ネットワークデータリンクの管理とは、機能とテクノロジを使用して、システムでネットワークトラフィックを処理する方法を微調整することです。これらのテクノロジを使用して構成されたシステムはネットワークトラフィックをより適切に管理でき、それがネットワークの総合パフォーマンスの向上に寄与します。これらの機能はネットワーク操作のさまざまな領域に対処しますが、ネットワーク接続、ネットワーク管理、効率などの一般的なメリットを提供します。
リンクアグリゲーション、仮想ローカルエリアネットワーク、ブリッジネットワークなどの機能を使用してネットワークデータリンクを管理するには、dladm コマンドを使用します。データリンクの管理に加えて、取得リンクを管理するために dladm コマンドを使用できます。ファイアウォールは取得リンクを使用し、log アクションでルールに一致するパケットをログに記録します。取得リンクで傍受されるパケットは、任意の libpcap ツール (tcpdump、wireshark など) で読み取ることができます。詳細については、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークのセキュリティー保護を参照してください。
リンクアグリゲーションを使用すると、複数のデータリンクのリソースをプールして、単一のユニットとして管理できます。複数の物理 NIC を一緒に組み合せることによって、帯域幅が向上し、アプリケーションの高可用性を提供できます。ネットワークデータリンクのリンクアグリゲーションは、システムがネットワークに継続的にアクセスできるようにします。トランクアグリゲーションと DLMP アグリゲーションは 2 種類のリンクアグリゲーションです。
トランクアグリゲーションはアグリゲーション上に構成されたクライアント用にベースとなるデータリンクの統合された帯域幅を提供します。DLMP アグリゲーションはアグリゲーション上に構成されたクライアント用に複数のスイッチにわたって高い可用性を提供します。DLMP アグリゲーションは、トラフィックを送受信するネットワークの継続的な可用性を確保するためにリンクベースの障害検出とプローブベースの障害検出もサポートします。異なるタイプのリンクアグリゲーションとリンクアグリゲーションを構成および管理する手順の詳細は、リンクアグリゲーションを使用した高可用性の構成を参照してください。
仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) によって、物理的なネットワーク環境にリソースを追加することなく、ネットワークをサブネットワークに分割できます。したがって、サブネットワークは仮想であり、同じ物理ネットワークリソースを使用します。VLAN は同じ VLAN 内のアプリケーションのみが相互に通信できるように切り離されたサブネットワークをアプリケーションに提供します。VLAN と Oracle Solaris ゾーンを組み合わせることにより、スイッチなどの 1 つのネットワーク単位内に複数の仮想ネットワークを構成できます。VLAN の構成および管理の詳細については、仮想ローカルエリアネットワークを使用した仮想ネットワークの構成を参照してください。
RFC 5517 で定義されたプライベート仮想ローカルエリアネットワーク (PVLAN) 標準では、通常の VLAN (プライマリ) をサブ VLAN (セカンダリ) に分割できます。通常の VLAN は、単一のブロードキャストドメインです。PVLAN は、1 つのブロードキャストドメインを複数のサブドメインにパーティション化します。PVLAN の構成および管理の詳細については、プライベート仮想ローカルエリアネットワークの構成を参照してください。
ブリッジは別々のネットワークセグメントを接続し、2 つのノードの間のパスとなります。ブリッジで接続すると、接続されたネットワークセグメントは単一のネットワークセグメントであるかように通信を行います。ブリッジはパケット転送メカニズムを使用してサブネットワークを相互に接続し、最短の接続ルートを使用してシステムがパケットを宛先に転送できるようにします。ブリッジネットワークとブリッジを管理する手順の詳細は、ブリッジング機能の管理を参照してください。
リンク層検出プロトコル (LLDP) は、トポロジの検出の目的でネットワーク上のシステム間の接続や管理の情報を交換できます。この情報には、システムの機能、管理アドレス、およびネットワーク操作に関連するそのほかの情報を含めることができます。ネットワーク診断サービスは、ネットワーク接続が制限されるか機能低下する可能性のある問題を検出するために LLDP を使用します。LLDP と LLDP を構成する手順の詳細は、リンク層検出プロトコルによるネットワーク接続情報の交換を参照してください。
データセンターブリッジング (DCB) は、ネットワーキングとストレージのプロトコルの間でデータリンクを共有する場合など、同じネットワークリンクを共有する際に複数のトラフィックタイプの帯域幅、関連する優先順位、およびフロー制御を管理するために使用されます。DCB によって、LLDP を使用して集中ネットワークをサポートする機能についてピアとの情報交換を行うことが可能になります。情報は、データセンターなどトラフィックの重い環境における、ネットワークパケットの整合性に影響する構成に関連します。DCB は、ストレージエリアネットワーク (SAN) やローカルエリアネットワーク (LAN) を統合して大規模な配備の運用および管理コストを削減することにより、効率的なネットワークインフラストラクチャーを可能にします。
パケットロスを防止する優先順位ベースのフロー制御 (PFC) や、サービスクラス (CoS) 優先順位に基づいてパケット間で帯域幅を共有する拡張伝送選択 (ETS) など、DCB 機能を構成できます。詳細は、データセンターブリッジングを使用した集中ネットワークの管理を参照してください。