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Oracle® Solaris 10 から Oracle Solaris 11.3 への移行

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更新: 2015 年 10 月
 
 

Oracle Solaris 11 でのネットワークの構成

Oracle Solaris 10 で使用されるネットワーク構成モデルから Oracle Solaris 11 で使用されるモデルに移行する場合は、次の情報を参照してください。

インストール時のネットワークの構成動作

    インストール中、ネットワークは次のように構成されます。

  • GUI インストールの場合は、システムによって生成された Automatic プロファイルがシステム上で有効になり、現在のネットワークの状態に基づいてネットワークが自動的に構成されます。

  • テキストインストールの場合は、AutomaticManual、または None のいずれかを選択する必要があります。

    • Automatic を選択した場合は、システム上で Automatic プロファイルが有効になり、ネットワークはリブート時に自動的に構成されます。リアクティブモードでのネットワーク構成の管理を参照してください。

    • Manual を選択した場合は、システム唯一の固定プロファイル (DefaultFixed) が有効になり、ネットワーク設定を手動で構成できる一連のインストール画面が表示されます。

    • None を選択した場合は、システム上で DefaultFixed が有効になりますが、インストール時にネットワークパラメータを提供しません。このため、リブート後にネットワークインタフェースは plumb または構成されません。ループバック IPv4 および IPv6 インタフェース (lo0) のみが有効になります。インストール後に永続的なネットワーク構成を作成できます。ネットワーク管理タスクの比較を参照してください。

  • AI を使用したインストールの場合は、インストール前に設定したプロファイルに従ってネットワークが構成されます。Oracle Solaris のインストール前にネットワーク設定を指定しなかった場合は、インストール中に対話式の sysconfig ツールが実行され、その時にシステムのネットワークパラメータを設定できます。Oracle Solaris 11.3 システムのインストール を参照してください。

    svc:/network/install:default SMF サービスには、AI によるインストール中に複数のネットワークインタフェースを構成できる 2 つのプロパティーグループタイプ ipv4_interfaceipv6_interface があります。ipv4_interfaceipv6_interface、またはそのどちらかのタイプのプロパティーグループを含む SC プロファイルを作成できます。このリリースでは、このサービスの既存のプロパティーグループ install_ipv4_interfaceinstall_ipv6_interface も引き続きサポートされます。Oracle Solaris 11.3 システムのインストール を参照してください。

ネットワーク構成を管理するために使用するコマンドはインストール後のシステムのデフォルトのネットワークモードによって異なるため、ネットワークを構成する前に、netadm list コマンドを使用して、システム上で現在アクティブなネットワークプロファイルを確認するようにしてください。Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 のプロファイルを有効および無効にするを参照してください。

ネットワーク管理タスクの比較

次の表では、Oracle Solaris 10 のネットワーク管理タスクと Oracle Solaris 11 のネットワーク管理タスクを比較しています。詳細は、dladm(1M) および ipadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

表 10  Oracle Solaris 10 のネットワーク管理と Oracle Solaris 11 のネットワーク管理の比較
タスク情報
Oracle Solaris 10 のコマンドまたはメソッド
Oracle Solaris 11 のコマンドまたはメソッド
データリンク構成
dladm
dladm
IP インタフェースと IP アドレスの構成
ifconfig
/etc/hostname* を編集します
ipadm
DHCP サーバーの構成
SMF サービス: svc:/network/dhcp-server: およびデフォルトの DHCP 管理コマンド: dhcpmgrdhtadm、および pntadm
(Sun の旧バージョン) SMF サービス: svc:/network/dhcp-server: SMF およびデフォルトの DHCP 管理コマンド: dhcpmgrdhtadm、および pntadm
(ISC) SMF サービス: svc:/network/dhcp/server:ipv4 svc:/network/dhcp/server:ipv6 svc:/network/dhcp/relay:ipv4 svc:/network/dhcp/relay:ipv6
構成ファイル: /etc/inet/dhcpd4.conf /etc/inet/dhcpd6.conf
DHCP クライアントの構成
ifconfig
/etc/dhcp*/etc/default/dhcpagent を編集します
ipadm
/etc/default/dhcpagent を編集します
ネームサービススイッチの構成
SMF サービス: svc:/system/name-service/switch:default および /etc/nsswitch.conf
SMF サービス: svc:/system/name-service/switch:defaultsvccfg で変更、svcprop -p config svc:/system/name-service/switch:default で表示
システムのホスト名構成
/etc/nodename を編集します
hostname
TCP/IP のホスト名構成
/etc/inet/hosts を編集します
/etc/inet/hosts を編集します
ネットワークパラメータの管理 (チューニング可能値)
ndd
ipadm
無線ネットワーク構成
wificonfig
dladm

データリンク構成の管理

新規インストールを実行する場合は、システム上のネットワークデバイスの総数に応じて、net0net1、および netN 命名規則を使用することで、すべてのデータリンクに自動的に総称名が割り当てられます。インストール後に、別のデータリンク名を割り当てることができます。Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の第 2 章Oracle Solaris でのデータリンク構成の管理を参照してください。


注 -  アップグレード時は、以前使用されていたリンク名が保持されます。

システム上のデータリンクに関する情報は次のように表示します。

# dladm show-phys
LINK              MEDIA                STATE      SPEED  DUPLEX    DEVICE
net2              Ethernet             up         10000  full      hxge0
net3              Ethernet             up         10000  full      hxge1
net4              Ethernet             up         10     full      usbecm0
net0              Ethernet             up         1000   full      igb0
net1              Ethernet             up         1000   full      igb1
net9              Ethernet             unknown    0      half      e1000g0
net5              Ethernet             unknown    0      half      e1000g1
net10             Ethernet             unknown    0      half      e1000g2
net11             Ethernet             unknown    0      half      e1000g3

これらの条件に基づくと、より下位のマザーボードまたは IO ボード、ホストブリッジ、PCIe ルートコンプレックス、バス、デバイス、および機能上の Ethernet デバイスが、ほかのデバイスより高くランク付けされます。次のように、リンク名、デバイス、および場所間の対応関係を表示できます。

# dladm show-phys -L
LINK         DEVICE        LOCATION
net0         e1000g0       MB
net1         e1000g1       MB
net2         e1000g2       MB
net3         e1000g3       MB
net4         ibp0          MB/RISER0/PCIE0/PORT1
net5         ibp1          MB/RISER0/PCIE0/PORT2
net6         eoib2         MB/RISER0/PCIE0/PORT1/cloud-nm2gw-2/1A-ETH-2
net7         eoib4         MB/RISER0/PCIE0/PORT2/cloud-nm2gw-2/1A-ETH-2

Oracle Solaris 10 では、/etc/path_to_inst ファイルを使用して、物理および仮想ネットワークデバイスに関する情報を格納できます。Oracle Solaris 11 では、このファイルに物理ネットワークインタフェースのリンク名が含まれません。この情報を表示するには、前の例で示したように、dladm show-phys コマンドを使用します。

Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の第 2 章Oracle Solaris でのデータリンク構成の管理を参照してください。

IP インタフェースおよびアドレスの構成

Oracle Solaris 11 で IP インタフェースとアドレスを構成するには、ipadm コマンドを使用します。たとえば、静的 IPv4 インタフェースは次のように構成します。

# ipadm create-ip net0
# ipadm create-addr -T static -a local=10.9.8.7/24 net0
net0/v4

–T オプションを使用すると、staticdhcp、および addrconf (自動構成された IPv6 アドレス用) の 3 つのアドレスタイプを指定できます。前の例では、システムは静的 IPv4 アドレスで構成されています。同じ構文を使用して、静的 IPv6 アドレスを指定できます。ただし、静的 IPv6 アドレスを作成する前に、リンクローカル IPv6 アドレスを構成しておく必要があります。この構成は、静的 IPv6 アドレスを作成する前に、IPv6 addrconf アドレスを作成して行います。

# ipadm create-ip net0
# ipadm create-addr -T addrconf net0
net0/v6
# ipadm create-addr -T static -a local=ec0:a:99:18:209:3dff:fe00:4b8c/64 net0
net0/v6a

DHCP とのインタフェースは次のように構成します。

# ipadm create-ip net0
# ipadm create-addr -T dhcp net0
net0/v6a

IPv6 自動生成アドレスを指定する場合は、T オプションとともに –addrconf 引数を使用します。

# ipadm create-ip net0
# ipadm create-addr -T addrconf net0
net0/v6

前の例で net0 インタフェースに指定された IP アドレスを変更する場合は、次の例に示すように、最初にそのインタフェースを削除してから再度追加する必要があります。

# ipadm delete-addr net0/v4
# ipadm create-addr -T static -a local=10.7.8.9/24 net0
net0/v4

Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の第 3 章Oracle Solaris での IP インタフェースとアドレスの構成および管理および ipadm(1M) を参照してください。

永続的なルートの構成

/etc/defaultrouter ファイルは Oracle Solaris 11 では非推奨であるため、このファイルを使用してルート (デフォルトまたはそれ以外) を管理できなくなりました。route コマンドの使用は、システムにルートを手動で追加できる唯一の方法です。変更がリブート後も保持されるようにするには、route コマンドで –p オプションを使用します。

# route -p add default ip-address

たとえば、ゲートウェイがボーダールーターとして機能するネットワーク 10.0.5.0 に、次のようにルートを追加します。

# route -p add -net 10.0.5.0/24 -gateway 10.0.5.150
add net 10.0.5.0: gateway 10.0.5.150

前のコマンドを使用して作成されたルートを次のように表示します。

# route -p show

また、インストール後は /etc/defaultrouter ファイルをチェックしてもシステムのデフォルトルートを判別できなくなることに注意してください。システム上で現在アクティブなルートを表示するには、次のオプションを指定して netstat コマンドを使用します。

# netstat -rn

netstat(1M) およびroute(1M) のマニュアルページを参照してください。

手順については、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の永続的 (静的) ルートの作成を参照してください。

ネームサービスとディレクトリサービスの構成

このリリースでは、SMF リポジトリは、すべてのネームサービス構成のプライマリリポジトリです。ネームサービス構成を管理するために特定のファイルを変更するという以前の動作は適用されなくなりました。SMF に移行されたネームサービスについては、表 12 を参照してください。

インストール時に、システムは 1 回のアップグレードで、既存の /etc ネットワーク構成ファイルを、それぞれ ipadm および dladm 構成に変換します。必要に応じて、nscfg コマンドを使用して旧バージョンのネームサービス構成ファイルを SMF リポジトリにインポートしたり、SMF リポジトリからエクスポートしたりできます。有効な SMF 構成および対応する障害管理リソース識別子 (FMRI) が指定されると、nscfg コマンドによって、旧バージョンのネームサービス構成ファイル (nsswitch.confresolv.confnscd.conf など) がそれらの旧バージョンの場所に再生成されます。Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 のネームサービス構成のインポートおよび nscfg(1M) を参照してください。


注 -  SMF を使用したネームサービスの永続的な構成は、固定ネットワーク構成モードにのみ、かつシステム上で DefaultFixed プロファイルがアクティブである場合にのみ適用されます。リアクティブモードを使用しており、かつシステム上で Automatic または別のリアクティブプロファイルがアクティブである場合は、SMF ではなく、netcfg コマンドを使用して Location プロファイルでネームサービスを構成します。Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の場所の作成を参照してください。

次の例は、svccfg コマンドを使用して DNS (Domain Name Service) を構成する方法を示しています。さまざまなプロパティーを設定したあと、SMF サービスを有効にしてリフレッシュする必要があります。

# svccfg -s dns/client setprop config/nameserver=net_address: 192.168.1.1
# svccfg -s dns/client setprop config/domain = astring: "foohost.org"
# svccfg -s name-service/switch setprop config/host = astring: "files dns"
# svcadm refresh name-service/switch
# svcadm refresh dns/client

ネームおよびディレクトリ SMF サービスのプロパティーを対話形式で構成することもできます。Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 のDNS クライアントの構成を参照してください。

Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の第 4 章Oracle Solaris クライアントでのネームサービスとディレクトリサービスの管理を参照してください。

DHCP の管理

    このリリースの DHCP 管理に関する次の情報を確認してください。

  • このリリースでは、インストールに ISC DHCP サーバーソフトウェアを利用できます。次のように、システムにサーバーパッケージを追加できます。

    # pkg install pkg:/service/network/dhcp/isc-dhcp

    ISC DHCP サービスを管理している ISC DHCP サーバーの構成を含む ISC DHCP の管理の詳細は、Oracle Solaris 11.3 での DHCP の作業 の第 2 章ISC DHCP サービスの管理を参照してください。

  • 旧バージョンの Sun DHCP サーバーソフトウェアはまだ Oracle Solaris リリースの一部ですが、この機能には廃止のマークが付いています。Oracle Solaris 11.3 での DHCP の作業 のレガシーの Sun DHCP サーバーを参照してください。

  • DHCP クライアントという用語は、ソフトウェアエンティティーを指します。DHCP クライアントは、そのネットワーク構成を DHCP サービスからリクエストするように構成されたシステムで動作するデーモン (dhcpagent) です。旧バージョンの Sun DHCP サーバーと ISC DHCP サーバーはどちらも DHCP クライアントで動作します。詳細は、Oracle Solaris 11.3 での DHCP の作業 の第 3 章DHCP クライアントの構成と管理を参照してください。

システムのホスト名の設定

プライマリインタフェースの TCP/IP ホスト名とは、hostname コマンドで設定したシステムホスト名の個別のエンティティーです。Oracle Solaris では必須ではありませんが、通常は両方に同じ名前が使用されます。一部のネットワークアプリケーションはこの規則に依存しています。

次のように、システムのホスト名を永続的に設定します。

# hostname name-of-host

最初は、hostname 値は config/nodename に保存されていますが、システムが DHCP によって構成されるとこの値はオーバーライドされ、その場合は、DHCP によって hostname 値が提供されます。hostname コマンドを使用する場合、hostnameconfig/nodename ファイルで指定された値です。hostname コマンドを使用してシステムの識別情報を設定した場合、hostname コマンドに –D オプションを付けて実行するまで、この設定をオーバーライドできません。hostname コマンドを使用すると、対応する SMF プロパティーおよび関連する SMF サービスも自動的に更新されます。hostname(1) のマニュアルページを参照してください。

リアクティブモードでのネットワーク構成の管理

リアクティブネットワーク構成モードを使用している場合、システムは現在のネットワーク条件に基づいてネットワーク接続性とネットワーク構成を処理します。リアクティブモードでは、各種プロファイルを使用して、システムのネットワーク構成を定義するさまざまなパラメータを指定します。これらのプロファイルは、ネットワーク条件の変更に応じてシステム上で自動的に有効化されます。または、必要に応じて、システム上のプロファイルを手動で有効にできます。

リアクティブネットワーク構成は、ノート PC、およびケーブルを頻繁に抜き差ししたりカードの追加や削除を行なったりする状況に最適です。IP アドレスとネームサービス情報をもたらす DHCP サーバーがサイトにある場合、リアクティブネットワーク構成は、手動の構成を必要としないシステムの自動ネットワーク構成に、そのまま使える機能を提供します。プロファイルベースのネットワーク構成の詳しい概要については、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 のプロファイルベースのネットワーク構成についてを参照してください。

リアクティブネットワーク構成モードでは、netcfg コマンドを使用してシステム固有のネットワーク構成 (データリンクおよび IP インタフェースおよびアドレス) と、システム全体のネットワーク構成 (ネームサービスなど) を構成します。システム上のプロファイルの管理に使用する、2 つ目のコマンド netadm があります。これらのコマンドは、システム上のアクティブなプロファイルとアクティブでないプロファイルの両方に適用されるネットワーク構成を作成します。

関連タスクについては、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 の第 6 章Oracle Solaris でのプロファイルベースのネットワーク構成の管理を参照してください。

ネットワーク管理 GUI (以前の NWAN) を使用して、デスクトップからネットワーク構成を管理することもできます。このツールは、netcfg および netadm コマンドを使用してリアクティブネットワーク構成を管理する場合と似ています。ネットワーク構成が変更される状況では、システム定義の Automatic NCP またはユーザー定義のリアクティブ NCP をアクティブにする必要がある場合があります。Oracle Solaris 11.3 でのネットワークコンポーネントの構成と管理 のデスクトップからネットワーク構成を管理するを参照してください。