既存のユーザーのため、このセクションでは、このリリースでの重要な変更点を示します。
Oracle Solaris カーネルゾーンのシングルルート I/O 仮想化 (SR-IOV) のサポート – カーネルゾーンでは、ネットワークパフォーマンスを向上させる NIC の SR-IOV 仮想機能 (VF) を使用できるようになりました。SR-IOV VF を使用してカーネルゾーンを作成または変更するとき、zonecfg コマンドを使用して anet リソースの iov プロパティーを指定できます。詳細は、SR-IOV VF を使用した Oracle Solaris カーネルゾーンの構成を参照してください。
データリンクのラージレシーブオフロードの使用 – ラージレシーブオフロード (LRO) 機能を使用すると、パケットが IP レイヤーに配信される前に、連続した着信 TCP パケットを単一のパケットにマージできます。着信 TCP パケットは、同じソース IP アドレスとポート番号、宛先 IP アドレスとポート番号、および使用中のプロトコルを共有する必要があります。dladm および zonecfg コマンドで lro プロパティーを使用すると、データリンク上で LRO 機能を有効にできます。詳細は、Oracle Solaris でのラージレシーブオフロード機能の使用を参照してください。
VNIC のハードウェアサービスレベル契約 (SLA) のサポート – 特定の状況では、Intel の Fortville NIC など、SR-IOV PCIe 仮想機能 (VF) をサポートする NIC を使用しているシステム上で実行されている Oracle Solaris カーネルゾーンで、新しいリソース管理機能である帯域幅共有を使用できます。NIC が、VF VNIC の SLA プロパティーの設定を可能にするハードウェア SLA をサポートする場合、SLA 実装は、システムによって自動的に NIC にオフロードされます。この動作は、CPU サイクルを節約するために役立ちます。この機能は、dladm コマンドを使用して管理されます。詳細は、VF VNIC のハードウェア SLA プロパティーの設定を参照してください。
エラスティック仮想スイッチ (EVS) の拡張 – EVS では、1 つの計算ノードにつき複数のアップリンクポート、pool プロパティーを使用した割り当てプール、およびポートごとにリンク保護を明示的に設定する機能がサポートされるようになりました。詳細は、EVS コントローラのプロパティーの設定、エラスティック仮想スイッチへの IPnet の追加、および表 4を参照してください。
フラットな EVS ネットワーク – VM インスタンスが計算サーバーと同じネットワーク、したがって同じ IP アドレス空間を共有するように、フラットな L2 タイプの EVS を作成し、仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) または仮想拡張ローカルエリアネットワーク (VXLAN) なしですべての VM インスタンスを同じセグメントに配置できます。詳細は、フラットな EVS ネットワークを参照してください。
カーネルゾーンでの準仮想化 IP over InfiniBand (IPoIB) データリンクのサポート – IPoIB プロトコルの改善された可観測性や準仮想化サポートなど、Oracle Solaris カーネルゾーンで InfiniBand のサポートを使用できるようになりました。準仮想化 IPoIB データリンクは、Oracle Solaris カーネルゾーン内に anet リソースとして作成されます。これは、zonecfg コマンドを使用して構成できます。詳細は、カーネルゾーンでの準仮想化 IPoIB データリンクの作成および表示を参照してください。
データリンクのパケット破棄のアカウンティングと報告 – dlstat show-phys コマンドでは、物理データリンクごとの入力と出力のパケット破棄と、破棄ごとのバイト数が表示されるようになりました。詳細は、ネットワークデバイスのネットワークトラフィックの統計情報の表示を参照してください。
プライベート VLAN (PVLAN) VNIC – VLAN をサブ VLAN に分割するために使用されるプライベート VLAN (PVLAN) VNIC を構成できます。これらのサブ VLAN はネットワークトラフィックを分離して、数に限りがある使用可能な VLAN の使用状況を改善します。詳細は、VNIC を PVLAN として構成する方法およびPVLAN VNIC の変更を参照してください。
dladm コマンドを使用した IPoIB VNIC の構成 – Oracle Solaris 11.3 には、IPoIB パーティションと Ethernet VNIC の間の統合された管理モデルが用意されています。dladm コマンドを使用して、Ethernet VNIC モデルに準拠しており、VNIC によって提供される機能を活用する IPoIB VNIC を作成できるようになりました。さらに、dladm delete-vnic および dladm show-vnic コマンドを使用して、IPoIB VNIC を削除したり、それに関する情報を表示したりできます。詳細は、IPoIB VNIC の構成を参照してください。