Oracle Solaris Cluster リファレンスマニュアル

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更新: 2015 年 9 月
 
 

ScalMountPoint(5)

名前

SUNW.ScalMountPoint, ScalMountPoint - スケーラブルファイルシステムのマウントポイントのリソースタイプ

説明

SUNW.ScalMountPoint リソースタイプは、スケーラブルファイルシステムマウントポイントを表します。このリソースタイプのインスタンスは、次に示す種類のファイルシステムの 1 つのマウントポイントを表します。

  • Sun QFS 共有ファイルシステム

  • ネットワーク接続ストレージ (NAS) デバイス上のファイルシステム。

    NAS デバイスおよびファイルシステムは、Oracle Solaris Cluster で使用できるように構成済みである必要があります。詳細は、Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manual を参照してください。

SUNW.ScalMountPoint リソースタイプは、スケーラブルリソースタイプです。このリソースタイプのインスタンスは、リソースを含むリソースグループのノードリスト内にある各ノードでオンラインです。

このリソースタイプを登録し、リソースタイプのインスタンスを作成するには、次のいずれかの方法を使用します。

  • Oracle Solaris Cluster Manager

  • Oracle Real Application Clusters 用 Oracle Solaris Cluster サポートを構成するためのオプションを指定する clsetup ユーティリティー

  • 次の一連の Oracle Solaris Cluster 保守コマンド。

    1. このリソースタイプを登録するには、clresourcetype コマンドを使用します。

    2. このリソースタイプのインスタンスを作成するには、clresource コマンドを使用します。

SUNW.ScalMountPoint リソースタイプに対して定義される標準プロパティーと拡張プロパティーについて、これ以降のサブセクションで説明します。

標準プロパティー

すべての標準リソースプロパティーについては、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

標準のリソースタイププロパティーは、次のようにこのリソースタイプに対して無効にされます。

Monitor_start_timeout
最小

10

デフォルト

300

Monitor_stop_timeout
最小

10

デフォルト

300

Postnet_stop_timeout
最小

60

デフォルト

300

Prenet_start_timeout
最小

60

デフォルト

300

Start_timeout
最小

60

デフォルト

300

Stop_timeout
最小

60

デフォルト

300

Thorough_probe_interval
デフォルト

300

Update_timeout
最小

60

デフォルト

300

Validate_timeout
最小

60

デフォルト

300

拡張プロパティー

このリソースタイプには、次のような拡張プロパティーが設定されます。

Debug_level

このプロパティーは、ファイルシステムマウントポイントのリソースからのデバッグメッセージが記録されるレベルを指定します。デバッグレベルを高くすると、より多くのデバッグメッセージがログファイルに書き込まれます。

データ型

整数

デフォルト

0

範囲

0-10

調整可能

すべての時間

FileSystemType

このプロパティーは、リソースが表すマウントポイントを持つファイルシステムの種類を指定します。このプロパティーを指定してください。このプロパティーには次に示す値の 1 つを設定します。

nas

ファイルシステムが NAS デバイス上のファイルシステムであることを指定します。

s-qfs

ファイルシステムが Sun QFS 共有ファイルシステムであることを指定します。

データ型

文字列

デフォルト

デフォルトは定義されていません。

範囲

適用不可

調整可能

無効時

IOTimeout

このプロパティーは、障害モニターが入出力 (I/O) 検証に使用するタイムアウト値を秒単位で指定します。障害モニターは、マウントされたファイルシステムが使用可能かどうかを判断するため、ファイルシステム上でテストファイルを開いたり、読み込んだり、書き込んだりするなどの I/O 操作を実行します。I/O 操作がタイムアウト期間内に完了しない場合、障害モニターはエラーを報告します。

データ型

整数

デフォルト

300

範囲

5-1800

調整可能

すべての時間

Monitor_retry_count

このプロパティーは、障害モニターに許可される、プロセスモニター機能 (PMF) による最大再起動回数を指定します。

データ型

整数

デフォルト

4

範囲

範囲は定義されていません。

調整可能

すべての時間

Monitor_retry_interval

このプロパティーは、PMF が障害モニターの再起動をカウントする期間 (分単位) を指定します。

データ型

整数

デフォルト

2

範囲

範囲は定義されていません。

調整可能

すべての時間

MountOptions

このプロパティーは、リソースが表すファイルシステムがマウントされるときに使用されるマウントオプションのコンマ区切りリストを指定します。このプロパティーは省略可能です。このプロパティーの値を指定しないと、マウントオプションは、ファイルシステムのデフォルトの表から取得されます。

  • Sun QFS 共有ファイルシステムの場合、これらのオプションは /etc/opt/SUNWsamfs/samfs.cmd ファイルから取得されます。

  • NAS デバイス上のファイルシステムの場合、これらのオプションは /etc/vfstab ファイルから取得されます。

このプロパティーを通して指定するマウントオプションは、ファイルシステムのデフォルトの表内のマウントオプションをオーバーライドします。

データ型

文字列

デフォルト

""

範囲

適用不可

調整可能

無効時

MountPointDir

このプロパティーは、リソースが表すファイルシステムのマウントポイントを指定します。マウントポイントは、ファイルシステムのマウント時にファイルシステムがファイルシステム階層に接続されるディレクトリへのフルパスです。このプロパティーを指定してください。

指定するディレクトリはすでに存在している必要があります。

データ型

文字列

デフォルト

デフォルトは定義されていません。

範囲

適用不可

調整可能

無効時

RebootOnFailure

このプロパティーは、検証によって障害が検出された場合に、ローカルシステムをリブートするかどうかを指定します。デフォルトでは、RebootOnFailure は FALSE に設定されます。このプロパティーが FALSE に設定されている場合、プローブによって障害が検出されるとリソースは無効になります。このプロパティーが TRUE に設定されている場合、リソースによって使用されるすべてのデバイスを、ディスクパスのモニタリングで直接または間接的にモニターする必要があります。

RebootOnFailure が TRUE に設定されており、GlobalDevicePathsFileSystemMountPoints、または Zpools プロパティーで指定した各エントリで、使用可能なデバイスが少なくとも 1 つ検出された場合、ローカルシステムはリブートされます。ローカルシステムは、リソースがオンライン状態のグローバルクラスタノードまたはゾーンクラスタノードを参照します。

デフォルト

FALSE

調整可能

すべての時間

TargetFileSystem

このプロパティーは、MountPointDir 拡張プロパティーが指定するマウントポイントでマウントされるファイルシステムを指定します。このプロパティーを指定してください。ファイルシステムの種類は、FileSystemType プロパティーが指定する種類に一致させる必要があります。このプロパティーの書式は、ファイルシステムの種類によって次のように異なります。

  • Sun QFS 共有ファイルシステムの場合、このプロパティーにはファイルシステムの作成時にファイルシステムに割り当てられた名前を設定します。ファイルシステムは、正しく構成してください。詳細は、使用している Sun QFS 共有ファイルシステムのドキュメントを参照してください。

  • NAS デバイスのファイルシステムの場合は、このプロパティーに nas-device:path を設定します。上記書式の各項目の意味は次のとおりです。

    nas-device

    ファイルシステムをエクスポートしている NAS デバイスの名前を指定します。この名前は、状況に応じてドメインで修飾できます。

    path

    NAS デバイスがエクスポートしているファイルシステムへのフルパスを指定します。

    NAS デバイスおよびファイルシステムは、Oracle Solaris Cluster で使用できるように構成済みである必要があります。詳細は、Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manual を参照してください。

データ型

文字列

デフォルト

デフォルトは定義されていません。

範囲

適用不可

調整可能

無効時

使用例 1 ScalMountPoint リソースの作成

この例では、Solaris Volume Manager for Sun Cluster と一緒に使用される Sun QFS 共有ファイルシステムのマウントポイントを表す ScalMountPoint リソースを作成する方法を示します。リソースの名前は scal-db_qfs-Data-rs です。ファイルシステムの特徴は次のとおりです。

  • ファイルシステムのマウントポイントは /db_qfs/Data です。

  • マウントされるファイルシステムは Data です。

  • マウントオプションは、ファイルシステムのデフォルトの表、/etc/opt/SUNWsamfs/samfs.cmd ファイルから取得されます。

この例は、次に示す Oracle Solaris Cluster オブジェクトが存在することを前提とします。

  • scaldatadg-rg という名前のスケーラブルリソースグループ。

  • qfs-db_qfs-Data-rs という名前の SUNW.qfs リソースタイプのインスタンス。

  • scaldatadg-rs という名前の SUNW.ScalDeviceGroup リソースタイプのインスタンス。

# clresourcetype register SUNW.ScalMountPoint
# clresource create -t SUNW.ScalMountPoint \
-g scaldatadg-rg \
-p Resource_dependencies=qfs-db_qfs-Data-rs,scaldatadg-rs \
-p MountPointDir=/db_qfs/Data \
-p FileSystemType=s-qfs \
-p TargetFileSystem=Data \
scal-db_qfs-Data-rs

属性

次の属性の説明は、attributes(5) を参照してください:

属性タイプ
属性値
使用条件
ha-cluster/system/core

関連項目

clresource(1CL), clresourcetype(1CL), clsetup(1CL), vfstab(4), attributes(5), r_properties(5), SUNW.ScalDeviceGroup(5), SUNW.vucmm_framework(5)

Oracle Solaris Cluster Data Service for Oracle Real Application Clusters ガイド Oracle Solaris Cluster With Network-Attached Storage Device Manual