Oracle ZFS Storage Appliance の概要
Oracle ZFS Storage Appliance の構成
BUI を使用した LACP 集計リンクインタフェースの作成
プローブベースのリンク状態障害検出を使用した IPMP グループの作成
リンク状態のみの障害検出を使用した IPMP グループの作成
BUI を使用した InfiniBand パーティションのデータリンクとインタフェースの作成
BUI を使用したクラスタ化されたコントローラでの VLAN ID なしの VNIC の作成
BUI を使用したクラスタ化されたコントローラでの同じ VLAN ID の VNIC の作成
CLI を使用したマルチホーミングプロパティーの「厳しい」への変更
BUI を使用した LUN と FC イニシエータグループの関連付け
CLI を使用した LUN と FC イニシエーターグループの関連付け
CLI を使用したイニシエータとイニシエータグループの別名のスクリプト作成
CLI を使用した自動生成の IQN を持つ iSCSI ターゲットの追加
CLI を使用した RADIUS 認証を使用する特定の IQN を持つ iSCSI ターゲットの追加
CLI を使用した CHAP 認証を使用する iSCSI イニシエータの追加
BUI を使用した、ダッシュボードの表示のみが可能なユーザーの追加
Oracle ZFS Storage Appliance の設定
重要なことは、Oracle ZFS Storage Appliance のクラスタ化実装のスコープを理解することです。「クラスタ」とは、さまざまな目的を持った数多くの異なるテクノロジを呼ぶときに業界で使用される用語です。ここでは、2 つのアプライアンスヘッドおよびシェアストレージで構成されるメタシステムを意味し、ヘッドのどちらかで特定のハードウェアまたはソフトウェアの障害が発生した場合に、改善された可用性を提供するために使用されます。クラスタには、正確に 2 つのアプライアンスまたはストレージコントローラが含まれます。このドキュメント全体では、簡潔にヘッドと呼びます。各ヘッドには、クラスタで使用可能なセットからストレージ、ネットワーク、およびその他のリソースのコレクションを割り当てることができます。これにより、2 つの主なトポロジのいずれかを構成できます。アクティブ/アクティブとは、クラスタに 2 つ (以上) のストレージプールがあり、そのうちの 1 つのプールに各ヘッドと、そのプールに格納されたデータにクライアントがアクセスするときに使用されるネットワークリソースが割り当てられている状態を表す用語です。アクティブ/パッシブとは、単一のストレージプールに、アクティブと指定されたヘッドと、関連付けられたネットワークインタフェースが割り当てられている状態を表します。Oracle ZFS Storage Appliance では、どちらのトポロジもサポートされています。両者の区別は人為的です。つまり、両者の間にはソフトウェアまたはハードウェアの違いはなく、単にストレージプールを追加または削除することによって任意に切り替えることができます。どちらの場合も、ヘッドに障害が発生すると、他方 (そのピア) がすべての既知のリソースを制御し、これらのリソースに関連付けられたサービスを提供します。
ヘッドの修復中に数時間または数日の停止時間が発生する代わりに、クラスタ化を使用するとピアアプライアンスは修復または交換の実行中でもサービスを提供できます。さらに、クラスタではソフトウェアの順次アップグレードもサポートされています。これにより、新しいソフトウェアへの移行に関連する業務の混乱を減らすことができます。一部のクラスタ化テクノロジには、可用性拡張機能を超える特定の追加機能が備わっています。Oracle ZFS Storage Appliance のクラスタ化サブシステムは、このような機能を提供するように設計されていません。特に、複数ヘッド間における負荷分散の提供、ストレージ障害における可用性の改善、クライアントへの複数アプライアンス間における統合されたファイルシステム名前空間の提供、または障害回復目的での広範囲な領域におけるサービス責任の分割は行われません。これらの機能も同様に、このドキュメントの範囲外です。ただし、Oracle ZFS Storage Appliance およびそれが提供するデータプロトコルでは、次のように可用性を改善できる数多くのその他の機能と方針がサポートされています。
データのレプリケーション。1 つ以上の地理的にリモートのサイトでの障害回復で使用可能
クライアント側でのデータのミラー化。任意に配置された複数のストレージサーバーで提供される冗長 iSCSI LUN を使用して実行可能
負荷分散。NFS プロトコルに組み込まれ、外部ハードウェアまたはソフトウェアによってほかの一部のプロトコルに提供可能 (読み取り専用データに適用)
冗長ハードウェアコンポーネント (電源装置を含む)、ネットワークデバイス、およびストレージコントローラ
障害管理ソフトウェア。障害が発生したコンポーネントの特定、サービスからの削除、および正常なハードウェアの修復または交換を行う技術者への指針の提供が可能
ネットワークファブリック冗長性 (LACP および IPMP 機能で提供)
冗長ストレージデバイス (RAID)
ほかの可用性機能についての追加情報は、このドキュメントの適切なセクションを参照してください。
クラスタ化とスタンドアロンのどちらの Oracle ZFS Storage Appliance 構成を選択するのかを決定する際は、クラスタ化操作のコストと利点を比較検討することが重要になります。クラスタ化を自動的な構造決定であると見なすことが IT 業界全体の常識ですが、この認識はこの業界の一部のベンダーによって広められた、クラスタ化のリスクと利益の理想像を反映しています。クラスタ化では、2 番目のヘッドに伴う明らかに高い先行投資および現在進行中のハードウェアおよびサポートのコストに加えて、技術上および運用上のリスクも課されます。このようなリスクの一部は、すべての担当者にクラスタ化操作の訓練を徹底的に行うことによって軽減できます。その他のリスクは、クラスタ化操作の概念に固有のものです。リスクには次のものがあります。
テイクオーバー中のプロトコル依存の動作で、アプリケーションの耐性がなくなる可能性がある
クラスタソフトウェア自体で障害が発生したり、スタンドアロン操作では発生しないような障害が別のサブシステムで発生したりする可能性がある
管理の複雑さが増し、管理タスクの実行時にオペレータエラーが発生する可能性が高い
多重障害や重大なオペレータエラーにより、スタンドアロン構成では発生しないようなデータ損失や破損が発生する可能性がある
予期しないソフトウェアやハードウェアの状態から回復することがより困難になる。
このようなコストやリスクは基本的なものであり、さまざまな方法で市場のすべてのクラスタ化製品またはクラスタ対応製品 (Oracle ZFS Storage Appliance を含む) に適用されるため、完全に除去したり軽減したりできません。ストレージ設計者は、クラスタ化の主な利点 (まれに発生する壊滅的なハードウェアまたはソフトウェアの障害時に使用できなくなる期間を数時間から数分以下に削減できること) について比較検討する必要があります。コストと利点の分析において、Oracle ZFS Storage Appliance の配備でクラスタ化を使用することが優先されるかどうかは、SLA 条件などのローカル要素、対応可能なサポート担当者とその資格、予算の制約、さまざまな障害が発生する可能性、および可用性を拡張するための代替方針の適切性によって異なります。これらの要素はサイト、アプリケーション、および業務に大きく依存するため、個別に評価する必要があります。このセクションの残りの資料について理解すれば、統合されたストレージインフラストラクチャーの設計および導入時に適切な選択を行うことができます。