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Oracle® Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス
12cリリース1 (12.1)
B71298-08
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1 RMANコマンドの概要

この章の内容は、次のとおりです。

RMANの構文図

このマニュアルでは、RMANのコマンドライン構成の構文記述に図形式またはバッカス正規形(BNF)を使用しています。構文図およびBNF記法についての基本的な情報は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。この項では、RMANの表記規則についてのみ説明します。

次のCATALOGコマンドの例で示すように、Recovery Managerの構文図は、線と矢印で構文の構造を表します。

catalog::=

この項では、構文図の構成要素を説明し、RMANコマンドの書式の例を示します。構文図の構成要素は、次のとおりです。

RMAN構文内のキーワード

キーワードは、Recovery Managerの構文で特殊な意味を持ちます。キーワードは、構文図では、図の例にあるワードCATALOGのように長方形で囲まれた大文字で表されます。本文とコード例で使用されている場合、RMANキーワードは CATALOG DATAFILECOPYのように固定幅フォントの大文字で表されます。RMAN文でのキーワードは、構文図に示すとおりに使用する必要があります。ただし、大文字と小文字は区別しません。

RMAN構文内のプレースホルダ

構文図でのプレースホルダは、キーワード以外を示します。構文図では、図の例にあるワードintegerのように楕円で囲まれて表されます。説明文の中では、RMANのプレースホルダは小文字のイタリック体で表されます。たとえば、'filename'となります。通常、プレースホルダは次の内容を示します。

  • データベース・オブジェクト名(tablespace_name)

  • Oracleデータ型名(date_string)

  • 副次句(datafileSpec)

構文図にプレースホルダがあるときは、RMAN文中では、適切な型のオブジェクトまたは式に置き換えます。たとえば、DUPLICATE TARGET DATABASE TO 'database_name'コマンドを記述する場合は、構文図のdatabase_nameプレースホルダを、dupdbなどの作成する複製データベースの名前に置き換えて使用します。

RMANの引用符付き文字列の場合、システムに依存しない有効な環境変数は、Oracleホームに使用する疑問符(?)とSIDに使用するアットマーク(@)のみです。ただし、ターゲット・システム上では、引用符付き文字列にオペレーティング・システム固有の環境変数を使用できます。環境変数は、RMANクライアントではなくデータベース・サーバーによって解析されます。

次の表に、構文図に表されるプレースホルダと、構文中でそれに代入する値の例を示します。

プレースホルダ 説明

'filename''tablespace_name''channel_name''channel_parms'など、引用符付き文字列。

一重引用符または二重引用符で囲まれた文字列。引用符で囲んだ文字列には、空白文字、句読点、RMANキーワードおよびSQLキーワードも含まれています。

"?/dbs/cf.f"

'dev1'

channel_idtag_namedate_stringなど、引用符なしの文字列。

アルファベット文字で開始し、空白および句読点のない文字列。

ch1

integer

数値のみを含む文字列。

67843

RMAN構文内の引用符

RMAN構文図で示すプレースホルダの値には、引用符で囲むことが必要なものと任意のものがあります。構文図では一重引用符を使用していますが、RMAN構文では、二重引用符も使用できます。たとえば、'filename'"filename"も指定できます。

RMANコマンドの形式

RMANの言語は自由区分形式です。複数のキーワードは、少なくとも1つの空白文字(空白、タブ、改行など)で区切る必要があります。RMANコマンドは、構文図で示すように、「RMANコマンド: @(アットマーク)からQUITまで」で説明するコマンドに対応するキーワードで始まり、引数がその後に続き、セミコロンで終了します。次の例は、RMANのバックアップ・コマンドを示しています。

BACKUP DATABASE;

コマンドは、複数行になることがあります。たとえば、前述のコマンドの各キーワードを次のように別々の行に書き直すことができます。

BACKUP
  DATABASE
;

単一行のRMANコマンド最大長は4000文字です。コマンドがこの長さを超過した場合は、複数のコマンドに分割するか、コマンド行を複数使用([Enter]キーを使用して複数行にわたるコマンドを作成)することができます。たとえば、複数データファイルをバックアップするBACKUPコマンドが4000文字を超える場合、このコマンドを2つの別のBACKUPコマンドに分割するか、複数行にわたる単一のBACKUPコマンドにできます。

コメントは行の任意の場所で番号記号(#)文字を使用して挿入することができます。#文字に後続する行の部分は無視されます。次に例を示します。

# run this command once each day
BACKUP INCREMENTAL LEVEL 1 
  FOR RECOVER OF COPY      # using incrementally updated backups
  WITH TAG "DAILY_BACKUP"  # daily backup routine
  DATABASE;

RMANの予約語

RMAN言語には予約語があり、RMANコマンドで使用されています。通常は、RMANコマンド言語の本来の意味と矛盾する方法では予約語を使用しないでください。

予約語をRMANコマンドの引数として使用する必要がある場合(たとえば、ファイル名、表領域名、タグ名など)は、予約語を一重引用符または二重引用符で囲んでください。そうしないと、RMANでコマンドが正しく解析されず、エラーが発生します。例1-1に、RMANコマンドでRMAN予約語を適切に使用している例と適切でない使用例を示します。

例1-1 予約語をRMANコマンドの引数に使用する例

ALLOCATE CHANNEL backup DEVICE TYPE DISK;         # incorrect
ALLOCATE CHANNEL "backup" DEVICE TYPE DISK;       # correct
BACKUP DATABASE TAG full;                         # incorrect
BACKUP DATABASE TAG 'full';                       # correct

関連項目:

現在のすべての予約語のリストは、「RMANの予約語」を参照してください。

RMANコマンドの概要

表1-1に、RMANプロンプトまたはRUNコマンド、あるいはその両方で実行できるRMANコマンドの機能の概要を示します。非推奨になっているコマンドとオプションもありますが、旧リリースのRMANのすべてのコマンドが、現行のリリースで動作します(「非推奨になったRMAN構文」を参照)。RMANクライアントのコマンドライン・オプションについては、RMANを参照してください。

表1-1 Recovery Managerコマンド

コマンド 用途

@(アットマーク)

コマンド・ファイルを実行します。

@@(二重アットマーク)

現在実行中のコマンド・ファイルと同じディレクトリにあるコマンド・ファイルを実行します。@@コマンドが@コマンドと異なるのは、コマンド・ファイル内から実行される場合のみです。

ADVISE FAILURE

修復オプションを表示します。

ALLOCATE CHANNEL

チャネルを確立します。これは、RMANとデータベース・インスタンス間の接続です。

ALLOCATE CHANNEL FOR MAINTENANCE

DELETEコマンドなどのメンテナンス・コマンドの発行に備えてチャネルを割り当てます。

BACKUP

データベース・ファイル、データベース・ファイルのコピー、アーカイブ・ログまたはバックアップ・セットをバックアップします。

CATALOG

ファイル・コピーおよびユーザー管理バックアップに関する情報をリポジトリに追加します。

CHANGE

バックアップ・ピース、イメージ・コピーまたはアーカイブREDOログをステータスUNAVAILABLEまたはAVAILABLEを持つものとしてマークします。バックアップまたはコピーのリポジトリ・レコードを削除します。バックアップまたはコピーの保存方針をオーバーライドします。DB_UNIQUE_NAMEを使用してターゲット・データベースのリカバリ・カタログを更新します。

CONFIGURE

永続的なRMAN設定を構成します。この設定は、明示的に変更または使用不可にするまで、すべてのRMANセッションに適用されます。

CONNECT

RMANとターゲット・データベース、補助データベースまたはリカバリ・カタログ・データベースとの接続を確立します。

CONVERT

プラットフォーム間で表領域とデータベースをトランスポートするために、データファイルの形式を変換します。

CREATE CATALOG

リカバリ・カタログのためのスキーマを作成します。

CREATE SCRIPT

ストアド・スクリプトを作成してリカバリ・カタログに格納します。

CROSSCHECK

アーカイブ・ログ、データファイルのコピーおよびバックアップ・ピースなど、RMANで管理されるファイルが、ディスクまたはテープに引き続き存在するかどうかを判断します。

DELETE

バックアップとコピーを削除し、その参照をリカバリ・カタログから削除し、その制御ファイル・レコードをステータスDELETEDに更新します。

DELETE SCRIPT

ストアド・スクリプトをリカバリ・カタログから削除します。

DESCRIBE

表またはビューの列定義をリストします。

DROP CATALOG

リカバリ・カタログからスキーマを削除します。

DROP DATABASE

ディスクからターゲット・データベースを削除して登録を解除します。

DUPLICATE

ターゲット・データベースのバックアップを使用して、テストに使用できる複製データベースを作成するか、スタンバイ・データベースを作成します。

EXECUTE SCRIPT

RMANストアド・スクリプトを実行します。

EXIT

RMAN実行可能ファイルを終了します。

FLASHBACK DATABASE

データベースを過去のある時点またはSCNでの状態に戻します。

GRANT

リカバリ・カタログのユーザーに権限を付与します。

HOST

RMANからオペレーティング・システムのコマンドライン・サブシェルをコールするか、特定のオペレーティング・システム・コマンドを実行します。

IMPORT CATALOG

あるリカバリ・カタログから別のリカバリ・カタログに、メタデータをインポートします。

LIST

バックアップ・セットまたはコピーの詳細リストを生成します。

PRINT SCRIPT

ストアド・スクリプトを表示します。

QUIT

RMAN実行可能ファイルを終了します。

RECOVER

バックアップまたはデータファイルのコピーからリストアされたデータファイルまたはデータ・ブロックにREDOログ・ファイルおよび増分バックアップを適用して、内容を特定の時点の状態に更新します。

REGISTER DATABASE

ターゲット・データベースをリカバリ・カタログに登録します。

RELEASE CHANNEL

ALLOCATE CHANNELコマンドまたはALLOCATE CHANNEL FOR MAINTENANCEコマンドで割り当てたチャネルを解放します。

REPAIR FAILURE

自動診断リポジトリに記録された1つ以上の障害を修復します。

REPLACE SCRIPT

リカバリ・カタログに格納されている既存のスクリプトを置換します。既存のスクリプトがない場合は、REPLACE SCRIPTによりスクリプトが作成されます。

REPORT

リカバリ・カタログの内容の詳細分析を行います。

RESET DATABASE

SQL文ALTER DATABASE OPEN RESETLOGSが実行され、ターゲット・データベースの新規インカネーションが作成されたことをRMANに通知するか、またはターゲット・データベースを以前のインカネーションに再設定します。

RESTORE

バックアップ・セットまたはディスク・コピーから、デフォルト位置または新規の位置にファイルをリストアします。

RESYNC CATALOG

完全再同期化を実行します。これにより、スナップショット制御ファイルが作成され、そのファイルから新規または変更後の情報がリカバリ・カタログにコピーされます。

REVOKE

リカバリ・カタログ・ユーザーから権限を取り消します。

RMAN

オペレーティング・システムのコマンドラインからRMANを起動します。

RUN

1つ以上の一連のRMANコマンドを実行します。これは、RUNの中カッコ内で実行される1つ以上の文です。

SEND

ベンダー固有の引用符付き文字列を1つ以上の特定チャネルに送信します。

SET

RUNブロックまたはセッションの実行時にRMANの動作に影響する様々な属性の値を設定します。

SHOW

現行のCONFIGURE設定を表示します。

SHUTDOWN

ターゲット・データベースを停止します。このコマンドは、SQL*PlusのSHUTDOWNコマンドと同じです。

SPOOL

RMAN出力をログ・ファイルに書き込みます。

SQL

Recovery Manager内からSQL文またはPL/SQLプロシージャを実行します。

SQL (引用符)

Recovery Manager内からSQL文を実行します。改善された構文については、SQLコマンドを参照してください。

STARTUP

ターゲット・データベースを起動します。このコマンドは、SQL*PlusのSTARTUPコマンドと同じです。

SWITCH

データファイルのコピーが、制御ファイルが指すデータファイルである現行のデータファイルであることを指定します。このコマンドは、データファイルに適用されるSQL文ALTER DATABASE RENAME FILEと同じです。

TRANSPORT TABLESPACE

1つ以上の表領域のバックアップからトランスポータブル表領域のセットを作成します。

UNREGISTER

リカバリ・カタログからデータベースを登録解除します。

UPGRADE CATALOG

リカバリ・カタログ・スキーマを、旧バージョンからRMAN実行可能ファイルに必要なバージョンにアップグレードします。

VALIDATE

バックアップ・セットを調べて、データの損傷がないかどうかをレポートします。RMANは、指定したバックアップ・セットのバックアップ・ピースをすべてスキャンし、チェックサムを参照して、内容が正しくリストアされるかどうかを検証します。

RMAN副次句の概要

複数のコマンドで使用される副次句は、不要な重複を避けるために章を分けて説明しています。副次句を使用するコマンドの説明には、「RMAN副次句」の副次句の項目への相互参照が含まれています。表1-2に、RMANの副次句をまとめています。

表1-2 Recovery Managerの副次句

副次句 指定内容

allocOperandList

PARMSFORMATなどのチャネル制御オプション

archivelogRecordSpecifier

アーカイブREDOログ・ファイルの範囲

completedTimeSpec

バックアップまたはコピーが完了した時刻の範囲

connectStringSpec

ターゲット・データベース、リカバリ・カタログ・データベースまたは補助データベースに接続するための、ユーザー名、パスワードおよびネット・サービス名。この接続は、ユーザーの認証とデータベースの識別のために必要です

datafileSpec

ファイル名または絶対ファイル番号によるデータファイル

dbObject

データベースまたはデータベースの一部。

deviceSpecifier

バックアップまたはコピーに使用するストレージ・デバイスのタイプ

fileNameConversionSpec

BACKUP AS COPYCONVERTおよびDUPLICATEの実行時に、ソース・ファイル名からターゲット・ファイル名への変換に使用するパターン

forDbUniqueNameOption

Data Guard環境のすべてのデータベース、または固有のDB_UNIQUE_NAMEを持つデータベース

foreignFileSpec

リカバリするデータベース・オブジェクトとそれらのオブジェクトが含まれるバックアップ・セットの名前

foreignlogRecordSpecifier

外部アーカイブREDOログ・ファイルの範囲

formatSpec

バックアップまたはコピーのファイル名形式

keepOption

バックアップまたはコピーを現行の保存方針から除外するかどうか

listObjList

LISTコマンドで表示する項目

maintQualifier

DELETECHANGEなどのメンテナンス・コマンドの追加オプション

maintSpec

CHANGECROSSCHECKおよびDELETEなどのメンテナンス・コマンドで操作されるファイル

obsOperandList

指定条件に従って不要となるバックアップ

recordSpec

メンテナンス・コマンドで操作されるオブジェクト

sizeSpec

データのサイズ

tempfileSpec

一時ファイル(パスまたはファイル番号で指定)

untilClause

上限(時刻、SCNまたはログ順序番号で指定)。通常、この句は不完全リカバリに必要な時点を指定するために使用します