Oracle VM Guest Additionsデーモン(ovmd)は、Oracle VM Managerとゲストの間の双方向メッセージング・チャネルを容易に作成できるようにします。 これを使用すると、ファーストブートのインストール構成が可能となり、キー/値のペアを含むメッセージを送受信できます。
以前のリリースでは、ovmdユーティリティを使用して、キー/値メッセージを仮想マシンに送信できました。 この機能は直接Oracle VM Managerに組み込まれました。 この項では、ovmdを使用して仮想マシンにメッセージを送信するのに使用できるオプションについて説明しますが、これよりもOracle VM Manager WebインタフェースまたはOracle VM Managerコマンドライン・インタフェースを使用してキー/値メッセージを送信してください。 仮想マシンには、Oracle VM Guest Additionsデーモンがインストールされ、実行されている必要があります。 詳細は、「Oracle VM Managerコマンドライン・インタフェース・ユーザー・ガイド」のsendVmMessageまたは「Oracle VM Managerユーザー・ガイド」の「VMメッセージの送信」の項を参照してください。
ovm-template-configスクリプトとovmdユーティリティを組み合せて使用すると、仮想マシンの起動時に、仮想マシン内のシステムおよびアプリケーションの構成パラメータをリモートから構成できます。 この機能の詳細は、8.8項「Oracle VMテンプレート構成スクリプトおよびモジュール」を参照してください。
Oracle VM Managerは、ovmdを使用して、ゲストからIPアドレス情報を取得します。この情報は、Oracle VM Manager Webインタフェースで仮想マシンの詳細情報を表示するときに含まれます。 仮想マシンIPアドレスを参照してください。
ovmdをコマンドラインから直接実行して、ovmdの機能外で操作をデーモンまたはシステム・サービスとして実行できます。 --help
パラメータを使用してovmdを実行すると、コマンドラインから直接実行する場合にサポートされるオプションの概要が、次のように表示されます。
Oracle Solarisでは、コマンド・オプションとスクリプト名がOracle Linuxのものと異なる場合があります。 詳細については、Oracle Solarisのovm-guest-additions
パッケージとともにインストールされているovmd(1M)のマニュアル・ページを参照してください。
構文
ovmd
[ { -p
| --set-param=
}
] [ { param
-g
| --get-param=
}
] [ { key
-r
| --delete-param=
}
] [ { key
-x
| --delete-params
} ] [ { -l
| --list-params
} ] [ { -e
| --event=
}
] [ { event
-s
| --script=
}
] [ { script
-d
| --debug=
} { 0
| 1
| 2
} ] [ { -f
| --pid-file=
}
] [ { filename
-t
| --time-period=
}
] [ { seconds
-v
| --version
} ] [ { -h
| --help
} ]
オプション
次の表に、このコマンドで使用可能なオプションを示します。
オプション | 説明 |
---|---|
{ |
|
{ | キー名でパラメータの値を取得します。 |
{ | キー名でパラメータを削除します。 |
{ | すべてのパラメータを削除します。 |
{ | すべてのパラメータをリストします。 |
{ | イベントを挿入します。 |
{ | 仮想マシンでスクリプトを実行します。 |
{ |
デバッグ・レベルを設定します。 |
{ | プロセスID (PID)ファイルのパス名を設定します。 |
{ |
デーモン・モードの時間を設定します。 デフォルトは |
{ | ovmdスクリプト・バージョン番号を表示して、終了します。 |
{ | ovmdコマンド・オプションでヘルプを表示します。 |
例
例 8.3 仮想マシンからOracle VM Managerへのメッセージの送信
# ovmd -p key1=value1
ovmdスクリプトを使用したメッセージの送受信の詳細は、 8.6.2項「仮想マシンへのメッセージの送信」を参照してください。
テンプレートとして機能するように仮想マシンを構成している場合、またはクローンしようとしている場合、初回起動時の構成を有効にできます。 この構成によって、仮想マシンは起動されるたびに初めて起動されたように動作します。 そのため、仮想マシンは、VM APIを使用して、または仮想マシン・コンソール上で、構成入力を求めるプロンプトを表示します。 これを行うには、次のコマンドを仮想マシン内でrootとして実行します。
# ovmd -s cleanup # service ovmd enable-initial-config # shutdown -h now
次回の起動時に、仮想マシンはあたかも初回起動であるかのように動作します。
ovmdをサービスとして実行するように構成している場合、メッセージング機能とovm-template-configスクリプトを使用することにより、このサービスをリモートから構成できます。
メッセージング・チャネルの使用の詳細は、 8.6.2項「仮想マシンへのメッセージの送信」の例を参照してください。 また、ovm-template-configスクリプトの詳細は、8.8項「Oracle VMテンプレート構成スクリプトおよびモジュール」を参照してください。
この項では、Oracle VM Guest Additionsがインストールされている場合の、Oracle VM Managerと実行中のOracle Linux仮想マシンとの間のメッセージ交換の例を説明します。
例 8.6 ゲストからOracle VM Managerへのメッセージの送信
ovmdを使用する場合、次の構文を使用して情報を仮想マシン内からOracle VM Managerに送信します。
# ovmd -p key1=value1
メッセージが、問題の仮想マシンのVirtual Machine API Incoming MessageイベントとしてOracle VM Managerユーザー・インタフェースに表示されます。 イベントを拡張すると、情報交換が行われるときに、説明にキー/値のペアおよび日時が表示されます。
例 8.7 Oracle VM Managerから仮想マシンへのメッセージの送信
ゲスト内からovmdを送信する場合、次の構文を使用して、Oracle VM Managerからメッセージを取得できます。
# ovmd -\-list {"key1":"value1"} {"key2":"value2"}
ovmd -\-listコマンドは、送信メッセージも受信メッセージもすべて取得します。 そのキーで、必要な特定のメッセージを識別できます。 不要なメッセージを削除するには、次の構文を使用します。
# ovmd -r key1 # ovmd -\-list {"key2":"value2"}