Oracle® Solaris Cluster 4.3 データサービス計画および管理ガイド

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更新: 2016 年 4 月
 
 

Oracle Solaris Cluster データサービスの構成ガイドライン

このセクションでは、Oracle Solaris Cluster データサービスの構成ガイドラインについて説明します。

データサービスに固有の要件の識別

Oracle Solaris OS と Oracle Solaris Cluster のインストールを開始する前に、すべてのデータサービスの要件を識別してください。そうしないと、Oracle Solaris OS や Oracle Solaris Cluster ソフトウェアを完全にインストールし直す必要があるインストールエラーが発生する可能性があります。

たとえば、Oracle Solaris Cluster Support for Oracle Real Application Clusters の Oracle Data Guard オプションには、クラスタ内で使用するホスト名に関する固有の要件があります。また、HA for SAP にも固有の要件があります。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール後にホスト名を変更することはできないので、Oracle Solaris Cluster をインストールする前に、次の要件に対応する必要があります。


注 -  一部の Oracle Solaris Cluster データサービスの x86 ベースのクラスタでの使用はサポートされていません。詳細は、使用しているリリースの Oracle Solaris Cluster のリリースノートを参照してください。

アプリケーションバイナリの場所の決定

アプリケーションソフトウェアとアプリケーション構成ファイルは、次のいずれかの場所にインストールできます。

  • 各クラスタノードのローカルディスク – ソフトウェアと構成ファイルを個々のクラスタノードに配置すると、サービスを停止することなく、あとでアプリケーションソフトウェアをアップグレードできるという利点が得られます。

    欠点は、保守および管理するソフトウェアと構成ファイルのコピーが複数になることです。

  • クラスタファイルシステム – アプリケーションバイナリをクラスタファイルシステムに配置した場合は、保守および管理するコピーが 1 つだけになります。ただし、アプリケーションソフトウェアをアップグレードするには、クラスタ全体のデータサービスを停止する必要があります。アップグレードのための短期間のダウンタイムを許容できる場合は、アプリケーションと構成ファイルの 1 つのコピーをクラスタファイルシステムに配置してください。

    クラスタファイルシステムを作成する方法については、Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのインストール の グローバルデバイス、デバイスグループ、およびクラスタファイルシステムの計画を参照してください。

  • 高可用性ローカルファイルシステム – HAStoragePlus を使用すると、ローカルファイルシステムを Oracle Solaris Cluster 環境に統合して、そのローカルファイルシステムを高可用性にすることができます。HAStoragePlus は、Oracle Solaris Cluster がローカルファイルシステムをフェイルオーバーできるようにする、チェック、マウント、アンマウントなどの追加のファイルシステム機能を提供します。フェイルオーバーするには、ローカルファイルシステムは、アフィニティースイッチオーバーが有効になっているグローバルディスクグループ上に存在する必要があります。

    HAStoragePlus リソースタイプを使用する方法については、高可用性ローカルファイルシステムの有効化を参照してください。

nsswitch.conf ファイルの内容の確認

nsswitch.conf ファイルは、ネームサービスの検索のための構成ファイルです。このファイルによって、次の情報が決定されます。

  • ネームサービスの検索のために使用する Oracle Solaris 環境内のデータベース

  • 各データベースが参照される順序

一部のデータサービスでは、group 検索を最初に files に対して行わせる必要があります。これらのデータサービスの場合は、nsswitch.conf ファイル内の group 行を files エントリが最初にリストされるように変更します。group 行を変更する必要があるかどうかを確認するには、構成する予定のデータサービスに関するドキュメントを参照してください。scinstall ユーティリティーは、nsswitch.conf ファイルを自動的に構成します。nsswitch.conf ファイルを手動で変更する場合は、新しい nsswitch 構成情報をエクスポートする必要があります。

クラスタファイルシステム構成の計画

データサービスによっては、Oracle Solaris Cluster の要件を満たすようにクラスタファイルシステムを構成しなければならないことがあります。何らかの特別な考慮事項が適用されるかどうかを確認するには、構成する予定のデータサービスに関するドキュメントを参照してください。

クラスタファイルシステムの計画については、Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのインストール の グローバルデバイス、デバイスグループ、およびクラスタファイルシステムの計画を参照してください。

リソースタイプ HAStoragePlus を使用すると、Oracle Solaris Cluster 環境で、フェイルオーバー用に構成された高可用性ローカルファイルシステムを使用できます。HAStoragePlus リソースタイプの設定については、高可用性ローカルファイルシステムの有効化を参照してください。

Oracle Solaris SMF サービスを Oracle Solaris Cluster の制御下で実行できるようにする

サービス管理機能 (SMF) では、ノードのブート中やサービスの障害時に、SMF サービスを自動的に起動および再起動できます。この機能は、クラスタアプリケーションの高可用性とスケーラビリティーを促進する Oracle Solaris Cluster Resource Group Manager (RGM) と類似しています。SMF サービスと RGM は、互いに補完的な機能です。

Oracle Solaris Cluster には、フェイルオーバー、マルチマスター、またはスケーラブル構成で SMF サービスを Oracle Solaris Cluster とともに実行できるようにするために使用可能な 3 つの SMF プロキシリソースタイプが含まれています。SMF プロキシリソースタイプを使用すると、互いに関連する一連の SMF サービスを 1 つのリソースである SMF プロキシリソースにカプセル化して Oracle Solaris Cluster によって管理されるようにすることができます。この機能では、SMF は、単一のノード上の SMF サービスの可用性を管理します。Oracle Solaris Cluster は、SMF サービスのクラスタ全体にわたる高可用性とスケーラビリティーを提供します。

これらのサービスをカプセル化する方法については、Oracle Solaris SMF サービスを Oracle Solaris Cluster とともに実行できるようにするを参照してください。

Oracle Solaris Cluster で、Solaris サービス管理機能 (SMF) と統合された NFS または DNS 以外のアプリケーションを高可用性にすることが必要になる場合があります。Oracle Solaris Cluster が障害のあとにアプリケーションを正しく再起動またはフェイルオーバーできるようにするには、そのアプリケーションの SMF サービスインスタンスを次のように無効にする必要があります。

  • NFS または DNS 以外のすべてのアプリケーションの場合、そのアプリケーションを表す Oracle Solaris Cluster リソースのすべての潜在的なプライマリノード上で SMF サービスインスタンスを無効にします。

  • Oracle Solaris Cluster でモニターする必要があるいずれかのコンポーネントをアプリケーションの複数のインスタンスが共有している場合は、そのアプリケーションのすべてのサービスインスタンスを無効にします。このようなコンポーネントの例には、デーモン、ファイルシステム、およびデバイスがあります。


注 -  アプリケーションの SMF サービスインスタンスを無効にしないと、Oracle Solaris SMF と Oracle Solaris Cluster の両方がアプリケーションの起動と停止を制御しようとする可能性があります。その結果、アプリケーションの動作が予測できなくなることがあります。

詳細については、次のドキュメントを参照してください。