VNIC を削除して再構成することなく、1 つ以上の VNIC を、あるベースとなるデータリンクから別のベースとなるデータリンクに移動できます。ベースとなるデータリンクは、物理リンク、リンクアグリゲーション、または etherstub です。
通常は、次のいずれかの状況で VNIC を移行します。
既存の NIC を新しい NIC と交換する必要がある場合
ターゲットの NIC の帯域幅が既存の NIC より広い場合
ターゲットの NIC がハードウェアにラージレシーブオフロード (LRO)、ラージセグメントオフロード (LSO)、チェックサムなどの特定の機能を実装する場合
VNIC を正常に移行するには、VNIC の移動先のターゲットのデータリンクが、その VNIC のデータリンクプロパティーに対応している必要があります。これらのプロパティーがサポートされていない場合、移行は失敗し、ユーザーに通知されます。移行が成功したあと、ターゲットデータリンクがネットワークに接続されたままであれば、VNIC を使用しているすべてのアプリケーションが引き続き正常に動作します。
VNIC の移行のあと、データリンクの状態、リンク速度、MTU サイズなどの、ハードウェアに依存した特定のプロパティーは変更される可能性があります。これらのプロパティーの値は、VNIC の移行先のデータリンクから継承されます。データリンク上に構成されているすべての VNIC を移行することも、指定された VNIC を選択的に移行することもできます。VNIC を移行し、その VLAN ID を同時に変更することもできます。
ソースリンク上に構成されているすべての VNIC をターゲットリンクに移行するには、次のコマンド構文を使用します。
# dladm modify-vnic –l target-link –L source-link
VNIC が移行されるリンクを示します
VNIC が以前に構成されたリンクを示します
この例では、ソースリンク ether0 からのすべての VNIC がターゲットリンク net1 に移動されます。
# dladm modify-vnic -l net1 -L ether0 # dladm show-vnic LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE IDS vnic0 net1 1000 2:8:20:c2:39:38 random VID:321 vnic1 net1 1000 2:8:20:5f:84:ff random VID:656 vnic2 net1 1000 2:8:20:5f:84:ff random VID:0
ソースリンク上に構成されている指定された VNIC をターゲットリンクに移行するには、次のコマンド構文を使用します。
# dladm modify-vnic –l target-link VNIC,VNIC,[...]
VNIC の選択的な移行を実行するには、ターゲットリンクだけを指定する必要があります。
この例では、vnic0、vnic1、および vnic2 が、ソースリンク net0 からターゲットリンク net1 に選択的に移動されます。
# dladm modify-vnic -l net1 vnic0,vnic1,vnic2 # dladm show-vnic LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE IDS vnic0 net1 1000 2:8:20:c2:39:38 random VID:321 vnic1 net1 1000 2:8:20:5f:84:ff random VID:656 vnic2 net1 1000 2:8:20:5f:84:ff random VID:0 vnic3 net0 1000 2:8:20:5f:84:ff random VID:345
ソースリンク上に構成されている VNIC の VLAN ID を変更して、同時にターゲットリンクに移行するには、次のコマンド構文を使用します。
# dladm modify-vnic –l target-link –v vid VNIC
新しい VLAN ID を割り当てするには、一度に 1 つの VNIC を移行する必要があります。
この例では、vnic0、vnic1、および vnic2 がターゲットデータリンク net1 に移行されます。移行では、すべての VNIC の VLAN ID も同時に変更されます。
# dladm modify-vnic -l net1 -v 123 vnic0 # dladm modify-vnic -l net1 -v 456 vnic1 # dladm modify-vnic -l net1 -v 789 vnic2 # dladm show-vnic LINK OVER SPEED MACADDRESS MACADDRTYPE IDS vnic0 net1 1000 2:8:20:c2:39:38 random VID:123 vnic1 net1 1000 2:8:20:5f:84:ff random VID:456 vnic2 net1 1000 2:8:20:5f:84:ff random VID:789
VNIC をソースリンクからターゲットリンクに移行する際、ランダムに割り当てられた MAC アドレスは影響を受けず、移行のあと、それらの各 VNIC によって保持されます。使用例 25を参照してください。
ただし、VNIC がソースリンクからのファクトリ MAC アドレスを使用している場合は、MAC アドレスが変更されます。移行中に MAC アドレスを指定しないと、VNIC のファクトリ MAC アドレスがランダムに割り当てられた MAC アドレスに置き換えられます。移行中に –m を付けて MAC アドレスを指定すると、VNIC のファクトリ MAC アドレスが指定された MAC アドレスで置き換えられます。
複数の MAC アドレスが、カーネルゾーンで作成された VNIC に関連付けられています。カーネルゾーンで作成された VNIC を移行すると、VNIC に関連付けられた複数の MAC アドレスがすべて、ターゲットの NIC に移行されます。