバルフェンシングを無効にしますか ?(共有ストレージが SCSI 予約をサポートしている場合、またはクラスタ外部のシステムからの共有ストレージへのアクセスを望まない場合は No と回答する)
    1:  Yes | No
    2:  Yes | No
    定足数の構成
    (2 ノードクラスタのみ)
    定足数デバイスの自動選択を無効にしますか ?(どの共有ストレージも定足数デバイスの条件を満たしていない場合や定足数サーバーを定足数デバイスとして構成する場合は、Yes と答えます。)
    1:  Yes | No
    2:  Yes | No

注 -  物理的にクラスタ化されたマシンが Oracle VM Server for SPARC で構成されている場合は、I/O ドメイン、制御ドメイン、またはゲストドメインにのみ Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをインストールしてください。

    これらのガイドラインに従い、次に示す手順で対話式の scinstall ユーティリティーを使用します。

  • 対話式 scinstall を使用すると、先行入力が可能になります。したがって、次のメニュー画面がすぐに表示されなくても、Return キーを押すのは一度だけにしてください。

  • 特に指定のある場合を除いて、Control-D キーを押すと、関連する一連の質問の最初に戻るか、メインメニューに戻ります。

  • 前のセッションのデフォルトの解凍が、質問の最後に角かっこ ([ ]) で囲まれて表示されます。入力せずに角かっこ内の回答を入力するには、Return キーを押します。

次のタスクを実行します。

  • Solaris ソフトウェアをインストールする前に、ハードウェアの設定が完了していることと、接続が完全であることを確認します。ハードウェアの設定方法の詳細については、Oracle Solaris Cluster Hardware Administration Manualおよびサーバーと記憶装置のドキュメントを参照してください。

  • Automated Installer インストールサーバーと DHCP サーバーが構成済みであることを確認します。Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の パート III, インストールサーバーを使用したインストール,を参照してください。

  • クラスタノードの Ethernet アドレスと、そのアドレスが属するサブネットのサブネットマスクの長さを確認します。

  • 各クラスタノードの MAC アドレスを調べます。

  • クラスタ構成の計画が完了していることを確認します。要件とガイドラインについては、クラスタソフトウェアのインストールの準備をする方法を参照してください。

  • クラスタノードの root ユーザーのパスワードを使用可能にしておきます。

  • SPARC: Oracle VM Server for SPARC 論理ドメインをクラスタノードとして構成している場合は、各物理マシンに Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアがインストールされていること、およびドメインが Oracle Solaris Cluster の要件を満たしていることを確認してください。Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアをインストールし、ドメインを作成する方法を参照してください。

  • 既存のクラスタに作成された統合アーカイブからインストールする予定がある場合は、アーカイブファイルのパスを使用し、AI サーバーからアクセスできることを確認します。

  • IPS リポジトリからインストールする予定がある場合は、インストールする Oracle Solaris Cluster ソフトウェアパッケージを特定します。

    次の表に、AI インストール時に選択可能な Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのグループパッケージと、各グループパッケージに含まれる主な機能の一覧を示します。少なくとも ha-cluster-framework-minimal グループパッケージをインストールする必要があります。

    機能
    ha-cluster-framework-full
    ha-cluster-data-services-full
    ha-cluster-framework-minimal
    ha-cluster-geo-full
    manager
    フレームワーク
    エージェント
    ローカリゼーション
    フレームワークのマニュアルページ
    データサービスのマニュアルページ
    エージェントビルダー
    汎用データサービス
    グラフィカルユーザーインタフェース
    Geographic Edition
  • 完成した通常モードまたはカスタムモードのインストールワークシートを使用可能にしておきます。Automated Installer を使用した新しい Oracle Solaris Cluster の確立を参照してください。

Oracle Solaris および Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをインストールおよび構成する方法 (IPS リポジトリ)

AI サーバーを設定し、Oracle Solaris OS と Oracle Solaris Cluster フレームワークおよびデータサービスソフトウェアの両方を IPS リポジトリまたはすべてのグローバルクラスタノード上の統合アーカイブからインストールし、クラスタを確立できます。この手順では、IPS リポジトリからクラスタをインストールして構成するために、scinstall(1M) のカスタム Automated Installer インストール方法を設定および使用する方法について説明します。

  1. Automated Installer (AI) インストールサーバーと DHCP サーバーを設定します。

    AI インストールサーバーが次の要件を満たしていることを確認します。

    • インストールサーバーがクラスタノードと同じサブネット上に存在します。

    • インストールサーバー自体はクラスタノードではありません。

    • インストールサーバーによって、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがサポートする Oracle Solaris OS のリリースが実行されています。

    • 各新規クラスタノードが、Oracle Solaris Cluster インストール用に構成されたカスタム AI ディレクトリを使用する、カスタム AI インストールクライアントとして構成されています。

    使用するソフトウェアプラットフォームと OS のバージョンに該当する手順に従って、AI インストールサーバーと DHCP サーバーを設定します。Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の 第 8 章, AI サーバーの設定およびOracle Solaris 11.3 での DHCP の作業を参照してください。

  2. AI インストールサーバーで、root 役割になります。
  3. AI インストールサーバーに Oracle Solaris Cluster AI サポートパッケージをインストールします。
    1. パブリッシャー solarisha-cluster が有効であることを確認します。
      installserver# pkg publisher
      PUBLISHER        TYPE     STATUS   URI
      solaris          origin   online   solaris-repository
      ha-cluster       origin   online   ha-cluster-repository
    2. クラスタ AI サポートパッケージをインストールします。
      installserver# pkg install ha-cluster/system/install
  4. 制御ノードによるクラスタ構成コマンドの受け入れを承認します。
    1. クラスタ作成コマンドを発行するために使用するシステムを決定します。

      このシステムは制御ノードです。

    2. クラスタ内で構成する (制御ノード以外の) すべてのシステムで、制御ノードからのコマンドの受け入れを承認します。
      phys-schost# clauth enable -n control-node

      sys (unix) プロトコルではなく des (Diffie-Hellman) 認証プロトコルを使用する場合、コマンドに –p des を含めます。

      phys-schost# clauth enable -p des -n control-node

      DES 認証の設定については、Oracle Solaris 11.3 での Kerberos およびその他の認証サービスの管理 の Secure RPC による認証の管理を参照してください。

  5. AI インストールサーバーで scinstall ユーティリティーを起動します。
    installserver# /usr/cluster/bin/scinstall

    scinstall のメインメニューが表示されます。

  6. メインメニューからオプション 1 またはオプション 2 を選択します。
    *** Main Menu ***
    
        Please select from one of the following (*) options:
    
          * 1) Install, restore, replicate, and configure a cluster from this Automated Installer install server
          * 2) Securely install, restore, replicate, and configure a cluster from this Automated Installer install server
          * 3) Print release information for this Automated Installer install server
    
          * ?) Help with menu options
          * q) Quit
    
        Option:  
  7. メニュープロンプトに従って、構成計画ワークシートから回答を入力します。
  8. ノードごとに、scinstall ユーティリティーがこの AI サーバーからクラスタノードをインストールするために必要な構成を実行できるように、選択したオプションを確認します。

    ユーティリティーは DHCP サーバーに DHCP マクロを追加する手順も出力し、SPARC ノードのセキュリティーキーを追加 (セキュアインストールを選択した場合) またはクリア (非セキュアインストールを選択した場合) します。それらの手順に従います。

  9. (オプション) 追加のソフトウェアパッケージをインストールするか、またはターゲットデバイスをカスタマイズするには、各ノードの AI マニフェストを更新します。

    AI マニフェストは、次のディレクトリにあります。

    /var/cluster/logs/install/autoscinstall.d/ \
    cluster-name/node-name/node-name_aimanifest.xml
    1. 追加のソフトウェアパッケージをインストールするには、AI マニフェストを次のように編集します。
      • パブリッシャー名とリポジトリ情報を追加します。例:

        <publisher name="aie">
        <origin name="http://aie.us.oracle.com:12345"/> 
        </publisher>
      • インストールするパッケージの名前を AI マニフェストの software_data 項目に追加します。

    2. ターゲットデバイスをカスタマイズするには、マニフェストファイル内の target 要素を更新します。

      scinstall は、マニフェストファイル内の既存のブートディスクをターゲットデバイスであると見なします。ターゲットデバイスをカスタマイズするには、インストールのターゲットデバイスを見つけるためのサポートされる条件の使用方法に基づいて、マニフェストファイル内の target 要素を更新します。たとえば、disk_name サブ要素を指定できます。

      詳細は、Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の パート III, インストールサーバーを使用したインストール,および ai_manifest(4) のマニュアルページを参照してください。

    3. ノードごとに installadm コマンドを実行します。
      # installadm update-manifest -n cluster-name-{sparc|i386} \ 
      -f /var/cluster/logs/install/autoscinstall.d/cluster-name/node-name/node-name_aimanifest.xml \
      -m node-name_manifest

    クラスタノードのアーキテクチャーが SPARCi386 であることに注意してください。

  10. クラスタ管理コンソールを使用している場合、クラスタ内にある各ノードのコンソール画面を表示します。
    • 管理コンソール上で pconsole ソフトウェアがインストールおよび構成されている場合は、pconsole ユーティリティーを使用して個々のコンソール画面を表示します。

      root 役割として、次のコマンドを使用して、pconsole ユーティリティーを起動します。

      adminconsole# pconsole host[:port] […]  &

      また、pconsole ユーティリティーを使用してマスターウィンドウを開くことができます。ここでの入力を、個々のすべてのコンソールウィンドウに同時に送信できます。

    • pconsole ユーティリティーを使用しない場合は、各ノードのコンソールに個別に接続します。
  11. AI インストールを開始するために、各ノードをシャットダウンしてブートします。

    Oracle Solaris ソフトウェアはデフォルトの構成でインストールされます。


    注 -  Oracle Solaris のインストールをカスタマイズする必要がある場合は、この方法を使用できません。Oracle Solaris の対話式インストールを選択した場合、Automated Installer はバイパスされ、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストールや構成は行われません。インストール中に Oracle Solaris をカスタマイズするには、代わりに Oracle Solaris ソフトウェアをインストールする方法の手順に従ったあと、Oracle Solaris Clusterソフトウェアパッケージをインストールする方法の手順に従ってクラスタをインストールおよび構成します。
    • SPARC:
      1. 各ノードを停止します。
        phys-schost# shutdown -g0 -y -i0
      2. 次のコマンドでノードをブートします
        ok boot net:dhcp - install

        注 -  上記コマンド内のダッシュ記号 (-) の両側は、空白文字で囲む必要があります。
    • x86:
      1. ノードをリブートします。
        # reboot -p
      2. PXE ブート時に Control-N キーを押します。

        GRUB メニューが表示されます。

      3. すぐに「自動インストール」エントリを選択し、Return キーを押します。

        注 -  「自動インストール」エントリを 20 秒以内に選択しなかった場合は、デフォルトの対話式テキストインストーラ方式を使用してインストールが進みますが、その場合は Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストールや構成は行われません。

        各ノード上で新しいブート環境 (BE) が作成され、Automated Installer によって Oracle Solaris OS と Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがインストールされます。インストールが正常に完了すると、各ノードは新しいクラスタノードとして完全にインストールされます。Oracle Solaris Cluster のインストール出力は、各ノードの /var/cluster/logs/install/scinstall.log.N ファイルおよび /var/cluster/logs/install/sc_ai_config.log ファイルに記録されます。

  12. 高可用性ローカルファイルシステム上で HA for NFS データサービス (HA for NFS) を使用する予定の場合、HA for NFS によってエクスポートされた高可用性ローカルファイルシステムの一部となっている共有のすべてを、オートマウンタマップから除外します。

    オートマウンタマップを変更する方法の詳細については、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークファイルシステムの管理 の マップの管理タスクを参照してください。

  13. (x86 only) デフォルトのブートファイルを設定します。

    この値を設定すると、ログインプロンプトにアクセスできないときにノードをリブートできます。

    grub edit> kernel /platform/i86pc/kernel/amd64/unix -B $ZFS-BOOTFS -k

    詳細は、Oracle Solaris 11.3 システムのブートとシャットダウン の カーネルデバッガ (kmdb) を有効にしてシステムをブートする方法を参照してください。

  14. クラスタのリブートが必要なタスクを実行したら、クラスタをリブートしてください。

    次のタスクではリブートが必要になります。

    • ノードまたはクラスタをリブートする必要のあるソフトウェア更新のインストール

    • 有効にするためにリブートの必要な構成の変更

    1. 1 つのノードで、root 役割になります。
    2. クラスタを停止します。
      phys-schost-1# cluster shutdown -y -g0 cluster-name

      注 -  クラスタがシャットダウンするまで、最初にインストールしたクラスタノードをリブートしないでください。クラスタのインストールモードが無効になるまでは、最初にインストールした (つまり、クラスタを構築した) ノードだけが定足数投票権を持ちます。まだインストールモードにある確立されたクラスタで、最初にインストールしたノードをリブートする前にクラスタをシャットダウンしていない場合、残りのクラスタノードが定足数を獲得できません。クラスタ全体が停止します。

      clsetup コマンドを初めて実行するまで、クラスタノードは、インストールモードのままになります。定足数デバイスを構成する方法の手順の間にこのコマンドを実行します。


    3. クラスタ内にある各ノードをリブートします。

    クラスタ内ですべてのノードが正常にブートされると、クラスタが確立されます。Oracle Solaris Cluster のインストール出力は、/var/cluster/logs/install/scinstall.log.N ファイルに記録されます。

  15. 1 つのノードから、すべてのノードがクラスタに参加したことを確認します。
    phys-schost# clnode status

    出力は次のようになります。

    === Cluster Nodes ===
    
    --- Node Status ---
    
    Node Name                                       Status
    ---------                                       ------
    phys-schost-1                                   Online
    phys-schost-2                                   Online
    phys-schost-3                                   Online

    詳細は、clnode(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  16. TCP ラッパーの RPC 使用を有効にする予定がある場合は、各クラスタノード上の /etc/hosts.allow ファイルにすべての clprivnet0 IP アドレスを追加します。

    /etc/hosts.allow ファイルへのこの追加を行わなかった場合、TCP ラッパーは、クラスタ管理ユーティリティーの RPC 経由でのノード間通信を妨げます。

    1. 各ノード上で、そのノードのすべての clprivnet0 デバイスの IP アドレスを表示します。
      # /usr/sbin/ipadm show-addr
      ADDROBJ           TYPE     STATE        ADDR
      clprivnet0/N      static   ok           ip-address/netmask-length
    2. 各クラスタノード上で、クラスタ内のすべての clprivnet0 デバイスの IP アドレスを、/etc/hosts.allow ファイルに追加します。
  17. (オプション) 各ノード上で、モニターされる共有ディスクパスがすべて失敗した場合、自動ノードリブートを有効にします。

    注 -  初期構成時に、検出されたすべてのデバイスについてディスクパスモニタリングがデフォルトで有効になります。
    1. 自動リブートを有効にします。
      phys-schost# clnode set -p reboot_on_path_failure=enabled +
      -p

      設定するプロパティーを指定します。

      reboot_on_path_failure=enable

      モニターされる共有ディスクパスすべてに障害が発生する場合、自動ノードリブートを有効化します。

    2. ディスクパスの障害発生時の自動リブートが有効になっていることを確認します。
      phys-schost# clnode show
      === Cluster Nodes ===
      
      Node Name:                                      node
      …
      reboot_on_path_failure:                          enabled
      …
  18. LDAP ネームサービスを使用する場合、ブート後のクラスタノードで手動で構成する必要があります。

次のステップ

1. 次の手順のうち、ユーザーのクラスタ構成に当てはまるものをすべて実行します。

2. 定足数がまだ構成されていない場合は構成し、インストール後のタスクを実行します。

トラブルシューティング

無効化された scinstall オプションscinstall コマンドの AI オプションの前にアスタリスクが付いていない場合、このオプションは無効化されています。この状況は、AI の設定が完了していないか、セットアップでエラーが発生したことを示します。この状況を修正するには、まず scinstall ユーティリティーを終了します。Step 1 からStep 9 を繰り返して AI 設定を修正してから、scinstall ユーティリティーを再起動します。

Oracle Solaris および Oracle Solaris Cluster ソフトウェアをインストールおよび構成する方法 (統合アーカイブ)

AI サーバーを使用して、統合アーカイブからクラスタをインストールし、そのノードを構成します。この手順では、統合アーカイブに含まれるすべてのソフトウェアパッケージを保持しますが、ワークシートで設計した新しいクラスタ構成を提供する必要があります。この手順を実行する前に、まずアーカイブを作成する必要があります。回復用のアーカイブを作成する手順については、下記のStep 1 を参照してください。

AI サーバーは統合アーカイブからノードのインストールを設定し、新しい構成でクラスタを作成します。大域ゾーン内に作成された統合アーカイブのみ受け入れられます。クローンアーカイブまたは復旧用のアーカイブを使用できます。次のリストに 2 つのアーカイブ間の違いについて説明します。

  • クローンアーカイブからインストールすると、大域ゾーンのみがインストールされます。アーカイブ内のすべてのゾーンはインストールされません。復旧用のアーカイブからインストールすると、大域ゾーンとアーカイブに含まれるゾーンの両方がインストールされます。

  • クローンアーカイブには、IPMP、VLAN、および VNIC などのシステム構成が含まれません。

  • クローンアーカイブには、アーカイブの作成時にアクティブな BE のみが含まれるため、その BE のみがインストールされます。復旧用のアーカイブには複数の BE を含めることができますが、アクティブな BE のみが新しいクラスタ構成で更新されます。

この手順では、クラスタ名、ノード名、およびそれらの MAC アドレス、統合アーカイブのパス、およびワークシートで設計したクラスタ構成の入力が求められます。

  1. グローバルクラスタのノード上の root 役割になり、アーカイブを作成します。
    phys-schost# archiveadm create -r archive-location

    create コマンドを使用して、クローンアーカイブを作成するか、create –r オプションを使用して、復旧用のアーカイブを作成します。archiveadm コマンドの使用の詳細は、archiveadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

  2. Automated Installer (AI) インストールサーバーと DHCP サーバーを設定します。

    AI インストールサーバーが次の要件を満たしていることを確認します。

    • インストールサーバーがクラスタノードと同じサブネット上に存在します。

    • インストールサーバー自体はクラスタノードではありません。

    • インストールサーバーによって、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがサポートする Oracle Solaris OS のリリースが実行されています。

    • 各新規クラスタノードが、Oracle Solaris Cluster インストール用に構成されたカスタム AI ディレクトリを使用する、カスタム AI インストールクライアントとして構成されています。

    使用するソフトウェアプラットフォームと OS のバージョンに該当する手順に従って、AI インストールサーバーと DHCP サーバーを設定します。Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の 第 8 章, AI サーバーの設定およびOracle Solaris 11.3 での DHCP の作業を参照してください。

  3. Automated Installer サーバーにログインし root 役割になります。
  4. AI インストールサーバーに Oracle Solaris Cluster AI サポートパッケージをインストールします。
    1. パブリッシャー solarisha-cluster が有効であることを確認します。
      installserver# pkg publisher
      PUBLISHER        TYPE     STATUS   URI
      solaris          origin   online   solaris-repository
      ha-cluster       origin   online   ha-cluster-repository
    2. クラスタ AI サポートパッケージをインストールします。
      installserver# pkg install ha-cluster/system/install
  5. AI インストールサーバーで scinstall ユーティリティーを起動します。
    installserver# /usr/cluster/bin/scinstall

    scinstall のメインメニューが表示されます。

  6. オプションの番号を入力し、Return キーを押します。
    *** Main Menu ***
    
    Please select from one of the following (*) options:
    
    * 1) Install, restore, or replicate a cluster from this Automated Installer server
    * 2) Securely install, restore, or replicate a cluster from this Automated Installer server
    * 3) Print release information for this Automated Installer install server
    
    * ?) Help with menu options
    * q) Quit
    
    Option:  2

    非セキュア AI サーバーインストールを使用して、クラスタをインストールする場合は、オプション 1 を選択します。セキュア AI インストールの場合は、オプション 2 を選択します。

    カスタム Automated Installer メニューまたはカスタムセキュア Automated Installer メニューが表示されます。

  7. 「統合アーカイブから新しいクラスタをインストールおよび構成」のオプション番号を入力して、Return キーを押します。

    「カスタム自動インストーラユーザー」画面が表示されます。

  8. パスワードを入力して、Return キーを押します。

    確認のため、パスワードをもう一度入力します。「通常」または「カスタム」モード画面が表示されます。

  9. 使用するインストールモードのオプション番号を入力します。

    「クラスタ名」画面が表示されます。

  10. インストールするクラスタの名前を入力して、Return キーを押します。

    「クラスタノード」画面が表示されます。

  11. 統合アーカイブからインストールする予定のクラスタノードの名前を入力して、Return キーを押します。

    scinstall ユーティリティーがノードの MAC アドレスを見つけられない場合は、プロンプトが表示されたときに各アドレスを入力して Return キーを押します。同じアーカイブからすべてのノードをインストールするか、ノードごとに異なるアーカイブを使用するように選択できます。

  12. アーカイブのフルパスを入力して、Return キーを押します。

    アーカイブは復旧用アーカイブか、またはクローンアーカイブのいずれかです。

    「クラスタトランスポートアダプタおよびケーブル」画面が表示されます。

  13. クラスタトランスポートアダプタの名前を入力して、Return キーを押します。

    各トランスポートアダプタのタイプを選択します。「リソースセキュリティー構成」画面が表示されます。

  14. 「定足数デバイスの自動選択を無効にする」が有効になるように選択して Return キーを押します。

    「確認」画面が表示されます。

  15. ノードごとに、scinstall ユーティリティーがこの AI サーバーからクラスタノードをインストールするために必要な構成を実行できるように、選択したオプションを確認します。

    ユーティリティーは DHCP サーバーに DHCP マクロを追加する手順も出力し、SPARC ノードのセキュリティーキーを追加 (セキュアインストールを選択した場合) またはクリア (非セキュアインストールを選択した場合) します。それらの手順に従います。

  16. (オプション) ターゲットデバイスをカスタマイズするには、各ノードの AI マニフェストを更新します。

    AI マニフェストは、次のディレクトリにあります。

    /var/cluster/logs/install/autoscinstall.d/ \
    cluster-name/node-name/node-name_aimanifest.xml
    1. ターゲットデバイスをカスタマイズするには、マニフェストファイル内の target 要素を更新します。

      scinstall は、マニフェストファイル内の既存のブートディスクをターゲットデバイスであると見なします。ターゲットデバイスをカスタマイズするには、インストールのターゲットデバイスを見つけるためのサポートされる条件の使用方法に基づいて、マニフェストファイル内の target 要素を更新します。たとえば、disk_name サブ要素を指定できます。

      詳細は、Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の パート III, インストールサーバーを使用したインストール,および ai_manifest(4) のマニュアルページを参照してください。

    2. ノードごとに installadm コマンドを実行します。
      # installadm update-manifest -n cluster-name-{sparc|i386} \ 
      -f /var/cluster/logs/install/autoscinstall.d/cluster-name/node-name/node-name_aimanifest.xml \
      -m node-name_manifest

    クラスタノードのアーキテクチャーが SPARCi386 であることに注意してください。

  17. クラスタ管理コンソールを使用している場合、クラスタ内にある各ノードのコンソール画面を表示します。
    • 管理コンソール上で pconsole ソフトウェアがインストールおよび構成されている場合は、pconsole ユーティリティーを使用して個々のコンソール画面を表示します。

      root 役割として、次のコマンドを使用して、pconsole ユーティリティーを起動します。

      adminconsole# pconsole host[:port] […]  &

      また、pconsole ユーティリティーを使用してマスターウィンドウを開くことができます。ここでの入力を、個々のすべてのコンソールウィンドウに同時に送信できます。

    • pconsole ユーティリティーを使用しない場合は、各ノードのコンソールに個別に接続します。
  18. AI インストールを開始するために、各ノードをシャットダウンしてブートします。

    Oracle Solaris ソフトウェアはデフォルトの構成でインストールされます。


    注 -  Oracle Solaris のインストールをカスタマイズする必要がある場合は、この方法を使用できません。Oracle Solaris の対話式インストールを選択した場合、Automated Installer はバイパスされ、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストールや構成は行われません。インストール中に Oracle Solaris をカスタマイズするには、代わりに Oracle Solaris ソフトウェアをインストールする方法の手順に従ったあと、Oracle Solaris Clusterソフトウェアパッケージをインストールする方法の手順に従ってクラスタをインストールおよび構成します。
    • SPARC:
      1. 各ノードを停止します。
        phys-schost# shutdown -g0 -y -i0
      2. 次のコマンドでノードをブートします
        ok boot net:dhcp - install

        注 -  上記コマンド内のダッシュ記号 (-) の両側は、空白文字で囲む必要があります。
    • x86:
      1. ノードをリブートします。
        # reboot -p
      2. PXE ブート時に Control-N キーを押します。

        GRUB メニューが表示されます。

      3. すぐに「自動インストール」エントリを選択し、Return キーを押します。

        注 -  「自動インストール」エントリを 20 秒以内に選択しなかった場合は、デフォルトの対話式テキストインストーラ方式を使用してインストールが進みますが、その場合は Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストールや構成は行われません。

        ノードが完全にクラスタに参加するまで、各ノードが数回自動的にリブートされます。コンソール上の SMF サービスからのエラーメッセージを無視します。各ノードで、Automated Installer は統合アーカイブに含まれるソフトウェアをインストールします。インストールが正常に完了すると、各ノードは新しいクラスタノードとして完全にインストールされます。Oracle Solaris Cluster のインストール出力は、各ノードの /var/cluster/logs/install/scinstall.log.N ファイルおよび /var/cluster/logs/install/sc_ai_config.log ファイルに記録されます。

  19. 1 つのノードから、すべてのノードがクラスタに参加したことを確認します。
    phys-schost# clnode status

    出力は次のようになります。

    === Cluster Nodes ===
    
    --- Node Status ---
    
    Node Name                                       Status
    ---------                                       ------
    phys-schost-1                                   Online
    phys-schost-2                                   Online
    phys-schost-3                                   Online

    詳細は、clnode(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  20. TCP ラッパーの RPC 使用を有効にする予定がある場合は、各クラスタノード上の /etc/hosts.allow ファイルにすべての clprivnet0 IP アドレスを追加します。

    /etc/hosts.allow ファイルへのこの追加を行わなかった場合、TCP ラッパーは、クラスタ管理ユーティリティーの RPC 経由でのノード間通信を妨げます。

    1. 各ノード上で、そのノードのすべての clprivnet0 デバイスの IP アドレスを表示します。
      # /usr/sbin/ipadm show-addr
      ADDROBJ           TYPE     STATE        ADDR
      clprivnet0/N      static   ok           ip-address/netmask-length
    2. 各クラスタノード上で、クラスタ内のすべての clprivnet0 デバイスの IP アドレスを、/etc/hosts.allow ファイルに追加します。
  21. LDAP ネームサービスを使用する場合、ブート後のクラスタノードで手動で構成する必要があります。

統合アーカイブからクラスタをレプリケートする方法

統合アーカイブを使用して、クラスタとそのノードをレプリケートできます。この手順ではアーカイブ内のすべてのソフトウェアパッケージを保持します。さらに、この新しいクラスタはアーカイブクラスタと同じ構成を持つか、またはクラスタリソース内のゾーンホスト名や論理ホスト名などのプライベートネットワークプロパティーとホスト ID をカスタマイズできます。

大域ゾーン内に作成された統合アーカイブのみ受け入れられます。クローンアーカイブまたは復旧用のアーカイブを使用できます。次のリストに 2 つのアーカイブ間の違いについて説明します。

  • クローンアーカイブからインストールすると、大域ゾーンのみがインストールされます。アーカイブ内のすべてのゾーンはインストールされません。復旧用のアーカイブからインストールすると、大域ゾーンとアーカイブに含まれるゾーンの両方がインストールされます。

  • クローンアーカイブには、IPMP、VLAN、および VNIC などのシステム構成が含まれません。

  • クローンアーカイブには、アーカイブの作成時にアクティブな BE のみが含まれるため、その BE のみがインストールされます。復旧用のアーカイブには複数の BE を含めることができますが、アクティブな BE のみが新しいクラスタ構成で更新されます。

既存のクラスタに作成された統合アーカイブからクラスタをレプリケートするには、新しいクラスタのハードウェア構成がソースクラスタと同じである必要があります。新しいクラスタのノードの数は、ソースクラスタと同じである必要があり、トランスポートアダプタもソースクラスタと同じである必要があります。

  1. グローバルクラスタのノード上の root 役割になり、アーカイブを作成します。
    phys-schost# archiveadm create -r archive-location

    create コマンドを使用して、クローンアーカイブを作成するか、–r オプションを使用して、復旧用のアーカイブを作成します。アーカイブを作成する場合、共有ストレージ上の ZFS データセットを除外します。ソースクラスタから新しいクラスタに共有ストレージ上のデータを移行する予定がある場合、従来の方法を使用します。

    archiveadm コマンドの使用の詳細は、archiveadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

  2. Automated Installer (AI) インストールサーバーと DHCP サーバーを設定します。

    AI インストールサーバーが次の要件を満たしていることを確認します。

    • インストールサーバーがクラスタノードと同じサブネット上に存在します。

    • インストールサーバー自体はクラスタノードではありません。

    • インストールサーバーによって、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがサポートする Oracle Solaris OS のリリースが実行されています。

    • 各新規クラスタノードが、Oracle Solaris Cluster インストール用に構成されたカスタム AI ディレクトリを使用する、カスタム AI インストールクライアントとして構成されています。

    使用するソフトウェアプラットフォームと OS のバージョンに該当する手順に従って、AI インストールサーバーと DHCP サーバーを設定します。Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の 第 8 章, AI サーバーの設定およびOracle Solaris 11.3 での DHCP の作業を参照してください。

  3. Automated Installer サーバーにログインし root 役割になります。
  4. AI インストールサーバーに Oracle Solaris Cluster AI サポートパッケージをインストールします。
    1. パブリッシャー solarisha-cluster が有効であることを確認します。
      installserver# pkg publisher
      PUBLISHER        TYPE     STATUS   URI
      solaris          origin   online   solaris-repository
      ha-cluster       origin   online   ha-cluster-repository
    2. クラスタ AI サポートパッケージをインストールします。
      installserver# pkg install ha-cluster/system/install
  5. AI インストールサーバーで scinstall ユーティリティーを起動します。
    phys-schost# scinstall

    scinstall のメインメニューが表示されます。

  6. オプションの番号を入力し、Return キーを押します。
    *** Main Menu ***
    
    Please select from one of the following (*) options:
    
    * 1) Install, restore, or replicate a cluster from this Automated Installer server
    * 2) Securely install, restore, or replicate a cluster from this Automated Installer server
    * 3) Print release information for this Automated Installer install server
    
    * ?) Help with menu options
    * q) Quit
    
    Option:  2

    非セキュア AI サーバーインストールを使用してクラスタをレプリケートする場合は、オプション 1 を選択します。セキュア AI レプリケーションの場合は、オプション 2 を選択します。

    カスタム Automated Installer メニューまたはカスタムセキュア Automated Installer メニューが表示されます。

  7. 統合アーカイブからクラスタをレプリケートするオプションの番号を入力して、Return キーを押します。

    「カスタム自動インストーラユーザー」画面が表示されます。

  8. パスワードを入力して、Return キーを押します。

    確認のため、パスワードをもう一度入力します。

    「クラスタ名」画面が表示されます。

  9. レプリケートするクラスタの名前を入力して、Return キーを押します。

    「クラスタノード」画面が表示されます。

  10. 統合アーカイブからレプリケートする予定のあるクラスタノードの名前を入力します。

    ノード名を入力したら、Control-D を押して Return キーを押します。scinstall ユーティリティーがノードの MAC アドレスを見つけられない場合は、プロンプトが表示されたときに各アドレスを入力して Return キーを押します。

  11. 各ノードのアーカイブのフルパスを入力します。

    統合アーカイブファイルはソースクラスタのノードごとに作成する必要があり、新しいクラスタのノードあたり 1 つのアーカイブのみを指定できます。この 1:1 のマッピングにより、1 つのアーカイブがソースクラスタの 1 つのノードにマップされます。同様に、1 つのソースノードのアーカイブは、新しいクラスタの 1 つのノードのみにマップされる必要があります。

    Return キーを押してアーカイブファイルを確認します。

  12. 別のプライベートネットワークアドレスとネットマスクを使用する場合は、「クラスタトランスポート」メニューの「ネットワークアドレス」にそれらを指定します。
  13. ソースクラスタの古いホスト ID から新しいクラスタの新しいホスト ID へのマッピングを含むテキストファイルのパスを指定します。

    新しいクラスタでソースクラスタと同じホスト ID を使用しないようにするため、ソースクラスタの古いホスト ID から新しいクラスタで使用する予定の新しいホスト ID への 1:1 のマッピングを含むテキストファイルを作成し、指定できます。テキストファイルには、各行に 2 列ある複数の行を含めることができます。最初の列は元のクラスタで使用されているホスト名であり、2 番目の列は新しいクラスタでの対応する新しいホスト名です。これらのホスト名は、論理ホスト名、共有アドレスリソース、およびゾーンクラスタ用です。例:

    old-cluster-zc-host1          new-cluster-zc-host1
    old-cluster-zc-host2          new-cluster-zc-host2
    old-cluster-lh-1              new-cluster-lh1
    old-cluster-lh-2              new-cluster-lh2

    「確認」画面が表示されます。

  14. ノードごとに、scinstall ユーティリティーがこの AI サーバーからクラスタノードをインストールするために必要な構成を実行できるように、選択したオプションを確認します。

    ユーティリティーは DHCP サーバーに DHCP マクロを追加する手順も出力し、SPARC ノードのセキュリティーキーを追加またはクリアします (セキュアインストールを選択した場合)。それらの手順に従います。

  15. (オプション) ターゲットデバイスをカスタマイズするには、各ノードの AI マニフェストを更新します。

    AI マニフェストは、次のディレクトリにあります。

    /var/cluster/logs/install/autoscinstall.d/ \
    cluster-name/node-name/node-name_aimanifest.xml
    1. ターゲットデバイスをカスタマイズするには、マニフェストファイル内の target 要素を更新します。

      scinstall は、マニフェストファイル内の既存のブートディスクをターゲットデバイスであると見なします。ターゲットデバイスをカスタマイズするには、インストールのターゲットデバイスを見つけるためのサポートされる条件の使用方法に基づいて、マニフェストファイル内の target 要素を更新します。たとえば、disk_name サブ要素を指定できます。

      詳細は、Oracle Solaris 11.3 システムのインストール の パート III, インストールサーバーを使用したインストール,および ai_manifest(4) のマニュアルページを参照してください。

    2. ノードごとに installadm コマンドを実行します。
      # installadm update-manifest -n cluster-name-{sparc|i386} \ 
      -f /var/cluster/logs/install/autoscinstall.d/cluster-name/node-name/node-name_aimanifest.xml \
      -m node-name_manifest

    クラスタノードのアーキテクチャーが SPARCi386 であることに注意してください。

  16. クラスタ管理コンソールを使用している場合、クラスタ内にある各ノードのコンソール画面を表示します。
    • 管理コンソール上で pconsole ソフトウェアがインストールおよび構成されている場合は、pconsole ユーティリティーを使用して個々のコンソール画面を表示します。

      root 役割として、次のコマンドを使用して、pconsole ユーティリティーを起動します。

      adminconsole# pconsole host[:port] […]  &

      また、pconsole ユーティリティーを使用してマスターウィンドウを開くことができます。ここでの入力を、個々のすべてのコンソールウィンドウに同時に送信できます。

    • pconsole ユーティリティーを使用しない場合は、各ノードのコンソールに個別に接続します。
  17. AI インストールを開始するために、各ノードをシャットダウンしてブートします。

    Oracle Solaris ソフトウェアはデフォルトの構成でインストールされます。


    注 -  Oracle Solaris のインストールをカスタマイズする必要がある場合は、この方法を使用できません。Oracle Solaris の対話式インストールを選択した場合、Automated Installer はバイパスされ、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストールや構成は行われません。インストール中に Oracle Solaris をカスタマイズするには、代わりに Oracle Solaris ソフトウェアをインストールする方法の手順に従ったあと、Oracle Solaris Clusterソフトウェアパッケージをインストールする方法の手順に従ってクラスタをインストールおよび構成します。
    • SPARC:
      1. 各ノードを停止します。
        phys-schost# shutdown -g0 -y -i0
      2. 次のコマンドでノードをブートします
        ok boot net:dhcp - install

        注 -  上記コマンド内のダッシュ記号 (-) の両側は、空白文字で囲む必要があります。
    • x86:
      1. ノードをリブートします。
        # reboot -p
      2. PXE ブート時に Control-N キーを押します。

        GRUB メニューが表示されます。

      3. すぐに「自動インストール」エントリを選択し、Return キーを押します。

        注 -  「自動インストール」エントリを 20 秒以内に選択しなかった場合は、デフォルトの対話式テキストインストーラ方式を使用してインストールが進みますが、その場合は Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストールや構成は行われません。

        ノードが完全にクラスタに参加するまで、各ノードが数回自動的にリブートされます。コンソール上の SMF サービスからのエラーメッセージを無視します。各ノードは統合アーカイブに含まれるソフトウェアとともにインストールされます。インストールが正常に完了すると、各ノードは、アーカイブと同じクラスタ構成で、システム ID とシステム構成が異なる新しいクラスタのメンバーとしてブートされます。Oracle Solaris Cluster のインストール出力は、各ノードの /var/cluster/logs/install/scinstall.log.N ファイルおよび /var/cluster/logs/install/sc_ai_config.log ファイルに記録されます。

  18. 1 つのノードから、すべてのノードがクラスタに参加したことを確認します。
    phys-schost# clnode status

    出力は次のようになります。

    === Cluster Nodes ===
    
    --- Node Status ---
    
    Node Name                                       Status
    ---------                                       ------
    phys-schost-1                                   Online
    phys-schost-2                                   Online
    phys-schost-3                                   Online

    詳細は、clnode(1CL) のマニュアルページを参照してください。

  19. リソースグループとゾーンクラスタを含むクラスタオブジェクトは、最後のリブート後にオフラインになります。新しい環境をオンラインにする前に、構成を確認し、必要な変更を行います。

    ソースクラスタで、クラスタオブジェクトと別のシステムを使用している (定足数サーバータイプの定足数デバイスとしてシステムを使用しているなど) 場合は、デバイスを機能させるために、新しいクラスタ内と定足数サーバー上の両方の構成を手動で調整する必要があります。定足数サーバーの場合、新しい定足数サーバーを定足数デバイスに追加し、アーカイブから取得された定足数サーバーを削除できます。


    注 -  ソースクラスタが Oracle Solaris Cluster Geographic Edition を使用している場合は、Oracle Solaris Cluster 4.3 Geographic Edition System Administration Guide の 第 5 章, Administering Cluster Partnershipsの手順に従って、クラスタの名前の変更およびパートナーシップの再構築を行なってください。

    ゾーンクラスタ構成またはクラスタ内のリソースグループを変更する必要がある場合は、ゾーンクラスタをオフライン実行モードでリブートします。

    phys-schost#clzonecluster reboot -o zoneclustername

    ゾーンクラスタ構成を変更する予定がない場合は、オンライン実行モードでクラスタをリブートできます。

    phys-schost #clzonecluster reboot zoneclustername

    詳細について、ログファイル /var/cluster/logs/install/sc_ai_config を確認することもできます。