下のリストで、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアが定義するリソースタイププロパティーについて説明します。この説明は、データサービスの開発者を対象としたものです。特定のデータサービスについての詳細は、そのデータサービスのマニュアルページを参照してください。
プロパティーはリソースタイプ登録 (RTR) ファイルに明示的な値を必要とします。そうでない場合、プロパティーが属するオブジェクトは作成できません。空白文字または空の文字列を値として指定できません。
RTR ファイル内に宣言を必要とするプロパティーです。宣言がない場合、RGM はこのプロパティーを作成しません。したがって、このプロパティーを管理ユーティリティーから利用できません。空白文字または空の文字列を値として指定できます。プロパティーが RTR ファイル内で宣言されており、値が指定されていない場合には、RGM はデフォルト値を使用します。
RTR ファイル内に宣言と明示的な値を必要とするプロパティーです。宣言がない場合、RGM はこのプロパティーを作成しません。したがって、このプロパティーを管理ユーティリティーから利用できません。空白文字または空の文字列を値として指定できません。
RTR ファイル内に宣言できるプロパティーです。プロパティーが RTR ファイル内で宣言されていない場合は、RGM がこれを作成し、デフォルト値を与えます。プロパティーが RTR ファイル内で宣言されており、値が指定されていない場合は、RGM は、プロパティーが RTR ファイル内で宣言されないときのデフォルト値と同じ値を使用します。
管理ユーティリティーでは直接設定できないプロパティーです。このプロパティーは RTR ファイル内には設定されません。このプロパティーの値は情報のためだけに提供されます。
リソースタイプはリソースタイプ登録ファイルで定義されます。リソースタイプ登録ファイルには、そのリソースタイプの標準プロパティーと拡張プロパティーの値が指定されています。
このリソースタイプの実装が使用するリソース管理 API のバージョン。
Oracle Solaris Cluster ソフトウェアの各リリースでサポートされる最新の API_version は次のとおりです。
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
20
21
22
RTR ファイルで API_version に 2 より大きい値を宣言すると、そのリソースタイプは、その値より古いバージョンをサポートする Oracle Solaris Cluster ソフトウェアにはインストールされません。たとえば、あるリソースタイプに API_version=7 を宣言した場合、そのリソースタイプは、Sun Cluster 3.2 リリースより前にリリースされたクラスタソフトウェアのどのバージョンにもインストールできません。
任意
2
しない
オプションのコールバックメソッド: 次に示す条件が発生したときに、RGM がノード上で呼び出すプログラムのパスです:
ノードがクラスタに結合または再結合する場合。
このタイプのリソースを含むリソースグループが管理されている場合。
このメソッドは、Init メソッドと同様に、このタイプのリソースの初期化を行う必要があります。
条件付き / 明示
なし
しない
このプロパティーに TRUE を設定した場合、このタイプのリソースは、複数のノードで同時にオンラインになる可能性があるどのグループ内でも構成できません。
このリソースタイプのプロパティーは、次のように Scalable リソースプロパティーと一緒に使用します:
|
詳細は、Scalable in r_properties(5) の説明およびOracle Solaris Cluster Concepts Guide の第 3 章Key Concepts for System Administrators and Application Developersを参照してください。
任意
FALSE
しない
オプションのコールバックメソッド: このタイプのリソースを RGM 管理の対象外にするとき、RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
あるリソースタイプのこのプロパティーに TRUE を設定した場合、そのメソッドはすべての状況で、大域ゾーン内で実行されます。このプロパティーに TRUE を設定した場合、リソースグループがゾーンクラスタで構成されている場合でも、メソッドは大域ゾーンで実行されます。このプロパティーに TRUE を設定するのは、ネットワークアドレスやファイルシステムなど、大域ゾーンから管理できるサービスに対してだけです。
![]() | 注意 - 信頼できる既知のソースであるリソースタイプを除いて、Global_zone プロパティーに TRUE が設定されているリソースタイプは登録しないでください。このプロパティーに TRUE を設定したリソースタイプは、ゾーン分離をすり抜け、脅威をもたらします。 ゾーンクラスタ内にある RTR ファイルで Global_zone プロパティーを TRUE に設定しないでください。このプロパティーに TRUE を設定するすべてのタイプのリソースは、グローバルクラスタの大域ゾーンに配置する必要があります。 |
非大域ゾーンで起動するように構成され、Global_zone プロパティーに TRUE が設定されているリソースのメソッドは、常に大域ゾーンで実行されます。このようなリソースは、非大域ゾーンで構成されても、CPU 共有および専用プロセッサセット構成の利点を得ません。このリソースは、RG_slm_type プロパティーに AUTOMATED を設定した場合でも利点は得られません。Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、RG_slm_type プロパティーに MANUAL が設定されているリソースグループ内にあるかのように、このようなリソースを扱います。
Global_zone プロパティーに TRUE が設定されているリソースタイプのメソッドは大域ゾーンで実行されるため、RGM は、非大域ゾーンが停止されても、これらのリソースタイプがオフラインであると即座にみなすわけではありません。実際、RGM は、Monitor_stop、Stop、および Postnet_stop などのメソッドを LogicalHostname、SharedAddress、および HAStoragePlus をはじめとするこれらのリソースタイプ上で実行します。しかし、非大域ゾーンが終了したとき、RGM は、Global_zone プロパティーに FALSE が設定されているリソースはオフラインであると考えます。停止メソッドは非大域ゾーンで実行する必要があるため、RGM は、このようなリソースでは停止メソッドを実行できません。
Global_zone=TRUE を宣言するリソースタイプは、Global_zone_override リソースプロパティーも宣言する場合があります。その場合、Global_zone_override プロパティーの値が、そのリソースの Global_zone プロパティーの値より優先されます。Global_zone_override プロパティーの詳細は、r_properties(5) のマニュアルページを参照してください。
任意
FALSE
しない
オプションのコールバックメソッド: このタイプのリソースを RGM 管理対象にするとき RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
RGM が Init、Fini、Boot、Validate メソッドを呼び出すノードを示します。このプロパティーには、RG_primaries (リソースをマスターできるノードのみ) と RT_installed_nodes (このリソースタイプがインストールされるすべてのノード) のいずれかを指定できます。
任意
RG_primaries
しない
リソースタイプの実行が許可されるノードの名前のリスト。このプロパティーは RGM によって自動的に作成されます。クラスタ管理者は値を設定できます。このプロパティーは、RTR ファイル内には宣言できません。
クラスタ管理者による構成が可能です。
すべてのクラスタノード
すべての時間
TRUE は、このリソースタイプが、フェイルオーバー IP アドレスを管理する LogicalHostname リソースタイプのいずれかのバージョンであることを示します。
照会のみ
デフォルトなし
しない
TRUE は、このリソースタイプが、共有 IP (インターネットプロトコル) アドレスを管理する SharedAddress リソースタイプのいずれかのバージョンであることを示します。
照会のみ
デフォルトなし
しない
オプションのコールバックメソッド: 障害モニターの要求によってこのリソースタイプのフェイルオーバーを実行する前に、RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。あるノードでモニター検査プログラムがゼロ以外の値で終了した場合、そのノードへのフェイルオーバーへの試みは妨げられます。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
オプションのコールバックメソッド: このタイプのリソースの障害モニターを起動するために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
Monitor_start が設定されている場合、必須のコールバックメソッドになります: このタイプのリソースの障害モニターを停止するために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
リソースタイプのインストールに含まれている任意のパッケージリスト。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
オプションのコールバックメソッド: このタイプのリソースが、あるネットワークアドレスリソースに依存している場合、そのネットワークアドレスリソースの Stop メソッドの呼び出し後に RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。このメソッドは、ネットワークインタフェースを停止したあとに、Stop アクションを行う必要があります。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
オプションのコールバックメソッド: このタイプのリソースが、あるネットワークアドレスリソースに依存している場合、そのネットワークアドレスリソースの Start メソッドの呼び出し前に RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。このメソッドは、ネットワークインタフェースが構成される前に実行する必要がある Start アクションを行う必要があります。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
このタイプのリソースがプロキシリソースであるかどうかを示します。
プロキシリソースは、リソースの状態を Oracle Clusterware などの別のクラスタフレームワークからインポートする Oracle Solaris Cluster リソースです。Oracle Clusterware は、クラスタ環境のための、プラットフォームに依存しない一連のシステムサービスです。
プロキシリソースタイプは、Prenet_start メソッドを使用して、外部 (プロキシ) リソースの状態をモニターするデーモンを起動します。Postnet_stop メソッドは、このモニタリングデーモンを停止します。このモニタリングデーモンは、CHANGE_STATE_ONLINE または CHANGE_STATE_OFFLINE タグとともに scha_control コマンドを実行し、プロキシリソースの状態をそれぞれ Online または Offline に設定します。scha_control() 関数は、SCHA_CHANGE_STATE_ONLINE タグと SCHA_CHANGE_STATE_OFFLINE タグを同様に使用します。
このプロパティーに TRUE を設定した場合、このリソースはプロキシリソースです。
任意
FALSE
しない
リソースタイプの全リソースのリストです。管理者はこのプロパティーを直接設定しません。ただし、管理者がこのタイプのリソースをリソースグループに追加したり、リソースグループから削除したりした場合、RGM はこのプロパティーを更新します。
照会のみ
空のリスト
しない
リソースタイプの名前。現在登録されているリソースタイプ名を表示するには、次のように入力します。
clresourcetype list
リソースタイプ名には、バージョン (必須) が含まれます。
vendor_id.resource_type:version
リソースタイプ名の 3 つのコンポーネントは、RTR ファイル内に指定された 3 つのプロパティー vendor-id、resource-type および RT-version になります。clresourcetype コマンドはピリオド (.) およびコロン (:) 区切り文字を挿入します。リソースタイプ名の接尾辞 RT_version には、RT_version プロパティーと同じ値が入ります。vendor-id が必ず一意になるように、リソースタイプを作成した会社の株式の略号を使用することをお勧めします。
必須
空の文字列
しない
コールバックメソッドの相対パスを補完するディレクトリパスです。このパスは、リソースタイプパッケージのインストール場所に設定します。このパスには、スラッシュ (/) で開始する完全なパスを指定する必要があります。すべてのメソッドパス名が絶対パスの場合は、このプロパティーを指定しなくてもかまいません。
必須 (すべてのメソッドパスが絶対パスである場合を除く)
デフォルトなし
しない
リソースタイプの簡単な説明です。
条件付き
空の文字列
しない
あるリソースタイプのこのプロパティーに TRUE を設定した場合、そのリソースタイプは削除できません (clresourcetype unregister resource-type-name)。このプロパティーは、LogicalHostname など、クラスタのインフラストラクチャのサポートに使用されるリソースタイプを間違って削除してしまうことを防ぐためにあります。しかし、RT_system プロパティーはどのリソースタイプにも適用できます。
RT_system プロパティーが TRUE に設定されたリソースタイプを削除するには、まず、このプロパティーに FALSE を設定する必要があります。クラスタサービスをサポートするリソースを持つリソースタイプを削除するときには注意してください。
任意
FALSE
すべての時間
このリソースタイプ実装を識別する必須のバージョン文字列。RT_version は、完全なリソースタイプ名の末尾の部分です。
条件付き/明示または必須
デフォルトなし
しない
このプロパティーに TRUE を設定した場合、RGM は、このタイプのリソースがクラスタ内に 1 つだけ存在することを許可します。
任意
FALSE
しない
コールバックメソッド。このタイプのリソースを起動するために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
RTR ファイルで Prenet_start メソッドが宣言されていないかぎり必須
デフォルトなし
しない
コールバックメソッド。このタイプのリソースを停止させるために RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
RTR ファイルで Postnet_stop メソッドが宣言されていないかぎり必須
デフォルトなし
しない
オプションのコールバックメソッド: このタイプの実行中のリソースのプロパティーが変更されたとき RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
オプションのコールバックメソッド: このタイプのリソースのプロパティー値を検査するために、RGM によって呼び出されるプログラムのパスです。
条件付き / 明示
デフォルトなし
しない
「Resource_type プロパティー」を参照してください。
条件付き
デフォルトなし
しない
clresource(1CL), clresourcegroup(1CL), clresourcetype(1CL), rt_reg(4), SUNW.HAStoragePlus(5), property_attributes(5), r_properties(5), rg_properties(5), scha_control(1HA), scha_control(3HA)
Oracle Solaris Cluster Concepts Guide , Oracle Solaris Cluster Data Services Developer’s Guide , Oracle Solaris Cluster データサービス計画および管理ガイド