仮想マシンのバックアップを取得するために使用できるオプションは多数あります。 この項では、それらのオプションのいくつか、およびそれぞれの長所および短所を説明します。
仮想マシンをバックアップする際に考慮する必要がある重要な点の1つは、バックアップ中に仮想マシンをシャットダウンできるかどうかです。 実行中の仮想マシンのバックアップでは、マシンを使用し続けられますが、整合性のとれたリストアが容易なバックアップはできません。 実行中の仮想マシンのバックアップの作成は、表領域をバックアップ・モードまたは読取り専用モードにせずに実行中のデータベースをバックアップすることに似ています。 仮想マシンからバックアップする最初のいくつかのブロックは、バックアップの最後のいくつかのブロックと同期されていない可能性があります。 実行中の仮想マシンから取得したバックアップをリストアしようとすると、ディスク・エラーによってマシンを再構築できなくなる可能性があります。
Oracle Secure Backupなどのバックアップ・ソフトウェアを仮想マシンにインストールできます。 インストールすると、実行中の仮想マシンを安全にバックアップできるようになります。 バックアップから仮想マシンをリストアする容易さは、使用するソフトウェアによります。
次の表では、仮想マシンのバックアップ・オプションのいくつか、およびそれぞれの方法の長所および短所のいくつかの概要を示します。 これは使用可能なすべてのオプションを網羅するリストではありません。
表 12.1 仮想マシンのバックアップ・オプション
バックアップ・オプション | 利点 | 短所 |
---|---|---|
仮想マシンにバックアップ・ソフトウェアをインストールし、外部ソースにバックアップします。 | 仮想マシンを実行し続けられます。 バックアップするファイルを詳細に制御します。 | |
記憶域リポジトリから仮想マシンのバックアップを作成します(「ユーザー・ガイド」の「仮想マシンまたはテンプレートのクローン作成」の項を参照)。 | 仮想ディスク・ステータスの整合性がとれます。 | 仮想マシンを停止する必要があります。 |
(停止している)仮想マシンのコールドcloneを作成してから(「ユーザー・ガイド」の「仮想マシンまたはテンプレートのクローン作成」の項を参照)、記憶域リポジトリからクローンをバックアップします(「ユーザー・ガイド」の「リポジトリのパースペクティブ」の項を参照)。 | 仮想ディスク・ステータスの整合性がとれます。 | 仮想マシンを停止する必要があります。 |
(実行中の)仮想マシンのホット・クローンを作成してから(「ユーザー・ガイド」の「仮想マシンまたはテンプレートのクローン作成」セクションを参照)、記憶域リポジトリからクローンをバックアップします(「ユーザー・ガイド」の「リポジトリのパースペクティブ」の項を参照)。 | 仮想マシンを実行し続けられます。 | 仮想ディスク・ステータスが不整合です。 仮想ディスクは、ディスク修復ユーティリティを使用してリカバリする必要があります。 データの損失や破損が発生する可能性があります。 OCFS2ベースのファイル・システムでのみ使用できます(iSCSIまたはファイバ・チャネルベース・ストレージ)。 Oracle Databaseを実行中の仮想マシンでは使用しないでください(かわりに、rmanユーティリティまたは類似のものを使用してください)。 |
記憶域リポジトリ全体のバックアップを作成します(「ユーザー・ガイド」の「リポジトリのパースペクティブ」の項を参照)。 | すべての仮想マシンを一度にバックアップします。 仮想ディスク・ステータスの整合性がとれます。 | 仮想マシンを停止する必要があります。 |
仮想マシンをバックアップするには、次の2つの方法をお薦めします。
仮想マシンをシャットダウンしてコールド・クローンを作成し、記憶域リポジトリからクローン・ファイルをバックアップします。
仮想マシンをシャットダウンして、記憶域リポジトリから仮想マシンのファイルをバックアップします。
この2つの選択肢によって、仮想ディスクが安定した整合性のとれた状態で、安全なバックアップが作成されます。 仮想マシンをリストアするには、仮想マシンを記憶域リポジトリにインポートします(「ユーザー・ガイド」の「サーバー・プール・フォルダ」の「仮想マシンのインポート」の項を参照)。