Oracle ソフトウェアインシリコンの機能は、Oracle Solaris 11.3 や Oracle Solaris 11.4 が動作している、Oracle の SPARC M7 プロセッサベースのサーバーで使用できます。ソフトウェアインシリコンテクノロジには、Silicon Secured Memory (SSM) と Data Analytics Accelerator (DAX) があります。SSM を使用すると、Application Data Integrity (ADI) が有効になります。
Oracle ソフトウェアインシリコン機能の詳細は、ソフトウェアインシリコンを使用した包括的な Oracle ソリューションのセキュリティーとパフォーマンス上の利点に関するホワイトペーパーを参照してください。
SSM と DAX は、それらがホストシステムの CPU やカーネルゾーンのオペレーティングシステムでサポートされていても、カーネルゾーンではデフォルトで無効になります。このデフォルトは、こうした機能をサポートしていない以前のシステムとの間のカーネルゾーンのウォーム移行やライブ移行に役立つように選ばれたものです。
Oracle Solaris 11.3 または Oracle Solaris 11.4 が動作しているカーネルゾーンでこれらの機能を有効にするには、host-compatible プロパティーを設定します。
SSM のみを有効にするには、host-compatible=adi を設定します。
DAX、仮想アドレスマスキング (VA マスキング) および SSM を有効にするには、host-compatible=level1 を設定します。
SSM や DAX が使用可能でない以前の SPARC ベースシステムまたは以前のバージョンの Oracle Solaris ソフトウェアにカーネルゾーンを移行するには、移行を開始する前に、まず次の構成変更を行う必要があります。
host-compatible プロパティーを互換性のある値に設定するか、そのプロパティーをクリアして、ゾーンがターゲットシステムの環境で機能できるようにします。
以前の SPARC ベースシステムに移行するように cpu-arch プロパティーを設定します。詳細は、カーネルゾーンを異なる CPU または OS バージョンを持つシステムに移行するための準備を参照してください。
詳細は、Oracle Solaris Zones Configuration Resources の Kernel Zone Migration Class and Host Compatibility Level (solaris-kz Only)を参照してください。
使用例 1 カーネルゾーンでの SSM の有効化この例では、host-compatible が設定されているかどうかを確認してから、そのプロパティーを adi に設定し、ゾーンをブートします。info サブコマンドでは、明示的に設定されていないプロパティーに関する情報は、たとえそのプロパティーにデフォルト値がある場合でも一切表示されません。
global$ pfbash zonecfg -z kzone1 zonecfg:kzone1> info host-compatible zonecfg:kzone1> set host-compatible=adi zonecfg:kzone1> exit global$ zonecfg -z kzone1 boot使用例 2 Silicon Secured Memory 機能のないシステムのカーネルゾーンで SSM の有効化を試みる
この例は、SPARC T5 システムのカーネルゾーンで SSM を有効にする試みを示しています。SPARC T5 では、SSM がサポートされていません。カーネルゾーンのブートを試みると、エラーが検出されます。
global$ pfbash zonecfg -z kzone1 zonecfg:kzone1> set host-compatible=adi zonecfg:kzone1> exit global$ zonecfg -z kzone1 boot zone 'kzone1': error: modifier adi not supported by migration class SPARC-T5使用例 3 カーネルゾーンでの DAX の有効化
この例は、何も出力されないことによって、カーネルゾーン kzone1 で host-compatible プロパティーが設定されておらず、DAX、VA マスキング、および SSM を有効にするためにそのプロパティーを level1 に設定して、ゾーンをブートすることを示しています。
global$ pfbash zonecfg -z kzone1 zonecfg:kzone1> info host-compatible zonecfg:kzone1> set host-compatible=level1 zonecfg:kzone1> exit global$ zonecfg -z kzone1 boot使用例 4 以前のシステムに移行できるように host-compatible プロパティーをクリアする
この例では、カーネルゾーン kzone1 で host-compatible プロパティーをクリアしてから、ゾーンをリブートします。SSM などの機能をサポートしていないターゲットホストにカーネルゾーンを移行する場合は、移行の前に、カーネルゾーンを異なる CPU または OS バージョンを持つシステムに移行するための準備の説明に従って、cpu-arch プロパティーをリセットする必要もあります。
global$ pfbash zonecfg -z kzone1 clear host-compatible global$ zoneadm -z kzone1 reboot