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Oracle® Solaris 11.3 でのネットワークデータリンクの管理

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更新: 2016 年 11 月
 
 

LLDP エージェントが通知する情報

LLDP エージェントは、LLDP パケットまたは LLDPDU でシステムおよび接続情報を送信します。このようなパケットには、TLV 形式で個別にフォーマットされた情報ユニットが含まれています。これらの情報ユニットは TLV ユニットとも呼ばれます。

必須の TLV ユニット

特定の TLV ユニットは必須であり、LLDP が有効になったときにデフォルトで LLDP パケットに含まれます。lldpadm コマンドを使用して、このようなユニットのいずれかを除外することはできません。

    次の TLV ユニットは必須です。

  • シャーシ ID – hostid コマンドによって生成される情報

  • ポート ID – 物理 NIC の MAC アドレス

  • TTL (生存期間)

  • プロトコルデータユニット (PDU) の終わり

リンクの数に応じて、1 つのシステム内で複数の LLDP エージェントを有効にすることができます。シャーシ ID とポート ID の組み合わせによってエージェントが一意に識別され、システム上のほかのエージェントから区別されます。

使用例 28  シャーシ ID とポート ID の表示

次の例では、LLDP エージェントのシャーシ ID およびポート ID を表示します。

# hostid 
004e434e
# dladm show-phys -m net4
LINK                SLOT     ADDRESS            INUSE CLIENT
net4                primary  0:1b:21:87:8b:b4   yes   net4
# lldpadm show-agent -l net4
AGENT               CHASSISID           PORTID
net4                004e434e            00:1b:21:87:8b:b4

Oracle Solaris LLDP エージェントは、シャーシ ID として hostid を使用し、ポート ID としてポートの MAC アドレスを使用します。

オプションの TLV ユニット

オプションの TLV ユニットを LLDP パケットに追加できます。これらのオプションの TLV ユニットにより、ベンダーは通知するベンダー固有の TLV ユニットを挿入できます。LLDP により、組織の一意識別子 (OUI) を使用して追加の TLV ユニットを定義できます。OUI は、OUI が準拠するのが IEEE 802.1 標準か IEEE 802.3 標準かによって、TLV ユニットのカテゴリを識別します。LLDP エージェントのプロパティーを構成して、このようなオプションの TLV ユニットの送信を有効または無効にできます。

次の表は、各 TLV グループ、それに対応する名前、プロパティーごとの TLV ユニット、およびそれらの説明を示しています。LLDP が有効になったときにパケットに含まれる TLV ユニットを指定するには、これらのプロパティーのいずれかを構成します。

表 2  LLDP エージェントのオプションの TLV ユニット
TLV グループ
TLV 名
TLV ユニット
説明
基本的な管理
basic-tlv
sysnameportdescsyscapabsysdescmgmtaddr
通知されるシステム名、ポートの説明、システムの機能、システムの説明、および管理アドレスを指定します。
802.1 OUI
dot1-tlv
vlannamepvidlinkaggrpfcapplnevbetscfgetsreco
通知される次の項目を指定します: VLAN 名、ポートの VLAN ID、リンクアグリゲーション、優先順位ベースのフロー制御の TLV ユニット、アプリケーション、拡張伝送選択、およびエッジ仮想ブリッジング。
802.3 OUI
dot3-tlv
max-framesize
通知される最大フレームサイズを指定します。
Oracle 固有の OUI (0x0003BA として定義される)
virt-tlv
vnic
仮想ネットワークが構成されている場合は、通知される VNIC を指定します。

TLV ユニットプロパティー

各 TLV ユニットにはプロパティーがあり、これらのプロパティーは特定の値を使用してさらに構成できます。TLV ユニットが LLDP エージェントのプロパティーとして有効になった場合、その TLV ユニットは、指定された値のみを使用してネットワーク内で通知されます。たとえば、システムの機能を通知する TLV ユニット syscapab を考えてみます。これらの機能には、ルーター、ブリッジ、リピータ、電話などのデバイスに対するサポートが含まれる可能性があります。ただし、ルーターやブリッジなど、特定のシステム上で実際にサポートされている機能のみが通知されるように syscapab を設定できます。

TLV ユニットを構成するための手順は、グローバルな TLV ユニットまたはエージェントごとの TLV ユニットのどちらを構成するかによって異なります。TLV ユニットの構成方法については、エージェントの LLDP パケットの TLV ユニットと値の指定を参照してください。

グローバルな TLV ユニットは、システム上のすべての LLDP エージェントに適用されます。次の表は、グローバルな TLV ユニットとそれに対応する、取り得る構成を示しています。

表 3  グローバルな TLV ユニットとそのプロパティー
TLV ユニット
プロパティー名
取り得るプロパティー値
値の説明
syscapab
supported
otherrepeaterbridgewlan-aproutertelephonedocsis-cdstationcvlansylvantpmr
システムのサポートされている主要な機能を表します。デフォルト値は、routerstation、および bridge です。
enabled
supported に対して示されている値のサブセット
システムの有効になっている機能を表します。
mgmtaddr
ipaddr
ipv4 または ipv6
ローカルの LLDP エージェントに関連付けられる IP アドレスのタイプを指定します。これらのアドレスは、上位階層エンティティーに到達するために使用され、ネットワーク管理による検出に役立ちます。指定できるのは 1 つのタイプだけです。

LLDP エージェントに固有の TLV ユニットはエージェント単位で管理されます。エージェントごとの TLV ユニットでは、指定した値は、特定の LLDP エージェントがその TLV ユニットの転送を有効にしたときに使用されます。

次の表は、LLDP エージェントの TLV 値とそれに対応する、取り得る構成を示しています。

表 4  エージェントごとの TLV ユニットとそのプロパティー
TLV ユニット
プロパティー名
取り得るプロパティー値
値の説明
pfc
willing
onoff
優先順位ベースのフロー制御に関連するリモートシステムからの構成情報を受け入れるか、または拒否するように LLDP エージェントを設定します。
appln
apt
値は、アプリケーション優先順位表で定義されている情報から取得されます。
アプリケーション優先順位表を構成します。この表には、アプリケーション TLV ユニットとそれに対応する優先順位の一覧が含まれています。アプリケーションは、id/selector のペアで識別されます。この表の内容では、次の形式が使用されます。
id/selector/priority
詳細は、アプリケーション優先順位の構成を参照してください。
etscfg
willing
onoff
拡張伝送選択に関連するリモートシステムからの構成情報を受け入れるか、または拒否するように LLDP エージェントを設定します。

エージェントごとの TLV ユニットについては、データセンターブリッジングを使用した集中ネットワークの管理を参照してください。