このセクションでは、定足数デバイスを追加する手順について説明します。 クラスタのすべてのノードがオンラインか確認してから、新しい定足数デバイスを追加します。クラスタに必要な定足数投票数の決定、推奨される定足数構成、および障害フェンシングについては、Oracle Solaris Cluster Concepts Guide のQuorum and Quorum Devicesを参照してください。
注意 - 現在定足数デバイスとして構成されているディスクは、Solaris ZFS ストレージプールには追加しないでください。構成済みの定足数デバイスを Solaris ZFS ストレージプールに追加すると、ディスクは EFI ディスクとしてラベルが変更され、また定足数構成情報が失われ、ディスクはクラスタへの定足数投票を提供しなくなります。ディスクがストレージプール内に入ると、そのディスクは定足数デバイスとして構成できます。ディスクの定足数デバイス構成を解除し、ディスクをストレージプールに追加したあとに、そのディスクを定足数デバイスとして再構成することもできます。 |
Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、次の種類の定足数デバイスをサポートしています。
以下の共有 LUN
共有 SCSI ディスク
Serial Attached Technology Attachment (SATA) ストレージ
OracleZFS Storage Appliance
Oracle Solaris Cluster Quorum Server
これらのデバイスを追加する方法については、次のセクションで説明しています。
Disk-name is a replicated device. Replicated devices cannot be configured as quorum devices.
共有ディスク定足数デバイスは、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアがサポートする任意の接続済みストレージデバイスです。 共有ディスクは、クラスタの複数のノードに接続されます。フェンシングをオンに構成すると、デュアルポートのディスクを定足数デバイスとして構成して、SCSI-2 または SCSI-3 (デフォルトは SCSI-2) を使用できます。フェンシングがオンに構成され、共有デバイスが 3 つ以上のノードに接続されている場合は、SCSI-3 プロトコル (2 ノードを超える場合のデフォルトのプロトコル) を使用する定足数デバイスとして共有ディスクを構成できます。SCSI オーバーライドフラグを使用すると、デュアルポートの共有ディスクで SCSI-3 プロトコルを使用するように Oracle Solaris Cluster ソフトウェアに対して指示できます。
共有ディスクのフェンシングをオフに構成した場合は、ソフトウェア定足数プロトコルを使用する定足数デバイスとしてディスクを構成できます。これは、そのディスクが SCSI-2 と SCSI-3 のどちらのプロトコルをサポートしている場合でも有効です。ソフトウェアの定足数は、SCSI Persistent Group Reservations (PGR) のフォームをエミュレートする、Oracle のプロトコルです。
注意 - 使用するディスクが SCSI (SATA など) をサポートしていない場合は、SCSI フェンシングをオフにするようにしてください。 |
定足数デバイスには、ユーザーデータが含まれているディスク、またはデバイスグループのメンバーであるディスクを使用できます。共有ディスクがある定足数サブシステムで使用されているプロトコルは、cluster show コマンドの出力の、共有ディスクの access-mode 値で確認します。
Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用して、定足数サーバーデバイスまたは共有ディスク定足数デバイスを作成することもできます。GUI のログイン手順については、Oracle Solaris Cluster Manager にアクセスする方法を参照してください。
次の手順で使用されるコマンドについては、clsetup(1CL) および clquorum(1CL) のマニュアルページを参照してください。
Oracle Solaris Cluster ソフトウェアでは、共有ディスク (SCSI と SATA の両方) デバイスを定足数デバイスとして使用できます。 SATA デバイスは SCSI 予約をサポートしていないため、その種類のディスクを定足数デバイスとして構成するには、SCSI 予約フェンシングフラグをオフに構成し、ソフトウェア定足数プロトコルを使用します。
この手順を完了するには、ノードが共有するデバイス ID (DID) によりディスクドライブを特定します。cldevice show コマンドを使用して、DID 名の一覧を参照します。詳細は、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。クラスタのすべてのノードがオンラインか確認してから、新しい定足数デバイスを追加します。
次の手順を実行して、SCSI または SATA デバイスを構成します。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。
# clsetup
clsetup のメインメニューが表示されます。
「定足数メニュー」が表示されます。
追加する定足数デバイスの種類を確認するメッセージが表示されます。
どのグローバルデバイスを使用するかを確認するメッセージが表示されます。
指定したグローバルデバイスに新しい定足数デバイスを追加するか確認を求めるメッセージが表示されます。
新しい定足数デバイスが正常に追加されると、clsetup ユーティリティーではその旨のメッセージが表示されます。
# clquorum list -v
次の例は、共有ディスク定足数デバイスを追加する際に clsetup によって生成される clquorum コマンドと、検証ステップを示しています。
Assume the root role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any cluster node. [Start the clsetup utility:] # clsetup [Select Quorum>Add a quorum device] [Answer the questions when prompted.] [You will need the following information.] [Information: Example:] [Directly attached shared disk shared_disk] [Global device d20] [Verify that the clquorum command was completed successfully:] clquorum add d20 Command completed successfully. [Quit the clsetup Quorum Menu and Main Menu.] [Verify that the quorum device is added:] # clquorum list -v Quorum Type ------- ---- d20 shared_disk scphyshost-1 node scphyshost-2 node
クラスタ内のすべてのノードがオンラインであることを確認してから、新しい定足数デバイスを追加します。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。
Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用して、Oracle ZFS Storage Appliance NAS デバイスを追加することもできます。ログイン手順については、Oracle Solaris Cluster Manager にアクセスする方法を参照してください。
# iscsiadm modify discovery -s enable # iscsiadm list discovery Discovery: Static: enabled Send Targets: disabled iSNS: disabled # iscsiadm add static-config iqn.LUNName,IPAddress_of_NASDevice # devfsadm -i iscsi # cldevice refresh
# /usr/cluster/bin/cldevice populate
cldevice show コマンドを使用して、DID 名の一覧を参照します。詳細は、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。
# clquorum add d20
クラスタには、scsi-2、scsi-3、またはソフトウェア定足数プロトコルのどれを使用するかを判断するためのデフォルトのルールがあります。 詳細は、clquorum(1CL) のマニュアルページを参照してください。
始める前に
Oracle Solaris Cluster 定足数サーバーを定足数デバイスとして追加する前に、ホストマシンに Oracle Solaris Cluster 定足数サーバーソフトウェアをインストールし、定足数サーバーを起動して動作させておく必要があります。定足数サーバーのインストールについては、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアのインストール のOracle Solaris Cluster Quorum Server ソフトウェアをインストールおよび構成する方法を参照してください。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Oracle Solaris Cluster コマンドを使用します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。
Oracle Solaris Cluster Manager GUI を使用して、定足数サーバーデバイスを作成することもできます。GUI のログイン手順については、Oracle Solaris Cluster Manager にアクセスする方法を参照してください。
スイッチは RSTP (Rapid Spanning Tree Protocol) をサポートしています。
スイッチ上で高速ポートモードが有効になっています。
クラスタノードと定足数サーバー間ですぐに通信できるようにするには、これらの機能の 1 つが必要です。この通信がスイッチによって大幅に遅延すると、クラスタはこの通信の中断を定足数デバイスが失われたものと解釈します。
クラスフルサブネットを使用する場合は、これらの手順を実行する必要はありません。
パブリックネットワークの IP アドレスとネットマスクを含むエントリの例を次に示します。
10.11.30.0 255.255.255.0
nodename netmask + broadcast +
次のように、ホスト名とアドレスのマッピングをファイルに追加します。
ipaddress qshost1
定足数サーバーが実行中であるコンピュータの IP アドレス。
定足数サーバーが実行中であるコンピュータのホスト名。
# clsetup
clsetup のメインメニューが表示されます。
「定足数メニュー」が表示されます。
定足数デバイスを追加することを確認するには、「yes」と入力します。
追加する定足数デバイスの種類を確認するメッセージが表示されます。
新しい定足数デバイスの名前を入力するように、clsetup ユーティリティーのプロンプトが表示されます。
定足数デバイスの名前は任意に選択できます。この名前は、今後の管理コマンドの処理だけに使用されるものです。
定足数サーバーのホスト名を入力するように、clsetup ユーティリティーのプロンプトが表示されます。
この名前で、定足数サーバーが動作するマシンの IP アドレス、またはネットワーク上のマシンのホスト名を指定します。
ホストの IPv4 または IPv6 構成に応じて、マシンの IP アドレスを /etc/hosts ファイル、/etc/inet/ipnodes ファイル、またはその両方で指定します。
clsetup ユーティリティーは、定足数サーバーのポート番号を入力するようメッセージを表示します。
新しい定足数デバイスを追加するか確認を求めるメッセージが表示されます。
新しい定足数デバイスが正常に追加されると、clsetup ユーティリティーではその旨のメッセージが表示されます。
# clquorum list –v
次の例は、定足数サーバー定足数デバイスを追加する際に clsetup によって生成される clquorum コマンドを示しています。またこの例では検証ステップも示します。
Assume the root role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any cluster node. [Start the clsetup utility:] # clsetup [Select Quorum > Add a quorum device] [Answer the questions when prompted.] [You will need the following information.] [Information: Example:] [Quorum Device quorum_server quorum device] [Name: qd1] [Host Machine Name: 10.11.124.84] [Port Number: 9001] [Verify that the clquorum command was completed successfully:] clquorum add -t quorum_server -p qshost=10.11.124.84 -p port=9001 qd1 Command completed successfully. [Quit the clsetup Quorum Menu and Main Menu.] [Verify that the quorum device is added:] # clquorum list -v Quorum Type ------- ---- qd1 quorum_server scphyshost-1 node scphyshost-2 node # clquorum status === Cluster Quorum === -- Quorum Votes Summary -- Needed Present Possible ------ ------- -------- 3 5 5 -- Quorum Votes by Node -- Node Name Present Possible Status --------- ------- -------- ------ phys-schost-1 1 1 Online phys-schost-2 1 1 Online -- Quorum Votes by Device -- Device Name Present Possible Status ----------- ------- -------- ------ qd1 1 1 Online d3s2 1 1 Online d4s2 1 1 Online