Oracle Solaris Cluster リファレンスマニュアル

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更新: 2015 年 9 月
 
 

SUNW.Event (5)

名前

SUNW.Event - Cluster Reconfiguration Notification Protocol (CRNP) のリソースタイプの実装

説明

SUNW.Event リソースタイプ実装は、高可用性を備えた Oracle Solaris Cluster の CRNP サービスを提供します。この実装は、Oracle Solaris Cluster Resource Group Manager (RGM) の下でリソースを管理することにより、通知デーモン (/usr/cluster/lib/sc/cl_apid) の可用性を高めます。SUNW.Event リソースを含むリソースグループは、同じリソースグループ内に構成されたネットワークグループを持つ必要があります。クラスタ上には、SUNW.Event 型の単一リソースしか存在できません。

このオプションは大域ゾーンだけで実行できます。

標準プロパティー

このセクションでは、この実装の動作を制御する主な標準プロパティーについて説明します。SUNW.Event リソース上でこれらのプロパティーを設定するには、clresource コマンドを使用します。これらのリソースプロパティーの詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

Network_resources_used (string_array)

このリソースが依存関係を持っている論理ホスト名または共有アドレスネットワーク資源のリスト。このリストには、プロパティー Resource_dependenciesResource_dependencies_weakResource_dependencies_restart、または Resource_dependencies_offline_restart にあるすべてのネットワークアドレスリソースが含まれます。

このプロパティーは、リソース依存関係プロパティーの設定に基づいて、RGM により自動的に更新されます。このプロパティーを直接設定することはありません。その代わりに、Resource_dependencies プロパティーを使用します。

カテゴリ

条件付き/任意

デフォルト

空のリスト

調整可能

無効時

Port_list (string_array)

サーバーが待機するポート番号をコンマで区切ったリストです。Port_list の詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

カテゴリ

条件付き/必須

デフォルト

9444/tcp

調整可能

無効時

Resource_dependencies (string array)

リソースが依存するリソースのリスト。このリストには、リソースが使用するすべての論理ホスト名または共有アドレスネットワーク資源が含まれます。このプロパティーのデフォルト値は null です。アプリケーションを 1 つ以上の特定のアドレスにバインドする必要がある場合は、このプロパティーを指定してください。ネットワーク資源の依存関係を指定しない場合、アプリケーションはすべてのアドレスで待機します。

イベントリソースを作成する前に、LogicalHostname または SharedAddress リソースの構成を済ませてください。

リソース名は 1 つでも複数でも指定できます。各ネットワーク資源には 1 つまたは複数の論理ホスト名を指定できます。詳細は、clreslogicalhostname(1CL ) および clressharedaddress(1CL) のマニュアルページを参照してください。

Resource_dependencies プロパティーの代わりに、Resource_dependencies_weakResource_dependencies_restart、または Resource_dependencies_offline_restart プロパティーを使用すると、ほかの種類の依存関係も指定できます。詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

カテゴリ

任意

デフォルト

空のリスト

調整可能

すべての時間

Retry_count (integer)

起動に失敗したリソースをモニターが再起動する回数です。Retry_count の詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。


注 -  このプロパティーに負の値を指定すると、モニターは無限回リソースを再起動を試みます。
カテゴリ

条件付き

デフォルト

2

最大

10

調整可能

すべての時間

Retry_interval (integer)

失敗したリソースの再起動の間、この秒数だけ待機します。Retry_interval の詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

カテゴリ

条件付き

デフォルト

300

最大

3600

調整可能

すべての時間

Thorough_probe_interval (整数)

高オーバーヘッドのリソース障害検証の呼び出し間隔 (秒)。Thorough_probe_interval の詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。

カテゴリ

条件付き

デフォルト

60

最大

3600

調整可能

すべての時間

拡張プロパティー

このセクションでは、この実装の動作を制御する主な拡張プロパティーについて説明します。

Allow_hosts (string_array)

このプロパティーは、この実装で登録可能な一連のクライアントを制御して、クラスタ再構成イベントを受信します。このプロパティーは、通常 ipaddress/masklength の形式で登録可能なクライアントのサブネットを定義します。たとえば、129.99.77.0/24 の設定では、サブネット129.99.77 上のクライアントのイベント登録が許可されます。また 192.9.84.231/32 の設定では、クライアント 192.9.84.231 だけのイベント登録が許可されます。

さらに、次の特殊キーワードが認識されます。

  • LOCAL は、クラスタの直接接続されたサブネット上に存在する全クライアントです。

  • ALL では、すべてのクライアントが登録可能です。


    注 -  Allow_hostsDeny_hosts プロパティーの両方で 1 つのエントリと一致するクライアントの場合、この実装で登録できません。
カテゴリ

任意

デフォルト

LOCAL

調整可能

すべての時間

Client_retry_count (整数)

このプロパティーは、外部クライアントとの通信中に実装が試行する回数を制御します。Client_retry_count の試行回数内に応答しなかったクライアントはタイムアウトになり、クラスタ再構成イベントの受信資格を持つクライアントの登録リストから削除されます。続いてクライアントは、クラスタ再構成イベントを受け取ることができる登録済みクライアントのリストから削除されます。再びイベントを受信し始めるには、このクライアントは再登録する必要があります。Client_retry_interval プロパティーのセクションでは、この実装が再試行する頻度について説明します。

カテゴリ

任意

デフォルト

3

最小

1

調整可能

すべての時間

Client_retry_interval (整数)

このプロパティーは、応答しない外部クライアントとの通信中に使用される時間範囲 (秒) を定義します。この時間内に、最大 Client_retry_count 回のクライアント接続が試行されます。

ここで定義した値は、随時変更できます。

カテゴリ

任意

デフォルト

1800

最小

30

調整可能

すべての時間

Client_timeout (integer)

このプロパティーでは、外部クライアントとの通信中に使用されるタイムアウト値 (秒) を指定します。ただしこの実装は、調整可能な回数だけクライアントとの通信を試みます。Client_retry_count プロパティーと Client_retry_interval プロパティーのセクションに、このプロパティーの調整方法についての説明があります。

カテゴリ

任意

デフォルト

60

最小

30

調整可能

すべての時間

Deny_hosts (string_array)

このプロパティーは、クラスタ再構成イベントの受信候補として登録できないクライアントの設定を制御します。アクセスを確定するために、このプロパティーの設定は Allow_hosts リストの設定に優先します。このプロパティーの形式は、Allow_hosts で定義された形式と同じです。

カテゴリ

任意

デフォルト

NULL

調整可能

すべての時間

Max_clients (整数)

このプロパティーは、クラスタイベント通知の受信候補として登録可能なクライアントの最大数を制御します。新規クライアントによるイベント登録の試行は拒否されます。個々のクライアント登録にはクラスタ上のリソースが使用されるため、このプロパティーの値を調整することで、外部クライアントによるクラスタ上のリソース使用を制御することができます。

カテゴリ

任意

デフォルト

1000

最小

1

調整可能

無効時

使用例 1 デフォルトのプロパティーを使用した SUNW.Event リソースの作成

この例では、CRNP という名前のフェイルオーバー SUNW.Event リソースを、events-rg という既存グループ内に作成する方法を示します。events-rg リソースグループには、対応するフェイルオーバーホスト名を示す LogicalHostname または SharedAddress のリソースが含まれます。

# clresourcetype register SUNW.Event
# clresource create -g events-rg -t SUNW.Event CRNP

この例で作成される SUNW.Event リソースの名前は CRNP です。このリソースは、ポート 9444 上で通信を行い、直接接続されたサブネット上の全クライアントのイベント登録を可能にします。

使用例 2 デフォルトではないプロパティーを使用した SUNW.Event リソースの作成

この例では、CRNP という名前の SUNW.Event リソースを、events-rg というリソースグループ内に作成する方法を示します。CRNP リソースは、ポート 7000 上と、固有のネットワーク資源 foo-1 (events-rg 内に構成済み) 上で通信するように構成されます。この CRNP リソースは、サブネット 192.9.77.0 上のクライアントと、直接接続されたサブネット上のクライアントの登録を可能にしますが、クライアント 192.9.77.98 に対して実装の使用を拒否します。

# clresource create -g events-rg -t SUNW.Event \
-p Port_list=7000/tcp -p Network_resources_used=foo-1 \
-p Allow_hosts=LOCAL,192.9.77.0/24 \
-p Deny_hosts=192.9.77.98/32 CRNP

ファイル

/usr/cluster/lib/sc/cl_apid

CRNP デーモン。

/usr/cluster/lib/sc/events/dtds

CRNP プロトコル用のデータタイプ定義を含むディレクトリ。

属性

次の属性の詳細は、attributes(5) を参照してください。

属性タイプ
属性値
使用条件
ha-cluster/system/core

関連項目

clresource(1CL), clresourcegroup(1CL), clresourcetype(1CL), scha_resource_get(1HA), attributes(5), r_properties(5)