cfgadm_sata - cfgadm の SATA ハードウェア固有のコマンド
/usr/sbin/cfgadm [-f] [-y | -n] [-v] [-o hardware_options] -c function ap_id...
/usr/sbin/cfgadm [-f] [-y | -n] [-v] [-o hardware_options] -x hardware_function ap_id...
/usr/sbin/cfgadm [-v] [-a] [-s listing_options] [-o hardware_options] [-l [ap_id | ap_type]...]
/usr/sbin/cfgadm [-v] [-o hardware_options] -t ap_id...
/usr/sbin/cfgadm [-v] [-o hardware_options] -h [ap_id]...
SATA ハードウェア固有のライブラリ /usr/lib/cfgadm/sata.so.1 は、cfgadm コマンドによる SATA ホットプラグ操作のための機能を提供します。cfgadm は、接続点で実行されます。接続点とは、ハードウェアリソースを動的に再構成できるシステム上の場所です。接続点については、cfgadm(8) を参照してください。
各 SATA コントローラおよびポートマルチプライヤのデバイスポートは、デバイスツリー上で接続点によって表されます。システム上で接続および構成されている SATA デバイスは、接続点の名前の拡張として表されます。次の説明では、「接続点」および「SATA ポート」という用語は同じ意味で使用されます。
接続点には、ap_id によって名前が付けられます。すべての SATA 接続点 ap_id は、次の形式の文字列から構成されます。
sataX/P[.M][::dsk/cXtYd0]
各情報の意味は次のとおりです。
SATA コントローラ番号です。
SATA コントローラのデバイスポート番号 (0 - 31) です。
ポートマルチプライヤのデバイスポート番号 (0 - 14)、ポートマルチプライヤのホストポート番号 (15) です。ポートマルチプライヤが SATA コントローラのデバイスポートに接続されている場合にのみ使用されます。
接続された SATA デバイスを識別します。
ターゲット番号です。
一般的に、デバイスの識別子は、/dev 内のデバイスの対応する論理リンクから生成されます。SATA デバイスでは 1 つの LUN (LUN 0) しかサポートされないため、デバイス文字列の「d」コンポーネントは常に数値 0 (ゼロ) になります。
たとえば、SATA コントローラ 2 のデバイスポート 5 に接続されたポートマルチプライヤのデバイスポート 4 の論理 ap_id は次のとおりです。
sata2/5.4
この接続点に SATA ディスクまたは CD/DVD デバイスが接続されていて、デバイスが構成されている場合、ap_id は次のようになります。
sata2/5.4::dsk/c2t645d0
デバイスを識別する cXtYd0 文字列は、デバイスの接続点と 1 対 1 で対応します。
システム上の接続点の単純な一覧には、すべての SATA デバイスポートおよび接続されているデバイスが含まれます。例:
#cfgadm -l Ap_Id Type Receptacle Occupant Condition sata0/0::dev/c0t0d0 disk connected configured ok sata0/1::dev/c0t1d0 disk connected configured ok sata0/2::dev/c0t2d0 cd-dvd connected configured ok sata0/3 sata-port empty unconfigured ok sata1/0 sata-port disconnected unconfigured unknown sata1/1 sata port disconnected unconfigured unknown sata1/2 sata port empty unconfigured ok sata1/3.15 sata-pmult connected configured ok sata1/3.0::dev/c0t512d0 disk connected configured ok sata1/3.1 sata-port empty unconfigured ok sata1/3.2 sata-port empty unconfigured ok sata1/3.3 sata-port empty unconfigured ok usb0/1 unknown empty unconfigured ok usb0/2 unknown empty unconfigured ok
接続点の一覧表示の詳細は、cfgadm(8) を参照してください。
SATA ポートにおける接続点の受容体の状態は、次のような意味を持ちます。
SATA ポートが電源投入され、有効になっています。このポートでは、デバイスの存在が検出されませんでした。
SATA ポートが有効になっていない、SATA デバイスの存在は検出されたがデバイスとの通信が確立されてない、またはポートで障害が発生している、のいずれかです。
ポートで SATA デバイスが検出され、デバイスとの通信が確立されています。
占有装置 (SATA ポートに接続されたデバイス)の状態は、次のような意味を持ちます。
接続されている SATA デバイスは構成されており、オペレーティングシステムが使用できる状態です。
デバイスが接続されていないか、SATA ポートに接続されている SATA デバイスがまだ構成されていません。構成するには、コマンド「cfgadm -c configure ap_id」を実行します。
接続点 (SATA ポート) の状況は、次の意味を持ちます。
SATA ポートが電源投入され、有効になっていて、使用できます。
SATA ポートに障害が発生しました。システムにより無効になっているか電源が切断されている可能性があります。使用不可能であり、その状況は不明です。差し込まれているデバイスが原因である可能性があります。
SATA ポートが無効になっており、その状況は不明です。
「状態テーブル」は、接続点の受容体の状態、占有装置の状態、および接続点 (SATA ポート) の状況を組み合わせたものです。有効な状態は次のとおりです。
SATA ポートが有効になっており、アクティブです。デバイスの存在が検出されませんでした。
SATA ポートが有効になっていて、デバイスの存在が検出されましたが、デバイスとの通信は確立されませんでした。
SATA ポートが無効になっており、その状況は不明です。
SATA ポートが無効になっており、使用不可です。システムで検出された障害が原因で、ポートはシステムで無効になりました。
SATA ポートが有効になっており、アクティブです。デバイスの存在が検出され、デバイスとの通信が確立されました。デバイスは OS で使用されるように構成されていません。
デバイスは存在し、構成されており、OS が使用できる状態です。
cfgadm では、一覧表示 (–l) のほかに数種類の操作が定義されています。これらの操作には、テスト (–t)、構成状態の変更の開始 (–c)、ハードウェア固有の関数の実行 (–x)、および構成管理のヘルプメッセージの表示 (–h) が含まれます。
次の汎用の関数は、SATA ハードウェア固有のライブラリに定義されています。SATA ポート接続点では、次の構成状態の変更操作がサポートされています。
SATA ポートを有効 (アクティブ) にして、接続されたデバイスとの通信を確立します。この操作により、必要に応じてポートの電源が投入されます。
接続されたデバイスがまだ構成解除されていない場合は構成解除し、SATA ポートを無効化 (非アクティブ化) します。その後に「connect」コマンドを使用した場合、SATA ポート操作は有効になりますが、デバイスは「configured」状態にはなりません。
SATA ポートに接続された SATA デバイスでは、次の状態の変更操作がサポートされています。
新しいデバイスがまだ構成されていない場合に、オペレーティングシステムが使用できるように構成します。このコマンドは、必要に応じて接続操作も実行することを意味しています。
SATA ポートに接続されたデバイスがまだ構成解除されていない場合は、構成解除します。
configure および unconfigure 操作は、ポートパルチプライヤが接続された接続点では使用できません。ポートパルチプライヤは、システムで自動的に構成および構成解除されません。ただし、configure および unconfigure 操作は、ポートパルチプライヤのデバイスポートに接続されたすべての SATA デバイスに適用されます。
サポートされていません。
ヘルプオプションと任意の SATA 接続点を組み合わせて使用すると、SATA 固有のヘルプを取得できます。
–l オプションは、cfgadm(8) で説明されているように機能します。–v オプションと組み合わせて使用すると、「Information」フィールドに次の SATA 固有の情報が表示されます。
Mfg: 製造元文字列
Product: 製品文字列
No: 製品シリアル番号
現在定義されているハードウェア固有のオプションはありません。
select サブオプションを使用すると、クラス SATA の接続点を一覧表示できます。cfgadm(8) を参照してください。
SATA コントローラでサポートされている場合、SATA ポートのセルフテストを実行します。セルフテスト操作が SATA コントローラでサポートされていない場合は、エラーメッセージが表示されます。
ハードウェア固有の関数を実行します。
前述のとおりに、SATA ポートまたは SATA コントローラの次のコマンドの一部では、接続されている SATA デバイスが影響を受ける可能性があります。前述のとおりに、ap_id は SATA ポートまたは SATA コントローラ全体を指します。操作にデバイスの構成解除が含まれていても構成解除できない場合 (つまり、デバイスにマウント済みのファイルシステムが含まれる場合)、エラーメッセージが表示され、操作は実行されません。SATA コントローラで指定された操作がサポートされていない場合も、エラーメッセージが表示されます。
ap_id SATA ポートに接続された SATA デバイスをリセットします。SATA ポートの状態は変更されません。
ap_id で指定された SATA ポートをリセットします。ポートに SATA デバイスが接続されている場合は、そのデバイスもリセットされます。この操作は、ポートマルチプライヤが接続されているポートでも実行される場合があります。ポートマルチプライヤが SATA コントローラポートに接続されている場合、ポートマルチプライヤに接続された SATA デバイスがリセットされない可能性があります。
ap_id のコントローラ番号部分で指定された SATA コントローラおよび接続されたすべてのデバイスをリセットし、接続されたすべてのデバイス (ポートマルチプライヤやポートマルチプライヤのデバイスポートに接続されたデバイスなど) を再列挙します。
この操作により、操作前に接続されたすべてのデバイスが接続解除されます。新しく列挙されたデバイスは構成解除されたままです。
ほかのすべてに失敗した場合に、ポートを強制的に無効にします。これは、緊急時の手順として使用します。注意して使用してください。
ポートを強制的に有効にします。これは、エラーから回復するために無効にされたポート上で緊急状況時に使用されます。
SATA コントローラでセルフテスト操作を実行します。この操作により、すべてのデバイスが構成解除され、SATA コントローラがリセットされます。
詳細モードで実行します。
次の「遷移」テーブルは、–c 操作およびホットプラグ処理の結果生じた状態遷移を報告します。
current state operation possible new state ------------- --------- ------------------ empty/ unconfigured/ok device plug-in connected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/failed empty/ unconfigured/ok -c unconfigure error message, no state change empty/ unconfigured/ok -c configure error message, no state change empty/ unconfigured/ok -c connect error message, no state change empty/ unconfigured/ok -c disconnect disconnected/unconfigured/unknown, or disconnected/unconfigured/failed disconnected/ unconfigured/ok device unplug no state change disconnected/ unconfigured/ok -c unconfigure error message, no state change disconnected/ unconfigured/ok -c configure error message, no state change disconnected/ unconfigured/ok -c connect error message, no state change disconnected/ unconfigured/ok -c disconnect error message, no state change disconnected/ unconfigured/ unknown (no disk plugged) -c configure error message, state change to empty/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/failed disconnected/ unconfigured/ unknown -c configure state change to (disk plugged) connected/configured/ok or, connected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/failed and possible error message disconnected/ unconfigured/ unknown -c connect empty/unconfigured/ok, or connected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/unknown, or disconnected/unconfigured/failed disconnected/ unconfigured/ unknown -c disconnect error message, no state change disconnected/ unconfigured/ failed any command error message, no state change other than -x commands connected/ unconfigured/ok disk unplug error message and state: empty/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/failed connected/ unconfigured/ok -c configure connected/unconfigured/ok, or connected/configured/ok, or disconnected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/failed connected/ unconfigured/ok -c unconfigure error message, no state change connected/ unconfigured/ok -c connect error message, no state change connected/ unconfigured/ok -c disconnect disconnected/unconfigured/unknown, or disconnected/unconfigured/failed connected/ configured/ok disk unplug error message and state: empty/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/failed connected/ configured/ok -c configure error message, no state change connected/ configured/ok -c unconfigure error message, if device cannot be unconfigured, no state change, or connected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/ok, or disconnected/unconfigured/failed connected/ configured/ok -c connect error message, no state change connected/ configured/ok -c disconnect error message, if device cannot be unconfigured, no state change, or disconnected/unconfigured/unknown, or disconnected/unconfigured/failed
次のコマンドは、SATA コントローラ 0、ポート 0 に接続されているディスクを構成します。
example# cfgadm -c configure sata0/0
このコマンドは、SATA ポートにデバイスが接続されている場合にのみ発行してください。
使用例 2 ディスクの構成解除次のコマンドは、SATA コントローラ 0、ポート 3 に接続されたディスクを構成解除します。
example# cfgadm -c unconfigure sata0/3
デバイスを識別する文字列は、接続点の受容体の状態が「connected」、占有装置の状態が「configured」のときに表示されます。
使用例 3 マウントされたファイルシステムがディスクの構成解除中に検出された場合次のコマンドは、マウントされたファイルシステムがディスクの構成解除中に検出された場合を示しています。
example# cfgadm -c unconfigure sata1/5
システムは次のように応答します。
cfgadm: Component system is busy, try again: failed to offline: /devices/pci@0,0/pci8086,244e@1e/pci1095,3124@1/sd@5,0 Resource Information ------------------ -------------------------- /dev/dsk/c1t5d0s0 mounted filesystem "/mnt"
汎用的な SATA ホットプラグ操作のためのハードウェア固有ライブラリ
属性についての詳細は、マニュアルページの attributes(7) を参照してください。
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config_admin(3CFGADM)、libcfgadm(3LIB)、attributes(7)、cfgadm(8)
緊急時の「sata_port_deactivate」操作は、ルート (/)、/usr、swap、/var などの重要なパーティションを含むディスクが接続されたポートではサポートされていません。このようなポートでは、無効化操作を実行しないでください。使用法を誤ると、システムがハングアップし、リブートが必要になる場合があります。
ホットプラグ操作は、すべての SATA コントローラでサポートされているわけではありません。
SATA コネクタがホットプラグ対応のタイプであり、SATA コントローラでホットプラグがサポートされている場合は、いつでも SATA デバイスのホットプラグ操作が可能です。システムはイベントを検出して、デバイスとの通信を確立します。デバイスは、明示的に「cfgadm -c configure ap_id」コマンドで構成する必要があります。
SATA コネクタがホットプラグ対応のタイプであり、SATA コントローラでホットプラグがサポートされている場合、構成解除せずにデバイスを取り外すと、システムがハングアップしたり、データが損失したりする可能性があります。デバイスが構成解除されたが、受容体の状態が disconnected 状態ではない場合は、SATA ポートからデバイスを取り外すと、エラーメッセージが表示されます。
一部の SATA デバイスのコネクタは、SATA ホットプラグの仕様に準拠していません。このようなデバイスでホットプラグ操作を実行すると、SATA コントローラまたは SATA デバイス (あるいはその両方) に障害を与える可能性があります。