このドキュメントで説明するソフトウェアは、Extended SupportまたはSustaining Supportのいずれかにあります。 詳細は、https://www.oracle.com/us/support/library/enterprise-linux-support-policies-069172.pdfを参照してください。
Oracleでは、このドキュメントに記載されているソフトウェアをできるだけ早くアップグレードすることをお薦めします。
xfsdump
パッケージには、xfsdumpユーティリティとxfsrestoreユーティリティが含まれます。xfsdumpは、1つのXFSファイル・システム内のファイルを調べ、バックアップが必要なファイルを特定し、ストレージ・メディアにコピーします。 xfsdumpを使用して作成したバックアップはすべて、アーキテクチャのエンディアンが異なるシステム間で移植できます。xfsrestoreは、XFSファイル・システムの完全バックアップまたは増分バックアップをリストアします。 バックアップからは、個別ファイルやディレクトリ階層をリストアすることもできます。
LVMスナップショットはボリュームのスパース・クローンをすぐに作成しますが、xfsdumpはそれと異なり、時間をかけてファイル・システム・データのコピーを作成します。
xfsdumpコマンドを使用して、XFSファイル・システムのバックアップを、テープ・ドライブなどのデバイスや、様々なファイル・システム上のバックアップ・ファイルに作成できます。 バックアップは同じデバイス上で書き込まれる複数の物理メディアにまたがることができ、また、複数のバックアップを同じメディアに書き込むことができます。 ファイルには、単一のバックアップのみを書き込むことができます。 このコマンドは、物理メディア上にある既存のXFSバックアップを上書きしません。 既存のバックアップに上書きする必要がある場合は、適切なコマンドを使用して物理メディアを消去する必要があります。
たとえば、次のコマンドは、XFSファイル・システム/myxfs
のレベル0(ベース)バックアップをデバイス/dev/st0
に書き込み、そのバックアップにセッション・ラベルを割り当てます。
# xfsdump -l 0 -L "Backup level 0 of /myxfs `date`" -f /dev/st0 /myxfs
次のコマンドを使用して、既存のバックアップからの増分ダンプを作成できます。
# xfsdump -l level
-L "Backup level level
of /myxfs `date`" -f /dev/st0 /myxfs
レベル1バックアップはレベル0バックアップ以降のファイル・システムの変更のみ、レベル2バックアップは最新のレベル1バックアップ以降の変更のみを記録します。以後同様にレベル9まで続きます。
[Ctrl]+[C]
を入力してバックアップを中断し、xfsdumpに-Jオプションを指定しなかった場合(ダンプ・インベントリを抑制)、-Rオプションを指定することによって、後日ダンプを再開できます。
# xfsdump -R -l 1 -L "Backup level 1 of /myxfs `date`" -f /dev/st0 /myxfs
この例では、以前中断したセッションのバックアップ・セッション・ラベルは上書きされます。
xfsrestoreコマンドを使用すると、XFSファイル・システムに対して行ったバックアップに関する情報を参照したり、バックアップからデータをリストアしたりできます。
xfsrestore -Iコマンドを使用すると、セッションIDやセッション・ラベルなど、バックアップに関してわかっている情報が表示されます。 バックアップ・メディアから特定のバックアップ・セッションを復元する場合、セッションIDとセッション・ラベルのいずれかを指定できます。
たとえば、セッションIDを指定してレベル0バックアップからXFSファイル・システムをリストアするには、次のコマンドを使用します。
# xfsrestore -f /dev/st0 -S c76b3156-c37c-5b6e-7564-a0963ff8ca8f /myxfs
-rオプションを指定すると、レベル0バックアップと、そのバックアップに基づいている高レベルのバックアップから、すべてのデータを累積的にリカバリすることができます。
# xfsrestore -r -f /dev/st0 -v silent /myxfs
このコマンドはレベル0バックアップに基づくバックアップをアーカイブ内で検索し、各バックアップを順番にリストアするかどうかの選択を求めてきます。 選択したバックアップをリストアすると、コマンドは終了します。 このコマンドは複数回実行する必要があります。最初にレベル0バックアップのリストアを選択し、続いてそれ以降の高レベル・バックアップを、ファイル・システム・データをリストアする必要がある最新のバックアップに達するまで、選択してリストアします。
XFSファイル・システムの累積リストアが完了したら、xfsrestoreが宛先ディレクトリ内に作成したhousekeeping
ディレクトリを削除してください。
次の例に示すように、選択したファイルまたはサブディレクトリの内容をバックアップ・メディアからリカバリすることができます。この場合、指定されたセッション・ラベルを持つバックアップから、/myxfs/profile/examples
の内容が/tmp/profile/examples
にリカバリされます。
#xfsrestore -f /dev/sr0 -L "Backup level 0 of /myxfs Sat Mar 2 14:47:59 GMT 2013"
\-s profile/examples /usr/tmp
別の方法として、-iオプションを指定すると、インタラクティブにバックアップを参照できます。
# xfsrestore -f /dev/sr0 -i
この形式でコマンドを使用すると、まるでファイル・システムであるかのようにバックアップを参照できます。 ディレクトリの変更、ファイルの一覧表示、ファイルの追加、ファイルの削除、バックアップからのファイル抽出が可能です。
XFSファイル・システムの内容全体を別のファイル・システムにコピーするには、xfsdumpとxfsrestoreを組み合せ、-Jオプションを使用して、コマンドが実行する通常のダンプ・インベントリ・ハウスキーピングを抑制します。
# xfsdump -J - /myxfs | xfsrestore -J - /myxfsclone
詳細は、xfsdump(8)
とxfsrestore(8)
のマニュアル・ページを参照してください。