Oracle Solaris Cluster リファレンスマニュアル

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更新: 2015 年 9 月
 
 

clnasdevice (1CL)

名前

clnasdevice, clnas - Oracle Solaris Cluster 向け NAS デバイスへのアクセスの管理

形式

/usr/cluster/bin/clnasdevice -V
/usr/cluster/bin/clnasdevice [subcommand] -?
/usr/cluster/bin/clnasdevice subcommand [options] -v [nasdevice[…]]
/usr/cluster/bin/clnasdevice add -t type {-p name=value
     [,…] | -uuserid} [-f passwdfile] [-Z {zoneclustername | global}] 
     nasdevice 
/usr/cluster/bin/clnasdevice add -i {- | clconfigfile}[-t type] 
     [-p name=value | -uuserid] {-f passwdfile} [-Z {zoneclustername | global}] 
     {nasdevice
/usr/cluster/bin/clnasdevice add-dir -d directory[,…] [-Z 
     {zoneclustername | global}] nasdevice
/usr/cluster/bin/clnasdevice add-dir -i {- | clconfigfile} [-d all | 
     directory [,…]] [-f passwordfile] [-Z {zoneclustername | global}] 
     {nasdevice
/usr/cluster/bin/clnasdevice export [-o {- | clconfigfile}] [-t 
     type[,…]] [-d all | directory[,…]] [+ | nasdevice[…]]
/usr/cluster/bin/clnasdevice find-dir [-d {all |directory[,...] 
     [-t type[,…]] [-Z {zoneclustername[,…] | global | all}] 
     [+ | nasdevice[…]]
/usr/cluster/bin/clnasdevice list [-t type[,…]] [-Z 
     {zoneclustername[,...] | global | all}] [+ | nasdevice[…]]
/usr/cluster/bin/clnasdevice remove [-t type[,…]] [-Z 
     {zoneclustername | global}] [-F] {+ | nasdevice[…]}
/usr/cluster/bin/clnasdevice remove-dir -d all | directory[,…] 
     [-Z {zoneclustername | global}] nasdevice
/usr/cluster/bin/clnasdevice set {-p name=value[,…] | -u
     userid} [-f passwdfile] [-Z {zoneclustername | global}] 
     nasdevice
/usr/cluster/bin/clnasdevice show [-d {all | directory[,...] [-t 
     type[,…]] [-Z {zoneclustername[,…] | global | all}] 
     [+ | nasdevice[…]]

説明

clnasdevice コマンドは、NAS デバイスとそのディレクトリまたはプロジェクトに関する Oracle Solaris Cluster 構成情報を管理します。

clnas コマンドは、clnasdevice コマンドの短い形式です。clnas コマンドと clnasdevice コマンドは同じものです。どちらの形式のコマンドも使用できます。

このコマンドの一般的な形式は次のとおりです。

clnasdevice [subcommand] [options] [operands]

subcommand を省略できるのは、options–? オプションまたは –V オプションが指定されている場合のみです。

このコマンドの各オプションには、長い形式と短い形式があります。各オプションの両方の形式は、このマニュアルページの「オプション」セクションのオプションの説明で紹介されています。

clnasdevice コマンドを使用して NAS デバイスをクラスタに構成する前に、NAS デバイスが次の状態であることを確認してください。

  • NAS デバイスが設定されており、機能している。

  • NAS デバイスがブートされ、動作している。

  • NAS デバイスのディレクトリが作成され、クラスタノードに使用可能である。

  • NAS デバイスが定足数デバイスになる予定である場合、その定足数デバイスの LUN が作成されている必要があります。NAS 定足数デバイスの構成については、clquorum のマニュアルページを参照してください。

NAS デバイスのベンダーによっては、デバイスをクラスタに構成する前に、追加のタスクを行う必要がある場合もあります。これらのタスクについての詳細は、「オプション」セクションの –t オプションを参照してください。NAS デバイスの設定手順やそのディレクトリのエクスポート手順については、NAS デバイスのドキュメントを参照してください。

NAS デバイスが完全に機能し、クラスタにストレージを提供する準備ができたあとは、clnasdevice コマンドを使用して、クラスタ内の NAS デバイス構成情報を管理します。これを行わないと、クラスタは NAS デバイスとそのエクスポートされるディレクトリを検出できません。結果として、クラスタはこれらのディレクトリにある情報の整合性を保護できません。

clnasdevice コマンドを使用して、次のような管理タスクを行います。

  • NAS デバイス構成の作成

  • NAS タイプ固有プロパティーの更新

  • NAS デバイスディレクトリのクラスタ構成からの削除

  • NAS デバイスのクラスタ構成からの削除

clnasdevice コマンドは、アクティブなクラスタノードだけで実行できます。コマンドを実行して得られる結果は、実行するノードに関係なく、常に同じです。

clnasdevice コマンドは、ゾーンクラスタで、 export を除くすべてのサブコマンドを指定して使用することができます。すべてのサブコマンド (export を除く) で –Z オプションを使用して、操作を制限する特定のゾーンクラスタの名前を指定することもできます。

グローバルクラスタノードからすべてのゾーンクラスタ情報にアクセスできますが、特定のゾーンクラスタは他のゾーンクラスタを認識しません。特定のゾーンクラスタに操作を制限できない場合、使用するサブコマンドは現在のクラスタでのみ機能します。

サブコマンド

サポートされるサブコマンドには次のものがあります。

add

Oracle Solaris Cluster 構成に NAS デバイスを追加します。

–t オプションは、NAS デバイスのベンダーを指定するのに使用します。詳細は、「オプション」セクションの –t オプションの説明を参照してください。

NAS デバイスのタイプによって、追加のプロパティーを設定する必要がある場合があります。このような追加のプロパティーについても、「オプション」セクションの –t オプションの説明を参照してください。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.modify 役割に基づくアクセス制御 (RBAC) の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

remove サブコマンドの説明も参照してください。

add-dir

すでに構成されている NAS デバイスの指定したディレクトリまたはプロジェクトをクラスタ構成に追加します。このサブコマンドを使用する前に、デバイス上でこれらのディレクトリまたはプロジェクトを作成し、クラスタで使用できるようにしなければなりません。ディレクトリまたはプロジェクトの作成については、NAS デバイスのドキュメントを参照してください。

NAS デバイスのディレクトリまたはプロジェクトの追加は、次のいずれかの方法で行なうことができます。

  • clnasdevice add コマンドを使用して、NAS デバイスをクラスタに構成します。その後、clnasdevice add-dir コマンドを使用してデバイスのディレクトリまたはプロジェクトをクラスタ内に構成します。

  • clnasdevice add-dir –i configurationfile 形式のコマンドを使用して、デバイスの追加とそのディレクトリまたはプロジェクトの構成を 1 ステップで行います。この方法でディレクトリまたはプロジェクトを追加するには、–f オプションを使用してパスワードファイルを指定します。このオプションの詳細は、「オプション」セクションを参照してください。詳細は、clconfiguration(5CL) のマニュアルページを参照してください。

NAS デバイス上に新しいディレクトリまたはプロジェクトを作成し、それをクラスタノードから使用できるようにする場合は常に、この add-dir サブコマンドを使用してそれらのディレクトリまたはプロジェクトをクラスタ構成に追加する必要があります。add-dir サブコマンドを使用してクラスタに追加できる使用可能なディレクトリやプロジェクトのリストを表示するには、find-dir サブコマンドを使用します。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.modify RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

remove-dir サブコマンドの説明も参照してください。

export

クラスタ NAS デバイス構成情報をエクスポートします。–o オプションでファイルを指定すると、そのファイルに構成情報が書き込まれます。–o オプションを使用しない場合、出力は標準出力 (stdout) に書き込まれます。

export サブコマンドはクラスタ構成情報を変更しません。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.read RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

find-dir

NAS デバイス上に設定されており、クラスタによって使用される可能性のある sun_uss プロジェクトを表示します。これらのプロジェクトは、add-dir サブコマンドでクラスタ構成にまだ追加されていません。出力にリストされているプロジェクトは、add-dir サブコマンドを使用するときの –d オプションの候補になることができます。

特定のタイプの NAS デバイスを表示するには、-t オプションを指定します。

sun_uss プロジェクトとそのプロジェクト内のファイルシステムを表示するには、-v オプションを指定します。

特定の sun_uss NAS デバイスプロジェクトを表示するには、-d オプションを指定します。

特定の sun_uss NAS デバイスプロジェクトとそのプロジェクト内のファイルシステムを表示するには、-v および -d オプションを指定します。

find-dir サブコマンドはクラスタ構成情報を変更しません。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.read RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

list

クラスタに構成されている NAS デバイス構成を表示します。

クラスタに構成されているデバイスのディレクトリとデバイスタイプを表示するには、詳細オプション –v を使用します。

特定のタイプの NAS デバイスを表示するには、–t オプションを使用します。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.read RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

remove

指定されている単数または複数の NAS デバイスを、Oracle Solaris Cluster 構成から削除します。

強制オプション –F を指定しない場合、remove-dir サブコマンドを使用して、NAS デバイスディレクトリを構成から削除しておいてください。

強制オプション –F を指定する場合、このコマンドは、NAS デバイスとそのディレクトリをクラスタ構成から削除します。「–オプション」セクションの F の説明を参照してください。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.modify RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

add サブコマンドの説明も参照してください。

remove-dir

指定した NAS ディレクトリまたはプロジェクトを Oracle Solaris Cluster 構成から削除します。

remove-dir サブコマンドは、–d オプションで指定したエクスポート済みディレクトリまたはプロジェクトを削除します。–d all を使用すると、このサブコマンドによって、指定した NAS デバイスのすべてのディレクトリまたはプロジェクトが削除されます。

NAS デバイスからディレクトリまたはプロジェクトを削除した場合、この remove-dir サブコマンドを使用して、クラスタ構成からそのディレクトリまたはプロジェクトを削除する必要があります。クラスタ構成内の NAS ディレクトリまたはプロジェクトは、NAS デバイスからエクスポートした既存のディレクトリまたはプロジェクトと一致していなければなりません。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.modify RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

add-dir サブコマンドの説明も参照してください。

set

特定の NAS デバイスの指定されたプロパティーを設定します。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.modify RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

show

オプションが何も指定されていない場合は、次の情報を表示します。

  • Oracle Solaris Cluster に構成されている現在のすべての NAS デバイスのリスト

  • 各 NAS デバイスの使用可能なディレクトリ

  • 各 NAS デバイスに関連付けられたすべてのプロパティー

特定のタイプの NAS デバイスを表示するには、–t オプションを指定します。特定のデバイスに関する情報を表示するには、NAS デバイスのホスト名をオペランドとしてコマンドに渡します。

指定されたプロジェクトに含まれているファイルシステムを表示するには、show サブコマンドで –d および –v オプションを使用します。all キーワードを使用して、NAS デバイスのすべてのプロジェクトまたは個々のプロジェクトを表示できます。

スーパーユーザー以外のユーザーがこのコマンドを使用するには、solaris.cluster.read RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

オプション

次のオプションがサポートされています。

–?
-–help

ヘルプ情報を表示します。このオプションを使用するとき、ほかのオプションの処理は実行されません。

このオプションはサブコマンド付きでもサブコマンドなしでも指定できます。

サブコマンドなしでこのオプションを指定すると、このコマンドのサブコマンドのリストが表示されます。

サブコマンド付きでこのオプションを指定すると、サブコマンドの使用方法が表示されます。

–d directory[,…]
-–directory=directory–[,…]
-–directory directory–[,…]
–d project[,…]
-–directory=project–[,…]
-–directory project–[,…]

sun_uss NAS デバイスのプロジェクトを指定します。sun_uss NAS デバイスでは、ファイルシステムを作成する前に NAS デバイスでプロジェクトを作成する必要があります。プロジェクト名を / で始めることはできません。ファイルシステムはプロジェクト内で作成する必要があります。プロジェクトsun_uss NAS デバイスの用語です。プロジェクトでは任意の数のファイルシステムを作成できます。このオプションは、add-dirremove-direxport、および show サブコマンドでのみ使用します。

このオプションは、特別なキーワード all を受け入れます。–d all オプションを使用すると、指定した NAS デバイス上のすべてのディレクトリが指定されます。

  • remove-dir サブコマンドと一緒に使用する場合、指定したデバイス上のすべてのディレクトリが削除されます。

  • export サブコマンドと一緒に使用する場合、指定したデバイス上のすべてのディレクトリの構成情報が、指定した出力に表示されます。

  • add-dir サブコマンドと –i configfile オプションを使用すると、構成ファイルに一覧表示されている指定された NAS デバイス上のすべてのディレクトリが追加されます。

  • show サブコマンドおよび find-dir サブコマンドを使用する際に、sun_uss NAS デバイスの –v オプションを指定すると、–d オプションで指定したプロジェクトに含まれるファイルシステムが表示されます。all キーワードを使用して、NAS デバイスのすべてのプロジェクトまたは個々のプロジェクトを表示できます。

–F
-–force

指定した NAS デバイスを強制的に削除します。

強制オプションを一緒に指定できるのは、remove サブコマンドだけです。この強制オプションを remove サブコマンドと一緒に使用すると、NAS デバイスとその構成されているディレクトリが Oracle Solaris Cluster 構成から削除されます。

–f passwd-file
-–passwdfile=passwd-file
-–passwdfile passwd-file

NAS デバイスにログインするときに使用するパスワードが格納されているパスワードファイルを指定します。

セキュリティー上の理由により、パスワードはコマンド行オプションには指定できません。パスワードのセキュリティーを強化するには、パスワードをテキストファイルに格納し、–f オプションでこのファイルを指定してください。パスワード用の入力ファイルを指定しないと、パスワードの入力が求められます。

入力ファイルの読み取り可能アクセス権を root だけに与え、このファイルにグループからも一般ユーザーからもアクセスできないようにします。

clnasdevice add–i オプションと一緒に使用するとき、clconfigfile にパスワードが格納されていない場合、–f passwdfile オプションを必ず指定してください。

入力ファイルでは、次の制限を守ってください。

  • パスワードは単一行に指定します。パスワードを複数行にまたがって入力してはいけません。

  • 行頭にあるブランクやタブは無視されます。

  • コメントは引用符で囲まれていない # 記号で始まります。コメントは次の新しい行に続きます。

    すべてのコメントはパーサーによって無視されます。

  • デバイスユーザーのパスワードに入力ファイルを使用する場合は、# 記号をパスワードの一部に使用できません。

–i clconfigfile
-–input={- | clconfigfile}
-–input {- | clconfigfile}

NAS デバイスを作成または変更するのに使用される構成情報を指定します。この情報は、clconfiguration(5CL) のマニュアルページに定義されている形式に準拠している必要があります。この情報はファイルに含まれている場合と、標準入力 stdin を通して指定される場合があります。標準入力を指定するには、ファイル名の代わりに - を指定します。

コマンド行と clconfigfile ファイルで同じプロパティーを指定する場合、コマンド行で設定したプロパティーが優先されます。

clnasdevice add–i オプションと一緒に使用するとき、–f passwdfile オプションを必ず指定してください。

–o {- | clconfigfile}
–-output={- | clconfigfile}
–-output {- | clconfigfile}

clconfiguration(5CL) のマニュアルページで定義されている形式で、NAS デバイス構成情報を書き込みます。この情報は、ファイルまたは標準出力 (stdout) のどちらにでも書き込むことができます。標準出力を指定するには、ファイル名の代わりに - を指定します。

–p name=value[,…]
–-property=name=value[,…]
–-property name value[,…]

ある NAS デバイスタイプに固有のプロパティーを指定します。

add サブコマンドを使用して新しい NAS デバイスをクラスタ構成に追加する場合は、このオプションを指定する必要があります。set サブコマンドで NAS デバイスのプロパティーを変更する場合も、このオプションを指定する必要があります。詳細は、–t オプションの説明を参照してください。

–t nas-device-type
–-type=nas-device-type
–-type nas-device-type

NAS デバイスタイプを指定します。このオプションは、NAS デバイスを Oracle Solaris Cluster 構成に追加するときに指定してください。NAS デバイスタイプは、ベンダー名で指定します。たとえば、OracleZFS Storage Appliance NAS デバイスタイプは sun_uss です。

異なるタイプの NAS デバイスには異なるプロパティーがあるか、またはプロパティーがまったくない場合もあります。

sun_uss

OracleZFS Storage Appliance NAS デバイスを指定します。

-p userid=osc_agent [-f passwd-file] または -u userid [-f passwdfile]

useridosc_agent である必要があります。sun_uss を使用する前に、クライアントコードをダウンロードし、それをすべてのクラスタノードにインストールする必要があります。この osc_agent userid は、デバイスでいずれかのワークフローを実行すると作成されます。この userid は、userid を入力として受け取る clnasdevice サブコマンドを使用する前に、デバイスで作成されている必要があります。

userid とパスワードプロパティーは必須です。

-p "nodeIPs{node}"=[ IP]

このプロパティーは、各ノードの IP を指定します。クラスタノード名の IP とは異なる IP を使用して NAS デバイスにアクセスする場合、nodeIPsnode プロパティーを使用してこの IP を指定できます。このプロパティーは省略可能です。IP を指定しない場合は、クラスタノード名の IP が使用されます。これらの IP は、NAS デバイス上のプロジェクトの NFS Access Mode で指定された IP と一致する必要があります。

プロパティーの値を指定しない場合 (例: -p "nodeIPs{node}"=)、指定したノードの IP がクラスタ構成から削除され、クラスタノード名の IP が使用されます。

sun_uss NAS デバイスとそのプロジェクトを追加する前に、必要な設定を行う必要があります。この設定タスクには、クライアントコードのダウンロードとクラスタノードへのインストールが含まれます。デバイスで Configure for Oracle Solaris Cluster NFS ワークフローを実行して、userid osc_agent とそのパスワードを作成します。プロジェクトを作成し、Share Mode を none または read-only に設定します (read-write モードもサポートされていますがお勧めしません)。NFS Access Mode では、ネットワーク概念を使用し、クラスタノードの IP に対する read-write アクセスを付与する必要があります。

NAS デバイスとそのエクスポートされたディレクトリをクラスタ構成に追加する前に、次に示す手順を実行しておく必要があります。

  • NAS デバイスを設定します。

  • ディレクトリを設定し、クラスタノードに使用可能にします。

  • NAS デバイスで管理タスクを実行するときに使用するユーザー ID とパスワードを決定します。

また、NAS デバイスは起動され、動作している必要があります。詳細は、Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manual を参照してください。

–u userid
-–userid=userid
-–useriduserid

NAS デバイスにログインするのに使用するユーザー ID を指定します。

クラスタは、ログインし、デバイス上で管理処理を実行するために、ユーザー ID を把握する必要があります。

あるいは、–p オプションでもユーザー ID を指定できます。詳細は、–p オプションを参照してください。

このオプションを一緒に指定できるのは、add および set サブコマンドだけです。

–V
-–version

コマンドのバージョンを表示します。

このオプションには、サブコマンドやオペランドなどのオプションは指定しないでください。サブコマンドやオペランドなどのオプションは無視されます。コマンドのバージョンが表示されます。ほかの処理は実行されません。

–v
-–verbose

詳細な情報を標準出力 stdout に表示します。

–Z {zoneclustername | global | all}
–-zonecluster={zoneclustername | global | all}

nas-device-type が登録されている、処理するクラスタを指定します。

このオプションは、export コマンド以外のすべてのサブコマンドでサポートされています。

このオプションを指定する場合は、次のいずれかの引数も指定する必要があります。

zoneclustername

このオプションと一緒に使用するコマンドが、zoneclustername という名前のゾーンクラスタ内でのみ、指定された各 nas-device-type に対して動作することを指定します。

global

このオプションと一緒に使用するコマンドが、グローバルクラスタ内でのみ、指定された各 nas-device-type に対して動作することを指定します。

all

グローバルクラスタ内でこの引数を使用した場合は、この引数と一緒に使用するコマンドが、すべてのクラスタ (グローバルクラスタおよびすべてのゾーンクラスタを含む) 内で、指定された各 nas-device-type に対して動作することを指定します。

ゾーンクラスタ内でこの引数を使用した場合は、この引数と一緒に使用するコマンドが、そのゾーンクラスタ内でのみ、指定された各 nas-device-type に対して動作することを指定します。

オペランド

次のオペランドがサポートされています。

nasdevice

NAS デバイスの名前。NAS デバイス名は、ネットワークで通信を行うために NAS デバイスが使用するホスト名です。NAS デバイスと通信するために、クラスタは NAS デバイスの NAS ホスト名を知っておく必要があります。サブコマンドが複数の NAS デバイスを受け入れる場合は、プラス記号 + を使用して、すべての NAS デバイスを指定できます。add および add-dir サブコマンドの場合、プラス記号オペランドは、指定された構成ファイルにあるすべての NAS デバイスを指定します。

終了ステータス

指定したすべてのオペランドでコマンドが成功すると、コマンドはゼロ (CL_NOERR) を返します。あるオペランドでエラーが発生すると、コマンドはオペランドリストの次のオペランドを処理します。戻り値は常に、最初に発生したエラーを反映します。

次の終了値が返される可能性があります。

0 CL_NOERR

エラーなし

実行したコマンドは正常に終了しました。

1 CL_ENOMEM

十分なスワップ空間がありません。

クラスタノードがスワップメモリーまたはその他のオペレーティングシステムリソースを使い果たしました。

3 CL_EINVAL

無効な引数

コマンドを間違って入力したか、–i オプションで指定したクラスタ構成情報の構文が間違っていました。

6 CL_EACCESS

アクセス権がありません

指定したオブジェクトにアクセスできません。このコマンドを実行するには、スーパーユーザーまたは RBAC アクセスが必要である可能性があります。詳細は、su(1M) および rbac(5) のマニュアルページを参照してください。

15 CL_EPROP

無効なプロパティーです

–p–y、または –x オプションで指定したプロパティーまたは値が存在しないか、許可されていません。

18 CL_EINTERNAL

内部エラーが発生しました

内部エラーは、ソフトウェアの欠陥またはその他の欠陥を示しています。

36 CL_ENOENT

そのようなオブジェクトはありません。

次のいずれかの理由で、指定したオブジェクトが見つかりません: (1) オブジェクトが存在しない。(2) –o オプションで作成しようとした構成ファイルのパスに含まれているディレクトリが存在しない。(3) –i オプションでアクセスしようとした構成ファイルにエラーがある。

39 CL_EEXIST

オブジェクトは存在します。

指定したデバイス、デバイスグループ、クラスタインターコネクトコンポーネント、ノード、クラスタ、リソース、リソースタイプ、リソースグループ、またはプライベート文字列はすでに存在します。

41 CL_ETYPE

無効なタイプです

–t または –p オプションで指定したタイプは存在しません。

使用例 1 OracleZFS Storage Appliance からクラスタまたはゾーンクラスタへの NAS デバイスの追加

次の clnasdevice コマンドは、タイプが sun_uss の OracleZFS Storage Appliance uss7110-01 を構成に追加します。

# clnasdevice add -t sun_uss -p userid=osc_agent -f passwd-file uss7110-01
使用例 2 クラスタへの NAS プロジェクトの追加

次の clnasdevice コマンドは、すでに構成されている NAS デバイスである uss7110-01 に 2 つのプロジェクトを追加します。

# clnasdevice add-dir -d pool-0/local/nassa-pl,pool-0/local/nassa-p2 uss7110-01
使用例 3 クラスタまたはゾーンクラスタから NAS デバイスを削除する

次の clnasdevice コマンドは、NAS デバイス uss7110-01 と、残りのプロジェクトがある場合はそのプロジェクトをすべて、sun というクラスタ構成から削除します。

# clnasdevice remove -F uss7110-01

次の clnasdevice コマンドは、NAS デバイス uss7110-01 とその残りのすべてのプロジェクト (存在する場合) をゾーンクラスタの ZC 構成から削除します。

# clnasdevice remove -Z ZC -F uss7110-01

次の例は、nodeIPs プロパティーを更新する方法を示しています。

# clnasdevice set -p "nodeIPs{cluster-1}"=10.155.55.145 \
-p "nodeIPs{cluster-2}"=10.155.55.146 uss7110-01

次の例では、クラスタ構成から現在の IP の設定を削除して、クラスタノード名の IP が使用されるようにします。

# clnasdevice set -p "nodeIPs{cluster-1}"= -p "nodeIPs{cluster-2}"= uss7110-01
使用例 4 クラスタに追加されていない NAS デバイスプロジェクトを表示する

次の clnasdevice コマンドは、クラスタにまだ追加されていない NAS デバイスプロジェクト名を表示します。

# clnasdevice find-dir uss7110-01
Nas Device:           uss7110-01
Type:                 sun_uss
Unconfigured Project: pool-0/local/nassa-p2
Unconfigured Project: pool-0/local/nassa-p1
使用例 5 クラスタまたはゾーンクラスタに構成されている NAS デバイスを表示する

次の clnasdevice コマンドは、クラスタに構成されているすべての NAS デバイスの名前を表示します。デバイスとそのディレクトリのリストを表示するには、詳細オプションか show サブコマンドを使用します。

# clnasdevice list
uss7110-01

次の clnasdevice コマンドは、ゾーンクラスタ ZC に構成されているすべての NAS デバイスの名前を表示します。デバイスとそのディレクトリのリストを表示するには、詳細オプションか show サブコマンドを使用します。

# clnasdevice list -Z ZC
ZC:uss7110-01

次の clnasdevice コマンドは、ゾーンクラスタ ZC に構成されているすべての NAS デバイスの名前を表示します。デバイスとそのディレクトリのリストを表示するには、詳細オプションか show サブコマンドを使用します。

# clnasdevice list -Z all
global:uss7110-01
ZC:uss7110-01
使用例 6 NAS デバイスとそのプロジェクトを表示する

次の clnasdevice コマンドは、クラスタに構成されているすべての NAS デバイスの名前とプロジェクトファイルシステムを表示します。

# clnasdevice show -v -d all uss7110-01
Nas Device:      uss7110-01
Type:            sun_uss
Project:         pool-0/local/nassa-p1
  File System:   /export/nassa-p1/nassa-p1-fs1
  File System:   /export/nassa-p1/nassa-p1-fs2
  File System:   /export/nassa-p1/nassa-p1-fs3
Project:         pool-0/local/nassa-p2
  File System:   /export/nassa-p2/nassa-p2-fs1
  File System:   /export/nassa-p2/nassa-p2-fs2

属性

次の属性については、attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
ha-cluster/system/core
インタフェースの安定性
発展中

関連項目

Intro(1CL), cluster(1CL)

Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manual

スーパーユーザーはこのコマンドのすべての形式を実行できます。

任意のユーザーは次のサブコマンドとオプションを指定してこのコマンドを実行できます。

  • –? オプション

  • –V オプション

スーパーユーザー以外のユーザーがほかのサブコマンドを指定してこのコマンドを実行するには、RBAC の承認が必要です。次の表を参照してください。

サブコマンド
RBAC の承認
add
solaris.cluster.modify
add-dir
solaris.cluster.modify
export
solaris.cluster.read
find-dir
solaris.cluster.read
list
solaris.cluster.read
set
solaris.cluster.modify
remove
solaris.cluster.modify
remove-dir
solaris.cluster.modify
show
solaris.cluster.read