リンクアグリゲーションはシステム上の複数の物理データリンクを組み合せてアプリケーションの帯域幅を改善する方法です。これらの物理データリンクを単一の論理ユニットとして一緒に構成することにより、ネットワークトラフィックのスループットが向上し、データリンク層で高可用性を実現できます。
Oracle Enterprise Manager Ops Center を使用して、個々のインタフェースとして使用可能な NIC にリストされた任意のリンクアグリゲーションを含めることができます。また、Oracle Enterprise Manager Ops Center を使用して、トランクアグリゲーションおよび DLMP アグリゲーションの詳細を表示することもできます。Oracle Enterprise Manager Ops Center の詳細は、http://www.oracle.com/pls/topic/lookup?ctx=oc122&id=OPCCM を参照してください。
次の図は、システム上に構成された単純なリンクアグリゲーションの例を示しています。
図 1 リンクアグリゲーション構成
この図は、ベースとなる 3 つのデータリンク (net0、net1、および net2) で構成されたアグリゲーション aggr1 を示します。これらのデータリンクは、このアグリゲーションを介してシステムを通過するトラフィック専用で利用されます。ベースとなるリンクは外部アプリケーションには隠されています。代わりに、データリンク aggr1 がアクセス可能になります。
帯域幅の増加 – 複数のリンクの伝送容量が 1 つの論理的なリンクに統合されます。
自動フェイルオーバーおよびフェイルバック – 失敗したリンクのトラフィックは、アグリゲーション内のほかの動作しているリンクに自動的に切り替えられるため、高可用性が実現されます。
管理の向上 – ベースとなるすべてのリンクが単一のユニットとして管理されます。
ネットワークアドレスプールのアドレスの節約 – 集約全体に 1 つの IP アドレスを割り当てることができます。
リンクアグリゲーションが複数のリンクを単一の論理データリンクにグループ化するため、リンク保護やリソース管理などのデータリンクの機能はリンクアグリゲーションと適切に連携します。リンク保護については、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークのセキュリティー保護 の 第 1 章, 仮想化環境でのリンク保護の使用を参照してください。リソース管理については、Oracle Solaris 11.3 での仮想ネットワークとネットワークリソースの管理 の 第 7 章, ネットワークリソースの管理を参照してください。
リンクアグリゲーションは、ネットワークの仮想化を備えた高可用性機能 (IPMP など) を使用する際に発生する問題の一部を克服します。リンクアグリゲーションを使用する場合、まず大域ゾーン内でアグリゲーションを作成してから、非大域ゾーンを構成する際にベースとなるリンクとして指定します。ゾーンがブートされると、リンクアグリゲーションの仮想ネットワークインタフェースカード (VNIC) に割り当てられます。各非大域ゾーンに構成する必要がある IPMP とは異なり、リンクアグリゲーションは大域ゾーンにのみ構成されており、高可用性 VNIC を非大域ゾーンに提供します。また、大域ゾーンは、ゾーンに割り当てられた VNIC の帯域幅などのプロパティーも構成できます。
次のタイプのリンクアグリゲーションがサポートされています。
トランクアグリゲーション
データリンクマルチパス (DLMP) アグリゲーション
これら 2 種類のリンクアグリゲーションの違いについては、トランクアグリゲーションと DLMP アグリゲーションの比較を参照してください。