Oracle® Solaris 11.2 デバイスドライバの記述

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更新: 2014 年 9 月
 
 

GLDv2 のデバイスサポート

    GLDv2 フレームワークは次の種類のデバイスをサポートします。

  • DL_ETHER: ISO 8802-3、IEEE 802.3 プロトコル

  • DL_TPR: IEEE 802.5、Token Passing Ring

  • DL_FDDI: ISO 9314-2、Fibre Distributed Data Interface

Ethernet V2 および ISO 8802-3 (IEEE 802.3)

DL_ETHER タイプとして宣言されたデバイスについて、GLDv2 は Ethernet V2 および ISO 8802-3 (IEEE 802.3) の両方のパケット処理をサポートします。Ethernet V2 では、ユーザーはプロバイダのプロトコルについて特別な知識がなくても、仕様に準拠したデータリンクサービスプロバイダにアクセスできます。サービスアクセスポイント (SAP) は、ユーザーがサービスプロバイダと通信するときに通過するポイントです。

0 - 255 の範囲の SAP 値にバインドされたストリームは同等として扱われ、ユーザーが 8802-3 モードの使用を求めていることを示します。DL_BIND_REQ の SAP 値がこの範囲内の場合、GLDv2 は、そのストリームの後続の各 DL_UNITDATA_REQ メッセージの長さを計算します。この長さには 14 バイトのメディアアクセス制御 (MAC) ヘッダーは含まれません。GLDv2 はその後、計算した長さの 8802-3 フレームを MAC フレームヘッダーの type フィールドに転送します。この長さは 1500 を超えることはありません。

0 - 1500 の範囲の type フィールドを持つフレームは 8802-3 フレームとみなされます。これらのフレームは、8802-3 モードで開いているすべてのストリームに経路指定されます。SAP 値が 0 - 255 の範囲であるストリームは 8802-3 モードとみなされます。複数のストリームが 8802-3 モードである場合、着信フレームは複製され、これらのストリームに経路指定されます。

1500 より大きい SAP 値にバインドされたストリームは Ethernet V2 モードとみなされます。これらのストリームは、Ethernet MAC ヘッダーの type の値が、ストリームのバインド先である SAP の値と完全一致する着信パケットを受信します。

TPR と FDDI: SNAP 処理

DL_TPR および DL_FDDI のメディアタイプ向けに、GLDv2 は最小限の SNAP (Sub-Net Access Protocol) 処理を実装します。この処理は、255 より大きい SAP 値にバインドされたあらゆるストリームが対象となります。0 - 255 の範囲の SAP 値は LLC SAP 値です。そのような値は、メディアパケットフォーマットによって通常どおりに伝送されます。SAP 値が 255 より大きい場合、16 ビット Ethernet V2 スタイルの SAP 値を伝送するには、LLC ヘッダーに従属する SNAP ヘッダーが必要です。

SNAP ヘッダーは、宛先 SAP 0xAA が指定された LLC ヘッダーとして伝送されます。SAP 値が 255 より大きい発信パケットには、次の形式の LLC+SNAP ヘッダーが必要です。

AA AA 03 00 00 00 XX XX

XX XX は、Ethernet V2 スタイルの type に対応する 16 ビット SAP を表します。このヘッダーは、0 以外の組織固有識別子フィールドのサポートに固有のものです。03 以外の LLC 制御フィールドは、SAP 0xAA を持つ LLC パケットとみなされます。これ以外の SNAP フォーマットを使用するクライアントは、LLC を使用し、SAP 0xAA にバインドする必要があります。

着信パケットが前述したフォーマットに適合しているかどうかのチェックが行われます。適合するパケットは、パケットの 16 ビット SNAP タイプにバインドされたすべてのストリームと照合されます。また、これらのパケットは LLC SNAP SAP 0xAA に一致するものとみなされます。

LLC SAP として受信されたすべてのパケットは、メディアタイプ DL_ETHER の項目で説明したように、LLC SAP にバインドされているすべての上位層ストリームに渡されます。

TPR: 発信元ルーティング

DL_TPR タイプのデバイス向けに、GLDv2 は発信元ルーティングの最小限のサポートを実装します。

    発信元ルーティングのサポートには次のタスクが含まれています。

  • ブリッジメディアを介して送信されるパケットのルーティング情報を指定します。ルーティング情報は MAC ヘッダーに格納されます。この情報は経路の特定に使用されます。

  • 経路を学習します。

  • 可能性のある複数の経路についての情報を要求し、そのような情報の要求に応答します。

  • 利用可能な経路の中から選択します。

発信元ルーティングにより、発信パケットの MAC ヘッダーにルーティング情報フィールドが付加されます。また、このサポートにより着信パケットの経路指定情報フィールドが認識されます。

GLDv2 の発信元ルーティングのサポートでは、ISO 8802-2 (IEEE 802.2) のセクション 9 で定義されている、完全な経路特定エンティティー (route determination entity、RDE) は実装されません。ただしこのサポートでは、同一ネットワークまたはブリッジ接続されたネットワークに存在する可能性がある、あらゆる RDE 実装との相互運用が可能です。