Oracle Solaris では、ネットワークリソースを管理することによって、サービスの品質 (QoS) がより容易に、かつ動的に得られます。ネットワークリソースの管理は、トラフィックのための専用のレーンを作成することに相当します。特定のタイプのネットワークパケットに提供するためにさまざまなリソースを結合すると、これらのリソースによって、このパケットのためのネットワークレーンが形成されます。ネットワークレーンごとに、リソースを異なる方法で割り当てることができます。たとえば、ネットワークトラフィックの負荷がもっとも高いレーンに、より多くのリソースを割り当てることができます。リソースが実際のニーズに応じて分散されるようにネットワークレーンを構成することによって、ネットワークパケットを処理する際のシステムの効率が向上します。ネットワークレーンの詳細は、データリンクとフローのネットワークトラフィックの統計情報のモニタリングの概要を参照してください。
ネットワークリソースの管理を利用することで、複雑な QoS 規則の定義を必要とすることなく、個々のシステム上のデータトラフィックの分離、優先順位付け、追跡、制御などを行うことができます。
ネットワークリソースの管理は、次のタスクに役立ちます。
ネットワークのプロビジョニング
サービスレベル契約の確立
クライアントへの請求
セキュリティーに関する問題の診断
パケットを処理する際のシステムの効率を向上させるには、次のネットワークリソースを使用します。
優先順位 – パケットが処理される優先順位を設定できます。優先順位の高いパケットはほかのパケットの前に処理されるため、そのパケットの待機時間が短縮されます。
NIC リング – NIC がリング割り当てをサポートしている場合は、その送信および受信リングを、データリンクによる使用に専用に割り当てることができます。詳細は、NIC リングの管理を参照してください。
CPU プール – CPU のプールが作成され、特定のゾーンに関連付けられます。さらにこれらのプールをデータリンクに割り当てて、関連付けられたゾーンのネットワークプロセスを管理できます。詳細は、プールと CPU の管理を参照してください。
CPU – 複数の CPU を備えたシステムでは、指定された数の CPU を特定のネットワーク処理に専用に割り当てることができます。詳細は、プールと CPU の管理を参照してください。
システム上のネットワークリソースは、データリンクプロパティーまたはフローのいずれかを使用して管理できます。
データリンクを使用してネットワークリソースを管理することで、パケットを処理する際のシステムの効率が向上します。リンクの作成時に、リソースを割り当てることができます。あるいは、たとえば一定期間にわたってリソース使用状況を調査して、リソースをより適切に割り当てる方法を特定したあとなどに、データリンクにリソースを割り当てることもできます。ネットワークリソースを割り当てることによって、ネットワークプロセスに使用できる特定のリソースの量を決定できます。リソースを割り当てるための手順は、物理ネットワークだけでなく仮想ネットワーク環境にも当てはまります。データリンクプロパティーとそれらを構成する方法についての詳細は、データリンクプロパティーを使用することによるネットワークリソースの管理を参照してください。
フローは、単一の属性または属性の組み合わせに基づいてネットワークパケットを分類するためのカスタマイズされた方法です。フローは、同じデータリンク上のさまざまなサービスを区別するために役立ちます。フローを作成するための基盤として機能する属性は、ネットワークパケットのヘッダー内の情報から引き出されます。ネットワークリソースの管理のためのデータリンクプロパティーを設定したあと、フローを使用して、ネットワークパケットを処理するためのリソースの使用方法を詳細に制御できます。データリンクプロパティーを設定せずに、フローを単独で使用してネットワークリソースを管理できます。
リソースの管理にフローを使用するには、次の手順を実行します。
単一の属性または属性の組み合わせに基づいたフローを作成します。
ネットワークリソースに関連するプロパティーを設定することによって、リソースのフローの使用をカスタマイズします。現在は、帯域幅、優先順位、およびランクプロパティーをフローに関連付けることができます。
フローの構成についての詳細は、フローを使用することによるネットワークリソースの管理を参照してください。