準仮想化 (PV) ドライバは、I/O デバイスエミュレーションの従来の実装のオーバーヘッドを大幅に削減する、高パフォーマンスのネットワークおよびディスクドライバです。これらのドライバは、物理 NIC などのほかのデバイスをエミュレートしないため、ネットワークパフォーマンス、ディスクスループット、およびシステム効率を改善します。Oracle Solaris カーネルゾーン用の準仮想化ネットワークドライバ ZVNET は、ハイパーコールを使用してホスト OS 内のハイパーバイザと対話して、低遅延と高スループットのネットワークパフォーマンスを実現します。
Oracle Solaris 11.3 以降、準仮想化 IPoIB データリンクは、Oracle Solaris カーネルゾーン内に anet リソースとして作成され、zonecfg コマンドを使用してこのデータリンクを構成できます。カーネルゾーンのブート時に、anet リソースによって IPoIB VNIC が作成されます。IPoIB VNIC は、大域ゾーン内の下位リンクの Infiniband ホストチャネルアダプタ (IB HCA) とポートタプルのパーティション上に作成されます。それぞれの IPoIB VNIC に 1 対 1 の一致があり、カーネルゾーン内の準仮想化 IPoIB データリンクと通信します。これらの各 VNIC には一意の MAC アドレスがあり、一意または別のパーティションキー (pkey) を割り当てることができます。anet リソースごとに、IPoIB データリンクが実行されるモードを構成できます。接続モード (CM) と低信頼データグラム (UD) モードがサポートされ、zonecfg コマンドを使用してこれらのモードを構成できます。詳細は、Oracle Solaris ゾーン構成リソース の リソースタイプのプロパティーを参照してください。
カーネルゾーン内の構成されている IPoIB データリンクを表示するには、dladm コマンドを使用します。
使用例 35 準仮想化 IPoIB データリンクの作成準仮想化 IPoIB データリンクは、カーネルゾーン内に自動ネットワーク (anet) を作成し、必須プロパティー lower-link および pkey を指定することによって作成します。プロパティー lower-link を有効な IB パーティションのいずれかに設定し、pkey をそのパーティションによって提供されるパーティションキーのいずれかに設定します。cm または ud のいずれかを指定できるプロパティー linkmode はオプションです。値を指定しない場合、その値はデフォルトで cm に設定されます。
# zonecfg -z kzone0 zonecfg:kzone0> add anet zonecfg:kzone0:anet> set lower-link=net1 zonecfg:kzone0:anet> set pkey=0x8001 zonecfg:kzone0:anet> set linkmode=cm zonecfg:kzone0:anet> end # zoneadm -z kzone0 boot使用例 36 カーネルゾーンでの物理デバイス情報の表示
次の例では、Infiniband デバイスを含む、カーネルゾーン内のすべての物理データリンクの物理デバイスと属性を表示します。
root@solariskzone0:~# dladm show-phys LINK MEDIA STATE SPEED DUPLEX DEVICE net0 Ethernet up 1000 full zvnet0 net1 Infiniband up 32000 full zvnet1
次の例では、カーネルゾーン内の物理デバイスと物理リンクのすべてのキー属性を表示します。
root@solariszone1:~# dladm show-phys -o all LINK MEDIA STATE SPEED DUPLEX DEVICE VFS-AVAIL VFS-INUSE FLAGS net0 Ethernet up 1000 full zvnet0 -- -- ----- net1 Infiniband up 32000 full zvnet1 -- -- -----使用例 37 物理デバイスの MAC アドレスの表示
次の例では、カーネルゾーン内の物理デバイスの MAC アドレスを表示します。
root@solariszone1:~# dladm show-phys -m LINK SLOT ADDRESS INUSE CLIENT net0 primary 2:8:20:5:32:5a yes net0 net1 primary 80:0:0:4a:fe:80:... yes net1使用例 38 ホスト内の IPoIB VNIC の表示
次の例では、ホスト内の IPoIB VNIC を表示します。
root@solaris:~# dladm show-vnic LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE IDS kzone1/net0 net0 1000 2:8:20:5:32:5a random VID:0 kzone1/net1 net4 32000 80:0:0:4a:fe:.. fixed PKEY:0x8001
この例で、ID フィールド内の表記 PKEY は、その VNIC が IPoIB VNIC であることを示しています。
次の例では、IPoIB VNIC の MAC アドレスを表示します。
root@solaris:~# dladm show-vnic -o macaddress MACADDRESS 2:8:20:5:32:5a 80:0:0:4a:fe:80:0:0:0:0:0:0:0:21:28:0:1:a0:e5:55使用例 39 ホストでのデータリンクの表示
次の例では、カーネルゾーン上に作成された IPoIB VNIC を含む、ホスト内のデータリンクを表示します。
root@solaris:~# dladm show-link LINK CLASS MTU STATE OVER net0 phys 1500 up -- net1 phys 1500 unknown -- kzone1/net0 vnic 1500 up net0 kzone1/net1 vnic 65520 up net1
詳細は、dladm(1M) のマニュアルページを参照してください。