Oracle Solaris Cluster リファレンスマニュアル

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更新: 2015 年 9 月
 
 

clzonecluster (1CL)

名前

clzonecluster, clzc - ゾーンクラスタの作成と管理

形式

/usr/cluster/bin/clzonecluster [subcommand] -?
/usr/cluster/bin/clzonecluster -V
/usr/cluster/bin/clzonecluster subcommand [options] -v 
 [zone-cluster-name]
/usr/cluster/bin/clzonecluster apply [-n node-name[,…]] [-d] 
 {+ | zone-cluster-name […]}
/usr/cluster/bin/clzonecluster boot [-n node-name[,…]] [-o] 
 {+ | zone-cluster-name […]}
/usr/cluster/bin/clzonecluster clone -Z target-zone-cluster-name 
 [-m method][-n node-name[,…]] {source-zone-cluster-name}
/usr/cluster/bin/clzonecluster configure [-f command-file] 
 zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster delete [-F] zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster export [-f command-file] 
 zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster halt [-n node-name[,…]] 
 {+ | zone-cluster-name}
/usr/cluster/bin/clzonecluster install [-c config_profile.xml] 
 [-M manifest.xml] zone-cluste-rname
/usr/cluster/bin/clzonecluster install [-n node-name] 
 -a absolute_path_to_archive [-x cert|ca-cert|key=file]… 
 -z zone zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster install [-n node-name] 
 -d absolute_root_path zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster install-cluster 
 [-d dvd-image] [-n node-name[,…]] 
 [-p patchdir=patch-dir[,patchlistfile=file-name]] 
 -s software-component[,…]] [-v] zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster install-cluster 
 [-p patchdir=patch-dir[,patchlistfile=file-name]
 [-n node-name[,…]] [-v] zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster list [+ | zone-cluster-name […]]
/usr/cluster/bin/clzonecluster move -f zone-path zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster ready [-n node-name[,…]] 
 {+ | zone-cluster-name […]}
/usr/cluster/bin/clzonecluster reboot [-n node-name[,…]] [-o] 
 {+ | zone-cluster-name […]}
/usr/cluster/bin/clzonecluster set {-p name=value} 
 [-p name=value] […] [zone-cluster-name]
/usr/cluster/bin/clzonecluster show [+ | zone-cluster-name […]]
/usr/cluster/bin/clzonecluster show-rev [-v] [-n node-name[,…]]
 [+ | zone-cluster-name …]
/usr/cluster/bin/clzonecluster status [+ | zone-cluster-name […]]
/usr/cluster/bin/clzonecluster uninstall [-F] [-n node-name
 [,…]] zone-cluster-name
/usr/cluster/bin/clzonecluster verify [-n node-name[,…]] 
 {+ | zone-cluster-name […]}

説明

clzonecluster コマンドは、Oracle Solaris Cluster 構成用のゾーンクラスタを作成し変更します。clzc コマンドは、clzonecluster コマンドの短い形式です。これらのコマンドは同じです。clzonecluster コマンドはクラスタ対応で、管理の単一ソースをサポートします。1 つのノードからコマンドのすべての形式を実行して、単一のゾーン・クラスタノードまたはすべてノードに影響を与えることができます。

subcommand を省略できるのは、options–? オプションまたは –V オプションの場合のみです。

サブコマンドは listshowstatus サブコマンドを除き、1 つ以上のオペランドを必要とします。ただし、多くのサブコマンドはプラス記号オペランド (+) を受け入れて、そのサブコマンドをすべてのアプリケーションオブジェクトに適用します。clzonecluster コマンドはゾーンクラスタの任意のノードで実行し、そのゾーンクラスタの任意またはすべてに影響を与えることができます。

このコマンドの各オプションには長形式と短形式があります。各オプションの両方の形式は、オプション に説明とともに記載されています。


注 -  ゾーンクラスタが作成されたあとにゾーンクラスタ名を変更することはできません。

サブコマンド

サポートされるサブコマンドには次のものがあります。

apply

構成の変更をゾーンクラスタに適用します。

apply サブコマンドは、ゾーンクラスタの永続的なライブ再構成を格納します。clzonecluster configure を実行して構成の変更を行なってから、apply サブコマンドを実行して、その変更を特定のゾーンクラスタに適用するようにしてください。apply サブコマンドは、–n オプションを使用して、再構成が適用されるノードのリストを指定します。

apply サブコマンドは、グローバルクラスタノードからのみ使用できます。

boot

ゾーンクラスタのブート。

boot サブコマンドはゾーンクラスタをブートします。boot サブコマンドは –n フラグを使用して、ノードの指定したリストのゾーンクラスタをブートします。

グローバルクラスタノードから boot サブコマンドのみを使用できます。

clone

ゾーンクラスタのクローン。

clone コマンドは、インストールされた既存のゾーンクラスタをコピーして、ゾーンクラスタをインストールします。このサブコマンドは、ゾーンクラスタのインストールに代わるものです。clone サブコマンドは、それ自身で新しいゾーンクラスタを作成しません。クローニングに使用するソースゾーンクラスタが、クローニングする前にインストールされた状態であることを確認します。最初に configure サブコマンドを使用して、新しいゾーンクラスタを作成する必要があります。次に、clone サブコマンドを使用して、クローニングされた構成を新しいソーンクラスタに適用します。

グローバルクラスタノードから clone サブコマンドのみを使用できます。

configure

対話型ユーティリティーを起動して、solaris10 または labeled ブランドソーンクラスタを構成します。

configure サブコマンドは zonecfg コマンドを使用して、指定されたそれぞれのマシンでゾーンを構成します。configure サブコマンドにより、ゾーンクラスタの各ノードに適用するプロパティーを指定できます。これらのプロパティーは、個別ゾーンの zonecfg コマンドによって確立された場合と同じ意味を持ちます。configure サブコマンドは zonecfg コマンドには分からないプロパティーの構成をサポートします。–f オプションを指定しない場合、configure サブコマンドは対話型シェルを起動します。–f オプションは、その引数としてコマンドファイルを取ります。configure サブコマンドはこのファイルを使用して、ゾーンクラスタを非対話型で作成または変更します。

また、configure サブコマンドを使用すると、統合アーカイブを使用してゾーンクラスタを構成し、復旧用のアーカイブまたはクローンアーカイブを選択することもできます。–a archive オプションを create サブコマンドとともに使用します。例:

# clzonecluster configure sczone1
sczone1: No such zone cluster configured
Use 'create' to begin configuring a new zone cluster.
clzc:sczone1> create -a archive -z archived zone

configure サブコマンドは、グローバルクラスタノードからのみ使用できます。詳細は、Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのインストール を参照してください。

solaris10 ブランドゾーンクラスタを指定するには、ゾーンクラスタの構成時にデフォルトのテンプレートを使用できます。デフォルトのテンプレートは、/etc/cluster/zone_cluster/ORCLcls10default.xml にあります。–t オプションを使用すると、デフォルトの solaris10 ゾーンクラスタテンプレート、またはクラスタにある別の既存の solaris10 ゾーンクラスタを指定できます。別の solaris10 ゾーンクラスタを指定すると、ゾーンクラスタの構成は指定したゾーンクラスタからインポートされます。verify または commit 操作が失敗しないように、sysid プロパティーに root パスワードを指定する必要もあります。次のコマンドを入力してテンプレートを適用します:

# clzonecluster configure sczone2
sczone2: No such zone cluster configured
Use 'create' to begin configuring a new zone cluster.
clzc:sczone2> create -t ORCLcls10default
clzc:sczone2> info
zonename: sczone2
zonepath:
autoboot: true
hostid:
brand: solaris10

configure コマンドの対話型と非対話型形式はどちらも、ゾーンクラスタ構成を編集するための複数のサブコマンドをサポートしています。使用可能な構成サブコマンドのリストについては、zonecfg(1M) を参照してください。

configure ユーティリティーにより、ゾーンクラスタの構成を作成または変更できます。ゾーンクラスタ構成は、多くのリソースタイプおよびプロパティーで構成されます。configure ユーティリティーは scope のコンセプトを使用して、サブコマンドが適用される場所を決定します。configure ユーティリティーで使用されるスコープには、クラスタ、リソース、およびノード固有のリソースの 3 つのレベルがあります。デフォルトのスコープはクラスタです。次のリストは、スコープの 3 つのレベルを説明しています。

  • クラスタスコープ - ゾーンクラスタ全体に影響を与えるプロパティー。zoneclusternamesczone の場合、clzonecluster コマンドの対話型シェルは次のように見えます。

    clzc:sczone>
  • ノードスコープ - ノードリソーススコープの内部で入れ子になった特殊なリソーススコープ。ノードスコープ内部で設定すると、ゾーンクラスタの特定ノードに影響を与えます。たとえば、ゾーンクラスタの特定ノードにネットリソースを追加できます。clzonecluster コマンドの対話型シェルは、次のように見えます。

    clzc:sczone:node:net>
  • リソーススコープ - 1 つの特定のリソースに適用されるプロパティー。リソーススコーププロンプトには、付加されたリソースタイプの名前が付いています。たとえば、clzonecluster コマンドの対話型シェルは次のように見えます。

    clzc:sczone:net>
delete

特定ゾーンクラスタの削除。

このサブコマンドは、特定のゾーンクラスタのリソースグループを削除します。ワイルドカードオペランド (*) を使用するとき、delete コマンドはグローバルクラスタで構成されたゾーンクラスタを削除します。delete サブコマンドを実行する前に、ゾーンクラスタを構成状態にする必要があります。delete コマンドで –F オプションを使用した場合は、どのような状態にあるゾーンクラスタに対しても削除が試みられます。

delete サブコマンドはグローバルクラスタノードからのみ使用できます。

export

ゾーンクラスタの構成をコマンドファイルにエクスポートします。

エクスポートされた commandfile は、configure サブコマンドの入力として使用できます。必要に応じてファイルを変更し、作成する構成を反映させます。詳細は、clconfiguration(5CL) のマニュアルページを参照してください。

export サブコマンドは、グローバルクラスタノードからのみ使用できます。

halt

ゾーンクラスタまたはゾーンクラスタの特定ノードの停止。

特定のゾーンクラスタを指定するとき、halt サブコマンドは特定のゾーンクラスタに対してのみ適用されます。ゾーンクラスタ全体、またはゾーンクラスタの特定ノードのみを停止できます。ゾーンクラスタを指定しない場合、halt サブコマンドはすべてのゾーンクラスタに適用されます。指定されたマシンですべてのゾーンクラスタを停止することもできます。

halt サブコマンドは –n オプションを使用して、特定ノードのゾーンクラスタを停止します。デフォルトで、halt サブコマンドはすべてのノードのすべてのゾーンクラスタを停止します。ゾーン名の代わりに + オペランドを指定する場合、すべてのゾーンクラスタが停止されます。

halt サブコマンドは、グローバルクラスタノードからのみ使用できます。

import-zone

既存のインストール済み Oracle Solaris ゾーンをゾーンクラスタ構成にインポートします。

import-zone コマンドは、対話型モードまたは非対話型モードで実行できます。

import-zone コマンドは、ノードスコープでのみ実行できます。import-zone コマンドを実行する前に、zonepathip-type、および brand プロパティーをグローバルスコープで設定し、physical-host プロパティーをノードスコープで設定する必要があります。

import-zone コマンドを実行すると、zonename で指定したゾーンが、ノードスコープで物理ホストとして指定されているノード内で検索され、ゾーンクラスタ構成にインポートされます。

import-zone コマンドは、ゾーンクラスタの zonepathip-type、および brand プロパティーをゾーンのそれぞれ対応するプロパティーと比較して検証し、それらが同じであることを確認します。これは正常なインポートのために必要です。また、インポートされるゾーンは installed 状態になっている必要があります。

たとえば、import-zone コマンドを非対話型モードで実行するには、次のようにします。

create
set zonepath=/zones/zc1
add node
set physical-host=phys-host1
import-zone -y zonename=zone1
set hostname=zc-host1
end
commit
exit

注 -  非対話型モードで、–y オプションを使用してゾーンの名前を強制的に変更します。

import-zone コマンドを対話型モードで実行するには、次のようにします。

create
add node
set physical-host=phys-host3
import-zone zonename=zone1
This operation renames the zone to the zone-cluster's zonename.Do you want to proceed (Y/N)
Y
set hostname=zc-host3
end
commit
exit
install

ゾーンクラスタのインストール。

このサブコマンドは、ゾーンクラスタをインストールします。

install -M manifest.xml オプションを使用した場合は、指定したマニフェストが、ゾーンクラスタのすべてのノード上のインストールに使用されます。マニフェストファイルには、certificate_filekey_file、パブリッシャー、任意の追加パッケージなどの、インストールのために管理者に必要な solaris パッケージの情報が記述されます。manifest.xml ファイルには、ゾーンクラスタのインストールのための Oracle Solaris Cluster グループパッケージ ha-cluster-fullha-cluster-framework-fullha-cluster-data-services-full、または ha-cluster-minimal も指定する必要があります。Automated Installer マニフェストの詳細は、Oracle Solaris 11.3 システムのインストール のカスタム AI マニフェストの作成を参照してください。

–M オプション (デフォルト) を使用しない場合は、/usr/share/auto_install/manifest/zone_default.xml にある Automated Installer マニフェストがインストールに使用されます。zone_default.xml マニフェストが使用されている場合、発行元のゾーンクラスタノードの大域ゾーンにインストールされているすべての ha-cluster/* パッケージが、ゾーンクラスタのすべてのノードにインストールされます。ゾーンクラスタのインストール時にカスタムマニフェストを使用する場合、Oracle Solaris Cluster グループパッケージを指定しないと、インストールが失敗します。

インストールするすべてのゾーンクラスタノードのベースとなる大域ゾーンは、install サブコマンドを実行するゾーンクラスタノードの大域ゾーンにインストールされるのと同じ Oracle Solaris Cluster パッケージのセットを持っている必要があります。ゾーンクラスタのインストールは、この要件を満たさないゾーンクラスタノードでは失敗する場合があります。

install サブコマンドはグローバルクラスタノードからのみ使用できます。–M および –c オプションは、solaris および labeled ブランドゾーンクラスタにのみ使用できます。

ゾーンクラスタのブランドが solaris10 の場合は、–a または –d オプションを使用する必要があります。

–a archive

solaris または solaris10 ブランドゾーンクラスタの統合アーカイブ、solaris10 ブランドゾーンクラスタの flar アーカイブの場所、またはインストールに使用する Oracle Solaris 10 イメージアーカイブの絶対パス。サポートされるアーカイブタイプの詳細は、solaris10(5) のマニュアルページを参照してください。アーカイブの絶対パスは、ゾーンクラスタがインストールされるクラスタのすべての物理ノードでアクセスできるようにしてください。統合アーカイブのインストールでは、復旧用のアーカイブまたはクローンアーカイブを使用できます。

–d path

インストール済みの Oracle Solaris 10 システムのルートディレクトリへのパス。パスは、ゾーンクラスタがインストールされるクラスタのすべての物理ノードでアクセスできるようにしてください。

[–x cert|ca-cert|key=file]…

HTTPS 統合アーカイブの場所を使用する場合は、SSL 証明書、認証局 (CA) 証明書、および鍵ファイルを指定します。–x オプションは何度でも指定できます。

–z zone

統合アーカイブに複数のゾーンが含まれている場合は、構成またはインストールのソースのゾーン名を指定します。

同じアーカイブまたはインストール済みの Oracle Solaris 10 システムは、ゾーンクラスタにあるすべての solaris10 ブランドゾーンのインストールのソースとして使用されます。インストールすると、ソースアーカイブまたはインストール済みの Oracle Solaris 10 システムのシステム識別パラメータは、ゾーンクラスタの構成時に sysid リソースタイプで指定したシステム識別パラメータでオーバーライドされます。

install-cluster

install-cluster サブコマンドは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを solaris または solaris10 ブランドゾーンクラスタノードにインストールします。インストールされるソフトウェアには、コアパッケージ、クラスタソフトウェアコンポーネント (ゾーンクラスタおよび Geographic Edition ソフトウェアでサポートされるエージェントなど) が含まれます。ソフトウェアが solaris10 ブランドのゾーンクラスタにインストールされる場合は、パッチも含まれます。solaris10 ブランドのゾーンクラスタの場合は、Oracle Solaris 10 OS をサポートしている Oracle Solaris Cluster パッケージのみインストールできます。


注 -  install-cluster サブコマンドは、Oracle Solaris Cluster バージョン 3.3 または 3.3 5/11 ソフトウェアを solaris または solaris10 ブランドゾーンクラスタノードにインストールすることをサポートしていません。Oracle Solaris Cluster 4.3 リリースノート ブランドゾーンクラスタでサポートされるリリースの詳細は、Oracle Solaris Cluster 4.3 Release Notes を参照してください。

このサブコマンドを使用するのは、クラスタソフトウェアがインストールされていない Oracle Solaris システムに solaris または solaris10 ブランドゾーンをインストールする場合です。

このサブコマンドを solaris10 ブランドゾーンで使用するには、Oracle Solaris 10 システムの Oracle Solaris OS ソフトウェアが clzonecluster install コマンドによって solaris10 ゾーンにインストールされていることと、ゾーンがブートされて online 状態になっていることが必要です。クラスタコアパッケージが solaris10 ブランドゾーンにまだインストールされていない場合は、クラスタリリース DVD ディレクトリに –d オプション、クラスタソフトウェアコンポーネントに –s オプション、パッチに –p オプションを指定することで、コアパッケージ、クラスタソフトウェアコンポーネント、およびパッチを同時にインストールできます。クラスタソフトウェアコンポーネントおよびパッチをインストールするためのオプションはオプションです。クラスタコアパッケージをすでにインストールしている場合でも、このサブコマンドを使用して、ゾーンクラスタでサポートされるパッチとクラスタソフトウェアコンポーネントをインストールできます。パッチ情報が指定されている場合は、ゾーンクラスタのクラスタノードを –o オプションで offline-running 状態にブートする必要があります。

このサブコマンドを solaris ブランドゾーンで使用するには、Oracle Solaris OS ソフトウェアが solaris ゾーンにインストールされていることと、ゾーンがゾーンクラスタ構成にインポートされていることが必要です。このサブコマンドを使用する前に、solaris ゾーンをブートして running 状態にする必要があります。クラスタコアパッケージが solaris ブランドゾーンにまだインストールされていない場合は、–s オプションと適切な引数を指定することで、コアパッケージとクラスタソフトウェアコンポーネントを同時にインストールできます。クラスタソフトウェアコンポーネントをインストールするためのオプションはオプションです。オプションが何も指定されていない場合は、大域ゾーンにインストールされているクラスタパッケージが、ゾーンクラスタのすべてのゾーンノードにインストールされます。オプション –d および –psolaris ゾーンには無効です。クラスタコアパッケージをすでにインストールしている場合でも、このサブコマンドを使用して、ゾーンクラスタでサポートされるソフトウェアコンポーネントをインストールできます。

solaris10 ブランドゾーンクラスタは、共有 IP ゾーンタイプのみをサポートします。排他的 IP および共有 IP ゾーンクラスタの詳細は、Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのインストール を参照してください。

このサブコマンドは、大域ゾーンからのみ実行できます。

list

構成されたゾーンクラスタの名前の表示。

このサブコマンドは、クラスタで構成されたゾーンクラスタの名前を報告します。

  • グローバルクラスタノードから list サブコマンドを実行する場合、サブコマンドはグローバルクラスタのすべてのゾーンクラスタのリストを表示します。

  • ゾーンクラスタノードから list サブコマンドを実行すると、サブコマンドはゾーンクラスタの名前のみを表示します。

ゾーンクラスタが構成された場所でノードのリストを表示するには、–v オプションを使用します。

move

ゾーンパスを新しいゾーンパスに移動。

このサブコマンドはゾーンパスを新しいゾーンパスに移動します。

move サブコマンドは、グローバルクラスタノードからのみ使用できます。

ready

アプリケーションに対してゾーンを準備。

このサブコマンドは、アプリケーションを実行するためのゾーンを準備します。

ready サブコマンドはグローバルクラスタノードからのみ使用できます。

reboot

ゾーンクラスタのリブート。

このサブコマンドはゾーンクラスタをリブートし、halt サブコマンドの実行に似ており、次に boot サブコマンドが続きます。詳細については、halt サブコマンドおよび boot サブコマンドを参照してください。

reboot サブコマンドはグローバルクラスタノードからのみ使用できます。

set

–p オプションで指定したプロパティーの値をゾーンクラスタに設定します。set サブコマンドは大域ゾーンまたはゾーンクラスタから使用できます。設定できるプロパティーについては、オプション セクションの –p の説明を参照してください。

show

ゾーンクラスタのプロパティーの表示。

ゾーンクラスタのプロパティーには、ゾーンクラスタ名、ブランド、IP タイプ、ノードリスト、ゾーンパス、および許可されたアドレスが含まれます。show サブコマンドはゾーンクラスタから実行しますが、特定のゾーンクラスタにのみ適用されます。ゾーンクラスタからこのサブコマンドを使用するとき、ゾーンパスは常に / です。ゾーンクラスタ名が指定される場合、このコマンドはそのゾーンクラスタにのみ適用されます。

show-rev

ゾーンクラスタの各ノードのクラスタのリリース情報を表示します。

この機能は、ゾーンクラスタにインストールされているリリースバージョンおよびパッチを一覧表示する場合に便利です。例:

# clzonecluster show-rev
=== Zone Clusters ===
Zone Cluster Name: zc1
Release at vznode1a on node pnode1:3.3u2_40u1_zc:2012-04-01
Release at vznode2a on node pnode2:3.3u2_40u1_zc:2012-04-01

show-rev サブコマンドは、グローバルクラスタノードまたはゾーンクラスタノードから使用できます。

status

ゾーンクラスタノードがゾーンクラスタのメンバーであるかどうかを判断し、そのゾーンクラスタが solarissolaris10labeled ブランドのいずれであるかを表示します。

ゾーンの状態は、ConfiguredInstalledReadyRunningShutting DownUnavailable のいずれかになります。グローバルクラスタ内のすべてのゾーンクラスタの状況は表示されているので、仮想クラスタの状態を見ることができます。

ゾーン活動を確認するには、zoneadm コマンドを代わりに使用します。

status サブコマンドはグローバルクラスタノードからのみ使用できます。

uninstall

ゾーンクラスタのアンインストール。

このサブコマンドは、ゾーンクラスタをアンインストールします。uninstall サブコマンドは zoneadm コマンドを使用します。

uninstall サブコマンドはグローバルクラスタノードからのみ使用できます。

verify

指定された情報の構文が正しいかどうかをチェックします。

このサブコマンドはゾーンクラスタの各ノードの zoneadm verify コマンドを呼び出して、各ゾーンクラスタのメンバーを安全にインストールできるようにします。詳細は、zoneadm(1M) を参照してください。

verify サブコマンドはグローバルクラスタノードからのみ使用できます。

オプション


注 -  このセクションでは、各オプションの短い形式と長い形式の両方が示されています。

次のオプションがサポートされています。

–?
–-help

ヘルプ情報を表示します。

このオプションは subcommand の使用に関係なく指定できます。

subcommand を指定しない場合、使用可能なすべてのサブコマンドのリストが表示されます。

subcommand を指定する場合、そのサブコマンドの使用法が表示されます。

このオプションとその他のオプションを指定すると、その他のオプションは無視されます。

–a absolute_path_to_archivezoneclustername

インストールされた Oracle Solaris 10 システム、インストールされた Oracle Solaris 10 ネイティブゾーン、または solaris10 ブランドゾーンの flash_archivecpiopaxxus-tarzfs archive、または level 0 ufsdump へのパスを指定します。また、統合アーカイブの絶対パスも指定できます。詳細は、solaris10(5)flash_archive(4)cpio(1)、および pax(1) のマニュアルページを参照してください。

–c config_profile.xml
–-configprofile config_profile.xml

solaris ブランドゾーンクラスタの構成プロファイルテンプレートを指定します。リポジトリからのインストール後に、テンプレートはシステム構成情報をゾーンクラスタのすべてのノードに適用します。config_profile.xml が指定されていない場合は、各ノードの大域ゾーンから zlogin -C zoneclustername コマンドを実行して、各ゾーンクラスタノードを手動で構成する必要があります。すべてのプロファイルには .xml 拡張子が必要です。

–c オプションは、構成プロファイルテンプレートのゾーンクラスタノードのホスト名を置き換えます。プロファイルは、ゾーンクラスタノードのブート後に、ゾーンクラスタノードに適用されます。

このプロファイルの内容は、対話型の clzonecluster ユーティリティーに指定される、行で区切られたコマンドのリストです。このプロファイルの内容の例については、このマニュアルページののセクションを参照してください。

–d absolute_root_path
–-dirpath dirpatch

–d オプションを cluster サブコマンドとともに使用すると、インストール済みの Oracle Solaris 10 システムのルートディレクトリへのパスが指定されます。パスは、ゾーンクラスタがインストールされるクラスタのすべての物理ノードでアクセスできるようにしてください。

–d
–-dvd-directory dvd-directory

DVD イメージディレクトリを指定します。

install-cluster サブコマンドで使用されている場合、–d オプションは、solaris10 ブランドゾーンをサポートする Oracle Solaris Cluster リリースの DVD イメージディレクトリを指定します。DVD イメージには、コアパッケージと、ゾーンクラスタおよび Geographic Edition ソフトウェアでサポートされているほかのクラスタソフトウェアコンポーネント (エージェントなど) が含まれます。DVD ディレクトリは、コマンドを実行するノードの大域ゾーンからアクセスできるようにする必要があります。

–d
–-dry_run

apply サブコマンドで –d オプションが使用されている場合、再構成は予行演習モードで実行されます。予行演習モードでは構成が変更されず、実行中のゾーンはそのままの状態になります。予行演習モードは、実際の再構成によって実行されるアクションを確認するために使用します。

–f{commandfile | zonepath}
–-file-argument {commandfile | zonepath}

configure サブコマンドとともに使用するとき、–f オプションはコマンドファイルの引数を指定します。たとえば、clzonecluster configure –f commandfile と指定します。move サブコマンドとともに使用するとき、–f オプションは zonepath を指定します。

–F

delete および uninstall 操作の間、–F オプションを使用できます。–F オプションは、Are you sure you want to do this operation [y/n]? という質問を強制的に抑制します。

–m method
–-method method

ゾーンクラスタをクローニングするには、–m オプションを使用します。クローニングの唯一有効なメソッドは、copy コマンドです。clone サブコマンドを実行する前に、ソースゾーンクラスタを停止する必要があります。

–M manifest.xml
–-manifest manifest.xml

solaris ブランドゾーンクラスタのすべてのノードにマニフェストを指定するには、–M オプションを使用します。このマニフェストは、Oracle Solaris パッケージ情報と、ゾーンクラスタのインストールのための Oracle Solaris Cluster パッケージを指定します。

–n nodename[…]
–-nodelist nodename[,…]

サブコマンドのノードリストを指定します。

たとえば、clzonecluster boot –n phys-schost-1, phys-schost-2 zoneclustername と指定します。

–o
–-offline

ゾーンクラスタを offline-running モードにブートまたはリブートします。

offline-running モードになるのは、ゾーンクラスタノードがゾーンクラスタメンバシップから除外されているが、Oracle Solaris ゾーン状態が実行中の場合です。ゾーンクラスタは、物理クラスタとブートモード (クラスタまたは非クラスタモード) を共有するため、オフライン状態は非クラスタモードのクラスタとは異なります。

ゾーンクラスタをオフライン実行モードにブートするには、次を入力します。

clzonecluster boot [-n phys-schost-1,…] [-o] zoneclustername

ゾーンクラスタをオフライン実行モードにリブートするには、次を入力します。

clzonecluster reboot [-n phys-schost-1,…] [-o] zoneclustername

offline-running ゾーンクラスタを online-running モードにブートするには、–o オプションを指定せずに clzonecluster reboot コマンドを実行します。

–p name=value
–-property=name=value
–-property name=value

–p オプションは、install-cluster サブコマンドおよび set サブコマンドで使用されます。install-cluster サブコマンドでの –p の使用方法については、–p patchdir=patchdir[,patchlistfile =patchlistfile] の説明を参照してください。

–p オプションは set サブコマンドとともに使用して、プロパティーの値を指定します。–p name=value は複数回指定できます。

このオプションは set サブコマンドと一緒に使用して、次のプロパティーを変更します:

resource_security

プログラムの実行のセキュリティーポリシーを RGM リソース別に指定します。resource_security で使用可能な値は、SECUREWARNOVERRIDE、または COMPATIBILITY です。

Start や Validate などのリソースメソッドは、常に root として実行されます。メソッドの実行可能ファイルに root 以外の所有権、あるいは group または world 書き込み権がある場合は、セキュアでない状態になりますこの場合、resource_security プロパティーが SECURE に設定されていると、リソースメソッドの実行は実行時に失敗し、エラーが返されます。resource_security がその他の設定であれば、リソースメソッドは実行を許可され、警告メッセージが表示されます。最大限のセキュリティーを確保するため、resource_securitySECURE に設定してください。

resource_security 設定では、application_user リソースプロパティーを宣言するリソースタイプの動作も変更します。詳細は、r_properties(5) のマニュアルページの application_user に関するセクションを参照してください。

–p patchdir=patchdir[,patchlistfile=patchlistfile]
–-patch-specification=patchdir=patchdir[,patchlistfile=patchlistfile]
–-patch-specification patchdir=patchdir[,patchlistfile=patchlistfile]

–p オプションで指定された patchdir および patchlistfile プロパティーは、install-cluster サブコマンドでのみ使用されます。コアパッケージがインストールされたあとにパッチをインストールした場合、パッチを適用するには、ゾーンクラスタを offline-running 状態にブートする必要があります。

–p name= value は複数回指定できます。

patchdir

solaris10 ブランドゾーンに適用する Oracle Solaris Cluster パッチが含まれているディレクトリを指定します。patchdir ディレクトリは必須で、ゾーンクラスタのすべてのノードで、solaris10 ブランドゾーン内部からアクセスできる必要があります。

patchlistfile

patchlistfile を指定します。patchlistfile は、インストールするパッチのリストを含むファイルを指定します。オプションの patchlistfile が指定されていない場合、コマンドは patchdir ディレクトリ内部のすべてのパッチをインストールしようとします。patchlistfilepatchdir ディレクトリに作成し、パッチ ID を 1 行に 1 つずつリストして、インストールするパッチを示すこともできます。

–s
–-software-component {all | software-component[,…]}

インストールするソフトウェアコンポーネントを指定します。

solaris10 ブランドゾーンの場合、これらのコンポーネントは、コアパッケージに追加され、ゾーンクラスタまたは Geographic Edition ソフトウェアでサポートされるデータサービスにすることができます。-s all を使用すると、それ以外のコンポーネントは指定できなくなり、すべてのデータサービスと Geographic Edition ソフトウェアがインストールされます。データサービスエージェントの場合、コンポーネント名はエージェント名になります。Geographic Edition ソフトウェアの場合は、–s geo として指定します。–s を指定しない場合は、クラスタフレームワークソフトウェアのみがインストールされます。

solaris ブランドゾーンの場合、このオプションを使用して、コアグループパッケージ、データサービスグループパッケージ、または Geographic Edition ソフトウェアを指定できます。-s all を使用すると、それ以外のコンポーネントは指定できなくなり、すべてのデータサービス、Geographic Edition ソフトウェア、および大域ゾーンにインストールされているすべてのコアパッケージがインストールされます。–s オプションを指定しない場合は、大域ゾーンにインストールされているパッケージのみがインストールされます。

–v
–-verbose

詳細情報を標準出力 (stdout) で表示します。

–V
–-version

コマンドのバージョンを表示します。

このオプションをほかのオプション、サブコマンド、またはオペランドと一緒に指定する場合、これらはすべて無視されます。コマンドのバージョンだけが表示されます。ほかの処理は行われません。

[–x cert|ca-cert|key=file] …

HTTPS 統合アーカイブの場所を使用する場合は、SSL 証明書、CA 証明書、および鍵ファイルを指定します。–x オプションは何度でも指定できます。

–Z target-zoneclustername
–-zonecluster target-zoneclustername

クローンするゾーンクラスタの名前。

クローンするソースゾーンクラスタの名前を使用します。このサブコマンドを使用する前に、ソースゾーンクラスタを停止する必要があります。

–z zone

統合アーカイブに複数のゾーンが含まれている場合は、インストールのソースのゾーン名を指定します。

リソースとプロパティー

clzonecluster コマンドは、ゾーンクラスタの複数のリソースとプロパティーをサポートします。

clzonecluster コマンドでサポートされるリソースとプロパティーを構成するには、clzonecluster コマンドを使用する必要があります。clzonecluster コマンドでサポートされていないリソースとプロパティーの構成の詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

次のサブセクション「リソース」および「プロパティー」では、clzonecluster コマンドでサポートされるリソースとプロパティーについて説明します。

リソース

次は、リソーススコープでサポートされるリソースタイプと、詳細が見つかる場所を一覧表示します。

admin

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。このリソースは、クラスタスコープとノードスコープの両方で使用できます。このリソースは、個々の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡されます。リソースがクラスタとノードスコープの両方で指定されている場合、ノードスコープのリソース情報は、ゾーンクラスタの特定のノードの Oracle Solaris ゾーンに渡されます。

admin リソースの auths プロパティーは、次の値のいずれかに設定できます:

clone

solaris.zone.clonefrom と同等

login

solaris.zone.login と同等

manage

solaris.zone.manage と同等

capped-cpu

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。このリソースは、クラスタスコープとノードスコープの両方で使用できます。このリソースは、個々の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡されます。リソースがクラスタとノードスコープの両方で指定されている場合、ノードスコープのリソース情報は、ゾーンクラスタの特定のノードの Oracle Solaris ゾーンに渡されます。

capped-memory

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。このリソースは、クラスタスコープとノードスコープで使用できます。このリソースは、個々の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡されます。リソースがクラスタとノードスコープの両方で指定されている場合、ノードスコープのリソース情報は、ゾーンクラスタの特定のノードの Oracle Solaris ゾーンに渡されます。

dataset

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。このリソースは、クラスタスコープまたはノードスコープで使用できます。データセットはクラスタとノードスコープの両方では指定できません。

クラスタスコープのリソースは、ゾーンクラスタで高可用性 ZFS ファイルシステムに使用される ZFS データセットのエクスポートに使用されます。クラスタスコープで指定されている場合、エクスポートしたデータセットは Oracle Solaris Cluster ソフトウェアによって管理され、個別の Oracle Solaris ゾーンレベルには渡されません。データセットは、ゾーンクラスタ間で共有できません。

ノードスコープのリソースは、ローカル ZFS データセットを特定のゾーンクラスタノードにエクスポートするのに使用されます。ノードスコープで指定されている場合、エクスポートしたデータセットは Oracle Solaris Cluster ソフトウェアによって管理されず、個別の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡されます。

dedicated-cpu

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。各ノードのゾーンクラスタ向けに設けられた CPU の定数を使用できます。

このリソースは、クラスタスコープとノードスコープで使用できます。このリソースは、個々の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡されます。リソースがクラスタとノードスコープの両方で指定されている場合、ノードスコープのリソース情報は、ゾーンクラスタの特定のノードの Oracle Solaris ゾーンに渡されます。

device

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。このリソースは、個々の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡され、クラスタスコープまたはノードスコープで指定できます。ノードスコープのリソースは、ゾーンクラスタノードに固有のデバイスを追加するのに使用されます。デバイスは、1 つのゾーンクラスタに対してのみ追加できます。クラスタスコープとノードスコープの両方に同じデバイスを追加することはできません。

fs

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。このリソースは、クラスタスコープまたはノードスコープで指定できます。fs リソースはクラスタとノードスコープの両方では指定できません。

クラスタスコープのリソースは、ゾーンクラスタで使用されるファイルシステムをエクスポートする場合に一般に使用されます。エクスポートされたファイルシステムは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアによって管理され、cluster-control プロパティーを false に設定した lofs ファイルシステムを除き、個別の Oracle Solaris ゾーンレベルには渡されません。cluster-control プロパティーの詳細は、このマニュアルページの「リソース」セクションの fs に関する説明を参照してください。

ノードスコープのリソースは、ローカルファイルシステムを特定のゾーンクラスタノードにエクスポートするのに使用されます。ノードスコープで指定されている場合、エクスポートしたファイルシステムは Oracle Solaris Cluster ソフトウェアによって管理されず、個別の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡されます。

直接マウントとループバックマウントのいずれかを使用して、ファイルシステムをゾーンクラスタにエクスポートできます。直接マウントでは、指定したファイルシステムをゾーンのルート下の場所か、パスにルートゾーンが含まれるサブディレクトリにマウントすることで、ゾーンクラスタ内からファイルシステムにアクセスできます。直接マウントでは、ファイルシステムはこのゾーンクラスタに排他的に属します。ゾーンクラスタが Oracle Solaris Trusted Extensions 上で実行される場合、読み取りおよび書き込み権限の両方を付けてマウントされるファイルについては、直接マウントの使用が必須です。ゾーンクラスタは、UFS、QFS スタンドアロンファイルシステム、QFS 共有ファイルシステム、および ZFS (データセットとしてエクスポート) の直接マウントをサポートします。

ループバックマウントは、ある場所ですでにマウントされているファイルシステムを別の場所でマウントされているように見せるためのメカニズムです。ゾーンクラスタごとに 1 つのループバックマウントを使用することで、1 つのファイルシステムを複数のゾーンクラスタにエクスポートできます。これによって、1 つのファイルシステムを複数のゾーンクラスタで共有できます。管理者は、ファイルシステムを複数のゾーンクラスタで共有する前に、セキュリティー面での影響を検討する必要があります。実際のファイルシステムのマウント方法にかかわらず、ループバックマウントでは、アクセスを読み取り専用に制限することができます。

fs: cluster-control

cluster-control プロパティーが適用されるのは、クラスタスコープで指定されたループバックマウントのみです。cluster-control プロパティーのデフォルト値は true です。

プロパティー値が true である場合、Oracle Solaris Cluster はこのファイルシステムを管理し、ファイルシステム情報を zonecfg コマンドに渡しません。Oracle Solaris Cluster は、ゾーンのブート後、必要に応じてゾーンクラスタノード内のファイルシステムをマウントまたはマウント解除します。

Oracle Solaris Cluster は、QFS 共有ファイルシステム、UFS、QFS スタンドアロンファイルシステム、および UFS 上の PxFS についてループバックマウントを管理できます。

プロパティー値が false である場合、Oracle Solaris Cluster はファイルシステムを管理しません。クラスタソフトウェアは、このファイルシステム情報とすべての関連情報を zonecfg コマンドに渡し、これにより各マシンでゾーンクラスタのゾーンが作成されます。この場合、Oracle Solaris ソフトウェアはゾーンのブート時にファイルシステムをマウントします。管理者は、このオプションを UFS ファイルシステムで使用できます。

管理者はクラスタスコープでループバックマウントを指定できます。cluster-control プロパティー値を false にしてループバックマウントを構成すると、共通のローカルディレクトリ (実行可能ファイルが格納されているディレクトリなど) の読み取り専用マウントに便利です。この情報は、実際のマウントを実行する zonecfg コマンドに渡されます。cluster-control プロパティー値を true にしてループバックマウントを構成すると、グローバルファイルシステム (PxFS) または共有 QFS ファイルシステムをクラスタ制御下にあるゾーンクラスタで使用できるので便利です。

QFS 共有ファイルシステム、UFS、QFS スタンドアロンファイルシステム、および ZFS は最大 1 つのゾーンクラスタに構成されます。

net

ネットリソースの詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

論理ホストまたは共有アドレスなど、Oracle Solaris Cluste によって管理されるネットリソースは、クラスタスコープで指定されます。Oracle RAC VIP などのアプリケーションで管理されるネットリソースは、クラスタスコープで指定されます。これらのネットワークリソースは個別の Oracle Solaris ゾーンレベルには渡されません。

管理者は、指定された IP アドレスで使用するために、NIC (Network Interface Card、ネットワークインタフェースカード) を指定できます。システムは、次の 2 つの要件を満足させる NIC を自動的に選択します。

  • NIC はすでに、同じサブネットに接続されています。

  • NIC は、このゾーンクラスタに対して構成されています。

node

ノードリソースは、次の 2 つの目的を実行します。

  • スコープレベルの識別。ノードスコープで指定された任意のリソースは、もっぱらこの特定ノードにのみ属します。

  • ゾーンクラスタのノードの識別。管理者は、そのマシンのグローバルクラスタの大域ゾーンを識別することによって、ゾーンが実行するマシンの場所を識別します。各ゾーンクラスタノードの IP アドレスおよび NIC の指定はオプションです。管理者は、このノードに到達するためのネットワーク情報を識別する情報も指定します。


注 -  管理者が各ゾーンクラスタノードの IP アドレスを構成しない場合、2 つのことが起こります:
  1. その特定のゾーンクラスタでは、ゾーンクラスタで使用するための NAS デバイスを構成することができません。クラスタは、NAS デバイスと通信する際にはゾーンクラスタノードの IP アドレスを使用するため、IP アドレスを持たないクラスタは、NAS デバイスのフェンシングをサポートできません。

  2. クラスタソフトウェアによって、NIC の論理ホスト IP アドレスが有効化されます。


privnet

このリソースはノードスコープで使用できます。このリソースは、ゾーンクラスタのプライベートアダプタとして使用できるデータリンクデバイスを指定します。リソースは、ゾーンクラスタに割り当てる前に、大域ゾーンで使用できるようにする必要があります。排他的 IP ゾーンクラスタが構成されている場合は、enable_priv_net プロパティーがデフォルトで true に設定され、ゾーンクラスタのノード間のプライベートネットワーク通信が有効になります。

add node
add privnet
set physical=vnic1
end
add privnet
set physical=vnic5
end
end

リソースプロパティー privnet の順序は、ゾーンクラスタのノード間のパスを形成するのに使用されます。最初のノードで指定された最初の privnet アダプタは、2 番目のノードで指定された最初の privnet パスを使用してパスを形成しようとします。privnet リソースの順序は、追加および削除操作のあとも保持されます。


注 -  privnet リソースは、複数の排他的 IP ゾーン間で共有することはできません。特定の排他的 IP ゾーンに割り当てる必要があります。
rctl

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。このリソースは、クラスタスコープとノードスコープの両方で使用できます。このリソースは、個々の Oracle Solaris ゾーンレベルに渡されます。リソースがクラスタとノードスコープの両方で指定されている場合、ノードスコープのリソース情報は、ゾーンクラスタの特定のノードの Oracle Solaris ゾーンに渡されます。

sysid

sysidcfg(4) のマニュアルページを参照してください。このリソースでは、solaris10 ゾーンクラスタのすべてのソーンでシステム識別パラメータを指定します。

プロパティー

各リソースタイプには、1 つ以上のプロパティーがあります。次のプロパティーは、クラスタでサポートされています。

(cluster)

admin

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

allowed-address

アダプタ上で plumb できる IP アドレスを指定します。特定の IP アドレスのみが許可されます。このオプションのプロパティーは、ノードスコープのネットリソースに使用されます。例:

set allowed-address=1.2.2.3/24

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

attr

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。ゾーンクラスタは、cluster に設定されたプロパティー name、boolean に設定されたプロパティー type、および true に設定されたプロパティー value を使用します。これらのプロパティーは、ゾーンクラスタが create オプションを使用して構成されるとデフォルトで設定されます。これらのプロパティーはゾーンクラスタ構成に必須であり、変更できません。

(cluster)

autoboot

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

bootargs

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

brand

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。サポートされているブランドタイプは、solaris、solaris10、および labeled ブランドのみです。

(cluster)

cpu-shares

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

device

zonecfg(1M)

(cluster)

enable_priv_net

True に設定されているとき、Oracle Solaris のプライベートネットワーク通信はゾーンクラスタのノード間で有効になります。

  • ip-typeshared に設定されている場合、ゾーンクラスタノード間の通信にはグローバルクラスタのプライベートネットワークが使用されます。

  • ip-typeexclusive に設定されている場合、ゾーンクラスタノード間の通信には、指定された privnet リソースが使用されます。enable_priv_net プロパティーが false に設定されている場合を除き、排他的 IP ゾーンクラスタ構成には privnet リソースが必要です。

Oracle Solaris Cluster のゾーンクラスタノードのプライベートホスト名および IP アドレスは、システムによって自動的に生成されます。値が False に設定されている場合、プライベートネットワークは無効になります。デフォルト値は True です。


注 -  ゾーンクラスタが作成されたあとに enable_priv_net プロパティーの値を変更することはできません。
(cluster)

ip-type

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。サポートされている値は、shared と exclusive だけです。

(cluster)

limitpriv

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

max-lwps

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

max-msg-ids

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

max-sem-ids

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

max-shm-ids

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

monitor_quantum

排他的 IP ゾーンクラスタへのプライベート接続をモニターするためにモニタリングメッセージを送信する頻度 (ミリ秒単位) を指定します。デフォルトのモニタリング定量値 (これは最小値でもあります) は 1,000 ミリ秒です。

(cluster)

monitor_timeout

排他的 IP ゾーンクラスタへのプライベート接続をモニターするために使用される時間間隔 (ミリ秒単位) を指定します。このタイムアウト値が経過してもピアゾーンノードからモニタリングメッセージが受信されない場合、対応するパスはダウンしていると宣言されます。デフォルトのタイムアウト値は 20,000 ミリ秒です。この値を 10,000 ミリ秒より小さくすることはできません。monitor_timeout に指定する値は常に、モニター定量に指定する値の 5 倍以上である必要があります。

(cluster)

max-shm-memory

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

pool

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

(cluster)

zonename

ゾーンクラスタの名前と、ゾーンクラスタの各ゾーンの名前。

(cluster)

zonepath

ゾーンクラスタの各ゾーンのゾーンパス。

admin

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

capped-cpu

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

capped-memory

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

dataset

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

dedicated-cpu

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

device

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

fs

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

inherit pkg-dir

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

net

詳細は、zonecfg(1M) のマニュアルページを参照してください。

node

physical-host、hostname、net を含みます。

  • physical-host - このプロパティーは、ゾーンクラスタノードをホストするグローバルクラスタノードを指定します。

  • hostname - このプロパティーは、physical-host プロパティーで指定されたグローバルクラスタノード上のゾーンクラスタノードのパブリックホスト名を指定します。

  • net - このリソースは、physical-host で指定されたグローバルクラスタノード上のゾーンクラスタノードによるパブリックネットワーク通信のネットワークアドレスと物理インタフェース名を指定します。

rctl

zonecfg(1M) を参照してください。

sysid

/usr/bin/sysconfig configure コマンドを使用します。sysidcfg(4) を参照してください。root_password、name_service、security_policy、system_locale、timezone、terminal、および nfs4_domain を含みます。管理者は Oracle Solaris の通常の手順に従い、あとで sysidcfg config 値をノードごとに手動で変更できます。

  • root_password - このプロパティーは、ゾーンクラスタのすべてのノードで共通の root パスワードの暗号化された値を指定します。平文のパスワードは指定しないでください。/etc/shadow からの暗号化されたパスワード文字列を使用する必要があります。これは必須プロパティーです。

  • name_service - このオプションプロパティーは、ゾーンクラスタで使用されるネームサービスを指定します。ただし、大域ゾーンの /etc/sysidcfg ファイルの設定が無効になる場合があります。このプロパティーの設定を確実に正しいものにするには、clzonecluster コマンドを使用して手動で値を入力します。

  • security_policy - この値は、デフォルトでは none に設定されます。

  • system_locale - この値は、デフォルトでは clzonecluster コマンドの環境から取得されます。

  • timezone - このプロパティーは、ゾーンクラスタで使用されるタイムゾーンを指定します。値は、デフォルトで clzonecluster コマンドの環境から取得されます。

  • terminal - この値は、デフォルトでは xterm に設定されます。

  • nfs4_domain - この値は、デフォルトでは dynamic に設定されます。

終了ステータス

このコマンドセットにあるすべてのコマンドの終了ステータスコードの完全なリストについては、Intro(1CL) のマニュアルページを参照してください。

指定したすべてのオペランドでコマンドが成功すると、コマンドはゼロ (CL_NOERR) を返します。あるオペランドでエラーが発生すると、コマンドはオペランドリストの次のオペランドを処理します。戻り値は常に、最初に発生したエラーを反映します。

このコマンドは、次の終了ステータスコードを返します。

0 CL_NOERR

エラーなし

実行したコマンドは正常に終了しました。

1 CL_ENOMEM

十分なスワップ空間がありません。

クラスタノードがスワップメモリーまたはその他のオペレーティングシステムリソースを使い果たしました。

3 CL_EINVAL

無効な引数

コマンドを間違って入力したか、–i オプションで指定したクラスタ構成情報の構文が間違っていました。

6 CL_EACCESS

アクセス権がありません

指定したオブジェクトにアクセスできません。このコマンドを実行するには、スーパーユーザーまたは RBAC アクセスが必要である可能性があります。詳細は、su(1M) および rbac(5) のマニュアルページを参照してください。

18 CL_EINTERNAL

内部エラーが発生しました

内部エラーは、ソフトウェアの欠陥またはその他の欠陥を示しています。

35 CL_EIO

I/O エラー

物理的な入出力エラーが発生しました。

36 CL_ENOENT

そのようなオブジェクトはありません。

次のいずれかの理由で、指定したオブジェクトが見つかりません: (1) オブジェクトが存在しない。(2) –o オプションで作成しようとした構成ファイルのパスに含まれているディレクトリが存在しない。(3) –i オプションでアクセスしようとした構成ファイルにエラーがある。

38 CL_EBUSY

オブジェクトはビジーです

アクティブなクラスタノードへの最後のクラスタインターコネクトパスからケーブルを取り外そうとしました。または、参照を削除していないクラスタ構成からノードを削除しようとしました。

39 CL_EEXIST

オブジェクトは存在します。

指定したデバイス、デバイスグループ、クラスタインターコネクトコンポーネント、ノード、クラスタ、リソース、リソースタイプ、リソースグループ、またはプライベート文字列はすでに存在します。

41 CL_ETYPE

無効なタイプです

–t または –p オプションで指定したタイプは存在しません。

使用例 1 ゾーンクラスタ作成用の構成ファイル

次の例では、ゾーンクラスタを作成するために clzonecluster ユーティリティーで使用できるコマンドファイル sczone-config の内容を示します。このファイルには、通常は手動で入力する一連の clzonecluster コマンドが含まれています。

次の構成では、グローバルクラスタノード phys-schost-1 にゾーンクラスタ sczone が作成されます。このゾーンクラスタは、ゾーンパスとしての /zones/sczone と、パブリック IP アドレス 172.16.2.2 を使用します。このゾーンクラスタの第 1 のノードでは、zc-host-1 がホスト名として割り当てられ、ネットワークアドレス 172.16.0.1net0 アダプタが使用されています。ゾーンクラスタの第 2 のノードは、グローバルクラスタノード phys-schost-2 に作成されます。この 2 番目のゾーンクラスタノードは、ホスト名 zc-host-2 が割り当てられ、ネットワークアドレス 172.16.0.2 および net1 アダプタを使用します。

create
set zonepath=/zones/sczone
add net
set address=172.16.2.2
end
add node
set physical-host=phys-schost-1
set hostname=zc-host-1
add net
set address=172.16.0.1
set physical=net0
end
end
add node
set physical-host=phys-schost-2
set hostname=zc-host-2
add net
set address=172.16.0.2
set physical=net1
end
end
commit
exit
使用例 2 構成ファイルを使用してゾーンクラスタを作成する

次の例では、構成ファイル sczone-config を使用して、グローバルクラスタノード phys-schost-1 上に新しいゾーンクラスタ sczone を作成するためのコマンドを示します。ゾーンクラスタノードのホスト名は、zc-host-1zc-host-2 です。

phys-schost-1# clzonecluster configure -f sczone-config sczone

phys-schost-1# clzonecluster verify sczone
phys-schost-1# clzonecluster install sczone
Waiting for zone install commands to complete on all the nodes of the 
zone cluster "sczone"...
phys-schost-1# clzonecluster boot sczone
Waiting for zone boot commands to complete on all the nodes of the 
zone cluster "sczone"...
phys-schost-1# clzonecluster status sczone
=== Zone Clusters ===

--- Zone Cluster Status ---

Name      Node Name        Zone HostName    Status    Zone Status
----      ---------        -------------    ------    -----------
sczone    phys-schost-1    zc-host-1        Offline   Running
          phys-schost-2    zc-host-2        Offline   Running

下のすべての例で、zoneclusternamesczone です。最初のグローバルクラスタノードは phys-schost-1 で、2 番目のノードは phys-schost-2 です。最初のゾーンクラスタノードは zc-host-1 で、2 番目は zc-host-2 です。

使用例 3 新しいゾーンクラスタの作成

次の例では、2 ノード solaris10 ブランドゾーンクラスタの作成方法を示します。zpool "tank" は、高可用性 ZFS ファイルシステムとして使用されるゾーンに委任されます。ゾーンクラスタで使用できるメモリの量を制限するために、メモリキャッピンングが使用されます。ルートパスワードを除き、デフォルトのシステム識別値が使用されます。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
sczone: No such zone cluster configured
Use 'create' to begin configuring a new zone cluster.
clzc:sczone> create -b
clzc:sczone> set zonepath=/zones/timuzc
clzc:sczone> set brand=solaris10
clzc:sczone> set autoboot=true
clzc:sczone> set bootargs="-m verbose"
clzc:sczone> set limitpriv="default,proc_priocntl,proc_clock_highres"

clzc:sczone> set enable_priv_net=true
clzc:sczone> set ip-type=shared
clzc:sczone> add dataset
clzc:sczone:dataset> set name=tank
clzc:sczone:dataset> end
clzc:sczone> add capped-memory
clzc:sczone:capped-memory> set physical=3G
clzc:sczone:capped-memory> end
clzc:sczone> add rctl
clzc:sczone:rctl> set name=zone.max-swap
clzc:sczone:rctl> add value (priv=privileged,limit=4294967296,action=deny)

clzc:sczone:rctl> end
clzc:sczone> add rctl
clzc:sczone:rctl> set name=zone.max-locked-memory
clzc:sczone:rctl> add value (priv=privileged,limit=3221225472,action=deny)

clzc:sczone:rctl> end
clzc:sczone> add attr
clzc:sczone:attr> set name=cluster
clzc:sczone:attr> set type=boolean
clzc:sczone:attr> set value=true
clzc:sczone:attr> end
clzc:sczone> add node
clzc:sczone:node> set physical-host=ptimu1
clzc:sczone:node> set hostname=zc-host-1
clzc:sczone:node> add net
clzc:sczone:node:net> set address=vztimu1a
clzc:sczone:node:net> set physical=sc_ipmp0
clzc:sczone:node:net> end
clzc:sczone:node> end
clzc:sczone> add node
clzc:sczone:node> set physical-host=ptimu2
clzc:sczone:node> set hostname=zc-host-2
clzc:sczone:node> add net
clzc:sczone:node:net> set address=vztimu2a
clzc:sczone:node:net> set physical=sc_ipmp0
clzc:sczone:node:net> end
clzc:sczone:node> end
clzc:sczone> add fs
clzc:sczone:fs> set dir=/opt/local
clzc:sczone:fs> set special=/usr/local
clzc:sczone:fs> set type=lofs
clzc:sczone:fs> add options [ro,nodevices]
clzc:sczone:fs> set cluster-control=false
clzc:sczone:fs> end
clzc:sczone> add sysid
clzc:sczone> set root_password=ZiitH.NOLOrRg
clzc:sczone> set name_service="NIS{domain_name=mycompany.com name_server=
 ns101c-90(10.100.10.10)}"
clzc:sczone> set nfs4_domain=dynamic
clzc:sczone> set security_policy=NONE
clzc:sczone> set system_locale=C
clzc:sczone> set terminal=xterms
clzc:sczone> set timezone=US/Pacific
clzc:sczone> end

create サブコマンド (前述の create -b サブコマンドではなく) を使用する場合は、デフォルトのテンプレートが使用され、attr プロパティーがすでに設定されています。

ゾーンクラスタが構成されます。次のコマンドがインストールされ、広域クラスタノードからゾーンクラスタをブートします。

phys-schost-1# clzonecluster install -a absolute_path_to_archive install sczone
phys-schost-1# clzonecluster boot sczone
使用例 4 統合アーカイブからのゾーンクラスタの作成

次の例では、統合アーカイブからゾーンクラスタを作成してインストールする方法を示します。統合アーカイブは、大域ゾーン、非大域ゾーン、またはゾーンクラスタノードから作成できます。統合アーカイブからのゾーンクラスタの構成およびインストールのために、クローンアーカイブと復旧用のアーカイブの両方がサポートされています。統合アーカイブをクラスタ化されていないゾーンから作成する場合は、プロパティー enable_priv_net=true を設定する必要があります。また、ゾーンのプロパティーも必要に応じて変更するようにしてください。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
sczone: No such zone cluster configured
Use 'create' to begin configuring a new zone cluster.
clzc:sczone> create -a absolute_path_to_archive -z archived_zone_1
clzc:sczone> set zonepath=/zones/sczone

clzc:sczone> set enable_priv_net=true
clzc:sczone> set ip-type=shared

clzc:sczone> add attr
clzc:sczone:attr> set name=cluster
clzc:sczone:attr> set type=boolean
clzc:sczone:attr> set value=true
clzc:sczone:attr> end

clzc:sczone> add node
clzc:sczone:node> set physical-host=psoft1
clzc:sczone:node> set hostname=zc-host-1
clzc:sczone:node> add net
clzc:sczone:node:net> set address=vzsoft1a
clzc:sczone:node:net> set physical=sc_ipmp0
clzc:sczone:node:net> end
clzc:sczone:node> end
clzc:sczone> add node
clzc:sczone:node> set physical-host=psoft2
clzc:sczone:node> set hostname=zc-host-2
clzc:sczone:node> add net
clzc:sczone:node:net> set address=vzsoft2a
clzc:sczone:node:net> set physical=sc_ipmp0
clzc:sczone:node:net> end
clzc:sczone:node> end

ゾーンクラスタが構成されます。次のコマンドは、グローバルクラスタノード上の統合アーカイブからゾーンクラスタをインストールします。

phys-schost-1# clzonecluster install -a absolute_path_to_archive -z archived-zone sczone

これで、ゾーンクラスタがインストールされました。次のコマンドは、そのゾーンクラスタをブートします。

phys-schost-1# clzonecluster boot sczone
使用例 5 既存のゾーンクラスタの変更

次の例では、例 1 で作成されたゾーンクラスタの構成の変更方法を示しています。追加のパブリック IP アドレスが phys-schost-2 のゾーンクラスタノードに追加されます。

高可用性ファイルシステムとして使用するために、UFS ファイルシステムがゾーンクラスタにエクスポートされます。これは、UFS ファイルシステムが Oracle Solaris Volume Manager メタデバイスで作成されていることを前提としています。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone
clzc:sczone> add device
clzc:sczone:device> set match=/dev/md/1/dsk/d100
clzc:sczone:device> end
clzc:sczone> add device
clzc:sczone:device> set match=/dev/md/oraset/dsk/d100
clzc:sczone:device> end
clzc:sczone> select node physical-host=phys-schost-2
clzc:sczone:node> add net
clzc:sczone:node:net> set address=192.168.0.3/24
clzc:sczone:node:net> set physical=bge0
clzc:sczone:node:net> end
clzc:sczone:node> end
clzc:sczone> add fs
clzc:sczone:fs> set dir=/qfs/ora_home
clzc:sczone:fs> set special=oracle_home
clzc:sczone:fs> set type=samfs
clzc:sczone:fs> end
clzc:sczone> exit
使用例 6 テンプレートとして既存のゾーンクラスタを使用した新規ゾーンクラスタの作成

次の例では、テンプレートとして例 1 で作成した sczone ゾーンクラスタを使用して、sczone1 というゾーンクラスタを作成する方法を示しています。新規ゾーンクラスタの構成は、元のゾーンクラスタと同じになります。競合を避けるために、新規ゾーンクラスタの一部のプロパティーを変更する必要があります。管理者が特定リソースを指定せずにリソースタイプを削除すると、システムはそのタイプのすべてのリソースを削除します。たとえば、remove net を指定すると、すべてのネットリソースが削除されます。

phys-schost-1# clzonecluster configure sczone1
sczone1: No such zone cluster configured
Use 'create' to begin configuring a new zone cluster.

clzc:sczone1> create -t sczone
clzc:sczone1>set zonepath=/zones/sczone1

clzc:sczone1> select node physical-host=phys-schost-1
clzc:sczone1:node> set hostname=zc-host-3
clzc:sczone1:node> select net address=zc-host-1
clzc:sczone1:node:net> set address=zc-host-3
clzc:sczone1:node:net> end
clzc:sczone1:node> end
clzc:sczone1> select node physical-host=phys-schost-2
clzc:sczone1:node> set hostname=zc-host-4
clzc:sczone1:node> select net address=zc-host-2
clzc:sczone1:node:net> set address=zc-host-4
clzc:sczone1:node:net> end
clzc:sczone1:node> remove net address=192.168.0.3/24
clzc:sczone1:node> end
clzc:sczone1> remove dataset name=tank/home
clzc:sczone1> remove net
clzc:sczone1> remove device
clzc:sczone1> remove fs dir=/qfs/ora_home
clzc:sczone1> exit

オペランド

次のオペランドがサポートされています。

zoneclustername

ゾーンクラスタの名前。新規ゾーンクラスタの名前を指定しています。zoneclustername オペランドはすべてのサブコマンドに対してサポートされています。

+

クラスタ内のすべてのノードです。+ オペランドは、サブコマンドのサブセットに対してのみサポートされています。

終了ステータス

このコマンドセットにあるすべてのコマンドの終了ステータスコードの完全なリストについては、Intro(1CL) のマニュアルページを参照してください。

指定したすべてのオペランドでコマンドが成功すると、コマンドはゼロ (CL_NOERR) を返します。あるオペランドでエラーが発生すると、コマンドはオペランドリストの次のオペランドを処理します。戻り値は常に、最初に発生したエラーを反映します。

このコマンドは、次の終了ステータスコードを返します。

0 CL_NOERR

エラーなし。

実行したコマンドは正常に終了しました。

1 CL_ENOMEM

十分なスワップ空間がありません。

クラスタノードがスワップメモリーまたはその他のオペレーティングシステムリソースを使い果たしました。

3 CL_EINVAL

無効な引数。

コマンドを間違って入力したか、–i オプションで指定したクラスタ構成情報の構文が間違っていました。

18 CL_EINTERNAL

内部エラーが発生しました。

36 CL_ENOENT

そのようなオブジェクトはありません。

次のいずれかの理由で、指定したオブジェクトが見つかりません: (1) オブジェクトが存在しない。(2) –o オプションで作成しようとした構成ファイルのパスに含まれているディレクトリが存在しない。(3) –i オプションでアクセスしようとした構成ファイルにエラーがある。

37 CL_EOP

操作が許可されていません

サポートされていない構成に対する操作を実行しようとしたか、サポートされていない操作を実行しました。

属性

次の属性の説明は、attributes(5) を参照してください:

属性タイプ
属性値
使用条件
ha-cluster/system/core
インタフェースの安定性
発展中

関連項目

clnode(1CL), cluster(1CL), Intro(1CL), scinstall(1M), zoneadm(1M), zonecfg(1M), clconfiguration(5CL)

スーパーユーザーはこのコマンドのすべての形式を実行できます。

すべてのユーザーがこのコマンドに –? (ヘルプ) オプションまたは –V (バージョン) オプションを指定して実行できます。

スーパーユーザー以外のユーザーが clzonecluster コマンドにサブコマンドを付けて実行するには、RBAC の承認が必要です。次の表を参照してください。

サブコマンド
RBAC の承認
boot
solaris.cluster.admin
check
solaris.cluster.read
clone
solaris.cluster.admin
configure
solaris.cluster.admin
delete
solaris.cluster.admin
export
solaris.cluster.admin
halt
solaris.cluster.admin
install
solaris.cluster.admin
list
solaris.cluster.read
monitor
solaris.cluster.modify
move
solaris.cluster.admin
ready
solaris.cluster.admin
reboot
solaris.cluster.admin
show
solaris.cluster.read
status
solaris.cluster.read
uninstall
solaris.cluster.admin
unmonitor
solaris.cluster.modify
verify
solaris.cluster.admin