Oracle Solaris Cluster リファレンスマニュアル

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更新: 2015 年 9 月
 
 

scswitch (1M)

名前

scswitch - Oracle Solaris Cluster 構成のリソースグループとデバイスグループの所有権および状態の変更の実行

形式

scswitch -c -h node[,...] -j resource[,...] -f flag-name
scswitch {-e | -n} [-M] -j resource[,...] [-h node[,...]]
scswitch -F {-g resource-grp[,...] | -D device-group[,...]}
scswitch -m -D device-group[,...]
scswitch -Q [-g resource-grp[,...]] [-k]
scswitch -R -h node[,...] -g resource-grp[,...]
scswitch -r [-g resource-grp[,...]]
scswitch -S -h node[,...] [-K continue_evac]
scswitch -s [-g resource-grp[,...]] [-k]
scswitch {-u | -o} -g resource-grp[,...]
scswitch -Z [-g resource-grp[,...]]
scswitch -z -D device-group[,...] -h node [,...]
scswitch -z [-g resource-grp[,...]] [-h node [,...]]

説明


注 -  Oracle Solaris Cluster ソフトウェアには、オブジェクト指向のコマンドセットが含まれます。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは従来のコマンドセットもサポートしますが、Oracle Solaris Cluster の手順に関するドキュメントではオブジェクト指向のコマンドセットのみを使用します。オブジェクト指向のコマンドセットの詳細は、Intro(1CL) のマニュアルページを参照してください。

scswitch コマンドは、リソースグループまたはデバイスグループ (ディスクデバイスグループとも呼ぶ) を新しいプライマリノードに移動します。このほかに、所有権を変更してすべてのリソースグループおよびデバイスグループを退避する機能、リソースグループやデバイスグループのオンラインとオフラインを切り替える機能、リソースの有効または無効を切り替える機能、リソースグループの状態を Unmanaged に切り替える (または元に戻す) 機能、リソースのエラーフラグをオフにする機能などを提供します。

scswitch コマンドは、Oracle Solaris Cluster 構成内のどのノードからでも実行できます。デバイスグループがオフラインの場合は、scswitch を使って、ノードリストの任意のホストに対してデバイスグループをオンラインにすることができます。ただし、デバイスグループをオンラインにすると、スペアノードへスイッチオーバーすることができなくなります。scswitch は同時に 1 個だけ実行することができます。

まだ処理が完了していない scswitch を強制終了しないでください。

このコマンドの有効な使用方法の詳細は、個々のオプションの説明を参照してください。管理を容易にするため、このコマンドは大域ゾーンで使用します。

オプション

基本オプション

次の基本オプションがサポートされます。これらのいくつかの基本オプションとともに使用できるオプションは、「追加オプション」で説明されています。

–c

指定されたノード上で、指定されたリソースセットの –f flag-name エラーフラグをクリアします。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの現在のリリースでは、–c オプションが実装されているのは Stop_failed リソース状態だけです。Stop_failed リソース状態をクリアすると、そのリソースは指定されたノード上でオフラインになります。

このオプションは、大域ゾーンでのみ使用します。

リソースに対して Stop メソッドが失敗し、そのリソースの Failover_mode プロパティーが Hard に設定されている場合、Resource Group Manager (RGM) はノードを停止またはリブートし、このリソース (およびそのノードがマスターするほかのすべてのリソース) を強制的にオフラインにします。

リソース上で Stop メソッドが失敗した場合、Failover_mode プロパティーが Hard 以外の値に設定されていると、個々のリソースは Stop_failed リソース状態になり、リソースグループは Error_stop_failed 状態になります。Error_stop_failed 状態になっているリソースグループは、どのノードでもオンラインにすることができず、また、リソースの追加や削除、リソースグループやリソースのプロパティーの変更などの編集も、一切行うことができません。Oracle Solaris Cluster 4.3 データサービス計画および管理ガイド に記載されている手順を実行することによって、Stop_failed リソース状態をクリアする必要があります。


Caution

注意  -  Stop_failed リソース状態をクリアする前に、指定されたノード上でリソースとそのモニターの両方が停止されていることを確認してください。リソースとモニターを完全に終了しないで Stop_failed リソース状態をクリアすると、クラスタ上で複数のリソースインスタンスが同時に実行される可能性があります。共有ストレージを使用している場合、クラスタ上で複数のリソースインスタンスが同時に実行されると、データが破壊される可能性があります。必要な場合は、最後の手段として、関連するプロセスに対して kill(1) コマンドを実行します。


–e

指定された resource を有効にします。

このオプションは、大域ゾーンでのみ使用します。

有効にされたリソースは、そのリソースグループがオンラインかオフラインかによって、オンラインまたはオフラインになります。

–h オプションと –e オプションを併用すると、指定されたノードのサブセットだけでリソースを有効にすることができます。–h オプションを省略した場合、指定されたリソースはすべてのノード上で有効になります。

–F

指定されたリソースグループ (–g) またはデバイスグループ (–D) をすべてのノードでオフラインにします。

–F オプションと –D オプションを併用するとき、–F オプションは大域ゾーンだけから実行できます。

–F オプションでデバイスグループをオフラインにすると、関連する Solaris Volume Manager のディスクセットがプライマリノードによりデポートまたは解放されます。デバイスグループをオフラインにする前に、そのデバイスへのアクセスをすべて停止し、依存する全ファイルシステムのマウントを解除してください。scswitch を明示的に呼び出すか、グループ内のデバイスにアクセスするか、このデバイスグループに依存するファイルシステムをマウントすると、オフラインのデバイスグループを起動できます。

–m

メンテナンスのため、指定されたデバイスグループをクラスタからオフラインにします。結果は、リブート後も保存されます。

このオプションは、大域ゾーンでのみ使用します。

デバイスグループをメンテナンスモードにする前に、そのデバイスへのアクセスをすべて停止し、依存する全ファイルシステムのマウントを解除してください。デバイスグループがアクセスされている最中である場合、このアクションは失敗し、指定されたデバイスグループはクラスタからオフラインにされません。

デバイスグループをオンラインに戻すには、–z オプションを使用します。デバイスグループのメンテナンスモードを終了するには、scswitch コマンドを明示的に呼び出すしかありません。

–n

指定されたリソースを無効にします。

このオプションは、大域ゾーンでのみ使用します。

現在のマスターでオンラインの無効なリソースは、現在のマスターから即座にオフラインにされます。無効なリソースは、リソースグループの状態にかかわらず、オフラインのままです。

–h オプションを –e オプションとともに指定すると、ノードの指定されたサブセット上のリソースのみを無効にできます。–h オプションを省略した場合、指定されたリソースはすべてのノード上で無効になります。

–o

指定された管理対象外のリソースグループを管理対象にします。

RGM は、管理対象になったリソースグループをオンラインにしようと試みます。

–Q

指定されたリソースグループを休止状態にします。

–g オプションを省略した場合、–Q オプションはすべてのリソースグループに適用されます。

このオプションは、Start メソッドまたは Stop メソッドが失敗した場合に、指定されたリソースグループがあるノードから別のノードに繰り返し切り換えられるのを停止します。この形式の scswitch コマンドは、リソースグループが休止状態になり、どのノード上でも停止したり起動したりしなくなってから終了します。

scswitch -Q コマンドの実行中にグループ内のいずれかのリソースで Monitor_stopStopPostnet_stopStart、または Prenet_start メソッドが失敗した場合、このリソースは、その実際の設定には関係なく、Failover_mode プロパティーが None に設定されているかのように動作します。これらのメソッドのいずれかが失敗した場合、ノードのフェイルオーバーやリブートは実行されず、リソースがエラー状態 (Start_failed または Stop_failed のリソース状態) になります。

scswitch -Q コマンドが終了すると、指定されたリソースグループはオンラインまたはオフラインか、あるいは ONLINE_FAULTED または ERROR_STOPPED_FAILED 状態になる可能性があります。clresourcegroup status コマンドを実行すると、これらリソースグループの現在のステータスを調べることができます。

scswitch -Q コマンドの実行中にノードが停止した場合、実行が中断され、リソースグループが非休止状態になることがあります。割り込みが発生すると、scswitch -Q コマンドは 0 以外の終了コードを返し、標準エラーにエラーメッセージを書き込みます。この場合は、scswitch -Q コマンドを再実行できます。

–k オプションと –Q オプションを併用すると、リソースグループの停止を早めることができます。–k オプションを指定する場合、影響を受けるリソースグループのリソースのために動作しているすべてのメソッドが即座に強制終了されます。–k オプションを指定しないと、終了するか構成されているタイムアウトを超えるまで継続的にメソッドを実行できます。

–R

指定されたプライマリノード上で、指定されたリソースグループをオフラインにしてから、オンラインに戻します。

指定されたノードは、リソースグループの現在のプライマリノードである必要があります。

–r

指定されたりソースグループで、以前 –s オプションで中断されていた自動回復アクションを再開します。

–g オプションを省略した場合、–r オプションはすべてのリソースグループに適用されます。

自動復旧を再開するコマンドを明示的に実行するまで、中断されたリソースグループが自動的に再開またはフェイルオーバーされることはありません。オンラインかオフラインかにかかわらず、中断されたデータサービスは現在の状態のままです。指定したノード上でリソースグループの状態を手作業で切り替えることもできます。また、リソースグループ内の個々のリソースも有効または無効にできます。

リソースグループの自動回復アクションを中断する方法については、–s オプションの説明を参照してください。

–S

すべてのリソースグループおよびデバイスグループを指定された node から切り替えます。

大域ゾーンで実行する場合、このオプションは、クラスタ内の指定された任意のノードを退避できます。

システムは、各グループの構成済みの設定に従って、新しいプライマリノードを選択しようとします。退避されたすべてのグループが、必ずしも同じプライマリノードによって再マスターされるとは限りません。指定されたノードによってマスターされている一部のグループが指定されたノードから正常に退避できなかった場合、このコマンドはエラーで終了します。

リソースグループはまずオフラインになってから、新しいプライマリノードに再配置されます。新しいプライマリノード上でシステムが起動できなかった場合、退避されたリソースグループはオフラインのままになることがあります。

デバイスグループのプライマリ所有権をほかのノードに移すことができない場合、そのデバイスグループのプライマリ所有権は元のノードによって保持されます。

–s

指定されたリソースグループ上の自動復旧アクションを中断し、そのリソースグループを休止します。

–g オプションを省略した場合、–s オプションはすべてのリソースグループに適用されます。

このオプションでリソースグループのモニタリングを明示的に再開するまで、中断されたリソースグループは、自動的に、起動、再起動、またはフェイルオーバーすることはありません。リソースグループのモニタリングが中断された状態にあるとき、データサービスはオンライン状態のままです。指定されたノード上では引き続き、リソースグループを手動でオンラインまたはオフラインに切り替えることができます。また、リソースグループ内の個々のリソースも有効または無効にできます。

リソースグループの自動復旧は、クラスタ内にある問題を調査して修正するために、中断する必要がある場合があります。または、リソースグループサービス上で保守を行う必要がある場合もあります。

–k オプションも指定すると、影響を受けるリソースグループのリソースのために動作しているすべてのメソッドを即座に強制終了できます。–k オプションを使用することで、リソースグループの休止を早めることができます。–k オプションを指定しないと、終了するか構成されているタイムアウトを超えるまで継続的にメソッドを実行できます。

リソースグループの自動回復アクションを再開する方法については、–r オプションの説明を参照してください。

–u

指定された管理対象のリソースグループを管理対象外にします。

–u オプションを使用するためには、指定のリソースグループのすべてのリソースをあらかじめ無効にしておく必要があります。

–Z

このオプションを指定すると、次の動作が実行されます。

  • 指定されたリソースグループのすべてのリソースを有効にします。

  • これらのリソースグループを管理対象にします。

  • これらのリソースグループをすべてのデフォルトの主ノードまたはゾーン上でオンラインにします。

–g オプションを省略した場合、–Z オプションはすべてのリソースグループに適用されます。

–g オプションを指定しない場合、scswitch コマンドは、中断されているリソースグループを除いて、すべてのリソースグループをオンラインにしようとします。

–z

指定されたリソースグループまたはデバイスグループの所有権の変更を要求します。

–g オプションを省略した場合、–z オプションはすべてのリソースグループに適用されます。

–D オプションと –z オプションを併用すると、指定した 1 つまたは複数のデバイスグループが指定したノードにスイッチオーバーされます。デバイスグループのスイッチオーバーには、プライマリノード名を 1 個だけ指定できます。複数のデバイスグループを指定した場合、–D オプションはデバイスグループを指定された順番でスイッチオーバーします。–z オプションと –D オプションの併用時にエラーが発生すると、処理は中断され、以降のスイッチオーバーは行われません。

–g オプションだけと併用する場合、–z オプションは、指定されたリソースグループ (すでに管理対象になっている必要があります) を最優先ノードでオンラインにします。任意のノード上でリソースグループのアフィニティーが十分でない場合は、この形式の scswitch コマンドは、強い RG_affinities 違反のためにリソースグループをオンラインにすることができず、警告メッセージを書き込みます。このオプションは、–Z オプションとは異なり、すべてのリソースを有効にしたり、すべてのリソース上でモニタリングを実行したり、すべての管理対象外のリソースグループを管理対象にしたりすることはありません。

–g および –h オプションとともに使用された場合、–z オプションは、指定されたリソースグループを –h オプションで指定されたノード上ではオンラインにし、その他のすべてのクラスタノード上ではオフラインにします。–h オプションで指定されたノードリストが空 (-h "") の場合、–z オプションは、–g オプションで指定されたリソースグループを、その現在のすべてのマスターからオフラインにします。–h オプションで指定されたすべてのノードは、クラスタの現在のメンバーである必要があり、–g オプションで指定されたすべてのリソースグループの潜在的なプライマリである必要があります。–h オプションで指定されたノード数が、–g オプションで指定された任意のリソースグループの Maximum_primaries プロパティーの設定を超えないようにする必要があります。

単独で使用された場合 (scswitch -z)、–z オプションは、それぞれの最優先ノードで中断されていない管理対象のすべてのリソースグループをオンラインに切り替えます。

1 つ以上のリソースグループの RG_affinities プロパティーを構成し、scswitch -z -g コマンド (–h オプションは指定してもしなくてもよい) を発行すると、–g オプションのあとに指定されたリソースグループ以外のリソースグループも追加で切り替えられる可能性があります。RG_affinities については、rg_properties(5) で説明されています。

追加オプション

上記の基本オプションには、次の追加オプションを組み合わせて使用できます。

–D

1 つまたは複数のデバイスグループの名前を指定します。

–F–m–z のいずれかと併用した場合に限り有効です。

このコマンドオプションを、–F–m–z の各オプション (–h オプションと併用) と併用するためには、solaris.cluster.device.admin 役割に基づくアクセス制御 (RBAC) の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

さらにこのコマンドを使用するにあたっては、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルを割り当てておく必要があります。認証されたユーザーは、pfshpfcsh、または pfksh プロファイルシェルから、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドをコマンド行で実行できます。プロファイルシェルは、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルに割り当てられた Oracle Solaris Cluster の特権コマンドへのアクセスを可能にする特別なシェルです。プロファイルシェルは、su を実行して役割を引き受けたときに起動されます。pfexec を使用しても、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドを実行できます。

–f

エラーの flag-name を指定します。

このオプションを併用できるのは –c オプションだけです。

現在サポートされているエラーフラグは、Stop_failed のみです。

このコマンドオプションを –c オプションと併用するためには、solaris.cluster.resource.admin RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

さらにこのコマンドを使用するにあたっては、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルを割り当てておく必要があります。認証されたユーザーは、pfshpfcsh、または pfksh プロファイルシェルから、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドをコマンド行で実行できます。プロファイルシェルは、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルに割り当てられた Oracle Solaris Cluster の特権コマンドへのアクセスを可能にする特別なシェルです。プロファイルシェルは、su を実行して役割を引き受けたときに起動されます。pfexec を使用しても、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドを実行できます。

–g

1 つまたは複数のリソースグループの名前を指定します。

このオプションは、–F–o–Q–r–R–s–u–z–Z の各オプションとともに使用する場合にのみ有効です。

このコマンドオプションを次のオプションと併用するためには、solaris.cluster.resource.admin RBAC の承認が必要です。

  • –F オプション

  • –o オプション

  • –Q オプション

  • –h オプションと併用する –R オプション

  • –r オプション

  • –s オプション

  • –u オプション

  • –Z オプション

  • –h オプションと併用する –z オプション

rbac(5) を参照してください。

さらにこのコマンドを使用するにあたっては、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルを割り当てておく必要があります。認証されたユーザーは、pfshpfcsh、または pfksh プロファイルシェルから、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドをコマンド行で実行できます。プロファイルシェルは、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルに割り当てられた Oracle Solaris Cluster の特権コマンドへのアクセスを可能にする特別なシェルです。プロファイルシェルは、su を実行して役割を引き受けたときに起動されます。pfexec を使用しても、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドを実行できます。

–h

1 つまたは複数のクラスタノードの名前を指定します。

このオプションは、–c–e–n–R–S、および –z の各オプションと組み合わせた場合に限り有効です。

–c–e–n–R、または –z オプションとともに使用された場合、–h オプションは、ノードのコンマ区切りリストを受け入れます。

–z オプションに空のノードリストを指定するには、–h オプションへの引数として 2 つの二重引用符 "" を指定します。

複数のプライマリで構成されたリソースグループの場合、–h オプションで一覧表示されるノード名はすべて、–g オプションで指定された各リソースグループの有効な潜在的なプライマリである必要があります。

あるリソースグループが –h オプションで指定されたノード上で正常に起動しなかった場合、そのリソースグループは別のノードにフェイルオーバーすることがあります。この動作は、Failover_mode リソースプロパティーの設定によって決定されます。詳細は、r_properties(5) を参照してください。

–S オプションと併用する場合、–h オプションは、リソースグループとデバイスグループを退避させる単一のノードの名前を指定します。

このコマンドオプションを –c–R オプション (–g オプションとの組み合わせ)、–S、または –z オプション (–g オプションとの組み合わせ) とともに使用するには、solaris.cluster.resource.admin RBAC の承認が必要です。さらに、このコマンドオプションを –z オプション (–D オプションとの組み合わせ) とともに使用するには、solaris.cluster.device.admin RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

さらにこのコマンドを使用するにあたっては、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルを割り当てておく必要があります。認証されたユーザーは、pfshpfcsh、または pfksh プロファイルシェルから、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドをコマンド行で実行できます。プロファイルシェルは、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルに割り当てられた Oracle Solaris Cluster の特権コマンドへのアクセスを可能にする特別なシェルです。プロファイルシェルは、su を実行して役割を引き受けたときに起動されます。pfexec を使用しても、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドを実行できます。

–j

1 つまたは複数の リソース を指定します。

このコマンドオプションは、–c–e–n の各オプションと組み合わせた場合に限り有効です。

このコマンドオプションを、–c–e、または –n オプションと併用するためには、solaris.cluster.resource.admin RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

さらにこのコマンドを使用するにあたっては、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルを割り当てておく必要があります。認証されたユーザーは、pfshpfcsh、または pfksh プロファイルシェルから、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドをコマンド行で実行できます。プロファイルシェルは、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルに割り当てられた Oracle Solaris Cluster の特権コマンドへのアクセスを可能にする特別なシェルです。プロファイルシェルは、su を実行して役割を引き受けたときに起動されます。pfexec を使用しても、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドを実行できます。

–K

ノードの退避が正常に行われたあと、このノードにリソースグループをスイッチバックしないようにする時間を秒数で指定します。

ノードが退避している間、あるいは退避してから、このオプションで指定した秒数の時間が経過するまで、リソースグループはこのノードにフェイルオーバーまたは自動スイッチオーバーできません。continue_evac 秒が経過する前に scswitch -z -g -h コマンドを使用してリソースグループを退避されたノードに切り替えることによって、–K タイマーをオーバーライドできます。このようなスイッチオーバーが行われると、–K タイマは即座に期限切れと見なされます。ただし、–h フラグを指定していない scswitch -z -g–Z コマンドは引き続き –K タイマーに従い、リソースグループが退避されたノードにスイッチオーバーすることはありません。

このオプションは、–S オプションと組み合わせた場合に限り有効です。0 から 65535 までの整数値を指定してください。値を指定しない場合、デフォルトでは、60 秒が使用されます。

このコマンドオプションを使用するためには、solaris.cluster.resource.admin RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

さらにこのコマンドを使用するにあたっては、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルを割り当てておく必要があります。認証されたユーザーは、pfshpfcsh、または pfksh プロファイルシェルから、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドをコマンド行で実行できます。プロファイルシェルは、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルに割り当てられた Oracle Solaris Cluster の特権コマンドへのアクセスを可能にする特別なシェルです。プロファイルシェルは、su を実行して役割を引き受けたときに起動されます。pfexec を使用しても、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドを実行できます。

–k

指定されたリソースグループのリソースのために動作している Resource Group Manager (RGM) のリソースメソッドを即座に強制終了します。

このオプションは、–Q オプションおよび –s と併用できます。–k オプションを指定しないと、終了するか構成されているタイムアウトを超えるまで継続的にメソッドを実行できます。

–M

指定されたリソースのモニタリングを有効化 (–e) または無効化 (–n) します。リソースを無効化する場合、リソースとそのモニターはともにオフラインになっているため、該当リソース上のモニタリングを無効化する必要はありません。

このコマンドオプションは、–e または –n のオプションと組み合わせた場合に限り有効です。

このコマンドオプションを –e または –n オプションとともに使用するには、solaris.cluster.resource.admin RBAC の承認が必要です。rbac(5) を参照してください。

さらにこのコマンドを使用するにあたっては、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルを割り当てておく必要があります。認証されたユーザーは、pfshpfcsh、または pfksh プロファイルシェルから、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドをコマンド行で実行できます。プロファイルシェルは、Oracle Solaris Cluster コマンド権プロファイルに割り当てられた Oracle Solaris Cluster の特権コマンドへのアクセスを可能にする特別なシェルです。プロファイルシェルは、su を実行して役割を引き受けたときに起動されます。pfexec を使用しても、Oracle Solaris Cluster の特権コマンドを実行できます。

使用例 1 リソースグループのスイッチオーバー

次のコマンドは、resource-grp-2schost-1 がマスターするようにスイッチオーバーします。

schost-1# scswitch -z -h schost-1 -g resource-grp-2
使用例 2 モニタリングまたはリソースを有効化しない管理対象のリソースグループのオンライン化

次のコマンドは、resource-grp-2 がすでに管理対象になっている場合に resource-grp-2 をオンラインにしますが、任意のリソースを有効にしたり、現在無効になっている任意のリソース上でのモニタリングを有効にしたりすることはありません。

schost-1# scswitch -z -g resource-grp-2
使用例 3 複数の主ノードまたはゾーンを持つように構成されているリソースグループのスイッチオーバー

次のコマンドは、複数の主ノードまたはゾーンを持つように構成されているリソースグループ resource-grp-3 を、schost-1、schost-2、schost-3 がマスターするようにスイッチオーバーします。

schost-1# scswitch -z -h schost-1,schost-2,schost-3 -g resource-grp-3
使用例 4 すべてのリソースグループおよびデバイスグループのノードからの移動

次のコマンドは、すべてのリソースグループとデバイスグループを schost-1 から新しい主ノードまたはゾーンにスイッチオーバーします。

schost-1# scswitch -S -h schost-1
使用例 5 すべてのリソースグループおよびデバイスグループのノードからの永続的な移動

次のコマンドは、すべてのリソースグループとデバイスグループを schost-1 から新しい主ノードまたはゾーンにスイッチオーバーします。このコマンドは、リソースグループとデバイスグループがschost-1 にスイッチバックできるようになるまで、120 秒間待つことも指定します。

次のコマンドでは –K オプションを使用しているため、schost-1 が正常に退避されたあと、リソースグループが schost-1 に自動的にスイッチバックされることが回避されます。リソースグループが schost-1 にスイッチバックする例としては、リソースグループが新しいマスター上で起動に失敗した場合などがあります。もう 1 つの例としては、リソースグループに強い否定的なアフィニティーが RG_affinities プロパティーで構成されている場合です。

schost-1# scswitch -S -h schost-1 -K 120
使用例 6 リソースの無効化
schost-1# scswitch -n -j resource-1,resource-2
使用例 7 リソースの有効化
schost-1# scswitch -e -j resource-1
使用例 8 リソースグループを管理対象外にする
schost-1# scswitch -u -g resource-grp-1,resource-grp-2
使用例 9 リソースグループを管理対象にする
schost-1# scswitch -o -g resource-grp-1,resource-grp-2
使用例 10 デバイスグループのスイッチオーバー

次のコマンドは、device-group-1schost-2 がマスターするようにスイッチオーバーします。

schost-1# scswitch -z -h schost-2 -D device-group-1
使用例 11 デバイスグループをメンテナンスモードに移行

次のコマンドは、device-group-1 をメンテナンスモードにします。

schost-1# scswitch -m -D device-group-1
使用例 12 リソースグループの休止

次のコマンドは、リソースグループ RG1RG2 を休止状態にします。

schost-1# scswitch -Q -g RG1,RG2
使用例 13 リソースグループのスイッチオーバーによる Start_failed リソース状態のクリア

Start_failed リソース状態は、Start または Prenet_start メソッドがリソース上で失敗またはタイムアウトしたが、そのリソースグループが結果的にオンラインになったことを示します。リソースグループは、リソースが障害状態に置かれていてサービスを提供していなくても、オンライン状態になります。この状態は、リソースの Failover_mode プロパティーに None またはリソースグループのフェイルオーバーを妨げる別の値が設定されている場合に発生することがあります。

Stop_failed リソース状態とは異なり、Start_failed リソース状態は、ユーザーまたは Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがリソースグループに対してアクションを実行することを妨げませんscswitch -c コマンドを実行して Start_failed リソース状態を解除する必要はありません。該当リソースを再起動するコマンドを実行するだけで済みます。

次のコマンドは、resource-grp-2 リソースグループ内のリソース上で発生した Start_failed リソース状態を解除します。このコマンドは、リソースグループを schost-2 ノードに切り替えることで、この状態を解除します。

schost-1# scswitch -z -h schost-2 -g resource-grp-2
使用例 14 リソースグループの再起動による Start_failed リソース状態のクリア

次のコマンドは、resource-grp-2 リソースグループ内のリソース上で発生した Start_failed リソース状態を解除します。このコマンドは、この状態をクリアするために、schost-1 ノード上のこのリソースグループを再起動します。

Start_failed リソース状態の詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

schost-1# scswitch -R -h schost-1 -g resource-grp-2
使用例 15 リソースの無効化および有効化によるリソース状態 Start_failed のクリア

次のコマンドでは、リソース resource-1 上で発生したリソース状態 Start_failed を、リソースをいったん無効化したあと再度有効化することにより、クリアします。

Start_failed リソース状態の詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

schost-1# scswitch -n -j resource-1
schost-1# scswitch -e -j resource-1

終了ステータス

このコマンドは、要求されたアクションが完全に終了するまで、あるいは、エラーが発生するまで待機します。

次の終了値が返されます。

0

コマンドは正常に完了しました。

0 以外

エラーが発生しました。scswitch は、エラーメッセージを標準エラーに書き込みます。

scswitch コマンドがゼロ以外の終了ステータスで終了して、「cluster is reconfiguring」というエラーメッセージが表示された場合、エラーにかかわらず、要求された操作は正常に完了している可能性があります。結果が疑わしい場合は、再構成が完了してから、もう一度、scswitch コマンドを同じ引数を指定して実行します。

scswitch コマンドがゼロ以外の終了ステータスで終了して、「Resource group failed to start on chosen node and may fail over to other node(s)」というエラーメッセージが表示された場合、scswitch コマンドが終了したあと、しばらくの間、そのリソースグループは再構成を続けます。このリソースグループがすべてのノード上で OnlineOnline_faultedOffline 状態などの終了状態に達するまで、そのリソースグループに対する追加の scswitch または clresourcegroup 操作は失敗します。

複数のリソースまたはリソースグループに対して scswitch コマンドを呼び出した結果、複数のエラーが発生した場合、終了値は、複数のエラーのうちの 1 つだけを反映している可能性があります。この可能性を避けるため、scswitch コマンドは、1 度に 1 つのリソースまたはリソースグループだけに実行するようにします。

RG_system プロパティーが True のリソースグループ (および所属リソース) では、一部の処理が実行できません。詳細は、rg_properties(5) を参照してください。

属性

次の属性については、attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
ha-cluster/system/core
インタフェースの安定性
廃止

関連項目

kill(1), pfcsh(1), pfexec(1), pfksh(1), pfsh(1), Intro(1CL), cldevicegroup(1CL), clresourcegroup(1CL), su(1M), attributes(5), rbac(5), r_properties(5), rg_properties(5)

Oracle Solaris Cluster 4.3 データサービス計画および管理ガイド

警告

–z または –F オプションを –g オプションとともに使用してリソースグループをオフラインにした場合、そのリソースグループの Offline 状態はノードのリブートによって解除されます。ノードが異常終了したり、ノードがクラスタに参加したり、あるいは、ほかのリソースグループがスイッチオーバーしたりした場合、そのリソースグループはオンラインになることかあります。以前、そのリソースグループをオフラインに切り換えていた場合でも、そのリソースグループはノード上でオンラインになります。すべてのリソースを無効にしていても、リソースグループはオンラインになります。

リソースグループが自動的にオンラインになるのを防ぐためには、–s オプションを使用して、リソースグループの自動回復アクションを中断します。自動回復アクションを再開するには、–r オプションを使用します。