Oracle® Solaris 11.2 でのネットワークファイルシステムの管理

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更新: 2014 年 7 月
 
 

autofs マップ

    autofs は 3 種類のマップを使用します。

  • マスターマップ

  • 直接マップ

  • 間接マップ

autofs マスターマップ

auto_master マップは、ディレクトリをマップに関連付けます。このマップは、すべてのマップを指定するマスターリストであり、autofs が参照します。次の例は auto_master ファイルに含まれている可能性のある情報のタイプを示しています。

使用例 2-1  /etc/auto_master ファイルの例
# Master map for automounter 
# 
+auto_master 
/net            -hosts           -nosuid,nobrowse 
/home           auto_home        -nobrowse 
/nfs4           -fedfs           -ro,nosuid,nobrowse
/-              auto_direct      -ro  

この例では、汎用の auto_master ファイルに auto_direct マップのための追加が行われています。マスターマップ /etc/auto_master の各行は、次の構文に従っています。

mount-point map-name [ mount-options ]

mount-point

ディレクトリのフル (絶対) パス名です。このディレクトリが存在しない場合、可能ならば autofs はこのディレクトリを作成します。このディレクトリが存在し、しかも空ではない場合、マウントすることによってその内容が隠されます。この場合、autofs は警告を出します。

マウントポイントとして /- を指定すると、この特定のマップが直接マップであり、マップに関連付けられている特定のマウントポイントがないことを表します。

map-name

位置に対する指示またはマウント情報を検出するために autofs が使用するマップの名前です。この名前がスラッシュ (/) で始まる場合、autofs はこの名前をローカルファイルとして解釈します。それ以外の場合、autofs はネームサービススイッチ構成ファイル (/etc/nsswitch.conf) で指定される検索を使用してマウント情報を検索します。また、/net には、特別なマップを使用します。詳細は、/net マウントポイント を参照してください。

mount-options

(オプション) map-name で指定されたエントリのマウントに適用されるオプションのコンマ区切りリスト (map-name のエントリがほかのオプションをリストしている場合を除く)。特定タイプのファイルシステムのオプションについては、そのファイルシステムの mount のマニュアルページを参照してください。NFS 固有のマウントオプションについては、mount_nfs(1M) のマニュアルページを参照してください。NFS 固有のマウントポイントの場合、bg (バックグラウンド) オプションと fg (フォアグラウンド) オプションは適用されません。

# で始まる行はコメントです。その行のテキストの最後まですべて無視されます。

長い行を短い行に分割するには、行末にバックスラッシュ (\) を入力します。入力できる文字数の上限は 1024 です。


注 -  2 つのエントリで同じマウントポイントが使用されるときは、1 番目のエントリは automount コマンドが使用します。2 番目のエントリは無視されます。
/home マウントポイント

/home マウントポイントは、/etc/auto_home (間接マップ) にリストされたエントリがマウントされるディレクトリです。


注 -  autofs はすべてのコンピュータで動作し、デフォルトでは /net/home (自動マウントされるホームディレクトリ) をサポートします。これらのデフォルトエントリは、NIS auto.master マップ内でまたは /etc/auto_master ファイルをローカル編集することで、オーバーライドできます。
/net マウントポイント

autofs は、ホストデータベースのみを使用する特殊な組み込みマップ -hosts 内の全エントリを /net ディレクトリの下にマウントします。たとえば、hosts データベースにあるコンピュータ system1 が、そのファイルシステムをエクスポートするとします。次のコマンドを入力すると、現在のディレクトリがコンピュータ gumbo のルートディレクトリに変更されます。

# cd /net/gumbo

autofs はホスト system1エクスポート済みファイルシステム (つまり、ローカルディスク上のそれらのファイルシステムではなく、ネットワークユーザーが使用できるサーバー上のそれらのファイルシステム) だけをマウントできます。したがって、system1 上のすべてのファイルおよびディレクトリを /net/system1 から使用できるとは限らないこともあります。

/net を使用したアクセスでは、サーバー名はパスの中に指定されるため、位置に依存します。したがって、エクスポートされるファイルシステムを別のサーバーに移動すると、そのパスは使用できなくなります。代わりに、/net を使用するのでなく、マップ内でそのファイルシステムに対応するエントリを設定することをお勧めします。


注 -  NFS Version 3 およびそれより前のプロトコルを使用すると、autofs はマウント時のみサーバーのエクスポートリストを調べます。サーバーのファイルシステムが一度マウントされると、そのファイルシステムがアンマウントされ、次にマウントされるまで autofs はそのサーバーをチェックしません。したがって、新たにエクスポートされたファイルシステムは、それがサーバーからアンマウントされ、再度マウントされるまでは見えません。NFS Version 4 を使用するシステムでは、ミラーマウントによって、エクスポート済みファイルシステムのリストに加えられた動的変更がサーバーに反映されます。
/nfs4 マウントポイント

/nfs4 マウントポイントは、擬似マップを使用して FedFS ドメインルートをマウントします。/nfs4/example.net を参照すると、ドメインルートで DNS ドメイン example.net を検索し、その場所でマウントしようとします。/nfs4 の下でパスをマウントするには、FedFS サーバー用の DNS レコードの設定 で説明されているとおり、DNS サーバーがレコードを返す必要があります。

直接 autofs マップ

直接マップは自動マウントポイントです。つまり、直接マップによって、クライアント上のマウントポイントとサーバー上のディレクトリが直接対応付けられます。直接マップにはフルパス名があり、明示的に関係を示します。次の例に典型的な /etc/auto_direct マップを示します。

/usr/local          -ro \
   /bin                   system1:/export/local/sun4 \
   /share                 system1:/export/local/share \
   /src                   system1:/export/local/src
/usr/man            -ro   system2:/usr/man \
                          system3:/usr/man \
                          system4:/usr/man 
/usr/games          -ro   system5:/usr/games 
/usr/spool/news     -ro   system6:/usr/spool/news \
                          system4:/var/spool/news 

直接マップ内の行は、次の構文に従います。

key [ mount-options ] location

key

直接マップ内のマウントポイントのパス名。

mount-options

この特定のマウントに適用するオプション。これらのオプションが必要なのは、マップのデフォルトと異なる場合だけです。特定タイプのファイルシステムのオプションについては、そのファイルシステムの mount のマニュアルページを参照してください。NFS 固有のマウントオプションについては、mount_nfs(1M) のマニュアルページを参照してください。

location

ファイルシステムの場所。NFS ファイルシステムの場合、1 つまたは複数のファイルシステムが server:pathname として指定されます。


注 -  パス名に自動マウントされたマウントポイントを含めるべきではありません。パス名は、ファイルシステムへの実際の絶対パスにするようにしてください。たとえば、ホームディレクトリの位置は、server:/home/username ではなく、server:/export/home/username としてリストするようにしてください。

マスターマップと同様、# で始まる行はコメントです。その行のテキストの最後まですべて無視されます。長い行を短い行に分割するには、行の最後にバックスラッシュを入力します。

すべてのマップにおいて、直接マップ内のエントリは、/etc/vfstab 内の対応するエントリにもっともよく似ています。/etc/vfstab のエントリは、次のようになっているとします。

dancer:/usr/local - /usr/local/tmp nfs - yes ro 

直接マップ内では、同じエントリが次のようになります。

/usr/local/tmp     -ro     dancer:/usr/local

注 -  オートマウンタマップの間では、オプションの連結はされません。オートマウンタマップに追加されたどのオプションも、前に検索されたマップに表示されているすべてのオプションをオーバーライドします。たとえば、auto_master マップに指定されているオプションは、他のマップの中の対応するエントリによってオーバーライドされます。

直接 autofs マップの機能については、autofs がクライアント用のもっとも近い読み取り専用ファイルを選択する方法 (複数ロケーション) を参照してください。

/- マウントポイント

Example 2–1/- マウントポイントは、auto_direct 内のエントリを特定のマウントポイントに関連付けないように autofs に指示します。間接マップは、auto_master ファイルに定義されたマウントポイントを使います。直接マップの場合は、名前付きマップ内で指定したマウントポイントを使用します。直接マップ内では、鍵、つまりマウントポイントはフルパス名です。

NIS の auto_master ファイルには、直接マップのエントリは 1 つしか存在できません。マウントポイントは 1 つの名前空間の中で一意の値にする必要があるためです。auto_master がローカルファイルならば、重複しないかぎり直接マップのエントリがいくつあってもかまいません。

間接 autofs マップ

間接マップは、鍵の置換値を使って、クライアント上のマウントポイントとサーバー上のディレクトリとの間の関連付けを確立します。間接マップは、ホームディレクトリなどの特定のファイルシステムをアクセスするのに便利です。auto_home マップは間接マップの一例です。

間接マップ内の行は次の汎用構文に従います。

key [ mount-options ] location

key

間接マップでのスラッシュ (/) のない名前。

mount-options

この特定のマウントに適用するオプション。これらのオプションが必要なのは、マップのデフォルトと異なる場合だけです。特定タイプのファイルシステムのオプションについては、そのファイルシステムの mount のマニュアルページを参照してください。たとえば、NFS 固有のマウントオプションについては、mount_nfs(1M) のマニュアルページを参照してください。

location

ファイルシステムの場所。1 つまたは複数のファイルシステムを server: pathname として指定します。


注 -  パス名に自動マウントされたマウントポイントを含めるべきではありません。パス名は、ファイルシステムへの実際の絶対パスにするようにしてください。たとえば、ディレクトリの位置は、server:/usr/local, not as server:/net/server/usr/local として指定するようにしてください。

マスターマップと同様、# で始まる行はコメントです。その行のテキストの最後まですべて無視されます。長い行を短い行に分割するには、行の最後にバックスラッシュ (\) を入力します。Example 2–1 に、次のエントリを含む auto_master マップを示します。

/home      auto_home        -nobrowse    

auto_home は、/home の下にマウントされるエントリを含む間接マップの名前です。通常、auto_home マップには、次のパスが含まれています。

user1                  server1:/export/home/user1
user2                  server2:/export/home/user2
user3                  server3:/export/home/user3
user4                  server4:/export/home/user4
user5                  server5:/export/home/user5
user6                  server6:/export/home/user6
user7    -rw,nosuid    server7:/export/home/user7

例として、前のマップがホスト master-server にあると想定します。パスワードデータベースに、ユーザー user7 のホームディレクトリを /home/user7 として指定するエントリがあるとします。user7 がコンピュータ master-server にログインするたびに、autofs は、コンピュータ server7 に常駐するディレクトリ /export/home/user7 をマウントします。彼女のホームディレクトリは、読み書き可能な nosuid にマウントされます。

次の状況が発生したと想定してください。ユーザー user7 のホームディレクトリがパスワードデータベースに、/home/user7 としてリストされます。user7 も含むだれでもが、auto_home マップを参照するマスターマップで設定された任意のコンピュータからこのパスにアクセスできます。

これらの状況では、ユーザー user7 はこれらのコンピュータのいずれかで loginrlogin を実行し、自分のホームディレクトリを所定の場所にマウントさせることができます。

さらに、user7 はここで次のコマンドを入力することもできます。

# cd ~user1

autofs は user1 のために user7 のホームディレクトリをマウントします (すべてのアクセス権が許可する場合)。


注 -  オートマウンタマップの間では、オプションの連結はされません。オートマウンタマップに追加されたどのオプションも、前に検索されたマップに表示されているすべてのオプションをオーバーライドします。たとえば、auto_master マップに含まれているオプションは、他のいずれかのマップの対応するエントリによってオーバーライドされます。

ネームサービスのないネットワークで、Linda が自分のファイルにアクセスすることを許可するには、ネットワーク上のすべてのシステムで、すべての関連ファイル (/etc/passwd など) を変更する必要があります。NIS では、NIS マスターサーバーで変更を行い、関連するデータベースをスレーブのデータベースに伝達します。