仮想化されたサーバーでは、同じ物理リンク上に複数の仮想 NIC が含まれている可能性があります。これらの VNIC を VM に割り当てることができます。従来より、スイッチが、パケットを受信したのと同じリンク上でパケットを送り返すことはありません。VM 間のパケットは、ホスト自体の内部にある仮想スイッチによってループバックされます。そのため、外部スイッチ上で構成されているどのポリシーも VM 間のパケットには適用されません。EVB をサポートしている場合は、Oracle Solaris とスイッチにより、VM 間のパケットにすべてのポリシーを適用したあと、外部スイッチで VM 間のパケットを切り替えることができるようになります。VNIC の詳細は、仮想ネットワークの作成および管理を参照してください。
さらに、EVB をサポートしている Oracle Solaris は、VNIC に関する情報をスイッチと交換できます。この情報の交換により、スイッチは、ネットワーク上の帯域幅制限、帯域幅共有、MTU などの VNIC プロパティーを自動的に構成できるようになります。この機能がない場合、サーバー上で VNIC が作成、変更、または削除されるたびに、サーバー管理者とネットワーク管理者はお互いに調整してスイッチ上の変更を行う必要があります。VNIC プロパティーをネットワークに拡張することによって、VNIC プロパティーに基づいたネットワークリソースの効率的な使用が可能になります。たとえば、ホストに到着したあとのパケットに帯域幅制限を適用しても、それらのパケットがすでにリンクの帯域幅を使い果たしている可能性があるため、あまり役に立ちません。
反射型リレーは、同じ物理 NIC 上で VNIC を使用している複数の VM が外部スイッチ経由で通信できるようにする機能です。スイッチがこの機能をサポートしている必要があります。Oracle Solaris では、LLDP が拡張され、スイッチが反射型リレー機能をサポートしているかどうかを判定したり、スイッチ上の反射型リレー機能を有効または無効にしたりするために使用される EVB Type-Length Value (TLV) ユニットが含まれます。そのため、LLDP を使用してスイッチ上でのこの機能の検出や構成を自動化できるのは、スイッチが LLDP および EVB TLV ユニットをサポートしている場合だけです。それ以外の場合は、スイッチ上で反射型リレー機能を手動で構成する必要があります。反射型リレーを手動で構成する方法については、スイッチの製造元のドキュメントを参照してください。
Oracle Solaris での反射型リレーのサポートの詳細は、同じ物理ポート上の VM 間の切り替えの制御を参照してください。LLDP の TLV ユニットの詳細は、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークデータリンクの管理 の LLDP エージェントが通知する情報を参照してください。
Oracle Solaris は、IEEE 802.1Qbg で定義されている VDP (Virtual Station Interface Discovery and Configuration Protocol) を使用して VNIC 情報をスイッチと交換します。スイッチが VDP をサポートしている場合は、スイッチ上で VNIC プロパティーが自動的に構成されます。これは、DCBX を使用した、ホストとスイッチの間での物理リンクのプロパティーの交換に似ています。VNIC が作成、変更、または削除されると、ホストとスイッチの間で VDP の交換が開始されます。この交換により、スイッチは VNIC のプロパティーに基づいて、VNIC 宛てのパケットにリソースを割り当てることができるようになります。
Oracle Solaris でのシステムと外部スイッチ間での VNIC 情報についての交換の詳細は、VDP を使用した VNIC 情報の交換およびVDP による VNIC 情報の交換方法を参照してください。