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Oracle® Solaris 11.3 での仮想ネットワークとネットワークリソースの管理

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更新: 2016 年 11 月
 
 

ユースケース: ハードウェア SLA の NIC へのオフロード

目的 - このユースケースは、2 つのカーネルゾーンに VF VNIC を構成して、VF VNIC の SLA をベースとなる物理 NIC にオフロードする方法を示しています。

VF VNIC は大域ゾーンを迂回するため、通常、VF VNIC 上では maxbwpriority などの SLA プロパティーは設定できません。ただし、SLA 実装が NIC でサポートされる場合、この実装を NIC にオフロードできます。Intel XL710 10/40 ギガビット Ethernet コントローラ NIC では SLA のオフロードがサポートされ、maxbw プロパティーに加えて帯域幅共有がサポートされます。帯域幅共有の詳細は、VNIC の帯域幅共有を参照してください。

次の図は、このユースケースで使用される Oracle Solaris システムの設定を示しています。

図 7  ユースケース: SR-IOV VF VNIC を使用するカーネルゾーン

image:SR-IOV VF VNIC を使用するカーネルゾーン

この設定は次のとおりです。

  • 大域ゾーンを持つ Oracle Solaris システム。

  • 10G ビット/秒の帯域幅を持つ Intel XL710 10/40 ギガビット Ethernet コントローラ NIC 上に構成されているデータリンク net4

  • 2 つのカーネルゾーン gold-zone および bronze-zone

  • gold-zone には、80% (bwshare=80) の帯域幅共有が割り当てられます。カーネルゾーン bronze-zone には、20% (bwshare=20) の帯域幅共有と、4G ビット/秒 (maxbw=4G) の最大帯域幅が割り当てられます。

ハードウェア SLA を NIC にオフロードする方法 (ユースケース)

SLA プロパティーを NIC にオフロードするには、次の手順を実行する必要があります。

  1. VF VNIC を作成する前に、データリンク net4iov プロパティーを on に設定します。
    # dladm set-linkprop -p iov=on net4
  2. データリンク net4bwshare プロパティーがサポートされるかどうかを確認します。
    # dladm show-linkprop -H -p bwshare net4
    LINK     PROPERTY        MODE HWPOSSIBLE    HWFLAGS SWPOSSIBLE SWFLAGS
    net4     bwshare         none 1-100         --      --         -- 

    HWPOSSIBLE の下に値 1-100 が表示されるため、出力は、物理データリンク net4bwshare プロパティーがサポートされることを示しています。

  3. gold-zone の VF VNIC を作成して、帯域幅共有を 80 に設定します。
    # zonecfg -z gold-zone
    zonecfg:gold-zone> add anet
    zonecfg:gold-zone:anet> set lower-link=net4
    zonecfg:gold-zone:anet> set iov=on
    zonecfg:gold-zone:anet> set bwshare=80
    zonecfg:gold-zone:anet> end
    zonecfg:gold-zone> verify
    zonecfg:gold-zone> commit
    zonecfg:gold-zone> exit
  4. bronze-zone の VF VNIC を作成して、帯域幅共有を 20 に、最大帯域幅を 4G に設定します。
    # zonecfg -z bronze-zone
    zonecfg:bronze-zone> add anet
    zonecfg:bronze-zone:anet> set lower-link=net4
    zonecfg:bronze-zone:anet> set iov=on
    zonecfg:bronze-zone:anet> set bwshare=20
    zonecfg:bronze-zone:anet> set maxbw=4G
    zonecfg:bronze-zone:anet> end
    zonecfg:bronze-zone> verify
    zonecfg:bronze-zone> commit
    zonecfg:bronze-zone> exit
  5. カーネルゾーンをブートします。
    # zoneadm -z gold-zone boot
    # zoneadm -z bronze-zone boot
  6. VF VNIC の帯域幅共有を確認します。
    # dladm show-linkprop -p bwshare  
    LINK             PROPERTY    PERM  VALUE     EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
    gold-zone/net1   bwshare     rw    80        80%          --        1-100 
    bronze-zone/net1 bwshare     rw    20        20%          --        1-100 

    注 -  このユースケースでは、合計帯域幅共有は 100 で維持されます。合計帯域幅共有が 100 を超える場合、相対的な共有が VF VNIC に割り当てられます。詳細は、dladm(1M) のマニュアルページを参照してください。
  7. VF VNIC に割り当てられた最大帯域幅を確認します。
    # dladm show-linkprop -p maxbw
    LINK              PROPERTY   PERM  VALUE      EFFECTIVE    DEFAULT   POSSIBLE
    gold-zone/net1    maxbw      rw    --         --           --        -- 
    bronze-zone/net1  maxbw      rw    4000       4000         --        --