3.1 Oracle VM Release 3.4.2の新機能

Oracle VMリリース3.4.2の新機能および拡張機能は次のとおりです。

インストールとアップグレード

前のOracle VM ServerリリースのOracle VM Managerサポート

Oracle VMリリース3.4.2以降、Oracle VM Managerでは現在および以前のOracle VM Serverリリースがサポートされます。 詳細は、第6章「前のOracle VM ServerリリースのOracle VM Managerサポート」を参照してください。

インフラストラクチャ

NVM Express (NVMe)デバイスのサポート

Oracle VM Serverでは、NVMeデバイスが検出され、Oracle VM Managerに提示されるようになりました。Oracle VM Managerでは、そのNVMeデバイスをローカル・ディスクとして仮想マシン・ディスクの格納や記憶域リポジトリの作成に使用できます。

NVMeデバイスには次のルールが適用されます。

Oracle VM Server for x86

  • NVMeデバイス全体を記憶域リポジトリとして使用する場合、または1つの仮想マシン物理ディスクに対して使用する場合は、そのNVMeデバイスをパーティション化しないでください。

  • NVMeデバイスを複数の物理ディスクにプロビジョニングするには、そのデバイスがインストールされているOracle VM Server上でデバイスをパーティション化する必要があります。 NVMeデバイスがパーティション化されている場合、Oracle VM Managerはデバイス全体ではなく各パーティションを物理ディスクとして表示します。

    NVMeデバイスはOracle VM環境外部でパーティション化する必要があります。 Oracle VM Managerには、NVMeデバイスをパーティション化するための機能はありません。

  • デバイス上にパーティションが存在しない場合は、NVMeデバイスを検出できます。

  • Oracle VM ServerがNVMeデバイス上にインストールされている場合、Oracle VM ServerはそのNVMeデバイス上の他のパーティションを検出しません。

Oracle VM Server for SPARC

  • Oracle VM Managerは、NVMeデバイス上の個々のパーティションではなく1つのデバイスのみを表示します。

    Oracle VM Server for SPARCを使用している場合、NVMeデバイス上に記憶域リポジトリを作成することをお薦めします。 こうすることで、記憶域リポジトリ内に必要なだけいくつでも仮想ディスクを作成できます。 ただし、仮想マシン・ディスクに論理記憶域ボリュームを作成する場合、NVMeデバイス上に手動でZFSボリュームを作成する必要があります。 Oracle VM管理者ガイド「NVMe DeviceでのZFSボリュームの作成」を参照してください。

Oracle Kspliceを使用したdom0カーネルの更新

Oracle VM Serverのdom0カーネルを再起動なしで更新できるようにするOracle Ksplice機能が使用可能になりました。 OS脆弱性パッチによりシステムを最新の状態に保ち、停止時間を最小限に抑えます。 Kspliceの更新は、適用直後に有効になります。 再起動しないと有効にならないディスク上の変更ではありません。

注意

これは、基礎となるXenハイパーバイザに影響を与えません。

Oracle Kspliceを使用してOracle VM Serverのdom0カーネルを更新する前に、サポートのレベルに応じて、Oracleサポート担当者にご相談ください。 詳細は、My Oracle SupportのOracle VM: Ksplice Uptrackの使用(ドキュメントID 2115501.1) (https://support.oracle.com/oip/faces/secure/km/DocumentDisplay.jspx?id=2115501.1)を参照してください。

仮想マシンに使用可能なSCSI機能の拡張

Oracle VMでは、仮想マシンに対するSCSI機能の追加サポートが提供されるようになりました。

  • Linuxゲストは、物理ディスクからvital product data (VPD)ページ0x84情報を取得できるようになりました(デバイスそのものでその情報が使用可能になっている場合)。

  • 将来のOracle VM Paravirtual Drivers for Microsoft Windowsリリースでは、Microsoft Windows Serverゲストは、SCSI-3永続的予約を使用してMicrosoft Windows Server Failover Clusterを構成できます。 特定のMicrosoftオペレーティング・システム・バージョンにおけるフェイルオーバー・クラスタ機能の可用性の詳細は、Oracle VM Paravirtual Drivers for Microsoft Windowsのドキュメントを参照してください。

Dom0カーネルのアップグレード

このリリースでは、Oracle VM Serverのdom0カーネルがOracle Unbreakable Enterprise Kernelリリース4 Quarterly Update 2に更新されました。

パッケージの追加および更新

  • Microsoft Clusteringをサポートし、libxenstore APIを使用してDom0プロセスとDomUプロセス間の通信を可能にするovmport-1.0-1.el6.4.src.rpmパッケージがOracle VM Server ISOに追加されました。

  • Perlパッケージはperl-5.10.1-141.el6_7.1.src.rpmに更新されました。

  • Netscape Portable Runtime (NSPR)パッケージはnspr-4.11.0-1.el6.x86_64.rpmに更新されました。

  • openSCAPパッケージはopenscap-1.2.8-2.0.1.el6.rpmに更新されました。

  • Linux-firmwareパッケージはlinux-firmware-20160616-44.git43e96a1e.0.12.el6.src.rpmに更新されました。

パフォーマンスとスケーラビリティ

Oracle VM Managerパフォーマンスの拡張

このリリースでは、システムの停止時にOracle VM ServerがOracle VM Managerに送信する非クリティカル・イベントの数を減らすことにより、Oracle VM Managerのパフォーマンスを拡張しています。

注意

大規模なOracle VM環境を実行している場合、Oracle WebLogic Serverに割り当てられたメモリー量を増やすことをお薦めします。 こうすることで、必要なときに適切なメモリーが使用可能になります。 詳細は、「Oracle VM管理者ガイド」「Oracle WebLogic Serverに割り当てられたメモリーを増やす」を参照してください。

Oracle VM Server for x86のパフォーマンス最適化

Oracle VM Server for x86のパフォーマンス最適化の目標と手法の詳細は、Oracle Technology NetworkのOracle VM Server for x86のパフォーマンスの最適化(http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/vm/ovm-performance-2995164.pdf)を参照してください。

Xen 4.4.4のパフォーマンスおよびスケーラビリティの更新

  • メモリー割当ての向上: 異なるOracle VM Server間で仮想マシンを移行した場合や、仮想マシンを削除した場合など、ドメインが破壊されたときにメモリーをより効率的に解放することにより、ホスト・システム・パフォーマンスが向上しました。 これにより、パフォーマンスに関する問題は発生せず、ホスト・システムで他のゲスト・システムをより効率的に管理できます。

  • 集約パフォーマンスの向上: Oracle VM Serverでは、スピンロックにチケット・ロックが使用されるようになりました。これにより、4つを超えるソケットを持つ大規模なマシンの集約パフォーマンスが向上します。

  • WindowsおよびSolarisゲストのパフォーマンスの向上: ドメイン・タイプがHVMまたはPVHVMのMicrosoft WindowsおよびOracle Solarisゲストで、特定のvCPUのアップコール通知として使用するローカルなAPICベクターを指定できるようになりました。 その結果、ゲストはより効率的にイベント・チャネルをvCPUにバインドできます。

  • ワークロード・パフォーマンスの向上: このリリースでは、Linuxスケジューラに対する変更により、ワークロード・パフォーマンスが最適化されました。

  • ロック許可の向上: Xen-netbackの複数キューの改善により、Oracle VM Serverリリース3.4.2で使用可能になったロック許可の拡張機能を利用します。

  • ゲスト・ディスクI/Oパフォーマンスの向上: Xenブロック複数キュー層の実装により、ブロックのスケーラビリティが向上しました。

ユーザビリティ

ライブ・マイグレーションに関するOracle VM Managerルール

ライブ・マイグレーションの失敗を回避し、仮想マシン環境に関する後続の問題を回避するために、次のようなルールがOracle VM Managerに追加されました。

Oracle VM Managerでは、xen-4.3.0-55.el6.22.18より前のXenリリースを使用して仮想マシンとOracle VM Serverインスタンスの間のライブ・マイグレーションを実行することはできません。 このルールは、すべてのゲストOSに適用されます。

表3.1 Oracle VM Managerリリース3.4.2を使用したOracle VM Serverリリース間のライブ・マイグレーション・パス

Oracle VM Managerリリース3.4.2の使用 ライブ・マイグレーション後のリリース
リリース3.2.10 リリース3.2.11 リリース3.3.1 リリース3.3.2 リリース3.3.3 リリース3.3.4 リリース3.4.1 リリース3.4.2
ライブ・マイグレーション前のリリース リリース3.2.10 対応 対応 Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる 対応 対応 対応 対応
リリース3.2.11 対応 対応 Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる 対応 対応 対応 対応
リリース3.3.1 不可 不可 Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる
リリース3.3.2 不可 不可 Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる
リリース3.3.3 不可 不可 Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる 対応 対応 対応 対応
リリース3.3.4 不可 不可 Xenリリースにより異なる Xenリリースにより異なる 対応 対応 対応 対応
リリース3.4.1 不可 不可 不可 不可 不可 不可 対応 対応
リリース3.4.2 不可 不可 不可 不可 不可 不可 対応 対応


Xenリリース(前)

Xenリリース(後)

ライブ・マイグレーションが可能か

xen-4.3.0-55.el6.x86_64

xen-4.3.0-55.el6.0.17.x86_64

不可

xen-4.3.0-55.el6.22.18.x86_64

および新しいxen-4.3.0-55

対応

たとえば、このライブ・マイグレーション・ルールの結果、Oracle VM Serverリリース3.4.2に移行する前に、Xenバージョンxen-4.3.0-55.el6.22.9.x86_64を使用してOracle VM Serverリリース3.3.2を実行しているOracle VMサーバー・プール内のすべての仮想マシンを停止する必要があります。

ヒント

Xenバージョンを調べるには、Oracle VM Serverで次のコマンドを実行します。

# rpm -qa | grep "xen"  

PVHVMホット・メモリーの変更

このリリース以降、実行中のPVHVMゲストに割り当てられたメモリーを再起動なしで変更できるようになりました。 また、Oracle VM Managerで、割り当てられたメモリーを使用可能な最大メモリーとは異なる値に設定できるようになりました。

注意
  • ホット・メモリー変更は、Linux OSで実行されているx86ベースのPVHVMゲスト、およびOracle VM Server for SPARCで実行されているゲストでサポートされます。 Oracle Solaris OSで実行されているx86ベースのPVHVMゲストでは、仮想マシンの実行中にメモリーを変更することはできません。

  • Microsoft Windows OSを実行しているPVHVMゲストでのホット・メモリー変更の可否の詳細は、Oracle VM Paravirtual Drivers for Microsoft Windowsのドキュメントを参照してください。 ホット・メモリー変更がサポートされたWindows PVドライバを使用するか、メモリーを変更する前にゲストを停止する必要があります。

  • Oracle VMでは、Oracle VM Managerを使用したホット・メモリー変更のみがサポートされています。 サポートされていない構成(デバイス・パススルーなど)を手動で作成した場合、ホット・メモリー変更はサポートされません。

セキュリティ

  • Oracle MySQLパッチ更新: このリリースのOracle VMには、July 2016 Critical Patch Update for MySQLが含まれています。(23087189)

  • Oracle WebLogicパッチ更新: このリリースのOracle VMには、July 2016 Critical Patch Update for WebLogicが含まれています。(23087185)

  • Oracle Javaパッチ更新: このリリースのOracle VMには、July 2016 Critical Patch Update for Javaが含まれています。(23087198)。

  • Xenセキュリティ・アドバイザリ: このリリースには、次のXenセキュリティ・アドバイザリが含まれています。

    • XSA-154 (CVE-2016-2270)

    • XSA-170 (CVE-2016-2271)

    • XSA-172 (CVE-2016-3158およびCVE-2016-3159)

    • XSA-173 (CVE-2016-3960)

    • XSA-175 (CVE-2016-4962)

    • XSA-176 (CVE-2016-4480)

    • XSA-178 (CVE-2016-4963)

    • XSA-179 (CVE-2016-3710およびCVE-2016-3712)

    • XSA-180 (CVE-2014-3672)

    • XSA-182 (CVE-2016-6258)

    • XSA-185 (CVE-2016-7092)

    • XSA-187 (CVE-2016-7094)

    • XSA-188 (CVE-2016-7154)