Go to main content
Oracle® Solaris 11.3 での仮想ネットワークとネットワークリソースの管理

印刷ビューの終了

更新: 2016 年 11 月
 
 

VNIC の帯域幅共有

VNIC の帯域幅共有は、同じデータリンク上のほかの VNIC との競合が発生した場合に VNIC が取得する帯域幅の最小共有です。bwshare プロパティーを使用して、VNIC の帯域幅共有を割り当てます。bwshare プロパティーをサポートするデータリンク上でのみ帯域幅共有を割り当てることができます。現在、Intel XL710 10/40 ギガビット Ethernet コントローラ NIC のみで bwshare プロパティーがサポートされます。dladm show-linkprop コマンドを使用すると、データリンクで bwshare プロパティーがサポートされるかどうかを確認できます。使用例 33を参照してください。

帯域幅はすべてのアクティブな VNIC の間で割り当てられます。VNIC に割り当てられる帯域幅の量は、VNIC に対して設定されている帯域幅共有に比例します。たとえば、1G ビット/秒のリンク上で構成されている 2 つの VNIC vnic1 および vnic2 について考えてみます。vnic1 および vnic2 上で bwshare プロパティーを次のように設定します。

# dladm set-linkprop -p bwshare=40 vnic1
# dladm set-linkprop -p bwshare=10 vnic2

この例では、vnic1 の帯域幅共有は 40 で、vnic210 です。VNIC は 1G ビット/秒のリンク上で構成されているため、vnic1 は最大 800M ビット/秒の帯域幅 (1G ビット/秒 * 40/(40+10)) を使用でき、vnic2 は最大 200M ビット/秒の帯域幅 (1G ビット/秒 * 10/(40+10)) を使用できます。

この例では、両方の VNIC に、その帯域幅共有を消費するネットワークトラフィックがあることを想定しています。ただし、vnic1 が 100M ビット/秒のみを使用する場合、vnic2 は最大 900M ビット/秒を使用できます。帯域幅共有を使用することで、帯域幅を使用できる VNIC がある場合、帯域幅は浪費されません。同時に、ほかの VNIC との競合が発生する場合に、帯域幅共有によって、VNIC に割り当てられた共有が確保されます。

bwshare プロパティーの考慮事項

bwshare プロパティーを使用する場合は、次の考慮事項に留意してください。

  • bwshare プロパティーには、1 - 100 の値を割り当てることができます。値は相対的な共有の値で、帯域幅の割合は示していません。リンク上にあるすべての VNIC の bwshare プロパティーの値の合計を 100 以下に保持している場合は、この値を割合として示すことができます。

  • dladm show-linkprop コマンド出力では、bwshare プロパティーの有効値は割合で表示されます。有効値は、同じデータリンク上にあるほかの VNIC との競合が発生する場合に、VNIC に保証される帯域幅の最小の割合です。有効値は、データリンク上で構成されているほかの VNIC によって変わります。

  • VNIC の maxbw プロパティーを設定した場合、トラフィックは maxbw 値によって制限されます。bwshare プロパティーが適用される前に、maxbw プロパティーが VNIC に対して適用されます。

  • bwshare プロパティーが設定された VNIC と、bwshare プロパティーが設定されていない VNIC を同じデータリンク上に持つことができます。この場合、bwshare プロパティーが設定されていない VNIC では帯域幅の共有は未定義です。リンク上の VNIC で bwshare を設定していない場合、現在の動作に対する変更はありません。

使用例 33  データリンクで bwshare プロパティーがサポートされるかどうかの決定

次の例は、データリンクで bwshare プロパティーがサポートされるかどうかを確認する方法を示しています。この例では、z1/net1 データリンクは VF VNIC です。出力内の POSSIBLE 列の下にある値 1-100 は、ベースとなるデータリンクで bwshare プロパティーがサポートされることを示しています。

# dladm show-linkprop -p bwshare
LINK     PROPERTY        PERM VALUE        EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
z1/net1  bwshare         rw   --           --           --        1-100

次の例は、bwshare プロパティーをサポートしない net0 データリンクの出力を示しています。

# dladm show-linkprop -p bwshare
LINK     PROPERTY        PERM VALUE        EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
net0     bwshare         r-   --           --           --        -- 
使用例 34  VNIC の bwshare 帯域幅プロパティーの設定

次の例は、VF VNIC z1/net1bwshare プロパティーを設定する方法を示しています。

# dladm set-linkprop -t -p bwshare=60 z1/net1
# dladm show-linkprop -p bwshare
LINK     PROPERTY        PERM VALUE        EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
z1/net1  bwshare         rw   60           100%         --        1-100 

EFFECTIVE 列の下にある値は、VNIC z1/net1100% の帯域幅を使用することを示しています。ただし、ベースとなる同じデータリンク上で構成されている VNIC z1/net2bwshare プロパティーを設定すると、有効値は変わります。

# dladm show-linkprop -p bwshare
LINK     PROPERTY        PERM VALUE        EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
z1/net1  bwshare         rw   60           50%          --        1-100 
z1/net2  bwshare         rw   60           50%          --        1-100

出力は、z1/net1 の有効値が 100% から 50% に変わったことを示しています。

bwshare プロパティーと DCB 帯域幅共有との相互作用

etsbw_lcl プロパティーでは、帯域幅共有を物理 NIC の帯域幅の一定の割合として設定することがサポートされます。ただし、これは、NIC が DCB モードになっている場合にのみサポートされます。DCB モードは、デフォルトでは on ではなく、スイッチで DCB がサポートされる場合にのみ DCB が使用されます。

NIC が DCB モードになっている場合は、bwshare プロパティーを設定できません。bwshare プロパティーを設定してから、DCB モードを on に設定する場合、bwshare プロパティーは有効ではありません。この場合、dladm show-linkprop コマンド出力では、EFFECTIVE 値は -- と表示されます。