Go to main content
Oracle® Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理

印刷ビューの終了

更新: 2016 年 11 月
 
 

IPv6 インタフェースに対する一時アドレスの使用

IPv6 一時アドレスには、インタフェースの MAC アドレスの代わりに、インタフェース ID としてランダムに生成された 64 ビットの数字が含まれます。匿名にしておきたい IPv6 ノード上の任意のインタフェースに対しては、一時アドレスを使用できます。たとえば、公開 Web サーバーにアクセスする必要があるホストのインタフェースに対しては、一時アドレスを使用したい場合もあります。一時アドレスには、IPv6 プライバシー拡張が実装されます。これらの拡張機能については、RFC 3041 “Privacy Extensions for Stateless Address Autoconfiguration in IPv6” (http://www.rfc-editor.org/rfc/rfc3041.txt) を参照してください。

1 つまたは複数のインタフェースに対して一時アドレスを有効にする必要がある場合は、/etc/inet/ndpd.conf ファイルを使用します。しかし、標準の自動構成された IPv6 アドレスとは異なり、一時アドレスは、64 ビットのサブネット接頭辞とランダムに生成された 64 ビット数から構成されます。このランダムな数は、IPv6 アドレスのインタフェース ID 部分になります。リンクローカルアドレスでは、一時アドレスはインタフェース ID としては生成されません。

一時アドレスの preferred lifetime のデフォルトは、1 日です。一時アドレスの生成を有効にした場合、/etc/inet/ndpd.conf ファイルでは次の変数も構成できます。

valid lifetime TmpValidLifetime

一時アドレスが存在できる寿命。この寿命を過ぎると、そのアドレスはホストから削除されます。

preferred lifetime TmpPreferredLifetime

一時アドレスが無効にされるまでの時間。この時間は、valid lifetime よりも短くします。

address regeneration

preferred lifetime が満了するまでの時間。この時間内に、ホストは新しい一時アドレスを生成します。

一時アドレスの時間を表現するには、次の書式を使用します。

n

n 秒数 (デフォルト)

n h

n 時間数 (h)

n d

n 日数 (d)

一時 IPv6 アドレスを構成する方法

  1. 必要に応じて、ホストのインタフェースの IPv6 を有効にします。

    IPv6 用にシステムを構成する方法を参照してください。

  2. /etc/inet/ndpd.conf ファイルを編集して、一時アドレスの生成を有効にします。
    • ホストのすべてのインタフェースに対して一時アドレスを構成するには、次の行を /etc/inet/ndpd.conf ファイルに追加します。

      ifdefault TmpAddrsEnabled true
    • 特定のインタフェースに対して一時アドレスを構成するには、次の行を /etc/inet/ndpd.conf ファイルに追加します。

      if interface TmpAddrsEnabled true 
  3. (オプション) 一時アドレスの valid lifetime を指定します。
    ifdefault TmpValidLifetime duration

    この構文は、ホストのすべてのインタフェースに対して valid lifetime を指定します。duration の値は、秒、時間、または日です。valid lifetime のデフォルトは 7 日です。TmpValidLifetimeif interface キーワードを使用すると、特定のインタフェースに対して一時アドレスの valid lifetime を指定できます。

  4. (オプション) 一時アドレスの preferred lifetime を指定します。この寿命を過ぎると、一時アドレスは非推奨になります。
    if interface TmpPreferredLifetime duration

    この構文は、特定のインタフェースに対して一時アドレスの preferred lifetime を指定します。preferred lifetime のデフォルトは 1 日です。TmpPreferredLifetimeifdefault キーワードを使用すると、ホストのすべてのインタフェースに対して一時アドレスの preferred lifetime を指定できます。


    注 -  デフォルトアドレス選択では、無効にされた IPv6 アドレスには低い優先順位が与えられます。IPv6 一時アドレスが非推奨になると、デフォルトアドレス選択によって、パケットのソースアドレスとして非推奨でないアドレスが選択されます。非推奨でないアドレスは、自動的に生成された IPv6 アドレス、またはインタフェースの IPv4 アドレス (可能な場合) になります。デフォルトアドレス選択の詳細については、Oracle Solaris 11.3 での TCP/IP ネットワーク、IPMP、および IP トンネルの管理 の デフォルトアドレス選択の管理を参照してください。
  5. (オプション) アドレスを無効にするまでの時間を指定します。この間に、ホストは新しい一時アドレスを生成する必要があります。
    ifdefault TmpRegenAdvance duration

    この構文は、ホストのすべてのインタフェースに対して、一時アドレスを無効にするまでの時間を指定します。デフォルトは 5 秒です。

  6. 次のように、in.ndpd デーモンの構成を変更します。
    # pkill -HUP in.ndpd
    # /usr/lib/inet/in.ndpd
  7. 使用例 6で示すように、ipadm show-addr コマンドを発行して一時アドレスが作成されたことを確認します。

    コマンド出力では、一時アドレスの CURRENT フィールドに t フラグが表示されます。

使用例 6  一時アドレスを有効にした状態での ipadm show-addr コマンド出力の表示

次に、一時アドレスを作成したあとの ipadm show-addr コマンドの出力の例を示します。このサンプル出力には IPv6 関連の情報のみが含まれています。

# ipadm show-addr -o all
ADDROBJ TYPE     STATE CURRENT PERSISTENT ADDR                                     CID-TYPE CID-VALUE BEGIN                    EXPIRE                   RENEW                    VRRP-ROUTER
lo0/v4  static   ok    U------ U--        127.0.0.1/8                               --       --       --                       --                       --                       --
net0/v4 dhcp     ok    U----D- U--        10.153.123.225/24                         other    --       Mon Oct 20 11:38:58 2014 Tue Oct 21 11:38:57 2014 Mon Oct 20 23:48:52 2014 --
lo0/v6  static   ok    U------ U--        ::1/128                                   --       --       --                       --                       --                       --
net0/v6 addrconf ok    U------ U--        fe80::214:4fff:fef9:b1a9/10               --       --       --                       --                       --                       --
net0/v6 addrconf ok    U--t--S ---        2606:b400:414:60bb:815c:f4f7:8487:95c2/64 --       --       --                       --                       --                       --

アドレスオブジェクト net0/v6 では、t フラグが CURRENT フィールドの下に設定されており、対応するアドレスが一時的なインタフェース ID を保持していることを示しています。また、ipadm show-addr –o コマンドの出力の CURRENT 列に 2 つの新しいアドレスフラグが追加されたことにも注意してください。D フラグが DHCP ネゴシエーションの結果として構成された IP アドレスを示すのに対して、S フラグは、IPv6 ステートレスアドレスの自動構成の結果として構成されたアドレスを示します。

関連項目