DLMP アグリゲーションの障害検出は、集約されたポートの障害を検出する方法です。ポートはトラフィックを送受信できない場合に失敗したとみなされます。ポートは次の理由により失敗することがあります。
ケーブルの損傷または切断
スイッチポートのダウン
上位ネットワークパスの障害
DLMP アグリゲーションは、トラフィックを送受信するネットワークの継続的な可用性を保証するために集約されたポートに対して障害検出を実行します。ポートが失敗すると、そのポートに関連付けられたクライアントはアクティブなポートにフェイルオーバーされます。集約されたポートが失敗すると、そのポートは修復されるまで使用不可能なままになります。残りのアクティブポートが機能し続ける一方で、既存のポートが必要に応じて配備されます。失敗したポートが障害から回復すると、そのほかのアクティブなポートのクライアントをそのポートに関連付けることができます。
DLMP アグリゲーションはリンクベースおよびプローブベースの障害検出をサポートしています。
リンクベースの障害検出は、ケーブルの切断時またはスイッチポートのダウン時に障害を検出します。したがって、データリンクと 1 ホップ目のスイッチの間の直接接続の損失が原因で発生する障害のみを検出できます。リンクベースの障害検出は DLMP アグリゲーションの作成時にデフォルトで有効です。
プローブベースの障害検出は、エンドホストと構成されたターゲットの間の障害を検出します。この機能はリンクベースの障害検出の既知の制限を克服します。プローブベースの障害検出は、デフォルトのルーターがダウンしているか、あるいはネットワークが到達不能になった場合に役立ちます。DLMP アグリゲーションはプローブパケットを送受信することで障害を検出します。
プローブベースの障害検出を DLMP アグリゲーションで有効にするには、probe-ip プロパティーを構成する必要があります。
最初の DLMP アグリゲーションを作成すると、サービス svc:/network/dlmp:default が自動的に有効になります。このサービスは、プローブベースの障害検出を DLMP アグリゲーションで実行する in.dlmpd デーモンを開始します。このサービスは、DLMP アグリゲーションがシステム内にない場合には無効になります。詳細は、DLMP アグリゲーションのプローブベースの障害検出の構成を参照してください。
プローブベースの障害検出は 2 種類のプローブ (Internet Control Message Protocol (ICMP (L3)) プローブと推移的 (L2) プローブ) の組み合わせを使用して実行されます。これらのプローブは、集約された物理的なデータリンクの状態を判定するために連携して動作します。
ソース IP アドレスとオプションのターゲット IP アドレスまたはホスト名のコンマ区切りのリストを構成できます。ターゲット IP アドレスは、指定されたソース IP アドレスと同じサブネット上にある必要があります。異なる 4 つの形式でソース IP アドレスを指定できます。詳細は、DLMP のプローブベースの障害検出の構成方法を参照してください。
ICMP プローブは、IP アドレスが VNIC などのクライアントに関連付けられている場合のみ、probe-ip プロパティーの構成されたソース IP アドレスを使用します。ポートは、VNIC などのクライアントのインバウンドトラフィックを受信してアウトバウンドトラフィックを送信した場合にのみ、そのクライアントに関連付けられます。ある特定の時間において、クライアントのインバウンドトラフィックまたはアウトバウンドトラフィックは常に DLMP アグリゲーションのベースとなる 1 つのポートのみを経由します。probe-ip プロパティーの構成済み IP アドレスは、IP アドレスがそのポートに関連付けられている場合のみ、ポートの正常性をモニターするために使用されます。
構成されたソース IP アドレスごとに、in.dlmpd デーモンは構成されたターゲットに対するユニキャスト ICMP パケットを定期的に送信します。ターゲット IP アドレスが構成されていない場合、in.dlmpd は、ルーティングテーブルを使用して指定されたソース IP アドレスと同じサブネット上の経路を探し、指定された次のホップをターゲット IP アドレスとして使用します。
ICMP プローブトラフィックは、その IP クライアントに関連付けられたポートのみを介して送信されます。特定のポートのターゲットがすべて到達不能になった場合、そのポートは ICMP 失敗としてマークされます。ICMP プローブでそのポートから少なくとも 1 つのターゲットが到達可能である場合、そのポートは ICMP アクティブとしてマークされます。
推移的プローブはすべてのネットワークポートの正常性状態が ICMP プローブで判断できない場合に実行されます。したがって、推移的プローブは、probe-ip プロパティーに対して構成されているソース IP アドレスにポートが関連付けられていない場合に実行されます。たとえば、推移的プローブが実行されるのは、IP クライアントにポートが関連付けられていない場合か、probe-ip プロパティーの構成された IP アドレスの数が集約されたポートの合計数より少ない場合です。プローブパケットは、IP クライアントに関連付けられていないポートからピアポートに定期的に送信されます。ポートがいずれかの ICMP アクティブポートに到達できる場合、そのポートは L2 アクティブとみなされます。
Oracle Solaris には、ネットワークを介して送信される推移的プローブに対する独自のプロトコルパケットが含まれます。詳細は、Appendix B, 推移的プローブのパケット形式を参照してください。
プローブベースの障害検出は、アグリゲーション上の VNIC が大域ゾーン内で作成されて非大域ゾーンに割り当てられている場合に、大域ゾーンで実行されます。ただし、プローブトラフィックは VLAN を活用して非大域ゾーンから分離できます。たとえば、プローブトラフィックが大域ゾーンの 1 つの VLAN 上で実行されている場合、非大域ゾーントラフィックを別の VLAN 上で実行できます。