Oracle® Solaris 11.2 デバイスドライバの記述

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更新: 2014 年 9 月
 
 

タスクキューの概要

カーネルプログラミングの一般的な操作は、タスクがあとで別のスレッドによって実行されるようにスケジュールすることです。次の例は、タスクを別のスレッドにあとで実行する理由をいくつか列挙したものです。

  • 現在のコードパスはタイムクリティカルである。実行する追加タスクはタイムクリティカルでない。

  • 追加タスクで、別のスレッドが現在保持しているロックを獲得しなければならない可能性がある。

  • 現在のコンテキストではブロックできない。追加タスクは、メモリー待機などの理由でブロックしなければならない可能性がある。

  • ある条件のためにコードパスが完了できない状態になっているが、現在のコードパスをスリープさせたり失敗させたりできない。条件の解消後に実行できるよう、現在のタスクをキューに入れる必要がある。

  • 複数のタスクを並列して起動する必要がある。

これらの各ケースでは、別のコンテキスト内でタスクが実行されます。別のコンテキストとは通常、異なる一連のロックを保持し、優先順位もおそらく異なる別のカーネルスレッドのことです。タスクキューは、非同期タスクをスケジュールするための汎用カーネル API を提供します。

タスクキューとは、タスクリストを処理するためのスレッドを 1 つ以上備えたタスクリストのことです。タスクキューのサービススレッドが 1 つの場合、リストに追加された順番ですべてのタスクが実行されることが保証されます。タスクキューのサービススレッドが複数存在する場合、タスクの実行順番は不明になります。


注 - タスクキューのサービススレッドが複数存在する場合には、あるタスクの実行がほかのどのタスクの実行にも依存しないことを確認してください。タスク間に依存関係があると、デッドロックが発生する可能性があります。