VLAN の削除や再構成を行わずに、VLAN をベースとなるデータリンクから別のベースとなるデータリンクに移行します。ベースとなるリンクは、物理リンク、リンクアグリゲーション、または etherstub です。etherstub の詳細は、Oracle Solaris 11.2 での仮想ネットワークとネットワークリソースの管理 の仮想ネットワークのコンポーネントを参照してください。
VLAN を正常に移行するには、VLAN の移動先であるベースとなるデータリンクが、VLAN のデータリンクプロパティーに対応できる必要があります。これらのプロパティーがサポートされていない場合、移行は失敗し、ユーザーに通知されます。移行が正常に行われたあとは、VLAN がネットワークに接続されたままであれば、その VLAN を使用しているすべてのアプリケーションが通常の動作を継続します。
ハードウェアに依存する特定のプロパティーは、VLAN の移行後に変更される場合があります。たとえば、VLAN は常に、そのベースとなるデータリンクと同じ MAC アドレスを共有します。したがって、VLAN を移行すると、その VLAN の MAC アドレスは、ターゲットデータリンクのプライマリ MAC アドレスに変更されます。ほかにも、データリンク状態、リンク速度、および MTU サイズのプロパティーが影響を受ける可能性があります。ただし、アプリケーションは中断されることなく動作を継続します。
VLAN の移行は、グローバルに実行することも選択的に実行することもできます。
グローバルな移行は、あるデータリンク上で構成されているすべての VLAN を別のデータリンクに移行するために使用されます。グローバルな移行を実行するには、ソースデータリンクとターゲットデータリンクを指定するだけで済みます。次の例では、ether0 上のすべての VLAN を net1 に移動する方法を示しています。
# dladm modify-vlan -l net1 -L ether0
VLAN の移行先であるターゲットデータリンクを表します。
VLAN が構成されている元のデータリンクを表します。
選択的移行は、選択された VLAN のみを移行するために使用されます。VLAN の選択的な移行を実行する場合は、移動する VLAN を指定します。Figure 3–3 に基づく次の例では、VLAN は net0 から net3 に移動されます。
# dladm modify-vlan -l net3 web1,auth1,app1
移行を実行する間に、VLAN の VLAN ID を変更できます。Figure 3–3 を基にして、次の例では、複数の VLAN を移行すると同時にそれらの VLAN ID を変更する方法を示します。
# dladm show-vlan LINK VID OVER FLAGS web1 111 net0 ----- auth1 112 net0 ----- app1 113 net0 ----- # dladm modify-vlan -l net3 -v 123 web1 # dladm modify-vlan -l net3 -v 456 auth1 # dladm modify-vlan -l net3 -v 789 app1 # dladm show-vlan LINK VID OVER FLAGS web1 123 net3 ----- auth1 456 net3 ----- app1 789 net3 -----