3.6 Oracle VM Release 3.3.1の新機能

Oracle VMリリース3.3.1の新機能および拡張機能は次のとおりです。

プログラミング容易性

  • 完全にサポートされたWebサービスAPI: Oracle VM Managerでは、Oracle VM内部でサポートされているアクションをプログラミングするためのSOAPインタフェースとRESTインタフェースの両方を提供する、完全にサポートされたOracle VM WebサービスAPIが公開されました。 詳細は、Oracle VM WebサービスAPI開発者ガイドを参照してください。

パフォーマンス

  • 新しい統計およびイベント・モデル: 統計およびイベント・モデルが完全に再作成されて、大幅にパフォーマンスが向上しました。 キューに入れられたジョブ・タスクは、生成された統計の数を監視し、統計の数がしきい値を超えた期間中はそのしきい値を自動的に調整するように設定されています。

  • Oracle VM Serverの通知しきい値化: Oracle VM Serverの通知によって、生成されるイベントの数が増加し、パフォーマンスが影響を受けし、ログ・ファイルが一杯になって使用不能になることがあります。 通知しきい値を設定してOracle VM Serverで生成可能な通知の数を制御および制限するための機能が提供されました。

  • Huge Pageのサポート: Huge Page (またはSuper Page)のサポートの追加により、x86ベースのサーバー・プールでホストされているゲストはこの機能を利用してパフォーマンスを向上させ、仮想環境においてページ参照から生じるI/Oを削減することができます。 Huge Pageのサポートの詳細は、『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』仮想マシンの作成に関する説明を参照してください。

  • ゲストVMメッセージングの改善: Oracle VM Guest Additionsのメッセージング機能の変更により1つのメッセージ内で複数のキー/値のペアがサポートされるようになり、Oracle VM Manager内で生成されるジョブの数が削減されて、パフォーマンスが大幅に向上しました。 ゲスト仮想マシンのメッセージングの詳細は、『Oracle VM概要ガイド』仮想マシンへのメッセージの送信に関する説明を参照してください。

  • その他のコード変更: 多数のディスク、記憶域リポジトリ、Oracle VM Serverまたは仮想マシンを利用するように拡大された環境でのパフォーマンスを強化するために、コードベースの各部分が再記述されました。

セキュリティ

  • サービス統合: 各種サービスの統合およびOracle VM WebサービスAPIのグローバルな使用により、デプロイメント内に開く必要のあるポートの数と、コンポーネントが通信に使用するメカニズムが削減されました。 これらの変更により、悪意あるユーザーが使用できる潜在的な攻撃ベクトルの数が削減されます。 詳細は、『Oracle VMセキュリティ・ガイド』を参照してください。

  • 証明書ベースの認証: Oracle VM Agentは、Oracle VM Serverの検出時に、SSL証明書を使用してOracle VM Managerからのリクエストを認証するようになりました。 これにより、悪意あるユーザーがブルートフォース・ディクショナリ攻撃を実行して、Oracle VM Managerインスタンスの所有下にあるOracle VM Serverに認証される可能性を減らします。 さらに、すべてのOracle VM WebサービスAPIリクエストに対して証明書ベースの認証を使用することにより、認証用の優れたセキュリティ・モデルを保持しながら自動化を促進できます。 Oracle VMにおけるSSLの詳細は、『Oracle VMセキュリティ・ガイド』を参照してください。

ユーザビリティと運用性

  • 新しい仮想マシン・コンソール: 仮想マシン・コンソールがJavaScriptおよびHTML5機能を使用するように再設計されました。 クライアント・コンピュータにソフトウェアをローカルにインストールまたは実行する必要がなくなりました。 新しいコンソールはWebブラウザ内で実行されるため、使用されるテクノロジをそのブラウザでサポートできれば問題ありません。 最新のブラウザはほとんどがサポートされています。 この変更により複雑さが軽減され、より信頼できるコンソール・ツールが提供されます。 仮想マシン・コンソールの詳細は、『Oracle VM概要ガイド』仮想マシン・コンソールへのアクセスに関する説明を参照してください。

  • 仮想マシン構成ファイルの表示: 仮想マシンがハイパーバーザにより起動されたときにそのマシンに実際に適用される構成の透過性を高めるために、Oracle VM Manager WebインタフェースおよびOracle VM Managerコマンドライン・インタフェースから直接、仮想マシンの仮想マシン構成ファイルを表示できるようになりました。 仮想マシン構成ファイルの表示の詳細は、『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』仮想マシン構成ファイルの表示に関する説明を参照してください。

  • スタック・トレースの削除: Oracle VM Managerコマンドライン・インタフェースのジョブ・エラー・メッセージからスタック・トレース情報がなくなりました。 これにより、エラー・メッセージの内容が読みやすくなり、有用性が向上しました。

  • ジョブ詳細の改善: Oracle VM Manager Webインタフェースのジョブ詳細ビュー(「Job Summary」ペインの「Details」ボタンをクリックして表示)が、より適切な情報が表示されるように改善され、スタック・トレース情報が削除されました。 ジョブ・スタック・トレース情報はまだ使用可能ですが、「Jobs」ビューに移動されました。 ジョブ詳細の詳細は、『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』ジョブ詳細に関する説明を参照してください。

信頼性

  • データベース統合: Oracle VM Managerのバックエンド・リポジトリとして、バンドルされたOracle MySQL Enterpriseデータベースのみがサポートされています。 それ以外のOracle Databaseタイプのサポートをなくしたことにより、Oracle VM Managerでの通常の自動データベース・バックアップ、データベース一貫性チェック・ツール、および信頼性やパフォーマンスの向上に必要なその他の機能に対する制御が向上しました。 さらに、サポートをバンドルされたデータベースに制限することで、トラブルシューティングのドキュメントおよびツールを向上させることができます。

  • データベース・オブジェクト一貫性チェック: データベース内に格納されたオブジェクトのステータスを、その関係および参照とともにチェックするためのツールが使用可能になりました。 これらのツールはデータベースのチューニングに使用でき、潜在的なデータベース問題を解決する際に役立ちます。 一貫性チェックは、自動バックアップ機能と一緒に実行されます。

  • インバウンド移行ロック: Oracle VM Serverを他の仮想マシンからそのサーバーに移動または移行することを回避するための新しい機能が追加されました。 これにより、指定したOracle VM Server上で選択した仮想マシンを実行し、またそのサーバー上で、一部のアプリケーションにミッション・クリティカルである可能性のあるリソースを消費するようなそれ以外の仮想マシンが起動されないようにすることができます。 詳細は、『Oracle VM概要ガイド』仮想マシンを保護する方法に関する説明を参照してください。

ネットワーキング

  • モデルへのネットワーク・ブリッジおよび仮想スイッチの追加: Oracle VM Managerのコア・モデルが更新され、各Oracle VM Serverに存在するネットワーク・ブリッジおよび仮想スイッチ・オブジェクトがより正確に表示されるようになりました。 これにより、Oracle VM Server上にブリッジまたは仮想スイッチを手動で作成した場合の問題を解決でき、ブリッジおよび仮想スイッチ構成の処理を向上させるツールを開発するメカニズムが提供されます。 ネットワーク・アーキテクチャの詳細は、『Oracle VM概要ガイド』ネットワークに関する説明を参照してください。

  • VLANサポートの改善: VLANサポートは完全に再構築されました。 VLANグループおよびVLANセグメントの構成に関連していた以前のモデルは柔軟性が低く、混同しやすいうえ、場合によっては管理ネットワークに影響を与えることがありました。 VLANサポートが簡素化され、VLANインタフェースの概念が導入されたことで、どのVLANタグにどのポートを使用するかを定義できるようになりました。 VLANインタフェースを必要な場合に定義できるようになり、VLANの使用に関する制限の多くが削除されました。 VLANの詳細は、『Oracle VM概要ガイド』Oracle VMでのVLANの使用方法に関する説明を参照してください。

  • HTTPプロキシに対するサポートの追加: Oracle VM Managerでは、アセンブリ、仮想ディスクまたは仮想CDROMのインポート時に使用するHTTPプロキシを定義するためのサポートが追加されました。 この変更により、テンプレートまたは仮想マシンのインポート時にプロキシを拡張的に定義できるようになりました。

SPARCサポート

  • iSCSI、ファイバ・チャネル、ZFSおよびローカル・ディスクの仮想マシン割当てのサポート: SPARCシステムでiSCSIおよびファイバ・チャネル・ディスクを検出できるようになり、それらをSPARCサーバー・プール内で実行されている仮想マシンに直接割当てできるようになりました。 これらのディスク上に記憶域リポジトリを構成することは、現在サポートされていません。 SPARCシステム上でローカル・ディスク、ZFSボリュームおよびNFSエクスポートを検出でき、リポジトリに対して使用できます。また、同じサーバー上で実行されている仮想マシンで使用するように割り当てることもできます。

  • パッケージ管理およびSPARCのアップグレード: Oracle VM Agent内のパッケージ管理のサポートの追加により、Oracle VM Managerから直接、将来のSPARCサーバー・アップグレードを管理できるようになりました。 Oracle VM Manager内のアップグレード・ツールが変更されたため、サーバー更新グループを定義して、将来のアップグレードの実行時に使用する必要があるIPSリポジトリを指定できます。 SPARCに対するサーバー更新グループの作成の詳細は、『Oracle VMインストレーションおよびアップグレード・ガイド』Oracle VM Managerでのサーバー更新リポジトリの作成に関する説明を参照してください。

  • HA仮想マシンのサポート: SPARCサーバー・プールの記憶域でNFSファイル・システムを使用している場合、そのサーバー・プール内で実行されている仮想マシンを高可用性のために構成できるようになりました。 高可用性の詳細は、『Oracle VM概要ガイド』高可用性(HA)の仕組みに関する説明を参照してください。

  • ネットワーク・サポートの改善: Oracle VM Server for SPARCシステムで、次のネットワーク機能がサポートされるようになりました。

    • アクティブ-バックアップのネットワーク・ボンディング。

    • VLANの統合。

    • ネットワーク・ポートおよびボンド構成におけるジャンボ・フレームとMTUの構成。

インストールとアップグレード

  • Oracle VM Serverインストールのパーティション化: Oracle VM Serverインストーラでは、インストールを最適化するためにすべてのディスク・パーティション化が自己処理されるようになりました。 このプロセスの一部で、Oracle VM Serverソフトウェアに必要な最大ディスク領域のみが使用されます。 残りのディスク領域は自動的にパーティション化され、記憶域リポジトリのホストとして使用できる検出可能ローカル・ディスクとして使用されるか、サーバー上でホストされている仮想マシンにアタッチされます。 ディスク領域使用に関するこの改善によって、マシン・リソースを最大限有効に使用できるようになります。 この変更は、ローカルにホストされているブート・ディスクでのみサポートされ、SANディスクには適用されません。

ドキュメント

  • 新しいガイドおよびインタフェース・カバレージの改善: ドキュメントが再構成され、より包括的な範囲が対象となっています。 『Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド』が、より直接的にOracle VM Manager Webインタフェースにマップするように構成され、ユーザー・インタフェースに関連するアイテムのコンテキストでの情報の検索が簡単になりました。 より概念的な情報を記載し、Oracle VMデプロイメントのアーキテクチャと構成に関する一般的な質問の多くに答える新しいガイド『Oracle VM概要ガイド』が作成されました。 以前に指定した「Oracle VMユーティリティ・ガイド」Oracle VM管理者ガイドに置き換えられました。これにより、Oracle VMデプロイメントの基礎となる管理に関連するすべてのアイテム(バックアップの処理、SSL証明書の構成、一般的なトラブルシューティングなど)が広範囲に適用されます。 いくつかの一般的なガイドラインと、Oracle VM WebサービスAPIに対するプログラミングの概要を示す、新しいOracle VM WebサービスAPI開発者ガイドが作成されました。

インフラストラクチャ

  • Oracle VM Managerにおけるインフラストラクチャの変更: Oracle VM Managerを有効にするために使用されるテクノロジのほとんどが、新しい機能、向上したパフォーマンス、およびセキュリティ修正を使用して更新されました。 これらのコンポーネントに対する主な変更内容は次のとおりです。

    • Oracle WebLogic Serverが12cにアップグレードされました。

    • Javaがバージョン7にアップグレードされました。

    • MySQLデータベースがバージョン5.6にアップグレードされました。

    Oracle VM Manager WebインタフェースおよびOracle VM Managerコマンドライン・インタフェースが再作成され、新しいOracle VM WebサービスAPIを使用して一層の統合を実現できるようになりました。

  • Oracle VM Serverにおけるインフラストラクチャの変更: 次に示すように、x86ハードウェア上のOracle VM Serverに使用される基礎となるテクノロジに大きな変更が適用されました。

    • Xenハイパーバイザがバージョン4.3にアップグレードされました。

    • Dom0カーネルがOracle Linux 6にアップグレードされました。

    • (dom0で使用される) LinuxカーネルがOracle Unbreakable Enterprise Kernel 3 (UEK3)に更新されました。