Oracle® Solaris Cluster システム管理

印刷ビューの終了

更新: 2015 年 10 月
 
 

Oracle Solaris Cluster SNMP イベント MIB の作成、設定、および管理

ここでは、SNMP イベント管理情報ベース (MIB) を作成、設定、および管理する方法を説明します。またこのセクションでは、Oracle Solaris Cluster SNMP イベント MIB を有効化、無効化、および変更する方法も説明します。

Oracle Solaris Cluster ソフトウェアでは現在、イベント MIB という MIB を 1 つサポートしています。SNMP マネージャーソフトウェアがクラスタイベントをリアルタイムでトラップします。有効な場合、SNMP マネージャー はトラップ通知を clsnmphost コマンドによって定義されているすべてのホストに自動的に送信します。クラスタは多数の通知を生成するため、min_severity 以上の重要度を持つイベントのみがトラップ通知として送信されます。デフォルトでは、min_severity 値は NOTICE に設定されています。log_number の値には、古いエントリを破棄するまでに MIB テーブルに記録するイベントの数を指定します。MIB は、トラップが送信された最新のイベントの読み取り専用テーブルを維持しています。イベントの数は、log_number 値によって制限されます。この情報は、リブートが実行されると消失します。

SNMP イベント MIB は、sun-cluster-event-mib.mib ファイルで定義されており、/usr/cluster/lib/mib ディレクトリにあります。この定義を使用して、SNMP トラップ情報を解釈できます。

イベント SNMP モジュールのデフォルトのポート番号は 11161 で、SNMP トラップのデフォルトのポートは 11162 です。これらのポート番号は、共通エージェントコンテナのプロパティーファイル (/etc/cacao/instances/default/private/cacao.properties) を変更することによって変更できます。

Oracle Solaris Cluster SNMP イベント MIB の作成、設定、および管理には、次のタスクが関係する可能性があります。

表 9-2  タスクマップ: Oracle Solaris Cluster SNMP イベント MIB の作成、設定、および管理
タスク
手順
SNMP イベント MIB の有効化
SNMP イベント MIB の無効化
SNMP イベント MIB の変更
MIB のトラップ通知を受信するホストリストへの SNMP ホストの追加
SNMP ホストの削除
SNMP ユーザーの追加
SNMP ユーザーの削除

SNMP イベント MIB を有効にする

この手順では、SNMP イベント MIB を有効化する方法を説明します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. SNMP イベント MIB を有効にします。
    phys-schost-1# clsnmpmib enable [-n node] MIB
    [–n node]

    有効にするイベント MIB がある node を指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。

    MIB

    有効にする MIB の名前を指定します。この場合、MIB 名は event にしてください。

SNMP イベント MIB を無効にする

この手順では、SNMP イベント MIB を無効化する方法を説明します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. SNMP イベント MIB を無効にします。
    phys-schost-1# clsnmpmib disable -n node MIB
    –n node

    無効にするイベント MIB がある node を指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。

    MIB

    無効にする MIB の種類を指定します。この場合、event を指定してください。

SNMP イベント MIB を変更する

この手順では、SNMP イベント MIB のプロトコル、重要度の最小値、およびイベントロギングを変更する方法を示します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. SNMP イベント MIB のプロトコル、重要度の最小値、およびイベントロギングを変更します。
    phys-schost-1# clsnmpmib set -n node
    -p version=SNMPv3 \
    -p min_severity=WARNING \
    -p log_number=100 MIB
    –n node

    変更するイベント MIB がある node を指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。

    –p version=value

    MIB で使用する SNMP プロトコルのバージョンを指定します。value は次のように指定します。

    • version=SNMPv2

    • version=snmpv2

    • version=2

    • version=SNMPv3

    • version=snmpv3

    • version=3

    –p min_severity=value

    MIB で使用する重要度の最小値を指定します。value は次のように指定します。

    • min_severity=NOTICE

    • min_severity=WARNING

    • min_severity=ERROR

    • min_severity=CRITICAL

    • min_severity=FATAL

    –p log_number=number

    古いエントリを破棄するまでに MIB テーブルに記録するイベントの数を指定します。デフォルト値は 100 です。値は 100-500 の範囲である必要があります。value は次のように指定します: log_number=100

    MIB

    サブコマンドが適用される単数または複数の MIB の名前を指定します。この場合、event を指定してください。このオペランドを指定しない場合は、サブコマンドが、すべての MIB を意味するデフォルトのプラス記号 (+) を使用します。MIB オペランドを使用する場合は、ほかのすべてのコマンド行オプションのあとで、MIB を空白区切りのリスト内に指定します。

    詳細は、clsnmpmib(1CL) のマニュアルページを参照してください。

SNMP ホストがノード上の SNMP トラップを受信できるようにする

この手順では、ノード上の SNMP ホストを、MIB のトラップ通知を受信するホストのリストに追加する方法を説明します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. ホストを、別のノード上のコミュニティーの SNMP ホストリストに追加します。
    phys-schost-1# clsnmphost add -c SNMPcommunity [-n node] host
    –c SNMPcommunity

    ホスト名とともに使用される SNMP コミュニティー名を指定します。このホストは、トラップを受信するように構成できるネットワーク内のシステムです。

    ホストを public 以外のコミュニティーに追加する場合は、コミュニティー名 SNMPcommunity を指定してください。add サブコマンドを –c オプションなしで使用すると、このサブコマンドは public をデフォルトのコミュニティー名として使用します。

    指定されたコミュニティー名が存在しない場合、このコマンドはそのコミュニティーを作成します。

    –n node

    クラスタ内の SNMP MIB に対するアクセス権が付与された SNMP ホストのクラスタ node の名前を指定します。ノード名またはノード ID を指定できます。このオプションを指定しない場合、デフォルトはコマンドが実行されるノードです。

    host

    クラスタ内の SNMP MIB に対するアクセス権が付与されたホストの名前、IP アドレス、または IPv6 アドレスを指定します。これは、クラスタの外部にあるホスト、または SNMP トラップを取得しようとしているクラスタノード自体のどちらでもかまいません。

SNMP ホストがノード上の SNMP トラップを受信できないようにする

この手順では、ノード上の SNMP ホストを、MIB のトラップ通知を受信するホストのリストから削除する方法を説明します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. 指定のノード上のコミュニティーの SNMP ホストリストからホストを削除します。
    phys-schost-1# clsnmphost remove -c SNMPcommunity -n node host
    remove

    指定のノードから指定の SNMP ホストを削除します。

    –c SNMPcommunity

    SNMP ホストを削除する SNMP コミュニティーの名前を指定します。

    –n node

    SNMP ホストが構成から削除されるクラスタ node の名前を指定します。ノード名またはノード ID を指定できます。このオプションを指定しない場合、デフォルトはコマンドが実行されるノードです。

    host

    構成から削除されるホストの名前、IP アドレス、または IPv6 アドレスを指定します。これは、クラスタの外部にあるホスト、または SNMP トラップを取得しようとしているクラスタノード自体のどちらでもかまいません。

    指定の SNMP コミュニティー内のすべてのホストを削除するには、–c オプション付きの host に正符号 (+) を使用します。すべてのホストを削除するには、host に正符号 + を使用します。

SNMP ユーザーをノードに追加する

この手順では、ノード上の SNMP ユーザー構成に SNMP ユーザーを追加する方法を説明します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. SNMP ユーザーを追加します。
    phys-schost-1# clsnmpuser create -n node -a authentication \
    -f password user
    –n node

    SNMP ユーザーが追加されるノードを指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。

    –a authentication

    ユーザーの承認に使用する認証プロトコルを指定します。認証プロトコルの値は、SHA または MD5 です。

    –f password

    SNMP ユーザーパスワードを含むファイルを指定します。新しいユーザーを作成する際にこのオプションを指定しないと、コマンドはパスワードを求めるプロンプトを表示します。このオプションは、add サブコマンドとだけ有効です。

    ユーザーパスワードは、次の形式で、独立した行の上に指定します。

    user:password

    パスワードには次に示す文字または空白文字を含めることはできません。

    • ; (セミコロン)

    • : (コロン)

    • \ (バックスラッシュ)

    • \n (復帰改行)

    user

    追加する SNMP ユーザーの名前を指定します。

SNMP ユーザーをノードから削除する

この手順では、ノード上の SNMP ユーザー構成から SNMP ユーザーを削除する方法を説明します。

phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。

この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。

  1. RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
  2. SNMP ユーザーを削除します。
    phys-schost-1# clsnmpuser delete -n node user
    –n node

    SNMP ユーザーが削除されるノードを指定します。ノード ID またはノード名を指定できます。このオプションを指定しないと、デフォルトで現在のノードが使用されます。

    user

    削除する SNMP ユーザーの名前を指定します。