このセクションでは、ディスクに使用されるすべての用語 (トラック、シリンダ、セクターなど) について説明しているわけではありません。これらの用語の意味の説明については、ハードディスクに関する多数の情報ソース (http://en.wikipedia.org/wiki/Hard_disk_drive、ディスク製造元のドキュメントなど) を参照してください。
次の概念は、Oracle Solaris でのディスク管理を理解するために役立ちます。
ディスクラベルには、ディスクのコントローラ、ジオメトリ、およびスライスに関する情報が格納されます。ディスクラベルは VTOC (Volume Table of Contents) ラベルとも呼ばれます。
ディスクへのラベル付けは、ディスクにスライスの情報を書き込むことを意味します。通常は、ディスクのスライスやパーティションを変更した後にラベルを付けます。ラベルによって、スライスに関する情報が OS に通知されます。スライスを作成したあとにディスクにラベルを付けていない場合は、そのスライスを使用できません。
Oracle Solaris は、次のディスクラベルをサポートしています。
SMI – 従来の VTOC ラベル。サイズが 2T バイトに満たないディスク用です。
EFI – 2T バイトを超えるディスクのラベル。ただし、EFI GPT (Extensible Firmware Interface GUID Partition Table) ディスクラベルは、2T バイト未満のディスクにも使用できます。
Oracle Solaris では、次のシステムで EFI (GPT) ラベル付きディスクがデフォルトでインストールされます。
GPT 対応のファームウェアを持つ SPARC システム
SPARC T4 サーバーでは、Sun システムファームウェアは少なくともバージョン 8.4.0 である必要があります。SPARC T5 および SPARC M5 サーバーでは、ファームウェアは少なくともバージョン 9.1.0 である必要があります。
x86 システム
Oracle Solaris ZFS ファイルシステムでは、1T バイトを超えるサイズのファイルシステムがサポートされています。
次の追加の機能は、VTOC のディスクラベルにはない EFI のディスクラベルの機能です。
スライス 0 - 6 を使用できます (パーティション 2 はその他のスライス)。
パーティションやスライスが、プライマリラベル、バックアップラベル、またはほかのパーティションとオーバーラップすることを禁止しています。EFI ラベルのサイズは通常 34 セクターなので、パーティションは通常セクター 34 で始まります。このため、パーティションはセクターゼロ (0) から開始できません。ディスク全体は cxtydz によって表されます。
ジオメトリの概念を使用しないでください。EFI (GPT) ラベル付きディスクのパーティションは、論理ブロックに基づいて定義されます。このため、EFI ディスクラベルは、ディスクやパーティションのサイズ情報を提供します。使用可能な単位はセクターまたはブロックです。シリンダおよびヘッドは使用できません。
代替のシリンダ領域ではなく、ディスクまたはパーティションの最後の 2 つのシリンダに情報を格納します。
パーティションのサイズが変更されたあとのパーティションタグの再割り当てをサポートします (サイズがゼロに等しいパーティションにのみ割り当てられる unassigned パーティションタグを除く)。
EFI ディスクの使用を決定する前に、VTOC ラベル付きディスクを使用するシステム向けの階層化されたソフトウェア製品で、EFI ラベル付きディスクにアクセスできない場合があることを考慮してください。
ディスク上のファイルは、ファイルシステムに含まれています。ディスク上の各ファイルシステムは、セクターのグループで構成されるスライスに割り当てられます。スライスを「パーティション」と呼ぶこともあります。format ユーティリティーなど、特定のインタフェースではスライスを「パーティション」と呼びます。
各ディスクスライスは、個別のディスクドライブとして表示されます。
スライスを設定するときには、次の規則に注意してください。
各ディスクスライスは、ファイルシステムを 1 つしか持てない。
ファイルシステムを複数のスライスにまたがって割り当てることはできない。
ファイルシステムについては、Oracle Solaris 11.3 でのファイルシステムの管理を参照してください。
サードパーティー製のデータベースアプリケーションは、多くの場合、raw データスライスを作成します。これらのアプリケーションが raw スライスにブロック 0 またはスライス 2 を使用しないようにしてください。ブロック 0 にはディスクラベルが格納されており、スライス 2 は VTOC ラベル付きのディスク全体を表しています。raw スライスをこれらの 2 つの場所に作成すると、ディスクラベルが上書きされ、ディスク上のデータにアクセスできなくなります。
format ユーティリティーを使用して 1 つまたは複数のディスクスライスのサイズを変更するときには、サイズ変更操作に対応して拡大縮小する一時スライスを指定します。
このスライスは、スライスを拡大すると領域を「解放 (free)」し、スライスを圧縮すると放棄された領域を「回収 (hog)」します。このため、提供側のスライスを「free hog」と呼びます。
free hog スライスは、インストール時または format ユーティリティーの実行時にのみ存在します。日常の操作中に free hog スライスが継続して存在することはありません。
free hog スライスの使用方法については、ZFS ルートプール (VTOC) の交換方法またはZFS ルートプール (EFI (GPT)) の交換方法を参照してください。