Oracle® Solaris Cluster データサービス計画および管理ガイド

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更新: 2014 年 9 月
 
 

既存のリソースをリソースタイプの新しいバージョンに移行する方法

次の手順では、clresource コマンドを使用してこのタスクを実行する方法について説明します。ただし、このタスクでは clresource コマンドの使用に限定されるわけではありません。clresource コマンドの代わりに、clsetup コマンドの Oracle Solaris Cluster または Resource Group オプションを使用してこのタスクを実行できます。詳細は、clsetup(1CL) を参照してください。

始める前に

リソースをリソースタイプの新しいバージョンにいつ移行できるかを確認するには、リソースタイプをアップグレードするための手順を参照してください。

  • いつでも

  • リソースがモニターされていない場合のみ

  • リソースがオフラインである場合のみ

  • リソースが無効になっている場合のみ

  • リソースグループが非管理状態にある場合のみ

手順によっては、リソースの既存のバージョンをアップグレードできないと記載されている場合があります。リソースを移行できない場合は、次の代替方法を検討してください。

  • リソースを削除し、それをアップグレードされたバージョンの新しいリソースに置き換える

  • リソースをリソースタイプの古いバージョンのままにする

  1. クラスタメンバーで、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する root 役割になります。
  2. 移行されるリソースタイプのリソースごとに、リソースまたはそのリソースグループの状態を適切な状態に変更します。
    • リソースをいつでも移行できる場合、アクションは必要ありません。
    • リソースがモニターされていない場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource unmonitor resource
    • リソースがオフラインである場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource disable resource

      注 -  移行するリソースにほかのリソースが依存している場合、この手順は失敗します。この状況では、出力されるエラーメッセージを参照して、依存するリソースの名前を確認します。次に、移行するリソースとすべての依存するリソースを含むコンマ区切りリストを指定して、この手順を繰り返します。
    • リソースが無効になっている場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource disable resource

      注 -  移行するリソースにほかのリソースが依存している場合、この手順は失敗します。この状況では、出力されるエラーメッセージを参照して、依存するリソースの名前を確認します。次に、移行するリソースとすべての依存するリソースを含むコンマ区切りリストを指定して、この手順を繰り返します。
    • リソースグループが非管理状態にある場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource disable -g resource-group +
      # clresourcegroup offline resource-group
      # clresourcegroup unmanage resource-group

      これらのコマンドの各項目は次のとおりです。

      resource-group

      非管理状態にするリソースグループを指定します。

  3. 移行されるリソースタイプのリソースごとに、Type_version プロパティーを新しいバージョンに変更します。

    必要に応じて、同じリソースのほかのプロパティーを同じコマンドで適切な値に設定します。これらのプロパティーを設定するには、このコマンドの –p オプションを指定します。

    ほかのプロパティーを設定する必要があるかどうかを確認するには、リソースタイプをアップグレードするための手順を参照してください。ほかのプロパティーの設定は、次の理由で必要になることがあります。

    • リソースタイプの新しいバージョンで拡張プロパティーが導入されている。

    • リソースタイプの新しいバージョンで既存のプロパティーのデフォルト値が変更されている。

    # clresource set -p Type_version=new-version \
    [-p extension-property=new-value] [-p standard-property=new-value] resource

    注 -  リソースタイプの既存のバージョンが新しいバージョンへのアップグレードをサポートしていない場合、この手順は失敗します。
  4. Step 2 で入力したコマンドを逆にすることによって、リソースまたはリソースグループの以前の状態を復元します。
    • リソースをいつでも移行できる場合、アクションは必要ありません。

      注 -  いつでも移行できるリソースを移行したあと、リソース検証に正しいリソースタイプバージョンが表示されないことがあります。この状況では、リソース検証に正しいリソースタイプバージョンが確実に表示されるように、リソースの障害モニターを無効にしてふたたび有効にします。
    • リソースがモニターされていない場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource monitor resource
    • リソースがオフラインである場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource enable resource

      注 -  Step 2 で、移行するリソースに依存するほかのリソースを無効にした場合は、それらの依存するリソースも有効にします。
    • リソースが無効になっている場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource enable resource

      注 -  Step 2 で、移行するリソースに依存するほかのリソースを無効にした場合は、それらの依存するリソースも有効にします。
    • リソースグループが非管理状態にある場合のみリソースを移行できる場合は、次のコマンドを入力します。
      # clresource enable -g resource-group +
      # clresourcegroup manage resource-group
      # clresourcegroup online resource-group
使用例 2-2  オフラインである場合にのみ移行できるリソースの移行

この例では、リソースがオフラインである場合にのみ移行できるリソースの移行を示します。新しいリソースタイプのパッケージには、新しいパスに配置されるメソッドが含まれます。メソッドはインストール中に上書きされないため、アップグレードされたリソースタイプがインストールされるまで、リソースを無効にする必要はありません。

この例でのリソースの特性は次のとおりです。

  • 新しいリソースタイプバージョンは 2.0 です。

  • リソース名は myresource です。

  • リソースタイプ名は myrt です。

  • 新しい RTR ファイルは /opt/XYZmyrt/etc/XYZ.myrt に存在します。

  • 移行されるリソースに関する依存関係は存在しません。

  • 移行されるリソースを、それが属するリソースグループをオンラインにしたままオフラインにすることができます。

この例では、アップグレードパッケージが、サプライヤの指示に従ってすべてのクラスタノードにすでにインストールされていると仮定します。

# clresourcetype register -f /opt/XYZmyrt/etc/XYZ.myrt myrt
# clresource disable myresource
# clresource set -p Type_version=2.0 myresource
# clresource enable myresource
使用例 2-3  モニターされていない場合のみ移行できるリソースの移行

この例では、リソースがモニターされていない場合のみ移行できるリソースの移行を示します。新しいリソースタイプのパッケージには、モニターと RTR ファイルのみが含まれます。モニターはインストール中に上書きされるため、アップグレードパッケージがインストールされる前に、リソースのモニタリングを無効にする必要があります。

この例でのリソースの特性は次のとおりです。

  • 新しいリソースタイプバージョンは 2.0 です。

  • リソース名は myresource です。

  • リソースタイプ名は myrt です。

  • 新しい RTR ファイルは /opt/XYZmyrt/etc/XYZ.myrt に存在します。

この例では、次の操作が実行されます。

  1. アップグレードパッケージがインストールされる前に、リソースのモニタリングを無効にするために次のコマンドが実行されます。

    # clresource unmonitor myresource
  2. アップグレードパッケージが、サプライヤの指示に従ってすべてのクラスタノードにインストールされます。

  3. リソースタイプの新しいバージョンを登録するために、次のコマンドが実行されます。

    # clresourcetype register -f /opt/XYZmyrt/etc/XYZ.myrt myrt
  4. Type_version プロパティーを新しいバージョンに変更するために、次のコマンドが実行されます。

    # clresource set -p Type_version=2.0 myresource
  5. リソースのモニタリングをその移行後に有効にするために、次のコマンドが実行されます。

    # clresource monitor myresource