仮想マシン (VM) は、システムのリソースを仮想的に分割して複数のマシンと OS をシミュレートするために使用されます。各 VM は、その内部で実行されるプログラム専用です。VM は分離されており、アプリケーションおよびデータベースを実行するためのセキュアな環境を提供します。
組織内の個々の部門に個別の VM を構成し、各 VM で固有の組み合わせのアプリケーションとデータベースをホストすることもできます。また、VM を使用すると、一部のソフトウェアを現時点では設定されたコア数に制限し、あとでコア数を簡単に追加できるため、ライセンスコストを抑えることができます。VM のいくつかを開発用、その他を本番用に使用するなど、任意の組み合わせの配備に使用できます。
MiniCluster VM は Solaris 非大域ゾーンを使用して作成され、セキュアな分離、リソース割り当ての柔軟性といった MiniCluster ゾーン (MiniCluster ゾーンの概要を参照) によく似た属性を持っています。MiniCluster のゾーンと VM の違いは、ゾーンはシステムをサポートする基盤の構造であり (どの MiniCluster でも均一)、VM は企業の計算ニーズに応じてカスタマイズされる仮想マシンであるということです。MiniCluster 上の VM の数、タイプ、および構成はユーザーが決定します。
VM には次の 2 つのタイプがあります。
DB VM – Oracle Solaris OS で実行される Oracle データベースを含む仮想マシン。
アプリケーション VM – Oracle Solaris OS およびユーザーが選択してインストールしたアプリケーションを含む仮想マシン。
1 種類の VM のみを使用するか、または DB VM とアプリケーション VM の組み合わせを使用してシステムを構成できます。
VM のプロビジョニングは MCMU BUI または CLI を使用して簡単に実行できます。MCMU では、VM パラメータの入力が求められたあと、VM の作成、配備、および構成が行われます。
各 VM には、ユーザーのネットワークからアクセスできるように固有のネットワークパラメータセットが設定されます (VM へのアクセスを参照)。
この図は、VM がどのように論理的に配置されるかの例を示し、各タイプの VM を構成する主要コンポーネントを一覧表示しています。
大域ゾーン – MiniCluster ゾーンの概要を参照してください。
カーネルゾーン – MiniCluster ゾーンの概要を参照してください。
DB VM グループ – これはシステム上にあるデータベース VM の集まりです (グループは両方のノードにまたがります)。システムでサポートされるデータベース VM グループは 1 つです。グループを構成するには、VM の作成計画で説明されているパラメータを指定します。
DB VM – データベース仮想マシンは、Oracle Database ソフトウェアを含む VM です。設定された数のコアを DB VM に割り当てるか、または DB VM とほかの VM とでコアを共有するかを選択します。
DB ホーム – グループ内の Oracle Database ソフトウェアのインストールです。1 つのバージョンをインストールするか、またはバージョンを組み合わせてインストールできます。Oracle Database 11g、12c、または 12 SE (単一インスタンスのみ) がサポートされています。ソフトウェアのホームディレクトリとパッチレベルを指定することもできます。
DB インスタンス – 特定の DB インスタンスに関する個別の DB 構成の詳細を提供します。各 DB VM 内に 1 つまたは複数のインスタンスを作成します。選択するインスタンスパラメータには、RAC、RAC one-node、単一インスタンス、ASM ディスクグループの冗長性、セキュリティープロファイルなどさまざまなものがあります。
アプリケーション VM グループ – アプリケーション VM の論理的なグループです。グループ内に 1 つまたは 2 つのアプリケーション VM を作成できます。DB VM グループとは異なり、アプリケーション VM グループは、それをサポートできるリソースがあるかぎりいくつでも作成できます。
アプリケーション VM – アプリケーション仮想マシンは、Oracle Solaris OS およびユーザーがインストールしたアプリケーションを含む VM です。設定された数のコアをアプリケーション VM に割り当てるか、またはアプリケーション VM とほかの VM とでコアを共有するかを選択します。
将来の DB およびアプリケーション VM – 使用可能なストレージおよび CPU リソースがあるかぎり、追加の VM をいつでも作成できます。