HAStoragePlus による管理対象エンティティーのモニタリング
HAStoragePlus リソースタイプによって管理されているエンティティーはすべてモニターされます。SUNWHAStoragePlus リソースタイプは、グローバルデバイス、ファイルシステム、ZFS ストレージプールなどの HASP リソースによって管理されるエンティティーの健全性をモニターするための障害モニターを提供します。障害モニターは定期的に障害プローブを実行します。いずれかのエンティティーが使用できない状態になると、リソースが再起動されるか、別のノードへのフェイルオーバーが実行されます。複数のエンティティーがモニターされている場合、障害モニターはすべてのエンティティーを同時にプローブします。モニタリングを有効にする前に、管理対象エンティティーへのすべての構成変更が完了していることを確認してください。
注 -
HAStoragePlus リソースの障害モニターのバージョン 9 は、ファイルシステムの読み取りと書き込みを行うことで、管理対象のデバイスおよびファイルシステムを検証します。読み取り操作が I/O スタックのソフトウェアによってブロックされており、HAStoragePlus リソースがオンラインである必要がある場合、ユーザーは障害モニターを無効にしなければなりません。たとえば、Oracle の Availability Suite は NEED SYNC 状態にあるすべてのビットマップボリュームまたはすべてのデータボリュームからの読み取りをブロックするため、Availability Suite Remote Replication ボリュームを管理している HAStoragePlus リソースのモニタリングを無効にする必要があります。Availability Suite ボリュームを管理する HAStoragePlus リソースは、常にオンラインである必要があります。
管理対象エンティティーのモニタリングを有効にするプロパティーの詳細は、SUNW.HAStoragePlus(5) のマニュアルページを参照してください。
管理対象エンティティーのモニタリングを有効および無効にする手順については、リソースの障害モニターを有効にする方法を参照してください。
管理対象エンティティーのタイプに応じて、障害モニターは、読み取りまたは書き込みを行うことによりターゲットを検証します。複数のエンティティーがモニターされている場合、障害モニターはすべてのエンティティーを同時にプローブします。
表 2-2 障害モニターの検証内容
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グローバルデバイス
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raw デバイスグループ
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デバイスグループはオンラインか、または縮退状態か。
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デバイスグループの各デバイスについて、そのパス (/dev/global/rdsk/device) は使用可能か。
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すべてのデバイスのパーティションが読み取り可能か。
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Solaris Volume Manager デバイスグループ
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デバイスグループはオンラインか、または縮退状態か。
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メタセットのパス (/dev/md/metaset) は有効か。
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Solaris Volume Manager によって、デバイスグループのプライマリからのステータスが報告されたか。
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ミラー化されていないメタデバイスはプライマリから読み取り可能か。
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ミラーの一部のサブミラーが読み取り可能か。すべてのサブミラーではなく、一部のサブミラーのエラーが部分的なエラーとして処理されているか。
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ファイルシステム (UFS、QFS、および PxFS を含む)
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ファイルシステムはマウントされているか。
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ファイルシステム配下のすべてのデバイスが読み取り可能か。
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IOOption プロパティーが ReadOnly に設定されている場合、ファイルシステムは読み取り可能か。
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IOOption プロパティーが ReadWrite に設定されている場合、ファイルシステムは書き込み可能か。
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ファイルシステムが読み取り専用でマウントされているが、IOOption プロパティーが ReadWrite に設定されている場合、障害モニターは警告を発行したあと (書き込みではなく) 読み取りを試行します。
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ファイルシステムが割り当て制限に達したときに HAStoragePlus リソースがオフラインにならないようにするには、IOOption を ReadOnly に設定します。ReadOnly オプションにより、障害モニターはファイルシステムへの書き込みを試行しなくなります。
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ZFS ストレージプール
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プールステータスは「OK」か、または「縮退」か。
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レガシー以外の各ファイルシステムはマウントされているか。
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IOOption プロパティーが ReadOnly に設定されている場合、レガシー以外の各ファイルシステムは読み取り可能か。
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IOOption プロパティーが ReadWrite に設定されている場合、レガシー以外の各ファイルシステムは書き込み可能か。
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レガシー以外のファイルシステムが読み取り専用でマウントされているが、IOOption プロパティーが ReadWrite に設定されている場合、障害モニターは警告を発行したあと (書き込みではなく) 読み取りを試行します。
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ファイルシステムが割り当て制限に達したときに HAStoragePlus リソースがオフラインにならないようにするには、IOOption を ReadOnly に設定します。ReadOnly オプションにより、障害モニターはファイルシステムへの書き込みを試行しなくなります。
注 -
トップレベルの ZFS ストレージデバイスへのすべての接続が失われた場合、ZFS ストレージプールまたは関連するファイルシステムに関する問い合わせはハングアップします。障害モニターがハングアップしないようにするには、ZFS ストレージプールの fail_mode プロパティーを panic に設定する必要があります。
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リソースの障害モニターを有効にする手順については、リソースの障害モニターを有効にする方法を参照してください。
管理対象エンティティーのモニタリングのトラブルシューティング
管理対象エンティティーに対するモニタリングが有効になっていない場合は、次のトラブルシューティング手順を実行してください。
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hastorageplus_probe プロセスが実行されていることを確認します。
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コンソールにエラーメッセージが表示されていないか調べます。
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syslog ファイルへのデバッグメッセージを有効にします。
# mkdir -p /var/cluster/rgm/rt/SUNW.HAStoragePlus:9
# echo 9 > /var/cluster/rgm/rt/SUNW.HAStoragePlus:9/loglevel
また、/etc/syslog.conf ファイルもチェックして、機能レベルが daemon.debug であるメッセージが /var/adm/messages ファイルに記録されていることを確認してください。まだ存在しない場合は、/var/adm/messages アクションに daemon.debug エントリを追加します。