dlstat コマンドの次のバリアントを使用すると、ネットワークトラフィック情報を表示できます。
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–r オプションを使用すると受信側の統計情報を表示でき、dlstat コマンドで –t オプションを使用すると送信側の統計情報を表示できます。その他のオプションについての詳細は、dlstat(1M) のマニュアルページを参照してください。
dlstat show-phys コマンドは、物理ネットワークデバイスに関する統計情報を提供します。図 25に示すように、dlstat show-phys コマンドは、ネットワークスタックのデバイス層にあるハードウェアリング上で動作します。
次のコマンド構文を使用すると、ネットワークデバイス上のネットワークトラフィック統計情報を表示できます。
# dlstat show-phys [–r|–t] [–Tu | –Td] [–o idrops[,idropbytes][,odrops][,odropbytes]] \ [link] [interval [count]]
受信側のネットワークトラフィックの統計情報のみを表示します。–t オプションをこのオプションと一緒に指定しないでください。
–r オプションまたは –t オプションを指定しない場合は、送信側と受信側の両方のネットワークの統計情報が表示されます。
送信側のネットワークトラフィックの統計情報のみを表示します。–r オプションをこのオプションと一緒に指定しないでください。
–r または –t オプションを指定しない場合は、送信側と受信側の両方のネットワークの統計情報が表示されます。
現在の時間を内部表現で表示します。
現在の時間を標準の日付形式で表示します。
物理データリンクごとの入力と出力のパケット破棄を表示します。入力と出力のパケット破棄の数に加えて、このオプションでは、破棄のバイト数も表示されます。
ネットワーク統計をモニターするデータリンクの名前。データリンクを指定しない場合は、システムに構成されているすべてのデータリンクに関する情報が表示されます。
ネットワーク統計をリフレッシュする時間を秒数で指定します。
表示されているネットワークトラフィックの統計情報がリフレッシュされる回数を指定します。カウント値を指定しない場合、統計情報は無期限にリフレッシュされます。
この例では、システムの各リンク上の受信と送信の両方のネットワークトラフィックが表示されます。パケットの数とそれらのバイトサイズが表示されています。
# dlstat show-phys LINK IPKTS RBYTES OPKTS OBYTES net5 0 0 0 0 net6 0 0 0 0 net0 25.57K 5.10M 1.93K 226.05K net0 179 26.63K 161 22.75K net3 0 0 0 0 net4 0 0 0 0 net2 0 0 0 0 net8 238 137.16K 191 8.41K net1 0 0 0 0 ...
出力には次の情報が表示されます。
物理および仮想データリンク (名前で識別されます)
リンク上のインバウンドパケットの数
リンク上で受信されたバイト数
リンク上のアウトバウンドパケットの数
このリンク上で送信されたバイト数
この例では、受信されるネットワークトラックの統計情報が、間隔値 2 秒、カウント値 3 で表示されます。
# dlstat show-phys -r 2 3 LINK TYPE INDEX IPKTS RBYTES net0 rx 0 8.03M 12.09G net1 rx 0 0 0 net0 rx 0 8.79K 13.28M net1 rx 0 0 0 net0 rx 0 8.50K 12.83M net1 rx 0 0 0
データリンク net0 および net1 は 1 つのセットと考えてください。最初のデータリンク net0 および net1 のセットは、受信したパケットとバイトの合計数を示しています。この例では、8.03M が受信したパケットの合計数で、12.09G が net0 で受信したバイトの合計数です。2 番目のデータリンク net0 および net1 のセットは、正規化された値とも呼ばれる、ネットワークトラフィックの統計情報の 1 秒あたりの変化量を示しています。つまり、8.79K は、net0 によって 2 秒間隔で受信されたパケットの正規化された値です。同様に、3 番目のデータリンク net0 および net1 のセットも、2 秒間隔のネットワークトラフィックの統計情報の正規化された値を示しています。
使用例 85 ネットワークデバイスの受信側のトラフィック統計情報の表示この例では、データリンク net0 の受信トラフィックの統計情報が表示されます。
# dlstat show-phys -r net0 LINK TYPE ID INDEX IPKTS RBYTES net0 rx local -- 0 0 net0 rx hw 1 0 0 net0 rx hw 2 1.73M 2.61G net0 rx hw 3 0 0 net0 rx hw 4 8.44M 12.71G net0 rx hw 5 5.68M 8.56G net0 rx hw 6 4.99M 7.38G net0 rx hw 7 0 0
この例では、net0 データリンクに 8 つの受信リングがあり、それらが INDEX フィールドで特定されています。リングごとのパケットの均一な分布は、それらのリングが、各リンクの負荷に応じてリンクに正しく割り当てられていることを示す理想的な構成です。不均一な分布は、リンクごとのリングの不均衡な分布を示します。不均一な配布の解決は、NIC が動的なリング割り当てをサポートしているかどうかによって異なります。サポートしている場合は、パケットをより均等に処理するように、リンクごとにリングを再配布できます。詳細は、NIC リングの管理を参照してください。
使用例 86 ネットワークデバイスの送信側のトラフィック統計情報の表示この例では、ネットワークデバイスとしての net0 の送信リングの使用状況が表示されます。
# dlstat show-phys -t net0 LINK TYPE INDEX OPKTS OBYTES net0 tx 0 93 4.63K net0 tx 1 0 0 net0 tx 2 0 0 net0 tx 3 0 0 net0 tx 4 0 0 net0 tx 5 47 11.02K net0 tx 6 23 7.13K net0 tx 7 0 0使用例 87 時間を含むネットワークデバイスのトラフィックの統計情報の表示
次の例では、内部表現の現在の時間とともに、ネットワークデバイスとしての net0 のネットワークトラフィックに関する統計情報が表示されます。
# dlstat show-phys -Tu net0 1401652481 LINK IPKTS RBYTES OPKTS OBYTES net0 184 27.14K 165 22.91K
次の例では、標準の日付形式の現在の時間とともに、ネットワークデバイスとしての net0 のネットワークトラフィックに関する統計情報が表示されます。
# dlstat show-phys -Td net0 Sun Jun 1 12:54:47 PDT 2014 LINK IPKTS RBYTES OPKTS OBYTES net0 184 27.14K 165 22.91K使用例 88 入力と出力のパケット破棄の表示
次の例では、データリンク net0 の入力と出力のパケット破棄統計情報を表示します。
# dlstat show-phys net0 -o idrops,idropbytes,odrops,odropbytes IDROPS IDROPBYTES ODROPS ODROPBYTES 399 42.52K 0 0
dlstat show-link コマンドを使用すると、データリンクのネットワークトラフィックの統計情報を表示できます。
使用例 89 データリンクのネットワークトラフィックの統計情報の表示この例は、データリンク vnic0 のネットワークトラフィックの統計情報を示しています。
# dlstat show-link vnic0 LINK IPKTS RBYTES OPKTS OBYTES vnic0 3 180 0 0使用例 90 専用ハードウェアリングが割り当てられているデータリンクのネットワークトラフィックの統計情報の表示
この例は、4 つの専用 Rx リングが割り当てられているデータリンク vnic0 の受信側のネットワークトラフィックの統計情報を示しています。出力の ID 列にある hw 値は、データリンク vnic0 に専用ハードウェアリングが割り当てられていることを示します。
# dlstat show-link -r vnic0 LINK TYPE ID INDEX IPKTS RBYTES INTRS POLLS IDROPS vnic0 rx local -- 0 0 0 0 0 vnic0 rx other -- 64 2.94K 0 0 0 vnic0 rx hw 8 0 0 0 0 0 vnic0 rx hw 9 53 7.97K 53 0 0 vnic0 rx hw 10 4 392 4 0 0 vnic0 rx hw 11 153.65K 220.68M 153.65K 0 0使用例 91 データリンクの送信側のネットワークトラフィックの統計情報の表示
この例は、データリンク vnic0 の送信側のネットワークトラフィックの統計情報を示しています。
# dlstat show-link -t vnic0 LINK TYPE ID INDEX OPKTS OBYTES ODROPS vnic0 tx local -- 0 0 0 vnic0 tx other -- 19 798 0 vnic0 tx sw -- 0 0 0使用例 92 専用ハードウェアリングが割り当てられていないデータリンクのネットワークトラフィックの統計情報の表示
この例は、専用 Rx リングが割り当てられていないデータリンク net6 のネットワークトラフィックの統計情報を示しています。出力の ID 列にある sw 値は、データリンク net6 が専用ハードウェアリングを使用して構成されていないことを示します。
# dlstat show-link -r net6 LINK TYPE ID INDEX IPKTS RBYTES INTRS POLLS IDROPS net6 rx local -- 0 0 0 0 0 net6 rx other -- 0 0 0 0 0 net6 rx sw -- 0 0 0 0 0
dlstat show-aggr コマンドは、トラフィックがシステム上のアグリゲーションをたどるときの、アグリゲーションのポートごとのネットワークパケットの統計情報を表示します。
使用例 93 リンクアグリゲーションのネットワークトラフィックの統計情報の表示# dlstat show-aggr LINK PORT IPKTS RBYTES OPKTS OBYTES aggr0 -- 13 832 13 780 aggr0 net0 0 0 13 780 aggr0 net3 13 832 0 0
この例の出力は、ベースとなる 2 つのリンク net0 と net3 を含むリンクアグリゲーション aggr0 の構成を示しています。ネットワークトラフィックがアグリゲーションを経由してシステムによって受信または送信されると、受信および送信パケットとそれらの各サイズに関する情報がポートごとに報告されます。これらのポートは、そのアグリゲーションのベースとなるリンクで識別されます。
リンクアグリゲーションについては、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークデータリンクの管理 の 第 2 章, リンクアグリゲーションを使用した高可用性の構成を参照してください。
dlstat show-bridge コマンドは、各ブリッジのネットワーク統計情報を表示し、各ブリッジに接続されたリンクの統計情報の一覧を表示します。
使用例 94 ブリッジのネットワークトラフィックの統計情報の表示この例では、ブリッジ rbblue0 および stbred0 のネットワーク統計情報が表示されます。
# dlstat show-bridge BRIDGE LINK IPKTS RBYTES OPKTS OBYTES DROPS FORWARDS rbblue0 -- 1.93K 587.29K 2.47K 3.30M 0 0 simblue1 72 4.32K 2.12K 2.83M 0 -- simblue2 1.86K 582.97K 348 474.04K 0 -- stbred0 -- 975 976.69K 3.44K 1.13M 0 38 simred3 347 472.54K 1.86K 583.03K 0 -- simred4 628 504.15K 1.58K 551.51K 0 --