デフォルトでは、デフォルトの EVB 構成を変更する必要はありません。ほとんどの場合、EVB をインストールし、デフォルトの EVB 構成を使用すると、システムに外部スイッチを構成する VNIC に関する情報を交換できます。ただし、ホストとネットワークの EVB 構成を完全に制御して管理する場合は、デフォルトの構成を変更できます。
デフォルトの Oracle Solaris VSI マネージャー ID、ORACLE_VSIMGR_V1 を使用すると、システムは自動的に、作成する VNIC の VSI タイプ ID を生成します。そのため、vsi-typeid や vsi-vers などのデータリンクプロパティーを設定する必要はありません。ただし、デフォルトの VSI マネージャー ID を使用しない場合は、dladm set-linkprop コマンドを使用して EVB に関連するデータリンクプロパティーを設定する必要があります。EVB に関連するデータリンクプロパティーを設定するには、外部スイッチがシステムと通信でき、VSI タイプ ID と VSI バージョンの特定のセットのプロパティーを取得できる必要があります。
EVB を使用するときにデフォルトの Oracle VSI マネージャー ID を使用して、Oracle VSI マネージャーがシステムの VSI プロファイルの VSI タイプ ID と VSI バージョンを自動的に生成できるようにします。
EVB に関連する次のデータリンクプロパティーを構成できます。
vsi-mgrid は、物理リンクまたは VNIC に設定される VSI マネージャー ID を指定します。VNIC 用にこのプロパティーが設定されていない場合、基本となる物理リンクのデフォルト値 ORACLE_VSIMGR_V1 が使用されます。
vsi-mgrid プロパティーを明示的に設定する場合は、VSI タイプ ID と VSI バージョンも明示的に設定する必要があります。また、これらのプロパティーをデータリンク上に明示的に構成する必要もあります。
vsi-mgrid-enc - VSI マネージャー ID に関連付けられているエンコーディングを示します。デフォルトでは、このプロパティーは oracle_v1 に設定されます。VSI マネージャー ID に oracle_v1 を関連付けない場合は、このプロパティー値を none に設定してください。値を none に設定する場合、VSI マネージャー ID、VSI タイプ ID、および VSI バージョンは自動的には生成されないため、それらは必ず手動で構成してください。
vsi-typeid - VSI タイプ ID を指定します。VSI タイプ ID は、VSI バージョンとのペアで VSI プロファイルに関連付けられます。vsi-mgrid と vsi-mgrid-enc にデフォルト値を使用している場合、この 3 バイト値は自動的に生成されます。それ以外の場合は、このプロパティーの値を明示的に指定する必要があります。
vsi-vers - VSI バージョンを指定します。VSI バージョンは、VSI タイプ ID とのペアで VSI プロファイルに関連付けられます。vsi-mgrid と vsi-mgrid-enc にデフォルト値を使用している場合、この 1 バイト値は自動的に生成されます。それ以外の場合は、このプロパティーの値を明示的に指定する必要があります。
EVB 関連のプロパティーは、dladm show-linkprop コマンドを使用して表示できます。VNIC 関連のリンクプロパティーの有効な値は、プロパティーのそれぞれの EFFECTIVE フィールドの値から取得できます。詳細は、使用例 45を参照してください。
EVB コンポーネントについての詳細は、VDP を使用した VNIC 情報の交換を参照してください。EVB についての詳細は、evb(7P) のマニュアルページを参照してください。
vsi-mgrid および vsi-mgrid-enc プロパティーは、物理リンク上だけに構成する必要があります。vsi-typeid や vsi-vers などのその他の EVB 関連プロパティーは、VNIC 上に構成する必要があります。
詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのユーザーとプロセスのセキュリティー保護 の 割り当てられている管理権利の使用を参照してください。
# dladm create-vnic -l datalink -p maxbw=maxbw-value,priority=priority-value VNIC
# dladm set-linkprop -p vsi-mgrid-enc=none datalink
# dladm set-linkprop -p vsi-mgrid=IPv6-address datalink
# dladm set-linkprop -p vsi-typeid=VSI-Type-ID,vsi-vers=VSI-Version VNIC
# dladm show-linkprop VNIC
次の例は、EVB に関連するデータリンクプロパティーを設定する方法を示します。この例では、IPv6 アドレス、IP1 を使用してアクセスできるプロファイルでシステムを使用しています。
VSI マネージャー ID、IP1 には、次のプロファイルが定義されています。
VSI タイプ ID: 2
VSI バージョン: 1
データリンクプロパティー: maxbw=20、priority=5
プロファイルに記載されているデータリンクプロパティーを使用して、VNIC を作成します。
# dladm create-vnic -l net0 -p maxbw=20,priority=5 vnic1
デフォルトの Oracle VSI マネージャー ID を使用しないため、物理リンク net0 で VSI マネージャー ID に関連付けられているエンコーディングを none に設定します。
# dladm set-linkprop -p vsi-mgrid-enc=none net0
IPv6 アドレス IP1 を使用して、物理リンク net0 上の VSI マネージャー ID を設定します。
# dladm set-linkprop -p vsi-mgrid=IP1 net0
vnic1 の VSI タイプ ID と VSI バージョンを設定します。
# dladm set-linkprop -p vsi-typeid=2,vsi-vers=1 vnic1
vnic1 に設定されているプロパティーを確認します。
# dladm show-linkprop vnic1 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE ... vnic1 vsi-typeid rw 2 2 -- -- vnic1 vsi-vers rw 1 1 -- -- vnic1 vsi-mgrid rw IP1 IP1 -- -- vnic1 vsi-mgrid-enc rw -- none oracle_v1 none,oracle_v1 ...
vnic1 の VDP ASSOC TLV ユニットには、次の情報が含まれます。
VSI マネージャー ID = IP1
VSI タイプ ID = 2
VSI バージョン = 1
次の例は、物理リンク上の EVB 関連のプロパティーを示しています。
# dladm show-linkprop -p vsi-mgrid,vsi-mgrid-enc net4 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE net4 vsi-mgrid rw -- -- :: -- net4 vsi-mgrid-enc rw -- -- oracle_v1 none,oracle_v1
この出力には、Oracle Solaris の EVB のデフォルト構成が表示されます。oracle_v1 エンコーディングを使用することで、VNIC 上に構成されているプロパティーから、VSI タイプ ID と VSI バージョンが自動的に生成されます。
使用例 46 VNIC での EVB 関連のプロパティーの表示次の例は、VNIC 上の EVB 関連のプロパティーを示しています。
# dladm show-linkprop vnic0 LINK PROPERTY PERM VALUE EFFECTIVE DEFAULT POSSIBLE ... vnic0 vsi-typeid rw -- 94 -- -- vnic0 vsi-vers rw -- 0 -- -- vnic0 vsi-mgrid rw -- :: -- -- vnic0 vsi-mgrid-enc rw -- oracle_v1 oracle_v1 none,oracle_v1 ...
この出力には、vnic0 の有効なエンコーディングが oracle_v1 として表示されています。次に、vsi-typeid 94 の EFFECTIVE 値が自動的に生成され、vnic0 に対して有効になります。