Oracle® Solaris Cluster 4.3 システム管理

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更新: 2016 年 7 月
 
 

パブリックネットワークの管理

Oracle Solaris Cluster ソフトウェアは、パブリックネットワークのための IPMP、リンクアグリゲーション、および VNIC の Oracle Solaris ソフトウェアの実装をサポートします。基本的なパブリックネットワークの管理は、クラスタ環境でも非クラスタ環境でも同じです。

マルチパスは Oracle Solaris 11 OS をインストールすると自動的にインストールされますが、使用するには有効にする必要があります。マルチパスの管理については、適切な Oracle Solaris OS のドキュメントを参照してください。 ただし、Oracle Solaris Cluster 環境で IPMP、リンクアグリゲーション、および VNIC を管理する前に、従うガイドラインを確認してください。

IPMP については、Oracle Solaris 11.3 での TCP/IP ネットワーク、IPMP、および IP トンネルの管理 の 第 3 章, IPMP の管理を参照してください。リンクアグリゲーションについては、Oracle Solaris 11.3 でのネットワークデータリンクの管理 の 第 2 章, リンクアグリゲーションを使用した高可用性の構成を参照してください。

クラスタで IP ネットワークマルチパスグループを管理する方法

IPMP 手順をクラスタ上で実行する前に、次のガイドラインについて考慮してください。

  • SUNW.SharedAddress ネットワークリソースを使用するスケーラブルサービスリソース (リソースタイプのリソースタイプ登録ファイルで SCALABLE=TRUE) を構成している場合は、SUNW.SharedAddress の構成に使用されているものに加えて、クラスタノード上のすべての IPMP グループの IPMP グループステータスをモニターするように PNM を構成できます。この構成により、クラスタノード上のいずれかの IPMP グループが失敗した場合に、クラスタノードと同じサブネット上で共用されているネットワーククライアントのサービス可用性を最大限にするため、サービスを再起動してフェイルオーバーできます。例を示します。

    # echo ssm_monitor_all > /etc/cluster/pnm/pnm.conf

    ノードをリブートします。

  • local-mac-address? 変数には、Ethernet アダプタの値として true が指定されていなければなりません。

  • クラスタでは、プローブベースの IPMP グループ、またはリンクベースの IPMP グループを使用できます。プローブベースの IPMP グループは、ターゲットの IP アドレスをテストし、可用性が損なわれる可能性がある条件をより多く認識することで最大限の保護を提供します。

    iSCSI ストレージを定足数デバイスとして使用している場合は、プローブベースの IPMP デバイスが正しく構成されていることを確認してください。iSCSI ネットワークがクラスタノードと iSCSI ストレージデバイスのみを含むプライベートネットワークであり、iSCSI ネットワーク上にほかのホストが存在しない場合、1 つを除くすべてのクラスタノードがダウンすると、プローブベースの IPMP 機構が壊れる可能性があります。この問題は、IPMP によるプローブの対象となるほかのホストが iSCSI ネットワーク上に存在しないために発生するため、クラスタ内にノードが 1 つしか残っていない場合、IPMP はこれをネットワーク障害として処理します。IPMP は iSCSI ネットワークアダプタをオフラインにし、残りのノードは iSCSI ストレージ (つまり、定足数デバイス) へのアクセスを失います。この問題を解決するために、iSCSI ネットワークにルーターを追加することで、クラスタの外部にあるほかのホストがプローブに応答し、IPMP はネットワークアダプタをオフラインにしないようにできます。または、プローブベースのフェイルオーバーの代わりにリンクベースのフェイルオーバーを使用するように IPMP を構成することもできます。

  • リンクローカルでない IPv6 パブリックネットワークインタフェースがパブリックネットワーク構成内に 1 つ以上存在していないかぎり、scinstall ユーティリティーは自動的に、同じサブネットを使用しているクラスタ内の一連のパブリックネットワークアダプタごとに、複数のアダプタを含む IPMP グループを 1 つずつ構成します。これらのグループはリンクベースであり、推移的プローブを備えています。プローブベースの障害検出が必要な場合は、テストアドレスを追加できます。

  • 同一マルチパスグループ内のすべてのアダプタ用のテスト IP アドレスは、単一の IP サブネットに属する必要があります。

  • テスト IP アドレスは高可用性でないため、通常のアプリケーションが使用しないようにします。

  • マルチパスグループの命名に制限はありません。しかし、リソースグループを構成するとき、netiflist には、任意のマルチパス名にノード ID 番号またはノード名が続くものを指定します。たとえば、マルチパスグループの名前が sc_ipmp0 であるとき、ノード ID が 1 である phys-schost-1 というノード上にアダプタが存在する場合、netiflist の名前は sc_ipmp0@1 または sc_ipmp0@phys-schost-1 のどちらでもかまいません。

  • 最初に if_mpadm(1M) コマンドを使用して、IP アドレスを削除対象のアダプタからグループ内の代替アダプタに切り替えることなく、IP ネットワークマルチパスグループのアダプタを構成解除 (unplumb) したり、停止したりしないでください。

  • Oracle Solaris Cluster の HA IP アドレスが plumb されている IPMP グループからネットワークインタフェースを unplumb または削除しないでください。この IP アドレスは、論理ホスト名リソースまたは共有アドレスリソースに属することがあります。ただし、ifconfig コマンドを使用してアクティブなインタフェースを unplumb した場合、Oracle Solaris Cluster はこのイベントを認識するようになりました。プロセスで IPMP グループが使用できなくなった場合は、リソースグループをほかの正常なノードにフェイルオーバーします。Oracle Solaris Cluster は IPMP グループが有効だが、HA IP アドレスがない場合に、同じノード上でリソースグループを再起動することもできます。IPMP グループは、いくつかの理由 (IPv4 接続の損失、IPv6 接続の損失、またはその両方) で使用できなくなります。詳細は、if_mpadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

  • 個々のマルチパスグループから削除する前に、アダプタを別のサブネットに配線しないようにします。

  • 論理アダプタ操作は、マルチパスグループでモニタリング中の場合でもアダプタに対して行うことができます。

  • クラスタ内の各ノードについて、最低 1 つのパブリックネットワーク接続を維持しなければなりません。クラスタは、パブリックネットワーク接続がないとアクセスできません。

  • クラスタ上の IP ネットワークマルチパスグループのステータスを表示するには、ipmpstat -g コマンドを使用します。詳細は、Oracle Solaris 11.3 での TCP/IP ネットワーク、IPMP、および IP トンネルの管理 の 第 3 章, IPMP の管理を参照してください。

クラスタソフトウェアをインストールする手順については、Oracle Solaris Cluster 4.3 ソフトウェアのインストールを参照してください。パブリックネットワークハードウェアコンポーネントの保守手順については、Oracle Solaris Cluster Hardware Administration Manualを参照してください。

パブリックネットワークインタフェースでの動的再構成

クラスタ内のパブリックネットワークインタフェースで動的再構成 (DR) 操作を実行するときは、いくつかの問題を考える必要があります。

  • Oracle Solaris 動的再構成機能に関して記載されている要件、手順、および制限のすべてが、Oracle Solaris Cluster 動的再構成のサポートにも適用されます (オペレーティングシステムの休止操作を除く)。そのため、Oracle Solaris Cluster ソフトウェアで動的再構成機能を使用する前に、Oracle Solaris 動的再構成機能のドキュメントを確認してください。特に、動的再構成の切り離し操作中に、ネットワークに接続されていない入出力デバイスに影響する問題について確認してください。

  • 動的再構成ボード削除操作が成功するのは、パブリックネットワークインタフェースがアクティブでない場合だけです。アクティブなパブリックネットワークインタフェースを削除する前に、if_mpadm コマンドを使用して、マルチパスグループ内の削除する予定のアダプタから代替アダプタに IP アドレスを切り換えます。詳細は、if_mpadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

  • アクティブネットワークインタフェースとして適切に無効にせずにパブリックネットワークインタフェースカードを削除しようとした場合、Oracle Solaris Cluster はその操作を拒否して、その操作から影響を受けるインタフェースを識別します。


Caution

注意  -  2 つのアダプタを含むマルチパスグループの場合は、無効になっているネットワークアダプタ上の動的再構成削除操作を実行中に残りのネットワークアダプタに障害が発生すると、可用性が影響を受けます。動的再構成操作の期間中、残りのアダプタのフェイルオーバー先はありません。


パブリックネットワークインタフェース上で動的再構成操作を実行する場合は、次の手順を示されている順序で完了します。

表 14  タスクマップ: パブリックネットワークインタフェースでの動的再構成
タスク
手順
1. if_mpadm コマンドを使用して、マルチパスグループ内の削除する予定のアダプタから代替アダプタへの IP アドレスの切り換えを実行
if_mpadm(1M) のマニュアルページ
2. ipadm コマンドを使用して、マルチパスグループからアダプタを削除
ipadm(1M) のマニュアルページ
3. パブリックネットワークインタフェース上で動的再構成操作を実行します。