ネットワーク仮想化とネットワークリソース管理を組み合わせると、フロー制御を管理したり、システムパフォーマンスを向上させたり、OS 仮想化、ユーティリティーコンピューティング、およびサーバー統合の実現に必要なネットワーク使用率を構成したりするのに役立ちます。このセクションでは、ネットワーク仮想化をネットワークリソース管理とともに使用してシステムパフォーマンスを最適化する方法を示すためのシナリオを使用します。
次の図は、このシナリオで使用されるネットワーク仮想化の設定を示しています。
図 3 ユースケース: ネットワーク仮想化の設定
この設定は、次のコンポーネントで構成されています。
それぞれ、データリンク net0 および net1 を使用して構成されている Oracle Solaris ホスト CN1 および CN2。
CN1 上に構成されている Oracle Solaris ゾーン zone1 および zone2 と CN2 上に構成されている zone3。
それぞれ、VNIC vnic1、vnic2、および vnic3 を使用して構成されているゾーン zone1、zone2、および zone3。
CN1 上の zone2 と CN2 上の zone3 の間に設定されているエラスティック仮想スイッチ EVS1。ゾーン zone2 および zone3 は同じネットワーク内に存在するため、同じエラスティック仮想スイッチ上に構成されています。
VNIC と EVS1 の間の接続ポイントである仮想ポート vport2 および vport3。
ゾーン上で実行されるさまざまなアプリケーションのパケットを処理する優先度や速度に基づいてネットワークリソースを割り当てることができます。データリンクプロパティーおよびフローを使用して、ネットワークリソースを VNIC に適切に割り当てることができます。このシナリオは、ネットワークリソースを割り当てるための次の前提に基づいています。
zone1 は、アプリケーション app1 および app2 をホストします。トラフィックを分離し、各フローに属するパケットのリソースの使用方法に対する制御を実装するように vnic1 上のフローを構成する必要があります。また、vnic1 のために CPU の個別のプールを構成することも必要です。
zone2 は、zone3 上のデータベースと通信するアプリケーション app3 をホストします。
zone3 は、zone2 と通信するデータベースをホストします。vnic3 は、ほかの VNIC より多くのパケットを送受信するため、より多くの帯域幅を使用します。そのため、vnic3 の帯域幅の使用量を制限するには、より高い帯域幅制限を設定する必要があります。また、パケット処理のための高い優先度を設定することもできます。
これらの前提に基づいて、Oracle Solaris ホスト上に構成されている VNIC にネットワークリソースが割り当てられます。次の図は、データリンクプロパティーおよびフローを使用したネットワークリソースの VNIC への割り当てを示しています。
図 4 ユースケース: フローを使用したネットワーク仮想化とリソース割り当て
この図は、VNIC と flow1 に対して設定されるデータリンクおよびフロープロパティーを示しています。次の表は、これらのプロパティーとその値を示しています。
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